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インタビュー

第492号 ロジレビュー・インタビュー ~土井 隆広氏(日華化学株式会社)~ (2022年9月20日発行)

■はじめに

  7月から配信を開始しました、楽々ゼミナール参加者へのインタビュー、第3回は日華化学株式会社の土井様です。楽々ゼミナールへの参加を通して感じられたことや、物流に関する質問にお答え頂きました。

楽々ゼミナールとは:サカタウエアハウスが2019年より、化粧品・理美容業界、電機・電子機器業界の方々を中心として企画・開催している研究会。講師、研究会メンバー間での交流、情報交換、知見向上、ならびにネットワークの拡充を行う場を提供することを目的とし、2022年2月までに6回開催(年2回開催)、流通環境の変化、SCM、フィジカルインターネットなどをテーマとして取り上げ、講師からの講演、研究会メンバーでの意見交換を行っている。

→第1回インタビューはこちら
→第2回インタビューはこちら

■ご紹介

日華化学株式会社
1941年創立。界面化学をキーテクノロジーとし、繊維化学品、特殊化学品、機能化学品、クリーニング、メディカル、化粧品などの分野に、技術や製品を提供しているメーカー。土井様が担当される化粧品事業は1981年にデミ化粧品事業部(現デミコスメティクス)として設立。ヘアカラー・パーマ剤や、ヘアケア・スタイリングの製造、販売を行っている。
参照:日華化学株式会社 ホームページ

デミコスメティクス 化粧品オペレーション部 部次長 土井 隆広 氏
日華化学株式会社入社後、化粧品事業の営業企画、事業管理、営業を経て、約6年前から現職。サプライチェーンの責任者として、生産計画、原料・資材調達、物流管理などをご担当。

楽々ゼミナールには第1回からご参加頂いています。

■インタビュー

―― 日華化学様は楽々ゼミナールに第1回目からご参加頂いていますが、率直な感想を教えてください。
講師の橋本先生の話は物流の枠を超えて、ビジネスマンとして役に立つ話が多いです。私のように幅広い分野に携わっている方も参加されていて、いろんな方と情報交換できるのが楽しいですね。
具体的なアイデアにはつながっていませんが、日本より進んでいる中国の物流事情の話などは聞いていて面白いです。セミナーを通して、物流が変わることで弊社のような荷主が何をしなければならないのか、というヒントを掴めたらいいなと思います。
あとはゼミの後の懇親会も楽しいですね。最近は開催がなかなかできないですが、また再開できるといいですね。

―― ゼミで今後取り上げたいテーマはありますか?
10年後の日本の物流はどうなっているのか、荷主としてそれに備えて何をしなければならないのか、ですね。
個人的にネットニュースで物流系の話題を読むのですが、自動運転やドローン配送などはいつ実用化されるのかわからないなと思います。自動運転やドローン配送が実現できたとして、貴社(以降、サカタウエアハウス)のような3PL業者はどのような対応をしていくのか気になります。
―― 自動運転やドローン配送などのDX化のためには、メーカー様としては、商品の梱包形態、パレットへの積載効率、ケースサイズや強度などが検討要素になるかと思います。
そうですね。

―― コロナ禍による影響や、変化はありましたか?コロナの影響により、取り組まれたことがあれば教えて下さい。
外出自粛により、弊社のお客様であるサロン様の売上が減っていく中で、サロン様へ来店しなくても商品をエンドユーザー様へ届けられる仕組みとして、ECへの対応をスピーディーに進めました。また、これまでは複数あるブランドの出荷は別々に行っていたのですが、今回複数のブランドをまとめて出荷出来るようにも対応しました。物流面ではサカタウエアハウスにも協力頂き感謝しています。
また、エンドユーザー様へトライアル商品を発送する、「オープンEC」も開始しました。トライアル商品の発送の際にサロン様の情報が入ったパンフレットを同梱することで、サロン様への来店につなげたいと考えています。
あとは、この2年でSNSを利用した広告や販促もずいぶん進みましたね。

―― DXで興味を持たれていること、導入してみたい事例はありますか?
会社として様々な取り組みをしています。サプライチェーンの立場として一番興味があるのは、正確な販売予測で、いつかAI化が出来たらいいなと考えています。ただ、ドラッグストアやコンビニのPOSレジの情報は在庫計画に有効に反映されていると思うのですが、弊社のように代理店様を経由する販売方法では、正確な販売予測が出来るのか、検証は必要だと思います。弊社が関与していない流通形態に流れているものを予測出来るのか、ですね。まだ積極的に導入しようとは思っていませんが、精度の高い販売計画を計算できる仕組みには興味があります。

―― SDGsに関して、どのようなことに取り組まれていますか?
再生プラスチックの使用、FSC認証※1を受けた紙の使用、使用する水の量を減らす努力をしています。製造過程で、洗浄や加温に水を使いますので、そこでの水の使用量を極力減らすために知恵を絞っています。また電力に関しては、福井県の本社で使用する電力は水力発電に切り替えました。照明は全てLEDに変更し、鯖江市の工場には太陽光パネルも設置しています。今年にも削減目標を策定する予定で、すでに配送に関わるCO2排出量の測定を始めています。
―― サカタウエアハウスとしても、物流面でCO2排出量削減に協力していきたいと思います。
サカタウエアハウスに箕面倉庫で実施してもらっている、「サロン共配サービス※2」はいい取り組みになると思っています。また商品の外箱に貼付するラベルを2箇所から1箇所に変更もしましたが、これも取り組みのひとつです。今はSDGsとコストダウンが両立出来るものに対して積極的に取り組んでいます。
あとは商品の梱包に使用する中箱・外箱の共通化も進めています。化粧品は1本1本の仕様(サイズや形状)が異なるものが多いですが、なるべく共通化していくことで無駄な資源を使わないようにし、また無駄な在庫を減らしていくように取り組んでいます。

―― 今後の物流で課題と感じていることはありますか?
コストアップをいかに抑制するか、ですね。小口配送の急増、労働力不足、2024年問題など、これらは仕方がないですよね。ただどれもコストアップにつながっていく要素ですよね。知恵を絞ってどのように対応していくかですね。サカタウエアハウスからは、「こうしませんか」「ああしませんか」と提案をしてくれるので助かっています。
あと、弊社のような理美容化粧品の出荷量は、波がある(日々一定の出荷量でない)ことも問題だと感じています。日々一定の出荷量であれば、物流面での対応は安定すると思うので、波動が減るような売り上げを作れるといいのですが。どうしてもサロン様へ行く日が週末に集中するので、そこが波になりますね。ただ最近ではテレワークや時間料金の制度が広がりつつあり、今後サロン様へ来店する曜日が分散していくかもしれません。
―― コストアップについて日華化学様として対応して行くことはありますか?
物流面では何かありますかね?
―― 納品先様によっては発注や納品日をまとめて頂くことで、配送費の削減が見込めるかもしれません。もちろん日華化学様、納品先様とのご相談は必要になりますが。あとは弊社のサロン共配サービスを使用頂く際、梱包を再利用可能な不織布バッグやオリコンに変えることはご提案したいと考えています。
ぜひお願いします。

―― 3PL事業者へ求めることを教えてください。
いろんなアイデアを出して頂いて、より品質を高めつつコストを抑制できるような意見交換ができる相手であって欲しいなと思います。
―― 日華化学様が考える「品質」とは何でしょうか?
配送まで含めて、正確丁寧な作業をお願いしています。イレギュラーな仕事をお願いするとミスが起きやすくなりますが、どうしてもお願いすることはあります。そういった場合にはコミュニケーションを取りながらバランスをとっていきたいですね。
営業部門など、商品を売る人を支えるのが我々の仕事なので、売りたいものを売りたいときに揃えて、届ける体制を作る必要があります。イレギュラーなこともなんとか形にしていく必要がありますし、サカタウエアハウスの協力がないと実現出来ないと思っています。定期的にミーティングを実施していることもあり、サカタウエアハウスとは風通しのよい、いい関係を築けていると思います。

(聞き手:サカタウエアハウス株式会社 営業開発部)

以上


  • (※1) 適正に管理された森林から産出した木材等に認証マークをつけることによって、持続可能な森林の利用と保護を図ろうとする制度。
    参照先:https://jp.fsc.org/jp-ja
  • (※2) サカタウエアハウスが提供する配送サービス。サロン様への直送品を選任スタッフが専用車両にて、複数の理美容化粧品メーカー様の商品を共同配送、及び配送に付帯するサービスを提供する。



(C)2022 Takahiro Doi & Sakata Warehouse, Inc.

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