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インタビュー

第490号 ロジレビュー・インタビュー ~浅倉 達之氏・矢口 陽子氏(株式会社アリミノ)~(2022年8月16日発行)

■はじめに

  7月から配信を開始しました、楽々ゼミナール参加者へのインタビュー、第2回は株式会社アリミノの浅倉様、矢口様です。楽々ゼミナールへの参加を通して感じられたことや、物流に関する質問にお答え頂きました。

楽々ゼミナールとは:サカタウエアハウスが2019年より、化粧品・理美容業界、電機・電子機器業界の方々を中心として企画・開催している研究会。講師、研究会メンバー間での交流、情報交換、知見向上、ならびにネットワークの拡充を行う場を提供することを目的とし、2022年2月までに6回開催(年2回開催)、流通環境の変化、SCM、フィジカルインターネットなどをテーマとして取り上げ、講師からの講演、研究会メンバーでの意見交換を行っている。

→第1回インタビューはこちら

■ご紹介

株式会社アリミノ
1946年創業。理美容室専用のパーマ、ヘアカラー、シャンプー、スタイリングなど、ヘア&スキンケア製品を製造・販売する総合メーカー。1950年に発売した「アリミノ・コールドウェーブ乳液」は現在のパーマの原型となっている。製品の製造・販売以外に、美容師向けの講習会やコンテストの開催など、業界の発展にも貢献。
参照:株式会社アリミノ ホームページ

経営企画部 マネージャー 浅倉 達之 氏(写真左)
1992年株式会社アリミノ入社。営業職を経て、約10年前から経営企画部にて新ブランドの物流構築、システム構築などを担当。NBBA(全国理美容製造者協会)にも参加し、理美容業界の調査・分析、業界内でのコードやシステムの標準化促進などに取り組んでいる。

経営企画部 係長 矢口 陽子 氏(写真右)
前職(美容業界)を経て、2008年株式会社アリミノ入社。営業職を経て、2019年から経営企画部にて物流、SDGsなどを担当。

楽々ゼミナールには浅倉様、矢口様ともに第1回からご参加頂いています。

■インタビュー

―― アリミノ様は楽々ゼミナールに第1回からご参加頂いていますが、率直な感想を教えてください。
浅倉氏 個人的にすごく勉強になりますし、有難いですね。ゼミに参加したことで、物流が今後どう変わっていくのかイメージが湧きましたし、身の回りのことで物流に関することを気にして見るようになりましたね。ただ、ゼミの内容では大手企業の事例が多いため、参考に出来ることは何だろうかと考えます。一方で、物流が今後どう変わっていくのかはイメージが湧くので、自分達の業界に置き換えた場合、どうなるのだろうか、何を準備しなければいけないのかなどの参考にはなっています。
矢口氏 勉強のために読んでいた本の内容が、ちょうどセミの内容で取り上げられたことで、本の内容をより理解できたことが印象的でした。本の内容を実際の現場や業務につなげることは難しいと思うのですが、ゼミは実践につながるきっかけになっていると思います。

―― 楽々ゼミナールで取り上げたテーマで、実際に取り組まれたことはありますか?
浅倉氏 物量、物流費の計算などはやっていますね。計算することで物流費の変化が分かりますので、改善方法などを話し合っています。
矢口氏 以前までは工場や各部署それぞれで物流に関するデータを持っていましたが、共有するようにしています。社内での物流に対する注目度が変わってきたからですかね。
浅倉氏 物流現場ではこんなことをやっていてこんなことが大変、といったことを社内に少しずつ広げていって、少しずつ知恵を蓄積していっています。
矢口氏 蓄積した知恵を、今後開発する製品の容器やパッケージ面でも活かしていけるようにと考えています。
浅倉氏 また物流に携わる担当者の知識向上のため、去年ロジスティクスに関する講座を受講しました。

―― コロナ禍による社内への影響や、変化はありましたか?
矢口氏 先ほどお話しした物流の知識にも関連しますが、コロナ禍でウェブ会議が主流になりましたが、ウェブ会議ではお互いに関連用語を理解していないと、スムーズな内容の理解や議論が難しいと感じましたね。また、コロナの流行がきっかけで、納品書の郵送など、現状のシステムでは出社しないと出来ない業務があるということに気が付きました。
浅倉氏 矢口の話の通り、テレワークが出来ない部署があるということも分かり、デジタル化を進めようと社内で意見を出し合いました。その結果として、納品書、請求書の電子化に取り組んでいます。ディーラー様からも仕入れデータをデータ化して欲しいとの要望もあり、まずは請求書などから検討を始めました。今後、納品書や仕入れデータなど、100%電子化にしたいですね。

―― SDGsに関して、物流ではどのようなことに取り組めると考えていますか?
矢口氏 生産事業部が主体で、汚泥・排水への対応、LED・太陽光パネル導入の検討、ペーパーレス化を進めています。あとはDXにも関連するかもしれませんが、営業ツールのパンフレットをデータで送るなどの対応を行っています。物流に直接的に結びつくことはまだありませんが、まずは身近なところから、これまで取り組んできたことを強化するといったことを進めています。
浅倉氏 今は返品対応の見直し、プラスチック容器をやめる、容器のキャップを小さくするなど、いろいろと検討を始めている段階です。こういった取り組みをやっていかなければ、10年、20年先にはメーカーとして選ばれなくなるだろうと思いますので、どれだけ意識を持ち、取り組んでいけるかが重要だと考えています。

―― 理美容業界で取り組まれていることがあれば教えてください。
浅倉氏 NBBA(全国理美容製造者協会)(※1)では2年ほど前から年に1回ディーラー様と意見交換の場を設けていて、物流では良いコミュニケーションになっています。NBBAで導入しているシステム「楽々注文ねっと」(※2)への要望や、利用方法の質問の場にもなっていますね。
―― アリミノ様では「楽々注文ねっと」の導入は進んでおられるのですか?
浅倉氏 取引先のディーラー様に100%導入してもらえるように、現在取り進めを行っています。メーカー側から見てもシステムを利用してもらったほうが、ディーラー様の受発注業務が楽になると思いますので、マニュアルを渡すなどして拡げていこうとしています。弊社の受発注業務の効率化にもつながりますので。
矢口氏 ただしメーカーだけがシステムを導入しても意味がないですね。弊社のようなメーカーと、その先のディーラー様までがシステム化・デジタル化していく必要があると思います。
浅倉氏 NBBAでメーカー同士協力して拡げていこうとしています。

―― 今後の物流で課題と感じておられることはありますか?
浅倉氏 理美容業界でのメーカーとディーラー様間のシステム連携ですね。近年、直送ブランド(※3)が増えましたが、メーカー、ブランドによって発注方法が異なるため、ディーラー様での発注業務が煩雑化してしまっていることが課題と感じています。貴社(サカタウエアハウス)が理美容業界向けに提供しているWeb受発注システムのようなメーカー、ディーラー様、サロン様までが一本化された受発注の仕組みを拡げていくことで、今後はディーラー様にとってもスムーズな発注業務実現につながると考えています。

―― 浅倉様から、弊社にて理美容業界様へのWeb受発注システムの展開をご要望頂いていますので、今後尽力致します。
浅倉氏 ぜひお願いします。

(聞き手:サカタウエアハウス株式会社 営業開発部)

以上


  

  • (※1)1998年、理美容業務用化粧品及び関連製品製造業の総合的改善と発展を図り、理美容産業の健全な伸展と、健康で豊かな国民生活の維持向上に貢献することを目的に発足した、製造メーカーによる団体。
    NBBA(全国理美容製造者協会)HP:https://www.nba.gr.jp/index.html
  • (※2)理美容業界におけるメーカー・ディーラー様・サロン様間の受発注に関する作業量削減を目的として、NBBA(全国理美容製造者協会)とシステム会社が共同開発したASPサービス。
  • (※3)直接メーカーからサロン様へ商品を納品するブランドのこと。理美容業界ではサロン様からディーラー様へ商品を発注し、ディーラー様からサロン様へ商品を納品することが一般的であるが、直送ブランドではサロン様からディーラー様、ディーラー様からメーカーへ商品を発注し、メーカーからサロン様へ直接商品を納品する。



(C)2022 Tatsuyuki Asakura, Yoko Yaguchi & Sakata Warehouse, Inc.

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