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ロジスティクス ・レビュー

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インタビュー

第488号 ロジレビュー・インタビュー ~澤浦 豊氏(シュナイダーエレクトリック株式会社)~(2022年7月19日発行)

■はじめに

  サカタウエアハウスでは2019年より、化粧品・理美容業界、電機・電子機器業界の方々を中心とした研究会「楽々ゼミナール」を企画・開催しております。楽々ゼミナールは、講師、研究会メンバー間での交流、情報交換、知見向上、ならびにネットワークの拡充を行う場を提供することを目的としております。2022年2月までに6回開催(年2回開催)しており、流通環境の変化、SCM、フィジカルインターネットなどをテーマとして取り上げ、講師からの講演、研究会メンバーでの意見交換を行っております。
  今回ロジスティクスレビューの新企画として、研究会メンバーの方々へのインタビューを掲載することとなりました。楽々ゼミナールへの参加を通して感じられたことや、物流に関する質問にお答え頂きました。物流の最前線でご活躍される方々の貴重なお話しを掲載していきますので、どうぞご期待ください。
  第1回目はシュナイダーエレクトリック株式会社の澤浦様です。

■ご紹介

シュナイダーエレクトリック株式会社
グローバルサプライチェーン ジャパンロジスティクス
大阪DCマネジャー トランスポーテーションマネジャー
澤浦 豊 氏

日系物流会社(輸出航空貨物のオペレーション部門と営業職)、外資系物流会社(生産管理部門での業務改善などを担当)、米系メーカー(ロジスティクスを担当)等を経て、2015年にシュナイダーエレクトリック株式会社に入社。入社後、トランスポートマネージャーを担当、現在大阪DCマネージャーを兼任。

楽々ゼミナールには、シュナイダーエレクトリック株式会社様としては第1回目から、澤浦様は第3回目からご参加頂いています。

■インタビュー

―― 楽々ゼミナールで関心を持たれたテーマはありますか?
やはりフィジカルインターネットが一番面白く今後も重要になってくると感じています。日本のマーケットの縮小、労働人口の減少、ロジスティクスではドライバー不足などで人員確保が難しい状況になっています。その中でフィジカルインターネットが重要な、考えていかなければならない項目と考えています。
日々の業務ではなかなかカバーできない視点を楽々ゼミナールでは気付くことができます。新しい気付きになるというのはとてもありがたいです。また配送効率化での実証実験の話や、アマゾンのビジネスモデルの話などは、インターネットでも情報は入手出来ますが、楽々ゼミナールでは正しい情報として入手できるので、とても参考になります。

―― 楽々ゼミナールで取り上げたテーマで、今後取り組みたいことはありますか?また、今後楽々ゼミナールで取り上げたいテーマはありますか?
個人的には共同配送はチャレンジしてみたいです。会社としての方向性など様々な制約があるので、どこまで出来るのかとは考えています。すでに使用している車両は、積載率が満載になるようオペレーションを組んでいるので、他社との合積みの可能性は低いと考えています。
2024年問題について、個人的には調べていますが限界がありますので、ぜひ楽々ゼミナールで取り上げてもらいたいですね。

―― コロナ禍による物流への影響や、変化はありましたか?
国際輸送の混乱の影響で、輸送のコントロールには苦労しました。海外から製品がいつ日本の物流センターに到着するのか、事前に把握しコントロールすることが難しかったです。現在はコントロールできる状態にまで戻すことが出来ました。

―― DXで興味を持たれていること、導入してみたい事例はありますか?
デジタルテクノロジーを使って物流を良くしていくという視点で考えると、庫内作業の自動化に一番興味を持っています。自動化は2024年問題や労働力不足の処方箋になると考えていますが、ある程度の規模がないと投資に見合うメリットがないというジレンマがあると思うので難しいですね。扱っている製品のサイズや品数、投資金額などのバランスを考えなければならないので、なかなかすぐにやってみようとはいかないです。個人的には自動搬送ロボット、自動入出庫システムに興味があります。
弊社の物流業務を貴社(以降、サカタウエアハウス)に委託していますが、サカタウエアハウスとの業務改善の話し合いの中でリングスキャナ―を導入してはどうかと話しています。前職でもリングスキャナ―は使用していて、荷扱いしながらの使用には適していると考えています。今後サカタウエアハウスと検討を進めていきたいです。

―― SDGsに関して、物流ではどのようなことに取り組めると考えていますか?
弊社はCO2排出ゼロの拠点を増やしていくことにグローバルで取り組んでいます。スペインのSant Boi(サンボイ)にはCO2排出ゼロの物流センターがあります。ソーラーパネルを設置している他、弊社がお客様にも提供している、電力や水などのリソースをデジタルでモニタリングする独自ソフトウェア「EcoStruxure™リソースアドバイザー」を活用して、排出量のトラッキングやコントロールを行っています。
またサカタウエアハウスのようなサプライヤー様に参加いただいて進めているゼロカーボンプロジェクトという活動もあります。プロジェクトでは上位1000社のサプライヤー様と連携し、NET ZEROを目指して、様々な取り組みを進めています。

―― ゼロカーボンプロジェクトはサカタウエアハウスとしても重要な取り組みと認識しています。一方で具体的に何が出来るのか、大きな成果を上げられるのかと模索している段階です。
小さな活動の積み重ねが大切と考えています。継続的に行うことが重要で、電気の使用量を細かく調整していくなどを積み重ねていくことで達成できるのだと思います。

―― 今後の物流で課題と感じていることはありますか?
2024年問題・トラックドライバーの確保・市場構造の変化ですかね。市場構造の変化では、アマゾンや楽天をはじめとするEコマースが増えてきたことによって個人向け配達が増加し、ラストマイルデリバリーが重要になってきています。その結果、ラストマイルデリバリーの求人は増えるが、トラックドライバーの確保が難しいというアンマッチが起きているというのが一つ。また、2024年問題でトラックドライバーの労働時間に上限が設けられることによってトラックドライバーが不足し、運ぶモノがあるが物理的に運ぶことができない状況が発生してしまうのではないかと感じています。これらの問題にどのように対応していくのかなどが課題だと考えています。
―― 課題へどのように対応していくべきと考えていますか?
宅配便のネットワークに加えて、生協の宅配ネットワーク・新聞の配達店など、各業種で消費者宅への配送ネットワークを構築しています。これらのリソースをシェアリングしていくことによって、物流の課題を解決していくことができるのではないかと考えています。このリソースシェアリングは、垂直統合とは異なるのでとてもハードルが高いと思いますが、限られたリソースを有効活用していかないと、物流分野で起きている課題を解決できないのではないかと考えています。

―― 物流会社の立場では、フィジカルインターネットを進めることで、納品リードタイムが厳しくなってくるのではと懸念はあります。
そういった点は価値観を変えていく必要があると感じます。国などが率先して動いていかなければならないのかなと思います。コロナ禍で置き配への抵抗はなくなり、一般的になりました。物流がよりよくなるよう、価値観が変わっていくといいですね。

(聞き手:サカタウエアハウス株式会社 営業開発部)

以上




(C)2022 Yutaka Sawaura & Sakata Warehouse, Inc.

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