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第417号 GS1事業者コード登録更新制度の改定について ― 2021年5月から新制度へ ―(2019年8月8日発行)

執筆者  上田 俊秀
(一般財団法人 流通システム開発センター コード管理部 次長)

 執筆者略歴 ▼
  • 学歴
    • 1985年 東京都立大学経済学部卒業
    職歴
    • 1985年 日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。
      *主に、消費財製造業/卸売業を担当
    • 1999年 サン・マイクロシステムズ株式会社に入社。
      *主に、ISVソリューション・ビジネスを担当
    • 2003年 アビームコンサルティング株式会社に入社。
      *主に、流通業関連プロジェクトに参画
    • 2005年 一般財団法人 流通システム開発センターに入職。
      *コード管理部に所属、現在に至る

 

目次

  一般財団法人流通システム開発センターでは、2021年5月からGS1事業者コード(注1)の登録更新制度を改定いたします。本制度改定は、1978年のGS1事業者コード登録更新制度の開始以来となる全面的な見直しとなるものです。
  GS1事業者コードをはじめ、これを利用したGTIN(JANコード等の商品識別コード)(注2)やGLN(企業・事業所識別コード)(注3)などの各種GS1識別コード、およびバーコードや電子タグなどのGS1データキャリアなどをご利用の事業者、あるいはシステムベンターをはじめとする関連各事業者の皆様には、システム変更等が必要となる場合もございますので、新制度対応に向けた準備を進めていただきますよう宜しくお願い申し上げます。

1.制度改定の背景

  近年、社会のデジタル化、IT化が急速に進展し、ビジネスの形態を問わずインターネットを活用した取引が大きく拡がってきています。それに比例し、企業間や企業・消費者間でやりとりされる情報量も飛躍的に増加しており、従来よりも「正確」な情報の必要性とその価値が増大しています。

ネット取引と共に拡大するGTINの利用

  例えば消費財分野 においてもネットを通じた販売が大きく拡がり、膨大な種類の商品が国や地域の枠を越えて流通、販売されてきています。そのため、これら商品の一つひとつを正しくユニークに識別するGTINの利用が、益々不可欠になっています。
  商品の識別にとどまらず、GTINを付けた事業者や商品の属性を確認するための、正確で信頼性の高い情報も求められてきています。例えば商品にGTINをつけている事業者は誰か、GS1事業者コードやGTINはGS1からその事業者へ正規に貸与されたものか。あるいは、GTINは商品の内容や特性に応じてGS1標準に従って正しく付番されているか。こうした情報を、商品を取り扱うすべての事業者が、必要な時にいつでも確認、利用することができる態勢が求められています。

GS1としてルールやサービスを見直し

  これまで当センターをはじめ各国のGS1加盟組織では、事業者に対するGS1事業者コードの付番や管理などの役割に重きが置かれ、GS1事業者コードを基に作成するGTINなどの具体的な識別コードの付番や管理については、その多くが事業者にゆだねられてきました。しかし、GTINの利用がネットを通じて世界の隅々に拡がる今日、将来にわたるGS1標準のより正確で安定的な運用や、利用者に対する一層の利便性向上が、GS1に求められてきています。
  このため現在GS1では、GS1事業者コードやGTINなどがGS1標準ルールに則ってより効果的に利用されるよう、これらの情報を世界で一元的に管理し参照を可能にする国際的なデータベースサービスの提供に向けて準備を進めています。
  こうしたGS1の動きと連動し、当センターでは、以下のような取り組みを予定しています。
①国内においては、2019年10月より特に中小の事業者によるGTINの設定や管理をサポートするため、あらたなデータベース「GS1 Japan Data Bank」のサービスを、開始します。
(詳細は別紙「GS1 Japan Data Bankのサービス開始について」を参照)。
②これに加え、制度面においても2021年5月からGS1事業者コードやGTINなどのより正確で厳密な登録や利用に関わる各種GS1ルールの見直しに対応して、GS1事業者コードの登録更新制度を改定し、以下の通り実施します。
(注1)GS1(ジーエスワン)は、国際的な流通システム標準化機関です。GS1事業者コードは、GTINやGLNなどの国際標準の識別コード(GS1識別コード)を設定する際に必要となる番号です。GS1事業者コードにさまざまな番号を組み合わせることにより、各種のGS1識別コードを設定することができます。GS1事業者コードを必要とする国内の事業者は、当センターへ登録を申請することで、コードの貸与を受けることができます。詳細は以下のホームページを参照してください。 http://www.dsri.jp/jan/about_jan.html
(注2)GTIN(ジーティン)はGlobal Trade Item Numberの略で、JANコードの標準タイプ(GTIN-13)、短縮タイプ(GTIN-8)や集合包装用商品コード(GTIN-14)など、商品・サービスに対して設定するGS1標準の商品識別コードです。事業者(ブランドオーナー)が、当センターから貸与されたGS1事業者コードを用いて、商品ごとに設定します。
(注3)GLN(ジーエルエヌ)はGlobal Location Numberの略称で、企業などの事業者自身や当該事業者の事業所や部署などの場所(ロケーション)に対して設定するGS1標準の識別コードです。事業者が、当センターから貸与されたGS1事業者コードを用いて設定します。

2.2021年5月からのGS1事業者コード登録更新制度改定のポイント

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  各ポイントの詳細については、「3.GS1事業者コード登録更新制度改定の詳細」を参照してください。
  なお、今回の制度変更により、1年ごとの更新手続き確認など、事業者と当センターとの間の確認や連絡が増えることから、制度の円滑な運用のために、事業者ごとのマイページ(注6)の活用など、より皆様の利便性を目指した仕組みを提供してまいります。
(注4)GTIN-8ワンオフキーは、事業者に対して8桁のGTINを1商品アイテムごとに貸与するものです。
(注5)GLNワンオフキーは、事業者に対して13桁のGLNを1コードずつ貸与するものです。
(注6)マイページとは、流通システム開発センターがネット上で提供する各種サービスの窓口となる仕組みです。マイページにログインすれば、そのログイン状態を保持したまま他のサービスシステムにも自動的に遷移するなど一元的に各種サービスが利用できるようになります。

3.GS1事業者コード登録更新制度改定の詳細

(1)GS1事業者コードの登録更新手続きを3年ごとから1年ごとに変更

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  変化のスピードが益々速まっている事業活動に対応して、現在3年ごとに実施しているGS1事業者コード登録更新手続きを、2021年5月以降はGS1各国の情報管理水準に合わせて、1年ごとに変更いたします。
  GS1事業者コードに関わる情報がよりタイムリーに更新されることにより、GS1事業者コードやGTINなどの正確性や信頼性が高まり、GS1標準の変更にもスピーディに対応可能になるなど、事業活動の円滑化が期待されます。また、登録申請料および更新申請料は、従来の3年払いに加えて、新たに1年払いの選択が可能となり、事業活動に合わせてより柔軟でムダのない登録更新手続きとなります。
(改定のポイント)
①2021年5月以降、GS1事業者コードの登録更新手続きは、1年ごとに必要となります。
②登録申請料および更新申請料のお支払いは、1年払いと3年払いの選択制となります。
③本変更は、GS1事業者コード9桁、7桁、短縮タイプ(6桁)に加えて、2021年5月から新設されるGS1事業者コード10桁、GLNワンオフキー、およびGTIN-8ワンオフキーの登録更新手続きから適用されます。

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(2)GS1事業者コードとして貸与する桁数に10桁を追加

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  これまで当センターでは、事業者が必要とする商品アイテム数に応じて、9桁(または一部7桁)のGS1事業者コードを貸与してまいりましたが、2021年5月以降はこれに加えて、10桁のGS1事業者コードの貸与も開始いたします。
  これにより、近年のネット販売の普及などに伴って急増している商品アイテム数が少ない小規模事業者などにおいても、より適切な桁数によるGS1事業者コードの貸与が可能となり、コード資源の有効活用の促進が期待されます。
(改定のポイント)
①2021年5月以降、新規にGS1事業者コードの取得を希望する事業者で、向こう3年間の商品アイテムコードの利用予定が100アイテム以下の事業者には、10桁GS1事業者コードの貸与を開始します。
②登録後、取り扱いアイテムが増えた事業者は、必要なアイテム数に応じて複数のGS1事業者コードの追加申請が可能です。
③10桁のGS1事業者コードは、1000コード(9桁GS1事業者コード100コード、7桁事業者コード1コードに相当)までは登録更新料の追加はありません。
④10桁のGS1事業者コードは、GTINのみではなく、GLNなどの各種GS1識別コードとしても利用できます。
⑤既に9桁または7桁のGS1事業者コードを取得、使用している事業者は、現在使用しているコードをそのまま利用できます。コード体系の変更はありません。

GS1事業者コード別のGTIN設定例
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(3)GS1事業者コード・短縮タイプの貸与ルールの変更

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  現在GS1では、サイズの小さな商品に使用する短縮タイプのバーコード(GTIN-8)については、特にコード資源が限られていることから、1商品アイテムごとに8桁のGTIN-8ワンオフキーを1コードずつ貸与する方式へルールを変更しています。
  これまで当センターでは、一定条件のもと短縮タイプのバーコードの必要性が認められた事業者には、6桁のGS1事業者コードを貸与してまいりましたが、2021年5月以降は国際ルールに合わせて、1商品アイテムごとにGTIN-8ワンオフキーを貸与する方式へ変更いたします。
  なお、標準タイプのバーコード(GTIN-13)は、縮小(注7)することにより、短縮タイプのバーコード(GTIN-8)とほぼ同程度のサイズに小さくすることが可能です。
  今後は可能な限り、GTIN-8に代えて、GTIN-13のご利用をお願いいたします。

(改定のポイント)
①2021年5月以降、新規または追加で短縮タイプのバーコードの取得を希望する事業者には、1商品アイテムごとにGTIN-8ワンオフキーを貸与いたします。
②GTIN-8ワンオフキーを取得するには、GS1事業者コードの貸与を受けている必要があります。
③GTIN-8ワンオフキーは、当センターが事前に必要性などの審査を行い、認められた場合に限り取得が可能です。
④GTIN-8ワンオフキーを取得する事業者は、GS1 Japan Data Bankへ商品情報の登録が必要です。
⑤既存の6桁のGS1事業者コード・短縮タイプを取得、使用している事業者は、現在使用しているコードをそのまま利用できます。コード体系の変更はありません。
(注7)ホームページより「標準タイプ(13 桁)のバーコードを小さく印刷する方法」を参照下さい。http://www.dsri.jp/jan/application_other.html

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(4)GLNワンオフキー・13桁の貸与を開始

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  近年、流通BMSの普及などを背景として、企業識別コードをはじめとするGLN(注8)の利用が少しずつ拡がっています。しかし、現状では必要なGLNの数が限られる(1、2個程度)ケースも多く、GS1事業者コードを取得していない卸小売業などの事業者からは、より柔軟なコード貸与制度が求められてきました。
当センターでは、こうした少数のGLN利用ニーズに対応して、新たに13桁のGLN (GLNワンオフキー)の貸与を開始いたします。これにより、GLNを必要な数だけ、(GS1事業者コードよりも)低額の登録申請料で利用することが可能となり、事業者の負担軽減を通じてGLNの普及を後押ししていくことが期待されます。
(改定のポイント)
①GLNワンオフキーは、事業者に対して13桁のGLNを1コードずつ貸与するものです。
②GLNワンオフキーは、GLN以外のGS1識別コードとして使用することはできません。
③従来のGS1事業者コードの申請か、ワンオフキー単位の申請かは、事業者に申請時に選択して頂きますが、GLNの利用増が見込まれる場合は、GS1事業者コードの申請をお勧めします。
④GLNワンオフキーを取得する事業者は、GLNデータベース(注9)へGLN情報の登録が必要です。
⑤既に9桁または7桁のGS1事業者コードを取得、使用している事業者は、現在使用しているコードをGLNとしてもそのまま利用できます。コード体系の変更はありません。
(注8)流通BMSでは、送受信先の企業識別などにGLNを利用することが標準化されています。
(注9)GLNデータベースは、個別ロケーションコードであるGLNの情報に関して、登録・公開管理するためのデータベースです。

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4.今後の情報公開について

  2021年5月以降の登録申請料・更新申請料は、確定次第、当センターのホームページで公開するほか、GS1事業者コードの各登録事業者宛、順次、書面にて案内する予定です。
  その他、本件に関する情報は、今後順次、当センターのホームページにて公開していきます。
  業界団体をはじめ、システムベンダーなどの関連事業者には、別途、説明会などの様々な機会を通じて、広く案内していく予定です。

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以上



(C)2019 Hidetoshi Ueda & Sakata Warehouse, Inc.

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