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第454号 GS1 Japan Data Bankの最新動向~商品情報を国内・国際に公開する商品情報データベースサービス~(2021年2月16日発行)

執筆者 銅直 正
(GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター) データベース事業部 次長)

 執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 入所以来、流通情報システムに関する標準化と関連するデータベースの運用と普及などに携わる。
    • 現在、データベース(GEPIR、JICFS/IFDB、G JDB、GLNDB)の運用と普及活動に従事。

 

目次

はじめに

  インターネットの発展と普及に伴い、あらゆる商品がネットを通じて国や地域を越えて販売されており、商品を国際的に、重複なく識別・管理することができる GTIN(JANコード)の重要性が増しています。
  これにともない、 GS1(注1)には世界中から「GS1 識別コード(注2)に関する情報が必要」という、強い声が寄せられています。「この商品の GTIN は、どの事業者のものか。また、GS1 事業者コードを使う権利がある事業者が正しく使用しているのか」、「この GTIN の番号は、何の(どんな)商品に付けられているか」、などです。
  こうした声を受けて、GS1 では、GTIN を設定するための根幹である GS1 事業者コードを、世界的により厳格に管理・運用していくこと、および、GTINなど各種 GS1 識別コードの情報を一元的に管理し、参照できる機能を提供していくことを打ち出しています。
  当財団も GS1 の一員である GS1 Japan として、グローバルな動きと歩調を合わせて GTINに関する基本的な情報を管理し、国内・国際の必要な相手先に公開するためのインフラとして、2019年10月にGS1 Japan Data Bank(略称:GJDB)をリリースしました。
  今回は、GJDBの概要、これまでの取り組みなどをご紹介したいと思います。

1. GS1 Japan Data Bankの概要

① GTINの設定・管理が簡単に

  GJDBは、有効なGS1事業者コードを貸与された事業者(商品メーカー)であれば誰でも利用することができます。GJDBは、商品メーカーがGTINの付番と、GTINの番号に紐づく商品情報の管理を、より簡易に正確に行うことと、さらに、その商品情報を国内外に発信することを主な目的とした商品情報データベースサービスです。
  一番のメリットは、商品メーカーのJANコード(GTIN)の付番が簡単になることです。従来、事業者がGTINを付番してバーコードに印刷するまでには、9ケタ(または7ケタ)のGS1事業者のコードが貸与された後、事業者自身が3ケタ(または5ケタ)の商品アイテムコードを設定し、データの正しさを判別する「チェックデジット」を計算してから13ケタのコードを生成する必要があります。そこからバーコードをバーコード生成ソフトで作成してラベルプリンターで印刷するか外部業者に発注して印刷するステップを踏むのが一般的です。GJDBに基本的な商品情報を登録するだけで、この煩わしい作業が軽減され、商品に容易にかつ正しくGTINを付番し、バーコードを作成することが可能となっています。商品情報を登録した後も、GJDBにアクセスすれば、いつでも自社のGTINの付番状況や基本的な商品情報が確認でき、商品台帳としても役割を果たすこともできます。

② GS1 Japanに関連する国内外のデータベースにシームレスに連携

  商品メーカーが商品を広く販売するためには、商品情報を取引先などと正確に共有し、アピールしていく必要があります。しかし、商品情報を共有するためには、PR先の方法にあわせて、その都度、商品メーカーが商品情報を提供しなければならず手間となっています。
  GJDBでは、登録した商品情報を「GS1 Registry Platform(注3)」、当財団関連のデータベースの「JICFS/IFDB(注4)」、「多言語商品情報データベース(注5)」および、GS1やGS1傘下にあるGS1加盟組織が提供するGS1登録事業者情報検索サービス「GEPIR(注6)」にシームレスに連携・公開されますので、国内外に自社の商品情報をPRすることができます(図1参照)。

(図1)GJDBの概要図
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③利用者機能

  GJDBに登録された商品情報は、前述の通り関連するデータベースに連携され、それぞれのデータベースの利用者に提供されていますが、GJDBに登録された商品情報を直接利用、または参照できる機能を2020年6月にリリースしました(図2参照)。現在、お試しキャンペーン中で、有効なGS1事業者コードを貸与された事業者であれば、無料でご利用いただくことが可能です。お試しキャンペーンでは、1日に閲覧できる商品数や利用できる機能に制限はありますが、キャンペーン終了後は、料金体系にしたがって閲覧できる商品情報や利用できる機能を追加します。利用者になるための条件や料金の詳細については、決定次第、当財団のホームページなどでお知らせする予定です。

(図2)GJDB利用機能【商品情報紹介画面】
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2. GS1 Japan Data Bankの登録状況

  GJDBは、サービス開始から1年経過しましたが、GJDBに登録している事業者数およびアイテム数は、日々増加しており、既に多くの方々に商品情報をご登録いただいています。これまでの登録状況の推移を(図3)に示します。登録アイテム数は右肩上がりで伸びており、2020年10月末時点で、登録事業者数は約6,500社、登録アイテム数は約136,000件となっています。
  GJDBには幅広い商品情報の登録がありますが、登録状況をカテゴリ別に見ると、「服・靴・アクセサリーのような衣料・身の回り品」の登録数が最も多く、次に「日用雑貨・化粧品」、「食品」、「ヘルスケア商品」の登録が多くなっています。

(図3)GJDB登録件数推移
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3. GS1 Japan Data Bankの今後の展望

  GJDBの登録は現在、新規の中小の事業者の登録が中心ですが、業界商品データベースとの連携などを進めていき、大手の事業者にも登録を拡大していきたいと思っています。
  今後も、商品情報の登録や利用の利便性を高めるために、登録者や利用者からの要望に耳を傾け、いくつかのステップに分けて新しい機能を順次追加し、国内の商品情報の交換にまつわる課題解決に貢献することを目指していきます。
  有効なGS1事業者コードを貸与された事業者の方であれば、登録料は無料(バーコードシンボルの作成件数により一部有料)です。興味のある事業者は、流通システム開発センターのホームページで確認してください。

GS1 Japan Data Bank(GJDB)の概要はこちらです。
https://www.dsri.jp/gjdb/

以上


(注1)GS1
  流通情報システム分野における国際標準化機関。世界約110の国と地域で構成され、日本からは当財団がGS1 Japanとして加盟しています。

(注2)GS1識別コード
  GS1識別コードは、GS1が定めている国際標準の識別コードです。商品やサービスを識別するためのJANコードをはじめ、企業や事業所、通い容器や資産の識別など様々な用途に応じた識別コードが定められています。GS1識別コードは、 GS1事業者コードを元に設定します。

*画像をClickすると拡大画像が見られます。


(注3)GS1 Registry Platform
  GS1本部が運営するグローバルなデータベースサービスです。

(注4)JICFS/IFDB(JANコード統合商品データベース)
  JANコードとこれに付随する商品情報を一元的に管理するデータベースサービスです。

(注5)多言語商品情報データベース
  訪日外国人客向けに多言語での商品情報提供を行うことを目的としたデータベースサービスです。

(注6)GEPIR
  GS1事業者コードの貸与を受けている事業者の情報を、一元的に提供するデータベースサービスです。



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