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第373号 軽トラ運送が熱い(後編) (2017年10月5日発行)

執筆者  長谷川 雅行
(流通経済大学 客員講師
株式会社日通総合研究所 経済研究部 顧問)

 執筆者略歴 ▼
  • 経歴
    • 1948年 生まれ
    • 1972年 早稲田大学第一政治経済学部卒業 日本通運株式会社入社
    • 2006年 株式会社日通総合研究所 常務取締役就任
    • 2009年 同社顧問
    保有資格
    • 中小企業診断士
    • 物流管理士
    • 運行管理者
    • 第1種衛生管理者
    活動領域
    • 日本物流学会理事
    • (社)中小企業診断協会会員
    • 日本ロジスティクス研究会(旧物流技術管理士会)会員
    • 国土交通省「日本海側拠点港形成に関する検討委員会」委員ほか
    • (公社)日本ロジスティクスシステム協会「物流技術管理士資格認定講座」ほか講師
    著書(いずれも共著)
    • 『物流コスト削減の実務』(中央経済社)
    • 『グローバル化と日本経済』(勁草書房)
    • 『ロジスティクス用語辞典』(日経文庫)
    • 『物流戦略策定のシナリオ』(かんき出版)ほか

 

目次

前号(2017年9月19日発行 第372号)より

4.今、軽トラ運送が熱い

(1)軽トラ運送の実態

  筆者が軽トラ運送を利用したのは、冒頭に述べたように、某GMSのギフトセンター業務当時であった。
  中元ギフトは配送が遅れても、「お中元」から「暑中見舞い」に「のし」を貼り替えられるので良いが、歳暮ギフトは「年内配達」というタイムリミットがある。年明けに「お歳暮」が届いては、身も蓋もない。
  ご依頼主等からの「不着」クレームには、お歳暮シーズン中から代替品の発送などで対応し、急ぐ場合は「航空便」も使う。なかには、GMS社員や配送会社がお詫びに行くこともあり、筆者も大晦日まで駆けずり回った思い出がある。
  大晦日は「年内配達」の最終期限であり、ギフトセンターには「クレーム対策」として、数台の軽トラ運送をチャーターした。配達先が、GMS店舗から近ければ、最寄り店舗から社員が代替品を持って飛び出す。遠ければ、軽トラ運送がギフト商品を1個積んで走る出番となる。軽トラ運送のチャーター料は高いが、荷主の信用には代えられない。待機しているドライバー(個人事業主や協同組合の組合員)との雑談も懐かしい。
  メーカーの部品センター等では、軽トラ運送やバイク便を常駐させている例もあると聞いた。とくに、補修部品、医療機器・温度管理品やバイク便では運べない大きさは、軽トラ運送のニーズが高いとのことである。
  面倒なのは、個人引越しや、家具等の大物商品の配達(縦持ち、家具の移動、代金引換、古品の引き取り)等で、廃棄物収集運搬など、法規スレスレ(?)のことも多いようだった。
  軽トラ運送の大口需要は、メーカー・量販店等の急送対策以外に、少量貨物( 第354号・第355号「特別積合せ運送の光と影」で述べた、特積み貨物や宅配便の末端集配など)がある。大手の特別積合せ事業者・宅配事業者も自社塗装の軽トラックや軽バンを保有するほか、傭車として軽トラ運送業者に委託している例は多い。とくに大型品・重量品は、宅配便業者としては積載効率が下がるので、軽トラ運送で別に配送するようだ。
  年末繁忙期に軽トラックをリースして、「有償運送許可」を取得したうえで事務員をドライバー代わりに乗せるケースもある。

(2)軽トラ運送の事業規模と「大手事業者」

  国交省のデータでは、貨物軽自動車運送事業者は約22万社(トラック運送事業者は約6万社)とされている。前述のように、事業用軽自動車の登録台数245千台(これに事業用と区分されていない特種用途車が加わる)から推計すれば、殆どが1人1車の個人事業主であることが窺われる。
  最近は、タクシー業界も車両数の増加や利用者の減少により、タクシードライバーの実入りが減り、高齢者の「年金ドライバー」でないと会社経営が難しいようである(個人タクシーも運転経験が条件とされているので、高齢者が多い)。
  同様に、1台から簡単に始められる軽トラ運送も、企業を退職した後の年金ドライバーが増えているそうだ(そこで3項では、行政書士紛いの開業の手引きを示した)。
  それら、個人事業主を組織した協同組合の一つが、全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会(通称、「赤帽」)である。ドライバーは個人事業主で、協同組合を通じて所定の軽トラック(サンバー)を購入する。個人事業主が組合員となって、各地域に協同組合があり、全体を協同組合連合会が取りまとめているので、赤帽は一種の統括組織である。企業がトラックを保有してドライバーを雇う、軽トラ運送会社とは異なる経営形態である。
  軽トラ運送の協同組合組織は赤帽以外にも、青帽や軽急便などがある。一方会社組織としては、軽バンドットコムやサンインテルネット等がある。
  ここでは、組合員数(すなわち軽トラック台数)も多い赤帽について、簡単に紹介する。
  赤帽は故・松石俊夫氏が1975年に創設した。個人事業主を組織化するというビジネスモデルは年々拡大し、現在では同組合のHPによれば、全国で組合員1万名、軽トラック1万2000台(245千台の約5%)である。
  松石氏が創業したときから赤帽はサンバーを使用しており、「赤帽サンバー」と言われ、全車バンボディであるが、ワゴンタイプは見ない。サンバーは、赤帽やJA(農協)を通じて多く販売されてきた(JAを通じて農家が購入したのが、JAサンバーで「JAマーク」がついている)。現在もダイハツのOEMで「サンバー」として赤帽に納入されている。

写真5 赤帽サンバー
*画像をClickすると拡大画像が見られます。


  サンバーの性能や耐久性は、年間10万km走行する個人事業主もいるという赤帽に鍛えられたとも言える。例えば、筆者も若かりし頃に運転したことがあるスバル360は、雨が降るとディストリビューターが濡れて、エンストが多かった。そのスバル360を商用化したサンバーも当初は雨に弱かったが、赤帽の要望もあってエンジン回りの防水が強化された。
  荷主からの長距離輸送ニーズに応えるため、予備車両を持っている個人事業主もいる。なかには、業容が拡大して複数台保有している例もある(筆者の自宅近くの赤帽組合員の駐車場には、写真5のように、同一社名の軽トラックが冷凍車を含めて数台止まっている)。
  ここからは、筆者の聴き取りによるものなので、全ての個人事業主をカバーしているとは言えない。また、赤帽組合員に限ったことではない。
  1台しかない個人事業主としては、耐久性は「生命線」とも言える。タクシーの場合は、ドライバーの取り分は売り上げ(水揚げ)の半分と言われるが、軽トラ運送の場合は、水揚げイコール取り分で、そこから軽トラの減価償却・燃料費・税金等の諸経費を支払った残りが「所得」となる。固定客を掴んで前述のGMSギフトセンターやメーカーのように、終日チャーターされたり、長距離専門の場合は拘束時間の制限もないので、年に1千万円の水揚げもあると、個人事業者から聞いたことがある。
  経費が3割としても所得700万円で、月収60万円近い。トラックドライバーの低賃金とは異なる世界である。コンビニチェーンで夫婦して24時間働くより、軽トラック1台の方が、投資効果は大きいのかもしれない。
  一方で、「宅配便の配達下請では、1個50~100円前後にしかならず、100個やっても5千~1万円で、ネット通販の宅配などやっていられない」とも聞く。

(3)軽トラ運送への熱視線

  それでは、今、軽トラ運送に注がれている熱視線を、幾つか挙げてみることにする。
①労働時間・人手不足・高齢者対策
    一つは、トラック運送のコンプライアンスや長時間労働削減の対策として、労働時間に制約のない軽トラ運送が、荷主・元請運送事業者から注目されていることである。元々が個人事業主なので、労務管理の必要がない。このことを「悪用」して、実質的には「雇用」しているのに、形だけ「個人事業主」として、社会保険の会社負担分を不法に免れようという例も、後述のようにある。
    また、軽自動車(限定)の運転免許で良いことから、ドライバーを幅広く確保できることから、人材不足対策にもなる。積載量が少なくて生産性が低いではないかという「生産性革命論者」からの批判もあろうかと思うが、自家用トラック(ライトバン・ワゴン車を含む)や、宅配・商品配送の1~2トン車の積載率と比べれば、それほど遜色があるとは言い切れない。
    さらに、最近はスマホを活用したマッチングシステム(求荷求車システム。むしろ軽トラ「ウーバー」とでも言うべきか。米国では、トレーラ等も元々がオーナートラッカーなので、既に20万台のトラックウーバーが普及していると聞く)の導入が進んでおり、実車率・積載率等の向上が期待できる。
    高齢者対策で言えば、年金を受給しながら個人事業主として軽トラ運送をすれば、「在職老齢年金」の減額措置もない。実際に、軽トラ運送に高齢者ドライバーが増えている。2~4トンの積卸しはテールゲートリフター装備でなければ、高齢者にはキツイが、荷台の低い軽トラックであれば、高齢者でも手荷役できる(女性でも同様である)。
②小回りの効く3PL
    このことは、前述のように、大手3PL企業であるSBS・佐川急便・丸和運輸機関等が、軽トラ運送からスタートし、今でも軽トラックを使用しながら3PLを展開していることからも明らかである。
    軽トラックという、小回りが利き、税制等も優遇(最近は軽自動車税が引き上げられて、以前よりメリットは減ったが)されている、車両特性や制度等が大いに活用されていると思われる。軽自動車に類似したサイズの車種はアジア・欧州等にもあるが、「軽自動車」という規格は日本独特のものと言って良い。その規格がラストワンマイルを担っているのではなかろうか。
    個人事業主を組織化して、①でも述べたメリットを享受していくということは、FC(フランチャイズシステム)によるCVSチェーンと同じとも考えられる(CVSチェーンも各店舗は独立の個人商店なので、以前は省エネルギー法の網が掛かっていなかったが、チェーン全体として網が掛かっている)。
    個人事業主を組織化して、前述のスマホアプリで「配車」すれば、軽トラ運送が得意とするローカルエリアに密着した3PL事業は、今後も増えていくことが期待できる。
③ネット通販の宅配対策
    ラストワンマイルということでは、アマゾンの宅配がどうなるかが話題となっている。秋口に配送料と総量規制が決着するまでは生々しい話題なので、ここでは、単純に量的な問題に限って述べることにする。 *1
    6月24日付の週刊東洋経済では、アマゾンと取引のある物流会社の幹部は「軽トラックであれば、1個200円後半でも1日80~90個運べばペイする」と述べている(後述するように宅配便デポからの下請配送は1個50~100円前後なので、1個200円後半は高いのではなかろうか)。
    アマゾンは年間8億個と想定されるので、1台1日当たり80~90個配達すれば、1万台の軽トラックがあればよい。
    7月24日付日経ビジネス誌では「アマゾンの物流を担う新興勢力の素顔」として、前述のSBS・丸和運輸機関はじめ、当日配送やプライムナウを担う主なデリバリープロバイダが取り上げられている。
    国交省データの軽トラ運送22万社から見れば、わずか5%の1万台(赤帽の12000台に近い)を組織化できれば、今後、生鮮等が増えるアマゾンの宅配も既存の軽トラ運送で可能と言う計算になる。
    要は、軽トラ運送を組織化できるかどうかと、セール等の急激な量的増加への対応が課題であろうと思われる。
    組織化については、元々「一匹狼」的な個人事業主が対象なので、難しい面も考えられる(個人タクシーと似ている?)。社内間の書類や、検査品・補修パーツの配送など、「安定的な荷主を確保していれば、ネット通販の宅配で接客に気を遣うのはイヤだ」と明言する軽トラ運送ドライバーも居る。
註)*1. 2017年7月本稿執筆時の状況であり、掲載時には変動または確定している場合があります。
④新しいビジネスの展開
    ネット通販やネットスーパーの生鮮宅配、あるいはLINE等の料理宅配は、③で述べた軽トラ運送(軽ワゴンを含む)が得意とするローカルエリア配送である。軽トラ運送としても当然、温度管理が可能な保冷・冷凍車などの投資が必要となる。
    もう一つは、軽トラ運送による買い物弱者等への新ビジネスである。シンガポールの買い物代行会社が日本に進出すると報道されたが、2項で述べたように、「急便業者」は元々買い物代行を手掛けていた。CVSが○○県で「移動販売」を始めたと、いかにも買い物弱者の救世主のように大々的に報道されるが、今での「千葉のカツギ屋のオバサン」代わりに軽トラックによる農家の引き売りが、筆者の自宅周辺でも見受けられる。ただ、農家が自家用のJAサンバーなどで来るので、マスメディアのネタにならないだけである。それ以外にも、写真3のように、鮮魚等を軽トラックで売りに来る専門業者もいる。
    前述したように筆者も、農産物・水産物流通の現場に入り込んで、少しは聞きかじっているが、既存の「産地→卸売市場→消費地」(実際には、農協・産地仲買人・卸売業者・商社・仲卸業者・小売業者・スーパー等のプレーヤーが多数・複雑に絡み合っている)という流通システムに風穴を開けるべく、農家・漁師から消費地、あるいは飲食店に直送する流通システム改革を進めている事例も多い。その場合の直送のラストワンマイルは、軽トラ運送の活躍の場である。
    前述した貨客混載も新規ビジネスとして考えられる。日本復帰前の沖縄では「貨物タクシー」が貨客混載をしていたと聞く(今でも、一部で残っている?)。往路は病院へ行く高齢者を乗せて、復路は宅配便を運ぶなどということは、限界集落などでは住民相互の助け合いで実際に行われているが、ドライバーが高齢化して運転できなくなると、どうしようもない。そこで、かつての「急便業者」や「貨物タクシー」、今の地域の足である「軽トラ運送」に、新たな活躍の場、ビジネスチャンスが生まれるのではなかろうか。
    筆者は、社会保障関係の仕事もしているが、今後の社会保障制度の変化によっては、施設介護から在宅介護が増えることも想定される。そうなると、高齢者への在宅配食サービスも、前述の料理宅配に加えて、軽トラ運送の市場拡大になりそうである。
    前述のGMSの例では、「ある店舗をモデルケースとして、宅配便で弁当の配達をしたい」という物流部の要請で、筆者も取り組んだ。中身は、消防署員の夜食である。ギフト商品や宅配便を16時頃集荷する際に、デリカ部門から出荷される夜食(段ボールに蓄冷材入り)を積合せて、営業所に戻る途中の消防署に届けるという、比較的簡単な仕事であった。「配食サービス」の元祖ではなかろうか。それが契機になったかどうか、その後、各店舗から風呂敷に包んだ「おせち料理」の配送サービスも手掛けた。
    少子高齢化は一方で「ドライバー不足」というマイナス面もあるが、高齢者を対象とした新規輸送市場というプラス面も考えられる。

5.軽トラ運送の影

  4項で述べたのは、軽トラ運送に「光」が当たる面である。特別積合せ運送でも「光」と「影」を述べた筆者としては、うまい話ばかりではなく、今回も「影」の部分に触れたいと思う。「軽トラ運送が熱い」という点では「過熱」の部分かも知れない。
  ここでは、誌面の都合もあるので、簡単に3点について述べる。

(1)多重下請構造の例

図表4 多重下請構造の例
*画像をClickすると拡大画像が見られます。


  図表4をご覧いただきたい。これは筆者が聴き取りで作成したものである。
  大元の運送事業者はインテグレータで、医療機器の補修パーツの保管と国内配送を、3PL業者(国内元請物流会社)のS社に委託している。こと人の生命に関わる機器なので、24時間365日のオペレーションであるが、補修パーツなので毎日出荷があるわけではない。
  S社は物流センターの運営を効率化するために、一次下請のK社、二次下請のW社を通じて、軽トラ運送の個人事業主であるA社に、センターの夜間常駐を委託した。
  A社は、20時から翌朝8時まで、S社のセンターに常駐し、出荷指示があれば当該パーツをピッキングして、大手運送業者に渡すのが仕事である。何もなければ20時から8時まで仮眠していても構わないが、不在は許されずトイレ時でも連絡用に携帯を持たされている。元請への料金請求に必要なため、A社はS社のタイムレコーダを打刻している。当然、中間のK社・W社はマージンを抜いている。
  A社から「タイムレコーダを打刻しているので、実質的にはS社の管理下にあり、雇用されている。労働保険・社会保険の被保険者にして欲しい」との申立てが労基署・年金事務所等にあり、裁判で係争中の案件である。
  これは、A社が申立てたから問題になったが、このような事例は、軽トラ運送に限らず、多く存在する。とくに軽トラ運送の場合は、個人事業主ということもあり、労働保険・社会保険上は問題であることが多い。
  これは係争中の案件なので、こういう例もあるということに止めたい。

(2)高齢化と長時間労働

  先年、埼玉県の軽トラ運送業者が中央道で横転事故を起こして死亡した。原因は、居眠り運転と思われるが、軽トラックには運行記録計は装着されていないし、運転日報も残っていないので、過労運転かどうか分からない。70歳代のドライバーは、埼玉県から関西まで中央道を走行する予定であった。
  労働時間対策として、軽トラ運送を使う荷主・元請は多い。
  今後、前述のような年金ドライバー=高齢者ドライバーが増加すると、ますます、上記のような事例が増えやしないか心配である。
  「個人事業主で雇用者ではないから、改善基準告示の適用除外」が、いつまで続けられるであろうか。

(3)社会保険の問題

  (1)とも関連する。
  軽トラ運送は5台以上であっても運行管理者は必要ないが、5人以上雇用すると社会保険(健康保険・厚生年金保険等)の適用事業所となる。ということは、社会保険料の会社負担分が生じる。そこで、5人以上にならない(社保適用事業所とならない)ようにアドバイスする行政書士等もいると聞く。
  一般貨物自動車運送事業(霊柩や産廃を除く)では、最低車両保有台数は5台(両)であり、台数に応じたドライバーを確保しなければならないので、ドライバーが5人未満ということはない。そこで、一部のドライバーは社保加入、残りは国年・国保加入という「社保未加入」も裏ワザとして横行していると聞く。ドライバーに、「社保加入なら手取り25万円、国年・国保加入なら手取り30万円、どっちにする?」と聞けば、それでなくても低賃金なので、後者を希望することは容易に想像できる。
  国交省(運輸支局)は車庫や台数は基準を充足しているかチェックするが、社会保険は「所管が違う(年金事務所)から」とチェックしていない。適正化機関が巡回して運輸支局に「社保未加入」と報告しても、相互通報制度で年金事務所に報告されているかどうか。
  ましてや、運輸支局の監査も適正化機関の巡回指導もない軽トラ運送では、社保未加入は多いのではないだろうか。
  何となく、国交省も「トラックドライバーの長時間労働&低賃金はケシカラン」と言いながら、「所管外」を理由に、ドライバーの社会保障(立派な財産権の一つ)に配慮していないように感じる。将来、受け取れる年金が少なくて(国民年金は満額でも、厚生年金の半分以下のケースが多い)泣きを見るのは、ドライバーである(閑話休題)。
  同様のことが軽トラ運送でも起こっているのではなかろうか。個人事業主であれば、「全て自己責任」なので、まだ許されるかもしれないが、実質的に雇用されているドライバーに、無理矢理「個人事業主」を押し付けていた(?)と思われる(1)のような例が、他の荷主・元請でも行われていないだろうか。
  このような光と影を織り交ぜながら、軽トラ運送が熱い!
【参考資料】

  • 国土交通省自動車局・大阪運輸支局ホームページ
  • 軽自動車検査協会ホームページ
  • 軽自動車メーカー各社ホームページ
  • 全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会ホームページ
  • 全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会本部「赤帽創立十年史」(1988年)
  • 沢村慎太郎「軽トラの本」三栄書房(2017年)
  • 週刊東洋経済「特集 アマゾン膨張」(2017.6.24)
  • 日経ビジネス「アマゾンの物流を担う新興勢力の素顔」(2017.7.24)
  • 日通総合研究所編「ロジスティクス用語辞典」(2007年)
  • その他、文中に記載した各社・団体のホームページ等。

以上



(C)2017 Masayuki Hasegawa & Sakata Warehouse, Inc.

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