ロジスティクス・レビュー

第4号アダプティブITロジスティクス(2002年04月19日発行)

執筆者 鈴木 伸彦 
株式会社近鉄エクスプレス 開発部SCMセンター 所長
    執筆者略歴 ▼

  • 経歴
    • 1956年 長崎県佐世保市生まれ
    • 1982年 獨協大学外国語学部英語学科卒業
    • 1982年 株式会社近鉄航空貨物(現 近鉄エクスプレス)入社
    • 1987年 米国近鉄エクスプレス ニューヨーク支店 セールスマネジャー
    • 1991年 同 ボストン支店 スタッフマネジャ
    • 1996年 株式会社近鉄エクスプレス 銀座MNC支店 第一課長
    • 1998年 同 輸入営業部 課長
    • 2001年 同 開発部 SCMセンター 所長
      現在に至る
    講演
    • 日本ロジスティクスシステム協会主催セミナー
    • サカタウエアハウス主催セミナー

 株式会社近鉄エクスプレス(以下KWE)は、昨年10月1日付けでロジスティクス・ソリューションの専門部門として開発部のもとにSCM(サプライチェーン・マネージメント)センターを発足しました。これは既存の、輸出、輸入、海上、国内、の各営業部の枠を超えて、ロジスティクスのニーズに横断的に対応していく組織であり、国際輸送・通関・倉庫・国内配送の全てを視野に入れた、お客様への真のトータル・ロジスティクス・ソリューションを提供していく専門集団です。


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 その基本コンセプトはお客様にあわせてロジスティクスに関わるITを完全にカスタマイズして迅速かつ安価に提供し、お客様の商流を見据えたアウトソーシングをも行う「アダプティブITロジスティクス」の実現にあります。今回はこの「アダプティブITロジスティクス」についてご紹介させて頂きたいと思います。

アダプティブITロジスティクス

 KWEが提唱させて頂くアダプティブITロジスティクスには2つの意味があります。

 一つは、ロジスティクスを支えるITに対してのKWE独自の活用方法における意味合いです。KWEがグローバルに展開しているIT構想として、KGIT(KWE・グローバル・インフォメーション・テクノロジー)構想があり、お客様へ輸送情報(UFS-ユニファイド・フレイト・システム)と倉庫管理情報(UWS-ユニファイド・ウエアハウス・システム)をグローバル・ベースでご提供するCSS(カスタマー・サービス・システム)が稼動しています。

このシステムをそのままお使い頂くだけではなく、さらにこれらをベースにして、お客様にとってより付加価値のあるシステムへとカスタマイズしてご提供すること、しかもそのカスタマイズのやり方は既に構築してきた機能を組み合わせカスタマイズするために、一からシステムを構築することに比べて、開発の期間や費用面で大幅なメリットがあります。システムのベースを定めそれをお客様ごとに仕様を変更させていくやり方は、お客様の商流や物流が変わればそれに合わせて適応していき、時代の変化に対応していくことが可能です。これがKWEの唱える”アダプティブITロジスティクス”の第1の意味合いです。

 ニつめとして、お客様のロジスティクスに関わるカスタマーサービス部門のアウトソーシングでの意味合いがあります。

 お客様のサプライチェーン・マネージメントの全体を考えると、物流を最適化していくだけでは部分最適化の域を出ないものとなります。本当の意味でのロジスティクスのベスト・ソリューションとは、物流の最適化に加え市場と供給の同調を目的にお客様の商流を視野に入れたところにあると考えます。

そのコンセプトのもとに、物流のアウトソーシングだけではなく商流を中心としたアウトソーシングを行う会社として、KWEは2000年6月に株式会社近鉄e-サポート(以下KeS)を発足させました。KeSはお客様のユーザーに対しての窓口ともなり、ロジスティクスに関わる情報の提供はもとより、実際の物流を絡めた受発注の管理やコールセンター機能を含めたユーザーに対するカスタマーサービスを行うユニークな存在の会社です。

例えばロジスティクスのアウトソーシングを進めていくなかで、お客様の商流の部分まで入り込み、ロジスティクスとプロキュアメントの接点であるカスタマーサービスのパートを取り込むことによって、さらに広い範囲にわたるロジスティクス全体を最適化することが可能になり、より大きな費用削減とリードタイムの短縮等の効果を上げていくことができます。

 これらのシステムの組み合わせることにより、ロジスティクスの面ではどの様なサービスをご提供できるかを、次の図を使ってもう少し具体的にご説明致しましょう。

 これは、それぞれのロジスティクスの分野のシステムの一つ一つを、言わばコンポーネンツとしてその組み合わせでお客様が必要としているサービスに合ったロジスティクスITをご提供するものです。

 左からフォワーディングや通関に関するコンポーネンツとして、輸送情報が見えるカーゴトラッキングや通関に関しての管理機能等をご提供できます。また右側の赤い部分で示されているような、倉庫関連のシステムコンポーネンツがあり、ここでは倉庫管理システムをカスタマイズした、クロスドック機能やアロケーション管理機能(最後に事例をご紹介させて頂きます)といったサービスをご提供できます。

お客様のロジスティクスのニーズで言うと、VMI(ヴェンダー・マネージド・インベントリー)やRMA(リバース・ロジスティクス)に対応したサービスもここでご提供することができます。さらに下側の緑の部分で表されている受発注管理関連のシステムコンポーネンツがあります。ここでは、受注や発注といったお客様の商流やプロキュアメントといった部分に関わるサービス内容をご提供できるようになっており、通関関連とまたがる部分で、輸出者や輸入者の代行を行うという(株)近鉄e-サポートの機能を使ったサービスも含まれています。

 これらはほんの一例ですが、この様なサービス内容を既製のメニューとしてご用意しており、お客様のニーズに合わせてこれら(ITコンポーネンツ)を組み合わせてご提供すること(基本的にはウエブ上でお客様に全てご覧頂けるシステムですので、ウエブ・コラボレーションと呼んでいます。)、これをお客様に完全にカスタマイズしてご提供すること、しかもそれが市場や時代のニーズに合わせて順応して適応していく、インプルーブしていくロジスティクス・システムであることが、KWEのアダプティブITロジスティクスのコンセプトです。

 このアダプティブITロジスティクスを実践することにより、ロジスティクスに関して大きなコストセーブや物流の最適化を実現しております。

アロケーション管理の事例紹介

 ここにHP社様にご提供しておりますアロケーション・マネージメント機能の事例をご紹介致します。HP社様は売り先である量販店に対して、倉庫内でのインベントリーの製品についてそれぞれ販売台数の割り当てを行っています。これはHP社様の販売戦略に関わるものなので、弊社には任されておりませんが、そこを司る倉庫管理機能として、弊社の開発したIT機能をご利用頂いております。

 この機能とは、それぞれの販売割当の製品が倉庫内に在庫としてなければ、まだ輸送途中の貨物からも引き当てを行うことができるようになっているというものです。下の画面は実際にどれだけの製品が倉庫内にあり、さらにどれだけの製品が輸送途中にあるか(これはASN-アドバンス・シッピング・ノーティスの情報を取り込んでいるわけですが)を示しています。そして一番右の画面でそれをどれだけ引き当てていくか、つまりそれぞれの量販店に割り当てていくかを指示することができるようになっています。

 この様な機能は、他のお客様へも倉庫内でクロスドックをする貨物等に於いて、貨物が倉庫に入る前の輸送途中のものから引き当てていくという、クロスドック機能としてご利用頂いております。このことにより、よりスムーズで迅速な倉庫内でのクロスドック作業が可能になります。

以上



(C)2002 Nobuhiko Suzuki & Sakata Warehouse, Inc.


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