ロジスティクス・レビュー

第304号 いろいろ使えるGS1識別コード(2014年11月18日発行)

執筆者  清水 裕子
財団法人 流通システム開発センター 流通コード調査研究課 上級研究員
    執筆者略歴 ▼

  • 略歴
    • 2004年より流通システム開発センター勤務。
      EPCglobal設立初期より、国内におけるEPC/RFIDシステムの普及推進に向けた活動に従事している。

目次

  GS1識別コードは、GS1が定めた識別コードの標準で、全部で10種類ある。わが国で最もよく利用されているのはJANコード(GTIN)であるが、近年、企業や事業所の識別コードであるGLNをはじめ、輸送用梱包単位のSSCC、パレットや折りたたみコンテナのような企業間で繰り返し使用される物流用の通い容器のGRAIなど、GTIN以外のGS1識別コードの利用も広がっている。ここでは、各種のGS1識別コードの概要と利用の動きについて紹介する。

GS1事業者コードが全ての識別コードの基本

  JANコードは、商品メーカーの識別に使われる企業コードと商品アイテムコード、チェックデジットで構成されるが、この企業コード部分を「GS1事業者コード」と呼ぶ。わが国ではGS1事業者コードが主に商品メーカーの識別に使用されてきたため、以前は「JAN企業コード」と呼んでいたが、GLNなど他の識別コードの利用拡大を受けて、2012年4月に名称変更を行った。
  GS1事業者コードは、JANコード(GTIN)を含む全てのGS1識別コードの構成要素である。組み合わせるコードが商品アイテムコードであればGTINに、ロケーションコードであればGLNに、資産タイプコードであればGRAIに、というように、1つのGS1事業者コードからサプライチェーンに係わる商品やサービス、場所、資産など、さまざまな対象を識別するためのコードを作成することができる。GS1事業者コードは、各国で割り当てる番号帯域が決まっており、国内では当センターが一元管理して貸与を行っているため、作成された各識別コードは、世界中で重複することのないIDとして相互に交換することができる。

図表-1 GS1事業者コードは各種のGS1識別コードに利用できる

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GS1識別コードのいろいろ

  GS1識別コードは、現在10種類が規定されているが、我が国で利用されているもの、あるいは今後利用が期待されるものとしては、図表-2に掲げる8種類があげられる。なお、¬本表の上の方にあるもの、すなわちシャドウ掛けの濃いものほど我が国での利用が進んでいることを表している。また、GSRN、GDTI、およびGCNはシャドウ掛けがされていないが、特に今後の利用が期待されるものとして挙げている。
  以下、主要なGS1事業者コードの概要についてそれぞれ解説する。

図表-2 GS1事業所コードで使用可能な主要なGS1識別コード

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(1)GTIN(ジーティン)(商品識別コード)
  Global Trade Item Numberの略で、商品識別コードであるJANコード(国際的にはEANコード。標準13桁と短縮8桁がある)、北米で使用されているUPC(12桁)、集合包装用商品コード(14桁)を総称した呼び名である。これら桁数が異なる商品識別コードを区別する際は、それぞれの桁数を付けて、GTIN-13、GTIN-8、GTIN-12、GTIN-14と呼ぶ。

①JANコード(GTIN-13)                      ② 集合包装用商品コード(GTIN-14)

図表-3 GTINのコード体系

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(2)GLN(ジーエルエヌ)(企業・事業所識別コード)
  Global Location Numberの略であり、企業や事業所などのロケーション(組織)を唯一に識別する企業・事業所識別コードである。現在、我が国では、流通BMSなどのEDIにおける送受信先の識別コードとしての利用が進んでいる。今後はさらに、EDIメッセージの中の納入先や請求先などの取引先コードのほか、例えば食の安全安心を担保するためのトレーサビリティ実現において、産地や生産者あるいは流通経路などを識別、特定するためのコードとしての利用も期待されている。

図表-4 GLNのコード体系

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※企業・組織そのものを表す基本GLN
  GLNのうち、特にGS1事業者コードを貸与された企業などの組織体自身を表すコードを“基本GLN”と呼ぶ。具体的には、当センターが貸与した7桁または9桁のGS1事業者コード(複数ある場合は最初に貸与されたもの)に、ロケーションコードをオールゼロに設定して作成する。すなわち、GS1事業者コードが7桁の場合はロケーションコードとしてゼロ5桁、同様に9桁の場合はゼロ3桁をセットする。
  基本GLNは、個々の事業所を識別するのではなく、組織体そのものを識別、または代表するコードである。例えば前述の流通BMSにおいて、送受信先として企業全体を表す一つのロケーションコードがあればよい場合などは、送受信先に基本GLNを設定することができる。

9桁のGS1事業者コードの基本GLNはゼロ3桁のロケーションコードで作成

図表-5 組織そのものを表す基本GLN

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②SSCC(エスエスシーシー)(輸送用梱包識別番号)
  Serial Shipping Container Codeの略であり、パレットやコンテナなどの物流梱包単位を一意に識別するコードである。1990年代より欧米を中心に多く利用されており、通常、GS1-128シンボルで表示されたラベルのほか、最近では電子タグ(ICタグ)も利用される。これまで我が国では導入されていなかったが、近年、我が国に進出した海外流通業が取引先との間で使用するなど、我が国でも一部、利用が始まってきた。

図表-6 SSCCのコード体系

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③GRAI(ジーアールエーアイ)(リターナブル資産識別番号)
  Global Returnable Asset Identifierの略であり、パレットや折りコン、カゴ台車などの繰り返し利用する物流容器や物流資産を識別するコードである。所有者が異なる複数のパレットやカゴ台車などが集まる物流センターや小売店舗などで、個々の物流資産を識別、管理し、元の所有者に正しく返却するためには、絶対に重複しないGRAIが最適である。 バーコードGS1-128に加えて電子タグの利用も注目されてきており、所在地別在庫の把握による資産活用の効率化や回収率の向上などに役立っている。

図表-7 GRAIのコード体系

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④GIAI(ジーアイエーアイ)(資産管理識別番号)
  Global Individual Asset Identifierの略であり、もともと航空機部品のライフサイクル管理などに使われてきたものである。我が国でも、例えば病院で、医療器材や手術用具などに二次元シンボルでGIAIをマーキングしているケースが出てきている。マーキングされたGIAIを様々なポイントで読み取る(スキャン)ことにより、手術用具のセット組みの効率化、正確化をはじめ、使用回数、滅菌回数管理などで大きな効果をあげている。

図表-8 GIAIのコード体系

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識別対象により使えるデータキャリアが決まっている

  以上の各種GS1識別コードは、バーコード、二次元シンボル、電子タグといった様々なGS1標準のデータキャリアを用いて、商品などに表示することができる。ただし、使用できるデータキャリアは、GS1識別コードの種類や識別対象、利用業界、利用環境などにより決められている。
  なお電子タグに利用する場合、識別コードによっては、他のデータキャリアとフォーマットが異なってくる。具体的には、GTINやGRAIを電子タグのEPCとして利用する場合は、絶対単品や個別資産の識別を可能とするために、GTINやGRAIにシリアル番号を追加したSGTIN(Serialized GTIN)やGRAI(オプションのシリアル番号付き)となる。
  これらGS1識別コードの詳細や実際の利用方法などについては、当センターのウェブサイト(http://www.dsri.jp/baredi/gtin/gs1_code.htm)をご覧頂くか、または直接お問い合わせ頂きたい。

以上



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