ロジスティクス・レビュー

第242号「物流組織とフォロワーシップ」~物流組織を担う部下力を考える~(前編)(2012年4月17日発行)

執筆者 篠原 和豊
(篠原ロジスティクスオフィス代表)
    執筆者略歴 ▼
  • 略 歴 ・1969年関西学院大学法学部政治学科卒業、伊藤ハム入社。
    ・企画宣伝室で宣伝・広報・各種調査分析等、デパート部で販売、営業、商品・店舗企画、人事教育、物流等の業務を歴任。
    ・1996年からロジスティクス部門。ロジスティクス管理を担当し全社物流コストの各種手法を用い把握、全社共有化を行う。又、独自の物流ABCにより業務実態分析と改善活動をパートナー企業と連携し継続的に行う。
    ・1998年、伊藤ハム物流㈱設立に関わり同社取締役を兼務、共同配送や環境負荷低減推進等にもあたる。
    ・2006年伊藤ハム退社、同年に篠原ロジスティクスオフィス開設し現在に至る。
    現在 ・コンサルティング
     ロジスティクス思考の組織変革、現場改善、物流コスト体質改善、物流人材育成支援、物流戦略策定と構築支援、グリーン物流支援、
     その他を業態区分なく担う。
    ・直近に行ったセミナーテーマ
     物流現場のポカミス対策、物と人の動きを最適化するレイアウト改善、ムダ取り改善、在庫の圧縮と上手なコントロール、
     物流部門の情報システム活用法、物流ABCによるコストの見える化等
    ・所属団体
     公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会個人会員
     日本ロジスティクス研究会(旧物流技術管理士会)
     宝塚商工会議所会員
    ・連絡先等

*今回は2回に分けて掲載いたします。

目次

はじめに

  「部下力」こそが継続して強い会社を支える条件と言える。強い企業はリーダーが明確に目標を示し、自らが現場の実態やメンバーへの興味を示し、さらには成長の火種を現場に蒔いて燃やすのも常である。他方で組織のミドルや現場メンバー等のフォロワーは成長意欲とそれを促進する自発的かつ継続的な動きを行って組織の活力源となっている。
 本稿では物流組織の上司と部下の関係、部下力、フォロワーシップ等を考察しながらよきフォロワーの条件のヒントを探ってみたい。なお、ここではリーダーを集団を統率指導する存在、フォロワーをリーダの従属者、支援層とする。

1. 従来型物流組織の体質

  日本企業の多くは戦後復興期から高度経済成長期にかけて作れば売れる組織形態を取ってきた。物流部門は工場や仕入れ部門の情報やモノの流れをあるがままに受け入れハンドリングし、営業部門からの出荷情報によってモノを積み出し届ける機能を担ってきた。
 部門組織形態は上層部、中間層、現場層までが上からの「指示」、下からはせいぜい「報告、連絡、相談」くらいの上意下達縦型組織であった。「受け身の物流」「後追い型物流」と揶揄された所以でもある。(図1)

図1 伝統的日本の物流組織構造概念図

*画像をClickすると拡大画像が見られます。

  図1の左図では生産、仕入部門からの情報、モノの一方的な流れと受け入れ、そして営業部門からの指示情報による出荷作業実施という物流部門の実態を表している。中央図でも縦型の部門構造の中での細い縦型統治フレームを表した。右図は組織全体が従属型フォロワーであることを示した。
 この図にはないが初期の物流部署は工場の倉庫係や営業の配送係などから始まっているところも多い。現在でも実態は大きく変わってきているが、これを受け継ぐ形で生産部所属の物流部や営業本部の中の物流部なども見られる。
 極論すれば、日本における物流部門の生い立ちからくる体質といえる。生産部門の改善活動や営業部門の顧客志向から取り残された従属型フォロワー集団であった。ミッションはモノの流れを管理する部署としてそれに必要な技術、すなわち「物流技術管理」という物流拠点への受け入れを行う技術、保管をうまく行う技術、輸配送をうまく行う技術など他部門からの所与の条件を効率よくこなすことであった。
 従っていかに早く作業をこなすか、どれだけうまくスペースを使うか、どのように効率的な配車を組むかなどのスペシャリストを抱えた部署でもあった。逆の見方をすればその道の専門家であるが故に殻にこもっているところがあった。部門自体も受け身で内向きなリーダー不在の「従属型フォロワー集団」ということになる。いきいきと成長する組織とは縁遠い存在であった。

2. フォロワーとフォロワーシップ

 (1) リーダーとフォロワー

  多くの組織においてはリーダーとフォロワーの関係がトップから末端まで連なっている。図2のようにリーダーに寄り添うようにブレインが存在することもある。組織構造として上下の関係でリーダーとフォロワーが連なっていることが多い。

図2 リーダーとフォロワー

 フォロワーがリーダーのブレイン役を果たすケースもありえる。末端組織に行くほどリーダーとフォロワーの関係が薄れていき集団の中でのリーダー役が場面、場面で異なることも多くなる。
 図3は二人以上の関係性を示している。人と人との関係性の中では必ず「主」、「従」の関係ができる。ある行動を行う場合、きっかけを起こす人とそれに従う人が存在する。その場面、場面で「主」と「従」が交代することも当然ありえる。
 ①の二人の関係でも②の集団における場合でも誰もがケースによってはリーダー役になる資質を有している。ケースごとの習熟度や識見、あるいは個人の行動パターンなどによるものである。例えば分析能力に長けた人とアイデア出しの得意な人、実行力の強い人との関係では局面によって能力の発揮の仕方が異なるであろうし主役と脇役が違って当然である。
 技術力でも同様である。単一案件の中でも主従の関係がしばしば入れ替わることも多い。この主従関係の「可変性」こそが継続的組織活性化の源泉となり現場力を高める鍵となるのである。

図3 ケースごとのリーダーとフォロワー

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 リーダーの条件として人間関係構築力、人を巻き込む行動を行い、行える実行力、信念、バランス感覚や時代感、目標を明確に告げられる表現力、決断力と自信などを上げている例もある。これらはフォロワーの方々の中にも備わっていたり、そのいくつかの条件を保有していることも珍しくはない。活動の中で力を高めることも出来る。

 (2) フォロワーの類型

  リーダーとフォロワーは人と人との間や集団、組織における位置関係である。もう一つ注目しておきたいのが「リーダーシップ」、「フォロワーシップ」という資質や行動形態である。米国、カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が、著書『The Power of Followership(指導力革命―リーダーシップからフォロワーシップへ)(1992年)』で、上司のリーダーシップを補完する概念を「フォロワーシップ」という言葉で初めて表現した。

 同教授は「批判力」と「貢献力」の「大」「小」という軸でフォロワーの類型を表した。「批判力」はものごとを別の角度からとらえる力、そして「貢献力」は組織や誰かの役に立ちたいと思い行動する力としている。この考え方を参考にした類型図を図4に示す。

図4 フォロワーの類型図

*画像をClickすると拡大画像が見られます。

 この分類で協働型、孤立型、従属型、消極型、実務型の5パターンに分かれる。さらにその類型のタイプと部下像を表1に表した。

表1.フォロワーの類型

※後編(次号)へつづく



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