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第279号センター業務改革の着眼点(2013年11月7日発行)

執筆者 平居 義徳
(ロジスティクス・コンサルタント・技術士)

 執筆者略歴 ▼
  • 経歴 1961年(昭和36年)、日本能率協会コンサルティングに入社。
    以後、2005年(平成17年)まで45年間、生産とロジスティクスの実務コンサルティングに専従する。
    専門分野 物流専業会社、メーカーおよび流通業で「物流総合改革」「物流業務改善」「物流品質改善」「新センター計画」「センターレイアウト計画」「生産効率の改善」に従事する。
    主要な著書
    • 「わたしたちのIE」 (1974年) 日本能率協会刊
    • 「職班長のための新しい改善技法」 (1982年) 日本能率協会刊
    • 「たのしいIE」 (1983年) 近代経営社刊
    • 「改善学入門」 (1986年) 日本能率協会刊
    • 「やさしいIEのはなし」 (1987年) 日本能率協会刊
    • 「コストダウン50のチェツクノート」 (1989年) PHP研究所刊
    • 「物流コストダウン50のポイント」 (1994年) PHP研究所刊
    • 「やさしい物流改善の本」 (1994年) プロスパー企画刊
    • 「実例でみる物流診断分析」 (1994年) プロスパー企画刊
    • 「eヒントプログラムによる物流改善」 (2002年) JILS刊
    • 「物流改善ケーススタディ」(共著) (2004年) 日刊工業新聞社刊
      など

 

目次

  物流現場の改革、改善は、コンスタントに継続することが求められている。
でも、“どこに着眼し、どう進めたらよいのか?〟で思い悩むことが多い。
このような場合、現場でこれらを打破する有効なキーは、つぎのことかと思われる。
・センター業務全体を一律ではなく、扱い品の特性別や入出荷条件などで層別、特化する。
・このように、層別(グルーピング、セグメント)した対象ごとに改革着眼点を知る。

1.改革のためのセグメント例

どこも、物流業務は多岐である。そこで、あらためてそれぞれの特性、特徴別にそれらをあらためてグルーピングの見直しをする。

(1)扱い品の物流特性より

  ・形状、大きさ、重量による区分
  ・出荷頻度で(毎月出荷、月頻度、年頻度、頻度ゼロのもの)
  ・商品特性(破損品、有効期限品、温度管理品、高額品、貴重品など)

(2)入出荷特性より

  ・新製品、季節品など全国一斉販売のための大ロットの入出荷品
  ・生鮮品、朝生ものなどのクイック品
  ・スルー品(受注発注品、入荷即出荷品、ひもつき品)
  ・ロングラン品(コンスタントな主力品、)
  ・常備在庫よりの小口出荷品(補修パーツ、多アイテム品、特殊品)

(3)出荷先区分より

  ・量販店、法人向けへの出荷
  ・一般店
  ・個人向け

(4)毎日のオーダー分類より

  ・特定出荷先への大量出荷
  ・中口量の出荷(受注1件当たりNアイテム)
  ・小口出荷(受注1件当たり1アイテムのみ)

(5)受注バッチの分類

  ・前日まで
  ・朝9時締切のもの
  ・12時締切
  ・15時オーダー

(6)入荷ロットより

  ・1アイテム数パレットで入荷
  ・1アイテム数ケースで
  ・1アイテム端数・バラの混載品で

(7)在庫内容より

  ・ランニング在庫
  ・予備在庫、補充用在庫
  ・デッド品、不活発品

(8)出荷場所より

  ・1棟1フロアーより
  ・1棟Nフロアーより
  ・N棟Nフロアーより

(9)関連業務の有無

  ・流通加工業務(値札付け、各種ラベル貼付、添付物セット、ギフト包装など)
  ・入荷処理業務(特定スペックの計測、計量、汚破損チェツク)
  ・荷合わせ業務(同一出荷先へのNアイテムの同梱、同送)
  ・返品処理業務(返品検査、検量、再生、仕分け)

これら特性別の「組み合わせ」で、効果からみて“いま、最も必要、重要な対象層はなにか?〟をあらためて明確にする。物流業務のすべてを一律にみるのではなく、改善すべき検討対象を特化・フォーカスする。

2.改革・改善テーマ例

以上のグルーピング、特化を前提に、「この世界で、これからさらに検討すべき項目、テーマとその対策案」を詰めていく。そのサンプル・一例は、つぎのものである。

<入荷>

  ・トラックの入荷待ちをなくす「バース数の設定」「荷卸し時間の短縮対策」
  ・受け入れ時間帯の拡大、
  ・EDIによる検収時間の短縮
  ・入庫ラベルの事前発行(ロケーション指定)による業務のクイック化
  ・時間帯別業務量の平準化を図る入荷時間帯の指定
  ・入荷ゾーンでの一時滞留をなくす「フロー化」

<保管>

  ・在庫量と出荷量からみた「アイテムごとの一括保管」か「補充在庫とピッキング在庫の分割保管制」かの判定
  ・出荷頻度や重量・形状からの「ゾーンロケーション」の割り付け
  ・在庫品の形状荷姿、在庫量による「保管方式」「保管機器」の選択
  ・入庫・在庫の持ち方、在庫管理の在り方
  ・ラック、平棚、流動棚内での空間率低減対策
  ・ゾーン内でのラック・レイアウトの見直し
  ・フオークリフト、台車通路の「ワンウエー化」

<親在庫よりピッキング在庫への補充>

  ・ピッキング在庫の「定数設定」
  ・1日または週間当たりの「補充頻度」と「補充タイミングの設定」
  ・緊急補充体制
  ・欠品・品切れ対策(総在庫のリアル把握、在庫精度の向上、発注とのリンク対策)

<受注処理>

  ・受注受付時間帯の拡大
  ・1日当たりの現場への出荷指示回数の検討
  ・1バッチ当たりのオーダー処理時間の短縮対策

<ピッキング>

  ・出荷先別ダイレクト・ピッキングか集約ピッキング後仕分けかの判定
  ・出荷頻度別とか形状、重量別でのロケーションの見直し
  ・中抜き通路やワンウエー化などのピッキングゾーン内のレイアウト再検討
  ・ピッキング棚での商品保管荷姿、保管容器の検討
  ・ロケーション間移動・搬送手段の検討
  ・棚札、入出庫票の機能見直し(手書き記入をなくす)
  ・ミスを根絶するポカヨケ方式の研究

<流通加工業務>

  ・商品、値札、配送伝票、シール、のし類の同一流し、同期化
  ・前後工程との統合(例:検品との統合)

<内容検品>

  ・スキャン検品でのピッキング作業との統合
  ・検品対象のグルーピングの見直しと分担検討(バラ、小物混載品の区別)

<梱包>

  ・配送ルート、配送手段別の梱包形態や容器の検討
  ・梱包空間率を減らす包装・梱包仕様、梱包材の検討

<コース仕分け>

  ・仕分けコース区分の再検討
  ・業務量に見合う仕分け機器の選択
  ・同一出荷先へのNアイテム、追加品の荷合わせ方法
  ・2次仕分けでの誤仕分け対策
  ・ピーク業務量のときのスペース、要員数、設備機器数の対応策

<積み込み業務>

  ・配送先逆順検品と積み込みを容易にする前工程とリンクした場内フロー
  ・バラものとケースピッキング品の同期化フロー
  ・コース別出発時刻を起点としたセンター内業務のトータル・スケジュール化

3.まとめ

゛もう、これ以上は、改革・改善のタネがない〟と思うところでも、対象とする「世界」(セグメント)を限定し、上記のテーマ例を引き金とし、さらに大きく飛躍されることを切望いたします。

以上


(C)2013 Yoshinori Hirai & Sakata Warehouse, Inc.

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