ロジスティクス・レビュー

第447号 続・軽トラ運送が熱い(前編)(2020年11月5日発行)

執筆者  長谷川 雅行
(株式会社日通総合研究所 経済研究部 顧問)
    執筆者略歴 ▼

  • 経歴
    • 1948年 生まれ
    • 1972年 早稲田大学第一政治経済学部卒業 日本通運株式会社入社
    • 2006年 株式会社日通総合研究所 常務取締役就任
    • 2009年 同社顧問
    保有資格
    • 中小企業診断士
    • 物流管理士
    • 運行管理者
    • 第1種衛生管理者
    活動領域
    • 日本物流学会理事
    • (社)中小企業診断協会会員
    • 日本ロジスティクス研究会(旧物流技術管理士会)会員
    • 国土交通省「日本海側拠点港形成に関する検討委員会」委員ほか
    • (公社)日本ロジスティクスシステム協会「物流技術管理士資格認定講座」ほか講師
    著書(いずれも共著)
    • 『物流コスト削減の実務』(中央経済社)
    • 『グローバル化と日本経済』(勁草書房)
    • 『ロジスティクス用語辞典』(日経文庫)
    • 『物流戦略策定のシナリオ』(かんき出版)ほか

目次

1.はじめに

  2017年9月の第372・373号「軽トラ運送が熱い」で、軽トラ運送をレポートさせて頂いた。読者から、「軽トラ運送(貨物軽自動車運送事業)がよく分かった」「定年後は、軽トラ運送を開業したい」などのメールを頂戴し、軽トラ運送への関心の高さを感じた。
  その後、宅配便を契機とした「物流クライシス」では、軽トラ運送によるAmazonデリバリープロバイダ(後述)の進出や、新型コロナウイルス禍では外食など消費行動が大きく変化し、軽トラによる移動販売・フードトラックなどが増加している。

  そこで、前回から3年が経過した「軽トラック」業界を、再度レポートしたいと思う。

  今回は、軽トラ運送(貨物軽自動車運送事業)だけでなく、軽トラックおよび軽バンを利用した飲食(フードトラック)・小売り(移動販売)などの動向も広く捉えたい。

  というのは、タクシーが飲食物を宅配し、バスが宅配便を運び、後述するように軽トラ運送が買い物代行をするように、貨客の垣根がなくなりつつある。また、「昨日までは軽トラック運送だったが、今日からはフードトラックを始める」「新型コロナウイルスでお客が減ったタクシー運転手を食品運送業者がシェアする」ように、事業や雇用の流動性も高まっている。

  また、軽トラック・軽バンを切り口にして、これからの物流はどうなるかも考えてみたいと思う。

  なお、掲載した写真は、全て筆者が公道から撮影したものである。

  筆者は大学等で、「物流・ロジスティクス」人材を育成する機会に恵まれている。物流・ロジスティクスは「実学」の側面が強いので、学生等の理解を深めるため、「物流オタクの物流図鑑」と称して図表・写真・映像を多用している。先般も、都立商業高校の講師に写真等を提供して喜ばれた。

2.軽トラックメーカーの再編

(1)ホンダの軽トラック生産中止

  第373号では、軽トラックメーカーが4社(五十音順でスズキ・スバル・ダイハツ・ホンダ)が3社(スバルが撤退し、サンバーはダイハツ・ハイゼットのOEM)したことを述べた。
  2021年6月をもって、ホンダも軽トラックの生産を中止することになった。いよいよ、軽トラックメーカーは、スズキ(キャリイ)とダイハツ(ハイゼット)の2社2車種になってしまう。
  1963年、ホンダ(当時は本田技研工業)が初めて売り出した四輪車(自動車)が、軽トラック「T360」(Tはトラック、360は排気量360cc)だった。ホンダの四輪の原点であり、スポーツカー並みのエンジンやサスペンションだった。その後、1977年から現在までアクティを生産してきた。
  ホンダによると、撤退の理由として「新たに設けられる排出ガス規制をクリアしたり、順次装着が義務化される衝突被害軽減ブレーキに対応したりするために開発費用をかけても収益性が見込めないため」としている。
  国土交通省によれば、2021年11月以降に発売される新型の国産車に関して、基準を満たした性能を持つ衝突被害軽減ブレーキの装着が義務化されるが、軽トラックの義務化は2027年9月以降とやや余裕がある。
  実際には、スズキ・ダイハツほど軽トラックが売れていないのが、正直な理由ではなかろうか?
  農林漁業の就業者数が減少し、軽トラックの主要ユーザー層は減りつつある。総務省の労働力調査によれば、2000年に326万人いた農林漁業の就業者は、2019年には222万人と、20年間で104万人(32%)も減少しており、わが国の食料自給率という点でも心配である。
  今や日本車メーカー第2位のホンダとしては、軽トラック市場よりも世界の乗用車市場の方が重要である。とすれば、年間15,211台(2019年度。(一社)全国軽自動車協会連合会調べ。以下、「全軽自協」と略す)しか売れないアクティよりも売れ筋のN-VANに力を入れるのもやむを得ない(後述するように、N-VANは福祉有償運送でも強い人気がある)。
  ということで、2021年7月以降は、スズキ・ダイハツの2強体制になる。

スズキ・ダイハツの2強体制

  筆者は自動車評論家ではないので、乗り比べなどはしていないが、軽トラのユーザーから聞くと、キャリイとハイゼットの違いをよく耳にする。
  ちなみにOEMも含めた販売台数は、キャリイ系が75,042台、ハイゼット系が89,356台である(アクティを加えても、年間179,609台。全軽自協調べ)。
  一番気になる燃費では、MTならキャリイ、ATなら4速のハイゼットと言われている。最近は、軽トラも運転しやすいATが増えているそうだ。
  荷台はほとんど差がない。強いて言えば、荷台床面地上高はキャリイの方が10㎜低いが、よほど大きな貨物・重い貨物を乗せるとき以外は、実用上の差がない。
  それより、前回も書いたように荷台の大きさは、ミカンのコンテナなら52個、リンゴのコンテナなら48個、瓶ビールのP函なら60個(最近は缶化率が高まり瓶ビールは減っている)、畳(最大サイズで900×1800mm)を平置き、20ℓ入りポリタンを40個積載できるのがデファクト・スタンダードである(20ℓ入りポリタン40個が全部満タンなら800㎏と、軽トラ最大積載量350㎏の200%超の過積載になってしまう=ただし道路上の場合)。
  一つ差があると聞くのは、ハイゼットの方がエンジンの耐久性に優れるそうである。
  一般的な農林漁業のユーザーは、自宅と農地・漁港の間ぐらいしか乗らないので、年間走行距離は1千km程度と言われる。ところが、前回ご紹介した赤帽サンバーでは年間10万kmと、路線トラック(運行車)並みに走行する例もある。
  そこで、サンバー名でOEM生産しているハイゼットも、大手ユーザーの赤帽のニーズで、スバル同様にエンジン耐久性に力を入れているのではないだろうか。

3.軽トラから軽バンへ

(1)軽トラック販売台数の減少

  後述するように、デリバリープロバイダのデポを見ても、配送車両はほとんど軽バンで、あまり軽トラックは見かけない(写真2・3参照)。
  これは、ネット通販の宅配などで積卸しの頻度が多い場合、後ろ一方開き(なかには左右開きも)の軽トラより、軽バンの方が使いやすいためと思われる。また荷室内の取り回し・荷捌きという点でも使いやすい。
  写真のように、赤帽でも軽バンが増えている。さすがに、ハイゼットカーゴOEMの「赤帽サンバー」である。
  なお、赤帽サンバーのカタログ(抜粋)によれば、

①トラック(パネルバン仕様) 
 荷台の大きさ=1915mm(L)×1320mm(W)×1245mm(H)
 左右スライドドア・リヤゲートの3方向が開くので、荷物の積卸しが容易。密閉性に優れ、雨やホコリから荷物をしっかり守る。

②トラック(幌仕様)
 荷台の大きさ=1940mm(L)×1410mm(W)×1290mm(H)
 隅々までフラットな荷台。引越しなどの大きな荷物もロープフックでしっかり固定。大型荷物、大量物の運搬に最適。

③キャブバン
 荷室の大きさ=1875mm(L、運転席側)×1320mm(W)×1220mm(H)
 広くフラットな荷室にくわえ、左右の大開口スライドドア・大型リヤゲートの3つのドアが配達の効率をアップ。

写真1 赤帽の軽バン(赤帽サンバー)
*画像をClickすると拡大画像が見られます。

  軽バンは、スズキ・エブリイやダイハツ・ハイゼットカーゴのようなキャブオーバー型(エンジンが運転席の下にあるワンボックス)と、ホンダN-VANのようなボンネット型(エンジンが運転席の前にあるツーボックス)に分類される。
  全軽自協では、軽自動車のうち貨物車を「トラック」「キャブオーバーバン」「ボンネットバン」に分類しているので、以下その分類に従うことにする。
  軽トラ輸送には、荷室が大きいキャブオーバーバン(通称、キャブバン。写真1参照)が選択される。ボンネットバン(通称、ボンバン)は少ない。
  全軽自協の「年度別・車種別軽自動車(新車)販売台数の推移」(速報)を見ても、2019年度の軽貨物車の販売台数は、ボンバン45,099台(10.8%)、キャブバン191,766台(46.0%)、軽トラック179,610台(43.1%)の合計416,475台と、軽トラックよりキャブバンの方が多い(カッコ内は構成比)。
  なお軽貨物車の新車販売台数で、キャブバンがボンバンを上回ったのが1990年(物流二法で貨物軽自動車運送事業が制度化された年)、軽トラックを僅差で上回ったのは2015年(消費税が8%に引き上げられた翌年)である。
  軽トラックが最も売れたのは1988年の437,435台で、当時から比べると6割も減っている。同年は、ボンバン869,034台・キャブバン303,986台の軽貨物車合計1,610,455台と、軽貨物車が最も売れた時代であった。
  軽トラックの販売台数が減ったのは、前述したように主要ユーザーである農林漁業就業者数の減少と、軽バンへのシフト(特に女性ユーザー比率が増加したこと)と思われる。

(2)軽バンの動向

  軽キャブバンも軽トラック同様に、2強であるスズキ「エブリイ」とダイハツ「ハイゼットカーゴ」が多いが、これもユーザーに聞くと微妙な違いがあるようだ(軽ボンネット型バンは乗用車としても使われることが多いので、メーカーも多い)。
  とくに毎日の配送に使う場合、荷室開口部の広さや長さなどはすべて、エブリイの方が微妙に上回っている。具体的には、長さ380mm×幅310mm×高さ280mmの標準的なミカン5kg入り段ボール箱を実際に積んでみると、ハイゼットカーゴ65個に対しエブリイ69個と1回の配送で4個違う。軽くて容積勝ちな商品が多い宅配の場合には、無視できない差と言えよう。

(3)貨物軽自動車運送事業者数と車両数

  それでは、軽トラック・軽バンを使って軽トラ運送を営んでいる実情を眺めてみたい。
  国土交通省の「貨物自動車運送事業者数」(2018.3.31現在)を見ると、軽霊柩・バイク便を含んで162,788者、同じく「貨物自動車運送車両数」(同)は270,505両(台。以下同じ)となっている。都道府県別では、東京19,962者、埼玉16,066者、大阪13,053者、神奈川12,592者が多い。
  「一人一車」の軽トラ運送事業であるが、単純平均では1者1.66両と、複数車両を保有している傾向が強い(事業者数・車両数は届出による)。都道府県別では、東京32,697両、大阪25,351両、神奈川20,346両、埼玉17,791両と、埼玉では「一人一車」傾向が強い。
  国土交通省の「自動車保有台数」(2020年1月末現在)を見ると、軽自動車(四輪・営業用)は271,972両であり、それ以外に特種(殊)用途の四輪・営業用(冷蔵・冷凍車等の特装車)が18,038両あるので、これらが軽トラ運送の実態と考えて良い(保有台数は登録・検査による。軽自動車は登録自動車数ではなく、検査対象軽自動車数となる)。
  余談であるが、保有台数では、三輪・営業用が6両、軽二輪・営業用(バイク便)が680両となっている。
  なお、2018年3月31日現在の事業用貨物自動車は、1,368,064両(台。特種(殊)車を除く)なので、軽トラの比率は19.8%で「5台に1台は軽トラ」ということになる。
  なお、東京30.4%、神奈川28.1%、埼玉24.1%と、前述の3都県では軽トラ比率が高い。

4.赤帽からデリバリープロバイダへ

(1)赤帽

  貨物軽自動車運送事業の詳細や、前身(物流二法以前の「急便事業」)さらには、赤帽(全国赤帽軽自動車運送協同組合連合)の概要とビジネスモデルについては、前回レポートした通りである。
  しかし、最近は同業他社(組合非加入の軽トラ業者など)との競合が激しくなり、傘下の協同組合のなかには、裁判所に自己破産の申請をするケースも出てきている(2019年4月16日付ロジスティクス・トゥディ)。
  「協同組合で共同受注して、組合員の軽トラ運送業者に仕事を紹介する」というビジネスモデルも、「大口先からの受注がなくなるなど苦戦を強いられ、組合員が徐々に減少、金融債務が重荷となっていた」(同記事。帝国データバンク)ようである。
  似たような協同組合方式あるいは共同受注としては、「青帽」や「軽急便」もあったが、最近はあまり聞かない。

(2)デリバリープロバイダ(以下、ADP)

  Amazonで買い物をするとADPという配達業者によって商品が届くことが多い(本稿では、後述するカスタマーサービスに合わせて、「Amazon」と表記する)。
  Amazonの配送は、佐川急便が撤退して以降、ヤマト運輸1社になったが、「宅配危機」「物流クライシス」で、ヤマト運輸もAmazonの当日配送から一時撤退したことは、読者もご存知の通りである。
  そこで、Amazonがエリアごとに配送業者と契約して、専属で商品配送を委託したが、その委託先をAmazonではADPと呼んでいる。
  当時、Amazonの公式サイトを確認してみると、「ヘルプ&カスタマーサービス」で配達業者の連絡先にADPが記載されており、「TMG」「SBS即配サポート(東証一部上場のSBSホールディングスのグループ企業)」「札幌通運(北海道の大手総合物流企業で、ロジネットジャパンのグループ企業)」「ファイズ」「丸和運輸機関(東証一部上場)」の5社が記載されていた(掲出順。カッコ内は筆者記載)。
  なお、2020年6月末現在のアマゾンの公式サイトでは、「カスタマーサービス」に「配送業者の連絡先(荷物の追跡、再配達の依頼)」があり、ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便・カトーレック・ヤマトホームコンビニエンス・SGムービング・プラスカーゴサービスの7社が掲出されており、ADPの記載はない。
  ただし、7社に先立って「Amazon注1」という配送業者名(?)がある。そして注書きには、「(注1)上記に列挙されていないAmazon.co.jpと提携する配送業者を総称してAmazonと表示しています。こうした各配送業者に関するお問い合わせは、Amazonカスタマーサービスが承ります」と書かれており、「列挙されていないAmazon.co.jpと提携する配送業者」がADPと推察される。
  Amazonでは、配送商品の増加に伴い、各地の配送業者をADPとして組織化することを進めている。
  現在は、ADP一覧からファイズが削除され、「若葉ネットワーク」「ギオンデリバリーサービス」「ヒップスタイル」「遠州トラック(静岡県の大手総合物流企業)」「ロジネットジャパン西日本(札幌通運と同じくロジネットジャパンのグループ企業)」の5社が追加され、9社体制となっている(掲出順。カッコ内は筆者記載。ファイズ社のHPを見ると、同社は宅配事業から3PLや国際物流に事業多角化を推進しているようである)。
  また、各ADPでは、増加する配送商品に対応するため、配達拠点を整備したり、地元の軽トラ業者を下請化して配送ネットワークを強化している。急な事業拡大のため、既存の倉庫物件を借りることも多い(写真2・3参照)。前述のように「一人一車」傾向の強い埼玉県では、大手ADPの軽トラ組織化により、他業務に従事する軽トラが減ったと言われている。
  筆者が住む神奈川県は、前述の若葉ネットワーク・ギオンデリバリーサービスもADPに名を連ねており、Amazonの商品配送については、各社のデポ・営業所に問合せるようになっている。
  そこで、両社のデポ・営業所を実際に見てみた。
  なお、ネット等では一部ADPの配送サービスが論じられているが、本稿の主旨ではないので触れない。

(3)若葉ネットワーク

  本社は横浜市金沢区にある。同社は1989年に設立し、貨物軽自動車運送業としてNTTの情報誌や電話帳の配達からスタート。その後、日本郵便(小包配送)・佐川急便・日本通運など取引先を拡大、一般貨物自動車運送も開始。2017年からAmazonのデリバリープロバイダとなっている(同社HPから)。
  ADPとしては後発だが、軽トラを利用しての宅配事業経験は長い。HPには「車両保有台数460台」と掲出されているが、後述の南配送センター(横浜市南区)を見る限りは、委託契約の個人事業者が多いように思われる。
  同社HPによれば、配達エリアは、横浜市金沢区・磯子区・栄区(担当は鳥浜配送センター。以下同じ)、横浜市港南区(港南配送センター)、横浜市南区(南配送センター)、横須賀市北部・逗子市・葉山町(福浦配送センター)で、フリーダイヤルによる24時再配達自動音声受付と各配送センターで問合せ対応をしている。
  Amazonの配送個数とは限らないが、1日1台当たりの宅配個数は100~150個と、HPには出ている。
  筆者が見た南配送センターは、箱根駅伝の名所、国道1号線の権太坂を登り切った左手にある。元は倉庫だったと思われる建物で、同社の看板などは掲出されておらず、ヤマト運輸のような営業所止め(引き取り)の時はどうするのだろうかと思った。

写真2 若葉ネットワーク

(左側は社有車両。右側は協力会社車両と思われる)
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(4)ギオンデリバリーサービス(GDS)

  同社は2013年設立の新しい企業であるが、1965年創業の親会社ギオンは相模原市に本社がある、食品配送を中心とする大手企業で、2~4トンの冷蔵・冷凍車でスーパーやコンビニ店舗への配送を行っており、その1事業部がGDSになったと思われる(ギオンのHPはあるが、GDSのHPはない。また、ギオンのHPにもGDSの詳細はない。GDSがあるのは人材募集サイト程度)。
  川崎市の宮前区・幸区にデポがあり、東京都と神奈川県の一部でADPを請け負っているようである。
  筆者が見た幸デポは、横須賀線新川崎駅から少し歩いた幸区役所日吉支所の近くにあり、若葉ネットワーク同様に元は倉庫だったと思われる建物で、併設の事務所に看板も出ていた。
  ちょうど朝一番の積込み作業中で、自社・協力会社のドライバーが、倉庫から宅配品の入ったロールボックスを引き出して、それぞれの軽バンに積み込んでいた。

写真3 ギオンデリバリーサービス

(左側がGDS社有車両、右側は協力会社車両と思われる。後方は事務所)
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(5)Amazon フレッシュ

  Amazonでは、生鮮商品を「Amazonフレッシュ」として販売・宅配しており、ドライカーゴのADPとは別の保冷配送ネットワークを構築しているが、末端配送はADP同様に軽バンを活用している。
  筆者もお手伝いした、テレビ東京の「ガイアの夜明け『立ち向かう物流危機!』」(2017年10月31日放送)では、Amazonフレッシュも報道されていた。執筆にあたってDVD録画を再度見直したところ、「Amazonの委託を受けた水産仲卸業者が築地市場で魚を選別・仕入れて、川崎のAmazonフルフィルメントセンターに運び込む。同センターでは直ちに処理・加工して、Amazonフレッシュの専用車両で保冷宅配する」というストーリーであった。
  2018年2月の第381・382号「卸売市場を主体とした生鮮食品サプライチェーンの現状と課題」で述べたように、卸売市場で青果物・水産物を調達するには「買参人」の資格が必要である。そこで、多くの仲卸業者はコンビニや食品スーパーなどの代理人(エージェント)として、必要な青果物・水産物を調達する。決められたサイズ・規格・量を確保するためには、セリ前に産地との相対取引で調達したり、他市場からの転送で調達することもある。Amazonは買参人ではないので、番組のように目利きの仲卸業者が、Amazonのネットカタログ通りの商品を調達する。時化などで卸売市場への入荷が少ないときは、高値でも調達するのではないだろうか。
  配送は、写真4のように専属配送業者が軽バンで配送している。緑色の保冷バッグだけで荷台が一杯である。筆者が見かけた車両は保冷車ではなく、配達先に向かう前に路上で保冷バッグに蓄冷材を入れているようである。

写真4 Amazonフレッシュの軽バン
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  Amazonでは、ADP以外に、Amazon FLEX(「アマゾンフレックス」以下、AFと略す)として自社で軽トラ(個人事業者)を組織化している。Amazonと直接業務委託契約を結ぶ個人宅配ドライバーサービスが2019年4月にスタートした。自家物流の一形態とも言えよう。
  AFは、スマートフォンと軽トラ・軽バンを所有する個人事業者(貨物軽自動車運送事業者)が、アプリで自身のスケジュールに合った時間を選択して、Amazonの荷物を運ぶサービスであり、第号で紹介したCBcloudのPickGoと同様の考え方である。ただ、運ぶものが、PickGoの場合は不特定の荷主のもので、AFの場合はAmazonの出荷商品である。
  おそらくは、Amazonフレッシュ(生鮮品)や当日配送品などは、各フルフィルメントセンターから直接AFで配送しているのではなかろうか。写真4はAFのものと思われる。
  Amazonでは、ライフコーポレーションと提携して、同社商品配送を東京23区に拡大するので、ますますAFは拡大していくと思われる。

※後編(次号)へつづく


(C)2020 Masayuki Hasegawa & Sakata Warehouse, Inc.


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