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第143号業界標準化によるIT利用促進事例 ~新たな市場創造を夢に~ (前編)(2008年3月6日発行)

執筆者 青木 利夫
ウエラジャパン株式会社
サロン事業本部 管理部 ビジネスサポートセンター
BSC担当マネージャー
    執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 1951年生まれ
    • 1973年 早稲田大学卒業
      婦人服専門店「三愛」入社 本社経理部勤務 営業経費・償却資産・支店会計担当。
    • 1977年 東急ハンズ入社 本社経理課勤務 決算・税務・企画収支担当渋谷店立ち上げに携わる。
    • 1979年 ウエラ化粧品入社 債権・予算・受注管理・営業データ管理におけるエンドユーザーコンピューティング担当。ZD運動推進・年金理事・SAP/SDモジュールチームリーダー・インターネット関連プロジェクト担当。
    • 全国理美容製造者協会流通委員会において、理美容業界VAN・業界標準WEB-EDI「NBA楽々注文ねっと」構築に携わる。

*サカタグループ2007年9月4日「第12回ワークショップ」の講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回は2回に分けて掲載いたします。

目次

  サカタロジックスの田中社長様からご紹介いただきましたが、実は本日のワークショップにてお話をさせて頂くほど、私どもはロジスティクスに関して専門家ではございません。サカタロジックスの田中社長様をはじめ、本日ご講演をされる東京ロジスティクス研究所の重田先生、その他業界の様々な方にいろいろとご指導をたまわりながら今日の私どもの業界標準の歩みが少しずつ形になってきたかなという次第です。本日はそういった意味で今までの取り組みに関して皆様にお話をさせていただいて、業界の中に標準化された仕組みを作っていくこと、また業界の中でITの利用がどのように大切なものであるかということをお話させていただければと思っています。
  私はウエラジャパンという会社に属してはいるのですが、今回の業界の標準化につきまして全国理美容製造者協会、略してNBAというこちらの団体として推進しておりますので、NBAという団体と、また理美容業界という業界に関して、皆さんはほとんどご存知ないと思いますので、簡単な説明させていただき、それから理美容業界での業界標準の取り組み、またその過程で新たに生まれたWEB-EDIの仕組み、私どもNBAでは「NBA楽々注文ねっと」と呼んでるのですが、そちらの説明と、今後私たちがさらにEDIの輪を広げていくための方法と、業界の標準化を含めた形での今後の私たちの夢みたいなものを語らせていただければと思っております。

1.全国理美容製造者協会(NBA)概況

(1)NBA会員企業と組織築

  NBAという団体は、約10年前にこの理美容業界でほぼシェアを70%占めるメーカーによって作られた団体です。
  ここにありますように「理美容の業務用化粧品及び関連製品製造業の総合的改善と発展を図り、理美容産業の健全な伸展と健康で豊かな国民生活の維持向上に貢献する」ことを目的として発足し、業界を取り巻く様々な問題や革新的な変化に対応するため綿密に会員各社が協調しつつ、国際的な視野に立って皆様のお役に立つ協会として発展すべく努力を重ねています。
  業界は様々な形で変化を遂げてきているのですが、そういう中にあって1つの方向を示すことのできる活動をしようということでこの団体が活動しています。活動の中で先程業界のシェアを占める70%のメーカーといいましたけれども、ここに記載されたメーカーによって構成されています。略称であげるとアリミノ、ウエラジャパン、資生堂プロフェッショナル、タカラベルモント、中野製薬、ナンバースリー、日華化学、日本ロレアル、ヘンケルジャパン、ミルボン、モルトベーネ、リアル化学、これらのメーカーで構成された団体になっています。

(2)NBA活動内容

  この協会自体は12社によって構成され、五つの委員会が作られています。各委員会にはそれぞれのメーカーから少なくても1名ずつは社員が参加し活動していまして、調査委員会、こちらは製品に関する統計等をとっている委員会で、消費者の動向調査とかそういった調査活動をしています。アカデミー委員会、こちらは業界のシンポジウムの開催とか、海外の視察等を行なっています。それから環境委員会、最近は特に環境に関してはかなり厳しい声も聞かれていますが、理美容業界の中にあっても今後この環境委員会がメインの仕事になってくるかと考えております。それから私どもの活動を対外的に知らしめる活動ということで広報委員会、最後に私の属する流通委員会という五つの委員会組織になっています。
  流通委員会では、ここに書いているように、理美容業界VANの構築、啓蒙活動、業界内情報通信ネットワークインフラ構築と利用の促進、それから業界内のコード・フォーマットの標準化をはかり、業界トータルの情報システム化とコストダウンの推進を行なっています。特に全体最適を目指しているということで個別の対応ということではなく、業界全体が一緒に利用できる仕組みを作っていくという活動をしています。JANコードソースマーキング促進等などにより代理店内のシステム化の側面支援を行い、業界内の流通機構全体の効率化と体質の強化をはかっています。こういった目的を持って私どもは活動しております。

(3)理美容業界の流通構造

  業界の流通チャネルはここにありますように、大きく分けて三つあります。一番左の代理店制度、これはメーカーと代理店との間に代理店契約が結ばれて代理店を通して理美容室へ商品が配荷される流通制度ですね。こちらが業界の中で約80%くらいを占めた流通の制度です。もう1つは問屋さん経由です。滝川さん・日理さんといった大きな問屋さんを経由して契約している代理店、もしくは通常の代理店を経由して理美容室に商品が配荷されるという仕組み、それから直販と呼ばれているメーカーからダイレクトに理美容室に商品が配荷される仕組みです。こちらの問屋さん経由と直販のほうは、それぞれ約10%程度の比率になっています。
  業界全体で特にエステ関係を含めると約3千億円くらいの消費材料ですが、理美容業界の私たちが“みずもの”と呼んでいるパーマ液やカラー剤等の商品に関してはだいたい1,800億円くらいの商売が行なわれています。これは代理店さんに卸している価格で、これらの消費材料をベースにして美容室さん、もしくは理容室さんが皆さんの髪をカットしたり、カラーを入れたりといった形の仕事が加えられてはじめて製品化されるという業界になります。ですから日用雑貨業界と扱う商品は、例えばシャンプーとかリンスとか扱う商品は似ているんですが、理美容業界の場合はこのシャンプーとリンス等と美容師の方のシャンプー技術とかヘアカラーを入れる技術がひとつになってはじめて消費者に提供される、という市場でサービス総額としてはエステ関係を含めると約3兆円規模になります。
  理容室と美容室の店舗数推移の店舗数の推移をみていくと、1995年を100としてみていった場合に、美容室さんは増加傾向にあり、理容室さんが減少傾向に転じているといった傾向です。厚生労働省の調査によりますと、だいたい美容室の店舗数は22万店、理容室さんで12万店弱といわれていますが、旧総理府の統計局の事業所統計やNTTの電話帳に登録されている店舗数をみますと実質的には美容室でだいたい17万から18万軒、だいたい年間に1万店舗が消えたり増えたりしていく中で、相対的に美容室のほうは増えています。理容室さんというのは昔14万4千件と覚えておけば大体ずっとそこで推移していました。ところがここへきて理容室さんは減少傾向にあり12万を少し下回る店舗数です。

2.業界標準化の取組み経緯

(1)業界VAN構築の背景

  街中を歩いていて理容室さんのチラシをもらったことがありますか。美容室のスタッフさんがチラシを配っている姿というのは多く目にされていると思うのですが、理容室さんのチラシを配っている姿はあまり目にしませんよね。これは組合制度の規制と組織力の強さの歴史を表しているように思います。理容室さんはかつて組合の力が強く、ほぼ横並びの均一料金制度がしかれ、特別な商品をサービスしたり、ポイントをつけたり、おまけをつけたりということはできないという歴史がありました。その昔の影響なのか独自の宣伝広告をされるところは少ないようです。ところが美容室さんに関しては、早くから自由競争に近い形になっていたため集客活動やキャンペーン価格導入などの販売促進活動には積極的です。
  あまり世間の変化を受けることの少なかった業界ですが、最近はいろいろと変わってきました。日用雑貨業界では問屋さんの制度というのは大手の問屋さんに集約されていき、その市場制覇の状況も皆さんご存知だと思いますが、こちらの美容業界も近年市場の集約化がされてきています。代理店さんは以前は狭い地域でご商売されていたのですが、今は広域で東京の代理店さんが名古屋とか大阪そういったところにまで進出するようになってきました。
  また美容室さんで扱っているカラー剤というのは、皆さんお店に行くと、花王さんのブローネとかありますが、お店で販売されている商品のカラーに比べて非常に多い色数となっています。大体弊社でも200色近い色合いのカラーを出しています。したがいまして、1社で200色ですから、それを超える500色計画をされているメーカーさんもありますので、カラー剤1つ取っても製品の種類が非常に広がってきています。
  発注頻度の面から見ても昔は美容師さんがまとめて買ってくれましたが、今は在庫をあまり持ちたくないということで、これまで週に1回納品だったのが週に2回、3回になってきており、代理店さんのほうの小分け配送というのがやはり増えてきています。
  代理店制度という側面から見ても、昔はここの代理店さんはウエラ系だ、あそこの代理店さんは別のメーカーさん系の代理店さんだということで、メーカー色が濃い形で代理店さんと契約を結ばれていたのですが、今は商社化してきておりまして1つのディーラーさんで30社近いメーカーとの取引になっています。そういった意味ではかなり代理店さんのほうも発注作業とかカラー剤に代表されるような商品の多様化が進み、かなり在庫管理が難しくなってきているといった業種になってきています。
  このような状況を反映して、一部の代理店さんの中ではITをもっと推し進めた形で効率化を図っていくということで、ITの利用度合いがあがってきているという状況になっています。
  この業界、私が30年程前に入って頃は、代理店さんの在庫どれくらいあるのかなと思ったら商品によっては年単位での在庫を持つ代理店さんがざらにありました。これはメーカーが特売をしてその期間に買うと、30%サービスがつくとかというと、皆さんまとめてどんどん商品を買われて倉庫の中に詰め込むというご商売をされるといったのが当たり前で、在庫が今でも数ヶ月、やっと少なくなってきたとはいえ、まだ4ヶ月とか6ヶ月くらいの在庫をお持ちの代理店さんというのが多くあります。
  ただこういった中で、従来は美容の技術研修ということで、欧米に視察にいくというケースはあったのですが、今から10年くらい前ですけれども、代理店業の経営視察という形で日本の代理店さんがアメリカの市場を見学にいかれる機会というのが多くなってきました。アメリカの理美容業界の市場というのは日本の10年先を行っているということが言われています。
  この写真はウエストコーストビューティサプライというアメリカのサンフランシスコ郊外にある代理店さんなんですが、13,500坪の敷地を持たれています。
  こういったディーラーさんが向こうでは、昔は500社くらい全米で存在したのですが、今は100を大きく切った代理店さんの数になっています。それはアメリカの中でM&Aによる統合が行なわれ広域化した代理店さんが伸びていることを示しています。
  そのベースにIT利用技術の向上がありました。M&Aの統合によって、物流センターを統合して、はるか彼方に離れた地域にある物流センターに委託し、インターネットを使って商品の出し入れの指示を与えたりとかいう、こういったIT利用の合理化というのが非常に進んでいきまして、そういったころで力をつけたディーラーさんが生き残っています。こういった代理店さんをアメリカに視察に行った日本の代理店さんが非常に興味をお持ちになって、影響されて日本の中でもこういったM&AとかITによる合理化というのが盛んになってきました。
  もう1つ業界の中で騒がれているのですが、これは2003年のForbes(フォーブス)の表紙を飾っているRegisの社長さんです。アメリカで約10,000店舗の美容室を経営されています。こちらはM&Aで美容室をどんどん買い取っていって自社の仕組みの中で教育も店舗作りも展開していき、アメリカの中では日本のQBカットさんのように安いレベルのお店から高品質のサロンさんまで展開しているという、アメリカの中でも成長企業といわれている美容室経営の会社です。
  こういった巨大化しているチェーン店というのは日本の業界の中でもだんだんと出てまいりまして、特に先程美容室というのが約17万店から18万店といいましたが、その80%が2人以下の従業員で占められた美容室、残り2割が全体の8割の売上を稼ぐ“二八の法則”がこの中でもできておりまして、どんどん企業化されたチェーン店というのが力をつけていくといった形になっています。アメリカで成功されたこのRegisさんはヨーロッパの方にも進出しまして、今アジアのハブとして日本にねらいを定めて今年の4月にゴールドマン・サックスと提携して会社を作られて日本に進出を進めてきています。
  これからそういった意味では日本の理美容業界も大型チェーンやその地域・地域の有力なサロンさんも買収して大きくなってくる、そういった構図が見られるのではないかと思います。これはRegisさんの本社です、驚くのはソルトレイクシティというところに物流センターがあり、同じような施設を全米で合計2箇所持っているのですが、美容室チェーン店も物流センターによる集中管理なのです。こういった物流まで合理化してウォルマートさんが行っているような形で、商品も納入するメーカーにある程度予測をさせて納入させたりとかいう試みがどんどん進んできています。ですから日本のディーラーさんもこういった形で物流に関しても、もっともっと効率を上げた形で商売をしなければいけないという背景があります。こういったこともあり、業界の中で代理店さん側からVANをつくろうという動きがありました。
  流通委員会にVANを作りなさいという指示がきたのも、今から8年ほど前ですが、ただVANを作るといわれても私たちもVANといったって本当に成功しているところは少ないのではないかということで調べていたら、自分たちに一番近い日用雑貨業界でVAN(プラネットさん)が成功して動いておりまして、理美容業界に新たにVANを作っていくよりも、メーカーとしてそういった外側にあるサービスを持ち込んできたほうが確実であろうということで、プラネットさんのほうにお願いをしまして理美容業界向けに日用雑貨業界のプラネットさんのVANを開放していただきました。代理店さんのほうでVANの構築の動きもあったのですが、自分たちとしては業界の中にVANを立ち上げる方法はこれしかないというのを示させていただきました。代理店さんもいろいろグループが分かれており、その中の一部の代理店さんだけに肩入れするわけにはいかないので、人材的にもメーカーの情報システムの人間というのはかなり能力の高い人材がおりましたので、その力を集めてプラネットさんのVANの中の一部の仕様を自分たち向けに使用する場合に統一を図ってVANの構築を図っていきました。

  VANの構築を図ってきたという話なのですが、非常に困難を極めました。
  というのは、メーカーの中ではまだまだVANなんか作ったってVANを利用し、そこに情報が流れれば、メーカーがお金を負担しなければいけないので、費用が発生するだけだからやめたほうがいいというお声もありました。
  本を見た知識、読んだ知識では確かにそうでしょう、雨後の竹の子のようにVANが出来上がってそれぞれ潰れていったというのは確かに事実ですが、だからVANがもうだめだ、古いということはではなくてVANというのは業界に1つの標準の形を作って行くという仕組みで、例えば現時点で日用雑貨の業界でVANをはずしたらそこで商売成り立つんですか、という話から自分の会社以外の役員さんと討論をしつつこういったVANの構築に励んでまいりました。
  もちろんプラネットの玉生社長様とか、現在はプラネット物流にうつられている高橋部長様とかから、非常に熱心に、業界の標準化をしていくのはいかに大切かということを本当に親身に教えていただきました。
  またVANの構築にあたっては実際に代理店さんに一緒に出向いていって仕事をしてくださって、本当に私たちは業界の標準化というのがこんなに大切なものかというのを、いろいろな意味で勉強させていただきました。もちろん先程、田中社長様や重田先生に、本当に物流の素人でしたから、物流のイロハから物流に関しての勉強会を開きまして、わざわざ少人数のところにおいでいただき、いろんな知識を授けていただきました。
  物流に関した何の知識も持たない私たちにとって、とてもためになりました。
  業界の中で標準化を行っていくということの大切さは、得てして会社の中に戻れば費用対効果がすぐにでてきて、いくらやったらいくら売上が伸びる、VANをつければいくら売上が伸びるんだみたいな論争になりがちですけれども、そうではなくて業界全体が1つの標準を作ることによって、新たなステップアップができるのだということを、先に歩まれている日用雑貨業界の諸先輩方にいろいろ教わりながら、社内外に説明活動ができたというのは本当にありがたいというふうに思っています。
  私ども理美容業界は、後から遅れてきた団体ではあるのですが標準化をしていくことの大切さを、骨身にしみて勉強させていただきました。

(2)流通委員会の歩み

  こういった歩みの中で私たちは、業界共通商品コードとしてのJANコード推進と、個別対応でない業界標準としてのEDIを旗印に掲げて進んでいます。一番目になぜ業界共通商品コードとしてのJANコード推進をあげたかというと、JANコードのソースマーキング率が非常に低かったことがあげられます。
  多分50%をきっていたのではないかと思いますが、おかげさまでJANコードを利用した形でのいろんな仕組みとかを説明させていただく中で、JANコードの利用率も上がっていって、メーカーの側のJANコードマーキング率も上がってきた、ということと、個別対応でない業界標準としてのEDIというのは結果的には、メーカーにとっても代理店さんにとってもプラスになるんだということを訴えつづけてまいりました。
  最初にVAN接続された代理店さんは自分のところで作った基幹システムのところに、サーバーにデータを置いておくから取りにきてほしい、という話だったのですが、現在業界標準のVANを構築しているので個別対応はできませんし、代理店様にとってもVANを利用されたほうが効率的ですと話を進めました。
  何で個別にできないのか、私たちは業界に標準の形のEDIの仕組みを作ろうとしているので、1社がつなぐと、多分代理店さんは、あそこのメーカーがつないだから、うちもやってほしいという形でどんどん個別対応が進んでしまうと、それが結果的に業界の中で、いろんな差をつけてしまうことになるので、それはできませんということで、お断りしてきました。そのような交渉を進めていくことでだんだんと、こういったVANに関しても理解力が広まってきました。
  倉庫に関していいますと、こういったピッキングリストに基づくピッキングやロケーション管理が大切ということを訴えてきました。当初私たちはVANの推進を図っていこうとしたのですが、VAN接続以前の現実に直面し、倉庫マネージメントの大切さやJANの利用が如何に効果的であるかの下地作りをしなければならなくなりました。
  JANコードのマーキング率をあげなさいとか、倉庫の管理をこうしたほうがいいという、こういったところの説明にまわるという形で活動していまして、最近ではJANコードを利用したピッキングシステム、ロケーション管理というのが代理店さんの中でも根付いてきて、私どもも業界の中で1つの貢献ができているのではないかと思っています。
  ただ、私たちが活動する中で、これは玉生社長様も著書の中で取り上げていただいているのですが、理美容業界は商材としての扱い高がエステ関係を含めて3,000億円の市場であり、物流量が非常に少ないのです。したがって物流量が少ないということは、そこにかかってくるデータにかかるコストもそれだけ高いものになってしまうとか、代理店さんの規模等が小さくてITに対して投資できる代理店さんが少ないという現実に直面しました。
  VANも業界の中で約20社ほどの代理店さんと、メーカー側ではNBA 11社以外に3社ほどのメーカーさんが加わった形での利用となっています。

(3)より多くの企業が楽になる仕組みを

  これはトップのメーカーというとおかしいですが、扱い高の大きいメーカーと扱い高の大きい代理店さんにとって非常にメリットはあったのですが、業界全体としてのメリットというのは、まだまだ出ていなかったという状況です。システム化が進んでいない代理店さんにとっては、旧態依然、ましてやメーカーが増える、カラーの色別が増えるということで、発注業務が非常に大変になっていました。
  こういったなかでWEB-EDIによって、システム化の進んでいない代理店さんでもEDIに関する恩恵を受けるべきではないかということで、検討を開始しました。
  当初私たちはWEB-EDIはやめておりました。それはすでにWEB-EDIを独自にスタートさせているメーカーが、私どもウエラジャパンを含めて3社ほどありましたし、代理店さんが結果的には入力を行なうということで入力の負荷が代理店さんにかかるからやめようということでやめていたんですが、逆に代理店さんのほうから、何らかの形でもっと楽にできないか、それからさっきお話したサロンさんが大型化してくるにしたがって、インターネットを利用したデータ転送による発注が増えてきそうになって、これについても何とか標準化をしてくれないかというお声がありましたので、私どもはWEB-EDIというのを検討して、実はプラネットさんのほうにお話をさせていただきました。
  プラネットさんのほうでWEB-EDIはお持ちで、新たに自分たちが望む形のWEB-EDIの仕組みを積算してプラネットさんのほうでこれを別の形でサービスとして提供してくれないかという話をさせていただいたのですが、新たなものを作るというのは混乱を生じるということでその話はなくなりまして、理美容業界のWEB-EDIに関しては私どものほうで、本格的な調査と仕組み作りについて進めてまいりました。

以上

後編(次号)へつづく



(C)2008 Toshio Aoki & Sakata Warehouse, Inc.

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