ロジスティクス・レビュー

第422号 働き方改革関連法改正と実務的対応(その2)【中編】(2019年10月24日発行)

執筆者  長谷川 雅行
(株式会社日通総合研究所 経済研究部 顧問)
    執筆者略歴 ▼

  • 経歴
    • 1948年 生まれ
    • 1972年 早稲田大学第一政治経済学部卒業 日本通運株式会社入社
    • 2006年 株式会社日通総合研究所 常務取締役就任
    • 2009年 同社顧問
    保有資格
    • 中小企業診断士
    • 物流管理士
    • 運行管理者
    • 第1種衛生管理者
    活動領域
    • 日本物流学会理事
    • (社)中小企業診断協会会員
    • 日本ロジスティクス研究会(旧物流技術管理士会)会員
    • 国土交通省「日本海側拠点港形成に関する検討委員会」委員ほか
    • (公社)日本ロジスティクスシステム協会「物流技術管理士資格認定講座」ほか講師
    著書(いずれも共著)
    • 『物流コスト削減の実務』(中央経済社)
    • 『グローバル化と日本経済』(勁草書房)
    • 『ロジスティクス用語辞典』(日経文庫)
    • 『物流戦略策定のシナリオ』(かんき出版)ほか

目次

*前号(2019年10月10日発行 第421号)より

3.同一労働同一賃金ガイドライン

(2)「通常の労働者と同視される労働者」以外の非正規労働者

1)合理的な違いがあれば待遇差は認められる
  パートタイム・有期雇用労働法は、「通常の労働者と同視される非正規労働者」以外に関しては、正規雇用者との不合理な待遇差の解消を求めるもので、待遇差全てが不合理ではない。
  職務内容、職務内容・配置の変更範囲、能力、経験等で説明できる合理的な待遇差は許される。
  また、物流センターのパートタイム労働者の賃金水準について、「その地域におけるパートタイム労働者の賃金相場で決める」というようなことも、ガイドラインでは認められていない。
  非正規労働者の賃金は、パートタイム・有期雇用労働法に、「正規との均衡を考慮しつつ、非正規の職務内容、成果、意欲、能力、経験などを勘案して、基本給、賞与などを決定するよう努める」との努力義務規定がある。「地域の賃金相場」は勘案対象にされていない(「など」には含まれないと解される)。
  各企業で、それぞれのパートタイム労働者の職務内容などに応じて、正規労働者との関係で不合理な待遇差でないことの設定と説明が求められる。

2)全体でなく、個別の事項ごとに待遇差を判断
  賃金などの労働条件には、基本給・賞与・各種手当・休暇・福利厚生・教育訓練・安全措置などさまざまなものが含まれる。
  正規労働者と非正規労働者の待遇差の比較では、個別の事項ごとに、労働条件の性質を踏まえたうえで判断する必要がある。
  このため、職務内容や職務内容・配置の変更範囲などが同じであっても、労働条件の事項ごとに、不合理性の判断は異なる。
  職務内容との関連が少ない、例えば、通勤や食事に関するものなどは、特段の事情がない限り、職務内容などが異なったとしても、正規労働者と非正規労働者との待遇差は許されない。同じ居住地から通勤してきて、勤務時間内の食事時間に同じように食事をするのに、待遇差が生じる合理的な理由はない。
  この点も、トラック運送事業者H社・N社に対する最高裁判決で確定している。最高裁判決では、一つ一つの手当ごとに、その趣旨・目的の合理性が検討され、待遇差を設けることに合理性のない各種手当の格差は否定された(参考資料3.4.参照)。
  物流業を含め各企業では、総人件費の増加を防ぐため、時間外手当や退職金に跳ね返る基本給での昇給を避け、多くの諸手当項目を増やして切り抜けてきた。その諸手当も正規労働者と非正規労働者間で格差をつけてきたのが、これまでの賃金制度であるが、この際、賃金制度そのものの見直しも必要と思われる。賃金制度の見直しについては、4項-(3)も参照されたい。

  以下、基本給・諸手当などについてのガイドラインを説明する。

(3)正規労働者と非正規労働者の基本給

1)基本給の不合理な処遇差は認められない
  基本給の決め方には、職務給、職能給、業績給、勤続給などさまざまな制度があることは容認されている。どの方式でも、正規労働者・非正規労働者を問わず、労働条件が同じならば、同じ基本給を支払わなければならない。

2)各制度のチェックポイント
  職務給の場合、同じような仕事でも、正規労働者と非正規労働者の内容が実質的に違うなら、その違いを明らかにし、違いに応じてそれぞれの職務給を決める。
  実務面では、トラック運転、物流センター内作業という職務の場合は、正規労働者・非正規労働者の内容について合理的な違いは少ないのではなかろうか。
  職能給は、業務経験・管理能力などの違いがあるので、待遇差も分かりやすい。
  業績給について、業績手当などを支給する場合も、正規労働者・非正規労働者が同じ成果ならば同じものを支給しなければならない。
  歩合給的な要素や品質(例:貨物事故)に関する責任度・ペナルティの有無などで違いを設けることは、均衡がとれていれば許される。しかし、正規ドライバーも非正規ドライバーも同内容の配送業務に従事していて歩合給に差があるのは、合理的な説明ができなければ許されない。
  定年後の再雇用は、定年前と職務内容、責任度などが変わらない場合、「定年までは年功制で高賃金だった」「定年後は厚生年金などを受給できる」などの理由は、正規労働者との処遇差が不合理かを判断する際、上記「③その他の事情」としては考慮できるが、それらの理由によって全ての処遇差は認められない。
  この点は、トラック運送事業者N社における「定年後再雇用」の基本給引き下げについて、2項(4)-2)の「③その他の事情」として最高裁判決でも容認されている(参考資料4.参照)。

(4)正規労働者と非正規労働者の賞与・役職手当

1)「非正規労働者のみ賞与なし」は許されない
  賞与を会社業績などへの貢献に応じて支給する場合、非正規労働者にも、貢献に応じて同一の支給をしなければならない。貢献度が違う場合は、その違いにより支給する。
  正規労働者には職務や貢献にかかわらず全員に支給するのに、非正規労働者には支給しないというのは許されない。

2)同じ仕事なら役職手当も同一に
  班長・グループ長など、一定の役職に就いている従業員に支給する役職手当は、役職の内容、責任の範囲・程度が同じならば、非正規労働者である役職者に同一の手当を支給しなければならない。
  「名ばかり店長」のように、同じ名称の役職でも、正規労働者と非正規労働者で職務の内容、責任の範囲・程度が異なる場合には、その違いに応じた手当を支給しなければならない。
  業務の危険度や作業環境に応じて支給される危険品取扱業務などの特殊作業手当、交替勤務手当などの勤務形態に応じて支給される特殊勤務手当(職務に関連して支給される手当)も、非正規労働者が同一の危険度や作業環境の業務に従事する場合、同一の勤務形態で業務に従事する場合には、同一の手当を支給しなければならない。
  「石油類の輸送」「高所作業となる荷台での積卸し」など同一の危険業務を行っても、「非正規だから危険度が低い」ことはあり得ない。
  ただし、非正規労働者が特定の業務、勤務形態に従事するために雇用され、手当相当分を含めた高い基本給を得ている場合は、手当は不要である(例えば、トラックターミナルの夜間警備のために雇用され、既に基本給に深夜手当分が含まれている場合など)。

(5)正規労働者と非正規労働者の諸手当

1)各種諸手当の基準について
  その他、諸々の手当も、基本的に、非正規労働者も正規労働者と同一の支給をしなければならない。
  時間外手当は、正規労働者の所定労働時間までの時間外労働に対しては割増賃金を支払わない、あるいは低い割増賃金率にすることは問題ない(例えば、パートタイム労働者など短時間労働者に残業させた場合に、労働基準法に定められた8時間までは割増賃金を払わない等)。
  所定労働時間は、各社が就業規則で定める労働時間なので、法定労働時間の8時間以内で自由に設定できる。また、時間外労働の割増賃金は、所定労働時間ではなく、法定労働時間を超したときに法的な支払い義務が生じる。所定労働時間を超えた時間外労働に割増賃金を払うか否かは、各社で決定できる(「その1」へのご質問の回答)。
  通勤手当は、正規労働者に月額の定期代を支給する場合、労働日数の少ないパートタイム労働者なら日額支給でよい。
  食事手当について、勤務時間が食事時間を挟まない非正規労働者に支給しないのは問題ない。正規労働者と非正規労働者で食事手当(食事補助券など)の額が異なるのは問題となる。「パートタイム・アルバイトだから、正社員より安い食事で我慢しろ」とは言えない。
  地域手当について、非正規労働者は地域ごとの採用とし、各地の物価水準(賃金水準ではない)などを勘案して地域ごとに基本給を設定していれば、手当を支給しなくても問題ない。

2)ガイドラインで考えが示されていない手当
  家族手当や退職金は、各企業で意味合いなどが異なるため、ガイドラインでは考え方を示していない。
  ただし、家族手当や退職金も、均衡規定の対象であり、正規労働者と非正規労働者に違いがある場合は、企業に説明義務がある。
  なお、トラック運送事業者N社における「定年後再雇用」の基本給引き下げについて、「定年時に、正社員として退職金を受け取っている」ことが、2項(4)-2)の「③その他の事情」として最高裁判決でも容認された(参考資料4.参照)。

(6)正規労働者と非正規労働者の福利厚生・教育訓練等

1)福利厚生施設と休暇
  事業場にある食堂、休憩室、更衣室などの福利厚生施設は、その事業場で働く非正規労働者には、正規労働者と同じように利用させなければならない。
  最近は、食堂・トイレ(化粧室)・休憩室・更衣室のクリンリネス(清潔性)や広さなどが、パートタイム労働者・有期雇用労働者が物流センターを選ぶ基準になっている傾向がある。託児所や保育施設までは無理としても、福利厚生施設へのある程度の投資は、人手不足対策の点から求められている。
  慶弔休暇など、労働者の事情による休暇も、正規労働者と非正規労働者には同じように付与しなければならない。
  病気休暇も、正規労働者と非正規労働者に、同一に付与しなければならない。有期雇用労働者は、雇用期間の終了日までに付与すればよいことになる。
  法定の年休は、非正規労働者に対しても勤務日数に応じて付与するのが義務である。法定外休暇は、勤続年数などの要件に応じ、非正規労働者にも、同一の付与が必要である(有期雇用労働者の場合は、当初の契約期間から通算して付与する)。
  「その1(後編)」6項-(2)-2)で述べたように、「管理監督者やパートタイム労働者(短時間)労働者等も含め、付与日数が10日以上である労働者を対象に、年5日は使用者の時季指定義務(年休付与義務)が課される。労働者の時季指定した年休等と併せて、年休を消化させることが企業の義務となる」ことは言うまでもない(2019年4月施行済)。

2)教育訓練と安全の確保
  現在の職務に必要な教育訓練は、正規労働者と非正規労働者が同じ職務内容であれば、同一に実施しなければならない。例えば、非正規労働者であっても、運行管理者の代務者として点呼を執行する場合に、必要な知識等の教育が考えられる。職務内容や責任に違いがあれば、その違いに応じて実施しなければならない。
  なお、パートタイム・有期雇用労働法には、均衡待遇の規定とは別に、職務に必要な能力を付与する教育訓練について、職務内容が同じ非正規労働者にも実施しなければならないとする規定がある。とくに、フォークリフト講習など労働安全衛生法に定められた安全・衛生に関する教育訓練は、職務に必要な能力と考えられる。
  また現在の職務に直接関係ない教育訓練(一般的な能力向上)などは、非正規労働者の職務内容、成果、意欲、能力及び経験などに応じて実施するという努力義務が規定されている。例えば、営業所では接客・電話マナーなどが考えられる。
  労働者の安全と健康を守るために、同一の職務環境下で働く場合は、正規労働者と非正規労働者に対して同一の措置を講じなければならない(安全配慮義務)。
  具体的には、安全衛生教育の実施、安全帽・安全靴・防塵マスクの支給などである。ターミナルでのボックス仕分け業務で、正規の作業員は安全靴で、非正規作業員はスニーカーでは問題がある。
  労働災害などに関する判例では、事業者の「安全配慮義務」は広く捉えられているとともに、労働災害などでは事業者の安全配慮義務違反が訴えられる事例が増加している。

(7)派遣を受け入れる企業(派遣先企業)に必要な対応

1)比較対象労働者の待遇に関する情報提供義務
  労働者派遣法の改正により、派遣労働者と派遣先の労働者との均等・均衡待遇を確保するため、新たに派遣を受ける会社(派遣先)に対して、労働者の待遇に関する情報提供義務、派遣料金に関する配慮義務などが創設された。
  派遣会社と契約を締結する際は、派遣労働者の業務ごとに、自社でその業務を担当する労働者(比較対象労働者という)の賃金などの情報を提供する必要がある。全ての労働者ではなく、派遣労働者を受け入れる業務の比較対象労働者だけでよい。
  労働者派遣契約は、派遣会社と派遣先との交渉で決まるが、派遣労働者の適切な待遇確保のため、新たに、派遣先は派遣料金に関して派遣会社が法律を順守できるように配慮しなければならないとされた。
  詳しくは、派遣企業に問い合わせられたい。

2)派遣労働者に便宜を図るポイント
  教育訓練の実施や、食堂、休憩室、更衣室など福利衛生施設、さらに診療所の利用なども、派遣労働者に便宜を図らねばならない。
  また、派遣先は、派遣会社から求められた場合は、派遣先の労働者に関する情報や派遣労働者の業務の遂行状況などを提供するなど、必要な協力をするように配慮しなければならない。
  この点も、派遣企業に問合せられたい。
  なお、従来から、労働者派遣法において、派遣労働者を受け入れる場合には、「派遣先管理者の選任」「派遣先管理台帳の作成」「適正な派遣就業を確保するための措置」などが義務付けられている。

(8)非正規労働者への労働条件の明示

1)パートタイム労働者・有期雇用労働者への条件明示の義務
  パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者を雇い入れる場合、労働基準法、パートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法に基づき、労働者本人への労働条件明示が義務付けられる。今次の法改正により、従来はパートタイム労働者だけが対象だったのが、有期雇用労働者にも対象が拡大された。
  労働基準法は、全ての労働者の労働条件を広く明示することを義務付けている。
  具体的には、労働条件のうち、契約期間、有期労働契約を更新する場合の基準、仕事する場所と仕事の内容、始業・終業の時刻・残業の有無・休憩・休日・休暇、賃金、退職に関する事項などは「文書で明示する」としている。
  さらにパートタイム・有期雇用労働法は、パートタイム労働者等を雇う際に、「昇給」と「退職手当」、「賞与の有無」、労働者の「相談窓口」の4項目を「文書で明示」することとしている。それ以外は口頭説明でも構わないが、説明義務がある(図表5参照)。

2)派遣労働者への労働条件明示の義務
  派遣会社の義務なので省略する。

図表5 パートタイマー雇用契約書(例)

出所)筆者収集の資料
*画像をClickすると拡大画像が見られます。

(9)雇用管理改善に関する事項の説明

1)パートタイム労働者・有期雇用労働者への説明義務
  パートタイム労働者・有期雇用労働者を雇入れたときは、速やかに均等・均衡待遇の確保、賃金の決定方法、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、正社員転換の措置について、実施している雇用管理の改善措置の内容を説明しなければならない。
  上記(8)-1)同様に、従来は、パートタイム労働者についてのみ規定があったが、今次の法改正により、有期雇用労働者を雇い入れたる場合も対象となった。
  具体的には、賃金制度はどうなっているか、どのような教育訓練があるか、どの福利厚生施設が利用できるか、どのような正社員転換推進措置があるかなどを説明する必要がある(図表5では、「正社員転換の機会があれば知らせる」と文書で明示されている)。
  また、労働者からの申し出があれば、パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇決定にあたって考慮した事項を説明しなければならない。
  賃金の決定方法、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、正社員転換の措置決定にあたって考慮した事項について、例えば、どの要素をどう勘案して賃金を決定したか、教育訓練や福利厚生施設のうち利用できないこととしたものはなぜ使えないか、などである。
  この規定も有期雇用労働者が対象に拡大された。

2)派遣労働者への説明義務
  派遣労働者には派遣会社に説明義務があるので、省略する。

(10)正規労働者・非正規労働者の待遇差の内容・理由の説明義務

1)正規労働者の待遇を開示する義務
  パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者から申し出があった場合には、同じ職務、あるいは類似の職務に従事している正規労働者はどのような待遇で、非正規労働者の待遇とはどう違うのか、そのような違いがある理由は何かを説明することが、新たに義務付けられた。
  Aさん・Bさんなど個々の正規労働者の待遇を説明する必要はないが、具体的な待遇は明示しなければならない。違いの説明も、「雇用形態が違う」「あなたは非正規雇用だから」など抽象的な理由では不十分で、正規労働者との役割、責任の違いなど客観的な理由を示さなければならない。

2)書面で提示することも検討
  この説明義務は、企業と非正規労働者間の不信をなくし、両者が話し合いできるようにするためである。企業がきちんとした説明を行い、非正規労働者が自分の待遇に納得すれば、待遇に関する紛争は未然に回避できよう。
  職場での待遇に関する紛争が多発し、労働者側から労基署・労働委員会などに申請されることが多い。「その1(後編)」でも述べたように、ユニオンなどの支援者が付いている場合が多い。そのほとんどは、「言った、言わない」と、上述の(8)~(10)で示した企業の説明義務が不十分であることが原因である。
  そこで、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者が、十分に理解できるように、わかりやすい資料を作成し、重要な点は書面で提示することが望ましい。なお、非正規労働者が説明を求める申し出をしたことを理由として、「お前、生意気だ」「職場の和を乱す」と解雇などの不利益な取り扱いをすることは禁止されている。

(11)均等・均衡な処遇の履行確保措置

1)紛争解決の基本は事業場内で
  均等規定・均衡規定は法で定められており、「同一労働同一賃金」関連各法では罰則はないが民事的効力がある。
  罰則がないということは、紛争があれば、これまで同様に最終的に裁判で決着せざるを得ない。
  しかし、それでは時間や費用が掛かるので、迅速な対応のため、事業場での解決、行政の助言・指導、行政ADR(裁判外紛争解決手続)の規定が整備された。
  労働条件に関する不満はや紛争は事業場内で解決することが望ましく、事業者は、苦情処理機関や苦情相談担当者を置くなどして、自主的な解決に努めることとされている。
  多くの雇用条契約書を見ると、苦情相談担当者には物流センター長など事業場の責任者が書かれている(図表5参照)。正規労働者すら事業場責任者には物を言いにくいのに、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者が苦情相談できるだろうか、筆者は疑問に思う

2)調停はどのように行われるか
  事業場内で紛争解決できなければ、非正規労働者、事業者は都道府県労働局長(以下、労働局長という)に解決の援助をもとめることができる。労働局長は、援助を求められたら、労使から事情を聴くなどして、紛争解決に必要な助言、指導をする。事業者に明確な法律違反がある場合や助言・指導に従わない場合は、事業者に勧告することができる。
  (10)-2)同様に、労働者が労働局長に紛争解決の援助を求めたことを理由に、不利益な取り扱いをすることは禁止されている。
  労働局長が必要と認めた場合、学識経験者などの専門家で構成される調停会議で調停を行う。調停会議は、必要に応じ、当事者や参考人から意見を聴いたうえで調停案を作成し、当事者に受諾勧告を行う。
  行政ADRについても、(10)-2)同様に、労働者が調停を求めたことを理由として、不利益な取り扱いをすることは禁止されている。
  最近は、(10)-2)で述べたように、事業場内で紛争が起こった場合に、ユニオンなど支援者が事業場に押し掛けるケースもあり、事業者から労働局長へ「助けてくれ」という援助要請も増えていると聞く。

※後編(次号)へつづく


(C)2019 Masayuki Hasegawa & Sakata Warehouse, Inc.


このページのトップへ戻る