ロジスティクス・レビュー

第409号 在庫管理と経営戦略 第4回 在庫削減の具体策(前編) (2019年4月11日発行)

執筆者  長谷川 雅行
(株式会社日通総合研究所 経済研究部 顧問)
    執筆者略歴 ▼

  • 経歴
    • 1948年 生まれ
    • 1972年 早稲田大学第一政治経済学部卒業 日本通運株式会社入社
    • 2006年 株式会社日通総合研究所 常務取締役就任
    • 2009年 同社顧問
    保有資格
    • 中小企業診断士
    • 物流管理士
    • 運行管理者
    • 第1種衛生管理者
    活動領域
    • 日本物流学会理事
    • (社)中小企業診断協会会員
    • 日本ロジスティクス研究会(旧物流技術管理士会)会員
    • 国土交通省「日本海側拠点港形成に関する検討委員会」委員ほか
    • (公社)日本ロジスティクスシステム協会「物流技術管理士資格認定講座」ほか講師
    著書(いずれも共著)
    • 『物流コスト削減の実務』(中央経済社)
    • 『グローバル化と日本経済』(勁草書房)
    • 『ロジスティクス用語辞典』(日経文庫)
    • 『物流戦略策定のシナリオ』(かんき出版)ほか

目次

1.はじめに

  第1回~第3回では、在庫管理の理論や手法について述べてきた。
  第4回では、これまで中小企業診断士として、さまざまな企業の現場改善に取り組んできたことなどを踏まえて、紙面の都合もあるので幾つかに絞って、できるだけ実務に即して「在庫管理の具体策」を説明したい。
  ここでは、倉庫・物流センターの現場ではなく、製造業の現場である「材料・部品在庫の削減」と「仕掛在庫の削減」を中心に述べることにする。
  筆者は、物流コンサルティングのなかで、上流段階である農水産業・製造業等からの相談にも乗るようになった。そこで感じたのは、物流・ロジスティクスの改善は、上流段階で改善されなくては効果が現れにくいということである。逆に、上流段階が改善されれば、極論すれば、放っておいても物流・ロジスティクスは改善されていく。
  また、荷主である農水産業・製造業・流通業等が、在庫削減をどう進めているかを知ることによって、荷主の考え方に沿った倉庫・物流センターの改善提案にも結び付くと思う。
  実際に、この連載で述べているようなことを、物流業者のセミナーなどで話すと、「JIT、MRPやTOCなど、荷主が言っていることが、よく分かった」などという感想が、現場管理者などから出る。
  孫子の兵法、「彼れを知りて己を知れば、百戦してあやうからず」のように、彼れ(荷主)の考えも知って欲しい。そこから、荷主への提案が生まれると思う。

2.在庫削減の効果

(1)在庫削減の効果

  繰り返しになるが、「在庫削減の効果」として、第一に、第1回でも説明した「資金効率の向上」がある。
  在庫は、お金と同じだから、在庫が少ないと、その分の資金が運転資金として有効に活用でき、借入金も少なくて済むことになる。
  第二に、「原価低減と利益の増大」は、第1回で説明したように、1年間に在庫金額の15~25%の費用がかかっている。その分、原価を低減できることになる。
  第三の「問題点の顕在化と改善対策の迅速化」は、在庫を減らすことによって、問題点が浮き彫りにされて、迅速な改善活動に繋がっていく。
  在庫している状態というのは、氷山にたとえれば、水面上に現れている部分に過ぎない。問題は、それを支えている水面下の部分、すなわち、生産・販売・物流の実態である。したがって、在庫を何とかしようと思えば、生産や販売、物流の仕組みを変える必要がある。
  たとえば、生産について、工場を池に、在庫を池の水とする。池の水である在庫を削減すると、「欠品」などの問題が顕在化して発生し、なぜ、その工程で問題が生じたか、欠点がすぐ分かり、対策をとることができる。これが在庫削減の一つの効果である。
  第四に、「生産期間の短縮」である。在庫が減れば「生産リードタイムが短くなる」ということである。今や、リードタイム短縮の要請が厳しく、それに対応しなければ生き残れないので、経営のスピード化が従来以上に重要になっている。

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(2)流動数曲線の活用

  在庫と生産期間の関係は、図表1の「製作期間=平均仕掛量/平均消化量」という式で表され、製作期間は、各工程の仕掛量に比例する。したがって、仕掛量を減らせば、リードタイムの短縮は可能になる。
  図表1では、生産工程へのインプットを表す「累計受入量」(図の破線)と、生産工程からのアウトプットを表す「累計払出量」(図の実線)がプロットされている。
  ある時点に対応するタテの線を引くと、二つの曲線のタテの間隔が「仕掛量」を示している。6月9日の時点では、「累計受入量(109個分)-累計払出量(93個)」から16個が仕掛品として生産工程に在庫として滞留している。
  ヨコ線を引くと、二つの曲線のヨコの間隔が「製作期間」(仕掛品の滞留期間)を表すことになる。70個目にあたる部品材料は、製作期間にほぼ2日要している。
  生産着手から完了までの、「生産リードタイム」を短くしようとすれば、仕掛量を減らせばよいことが理解できると思う。そこで、「生産工程における仕掛品の実態はどうか」を調べて改善が始まる。
  この「流動数曲線」を使って、物流や生産管理を行う企業は多い。説明したように難しい技法ではないので、この「流動数曲線」は使える。

  仮に、ヨコ軸に時間(日)、タテ軸に前残+入庫累積数と出庫累積数を描いたグラフと想定すると、破線は前残在庫+入庫実績の累計数を示し、実線は出庫実績の累計数を表す。
  破線と実線の間のタテ間隔は在庫数を表す。破線と実線の間のヨコ間隔は在庫保有日数を表す。
  図表1では、毎日ほぼ安定した入庫・出庫となっているが、実際には大量の出庫(特売など)がある。入庫は、少量ずつ毎日入庫している。間欠的な大量入庫の場合は、入庫直後は在庫が膨らみ、入庫直前に在庫が少なくなる。幸い、欠品は起こっていない。
  図表1のように、1回当たりの入庫量を減らして入庫頻度を上げれば、サービスレベルを維持しながら在庫を減らすことができる。
  このように、流動数曲線を分析・活用することで、在庫の削減に関する問題点も明らかになる。

3.JIT(ジャストインタイム)

  在庫削減については、総花的に取り組まずに、重点品目の在庫を重点的に管理して削減することが、マンパワーからも重要である。
  これは、第2回の「ABC分析」で紹介したように、在庫を効率的に削減するためには、金額の大きい、あるいは流動性の高いA品目に重点を置こうということである。
  このABC分析については分かっていても、実際は、なかなか使われていないようである。在庫管理の基本であるから、ぜひ、実行して欲しいと思う。

  ジャストインタイムとは、部品であれば、必要なときに、必要なだけ生産工程に到着することを指している。単に、「インタイム」(間に合う)だけではない。
  インタイムであれば、何週間も前に部品の作り溜めをしておけばよいわけで、それよりも「ジャスト」が重要な意味を持つ。
  「余裕をもって間に合う」インタイム」ではなく、「ちょうど間に合う」オンタイムで材料・部品が到着することによって、作り過ぎのムダ、手持ちのムダ、在庫のムダがなくなる。
  正しい英語では「ジャストオンタイム」となるが、今や、英語圏でも「ジャストインタイム」と言えば「リーン・プロダクト(生産方式)」として通じるようである。
  その代表が「トヨタ生産・物流方式」「トヨタかんばん方式」。である。

  JITにおける発注システムの改善は、概略発注分割方式の適用であるが、これは、定期的に3ヶ月分くらいまで、概略の納期・数量で発注する。あるいは内示発注をしておいて、実際の取り入れにあたっては、サイクル期間の短い取り入れ計画を作り、小刻みに分割して取入れをする方法のことである。
  第2回では、「定期発注方式」における在庫削減方法の一つとして「リードタームの短縮」を説明したが、この取入れサイクル期間を短くする(月次→旬次、旬次→週次、週次→隔日、隔日→日次、日次→1日複数回など)ことが大事である。

  JITの本質は、「計画化」「平準化」「同期化」である。

①計画化
  計画的に発注したり、セブンイレブンなどコンビニが実施している計画配送のシステムを構築する。

②平準化
  できるだけ平均化してモノをつくるようにする。それによって、必要な部品も平準化され、また、リードタイムも平均化されることになる。
  需要は、つねに変動するので、それに対応しなければならないのは当然であるが、現場が実行可能な計画でなければならない。現場が実行可能なように、作業量をできるだけ平準化しておいて、対応しきれない部分だけ安全在庫として保有しておく。
  例えば、自動車業界では、クルマの売れ行きに合わせて、車種や生産量を柔軟に変えられる混流生産を導入している。そのためには、生産ラインで造る車種の順番に合わせて、部品を生産・納入する体制が必要になる。従来のような同一部品をまとめて調達する方式を改めることによって、材料・部品在庫を大幅に減らしている。
  物流も平準化すれば、トラック台数やドライバーも少なくて済むということから、国土交通省では2017年度から「生産性革命」を進めている。そのなかで、荷主・物流業者の連携による平準化も取り組まれており、2018年2月に都内でセミナーが開催され、平準化に取り組む荷主の事例が紹介された。

③同期化
  各工程のスピードを一致させる。もし、同期化されていなければ、スピードの速い工程から遅い工程に移る段階で、停滞が発生する。後述するTOC(制約理論)は、スピードの遅い工程に全体のスピードを合わせようという、同期化の考え方でもある。販売と生産・物流の同期化によって、製品在庫も大幅に減少することになる。
  こういう前提の無いままジャストインタイムに調達したり、あるいは納品しようとすれば、非効率な物流(たとえば、積載率の低下、配送車両の増加、作業時間が長くなる)、また、社会的にも交通渋滞とか、地球温暖化にも関わってくる。
  トヨタが強調しているのが、「ニンベンのついた自働化」である。機械は、放っておけば、「間違えったことを続けてしまう」「不良品の山を作ってしまう」。それを人間が停める、あるいは機械が自動停止する仕組みである。
  以前に、全自動化された名古屋港のコンテナターミナルを見学したが、そこでもトヨタ生産・物流方式で、構内でコンテナを運ぶAGVにも「止める」ために二重三重の安全装置がついていた。

4.かんばん方式(見える化)

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  トヨタ生産システムについては、いろいろな本で紹介されている。その理念について最も分かり易いのは、創始者である故・大野耐一氏(元・トヨタ副社長)ご本人が書かれた「トヨタ生産方式」(ダイヤモンド社。30数版を重ねている)ではないだろうか。
  筆者は大野氏の薫陶を受けた、元・技監(現場技術者のトップ)の銀屋 洋氏の講演を聞いたことがある。

  「トヨタかんばん方式」は、図表2で示した通りであり。「かんばん」がなければ「運ばない」「作らない」ので、在庫が極小となる。
  「かんばん方式」は、以下の6つのルールから成り立っている。
①「かんばん」の数だけ後工程が前工程に取りに行く
②前工程は後工程が引取った分だけ、引取った順に生産する(余分に在庫を持たない)
③不良品を後工程に送らない(工程で品質を作り込む)
④生産を平準化する
⑤「かんばん」がないときは、運ばない、作らない
⑥「かんばん」の枚数を減らしていく(製品在庫・仕掛在庫を減らして、問題点を明らかにし、改善する)

  物流の分野でも多くの企業で、このトヨタかんばん方式が導入され、在庫の削減、納品リードタイムの短縮、作業の効率化などで成果を挙げている。
  JITや「かんばん方式」は、業種・業態の違いなどから、いろいろと難しい点もあるが、やらないと他社に遅れてしまうということで、その後、徐々に広がって来た。
  また、トヨタ生産・物流方式は、15分を一つのタクト(単位)として、15分間にどの位の仕事ができるか目標を立て、結果を検証していく。

  今、国交省等が進めているトラック予約システムについても、完成車輸送を担当するトヨタ輸送では、15分単位(15分を基準として、30分、45分、60分というように。10分や20分単位でないのは、トヨタの生産の長い歴史から得た経験値であろう)で、トラックバースの管理をしている。

5.MRP(資材所要量計画)

  MRPを物流業界で導入している例は少ないので、1節を設けて説明する。

(1)MRPとは

  原材料・部品の引当方法の一つとしてMRP(Material Requirement Planning=資材所要量計画)があり、メーカーなどで多く導入されているが、最近は、コンビニのPB生産・商品調達などでも活用されている。
  物流業界では導入例が少ないと述べたが、MRPとは知らずに、荷主の要請により実務面で運用しているケースは見られる。
  筆者がセミナーでメーカーの資材・購買担当者に、「MRPを導入している会社は、手を挙げて下さい」と尋ねると、1/3が手を挙げるが、「巧く行っていますか」と畳みかけると、Yesという答はほとんど無い。

  筆者も分担執筆しているビジネス・キャリア検定試験「ロジスティクス管理2級」標準テキスト第3版には、
「生産部門において部品材料の在庫管理によく使われているのが、MRPである。製品の部品材料構成と、各部品材料の調達リードタイムを登録しておき、生産計画に従って各部品材料の所要量計算を定期的(多くの場合週1回)に行う。調達リードタイム、在庫量、発注量と所要量から各部品材料の手配を行う。パッケージソフトも多く市販されており、多くのメーカーで部品材料の補充手配に採用されている方式である」
と書かれている。
  MRPが生産工程で普及してきた理由には、
①情報量の増大(多品種少量生産、多頻度納品)
②生産管理システムの普及、
③ICT化(MRPソフトなど)
が挙げられるが、この①~③は物流においても同様である。
  MRPとは、生産計画に合わせ、材料・部品の必要量をコンピュータで総合的に管理する、生産・在庫管理方式と言えよう。これまでの在庫管理より、上流である生産管理・調達管理・資材管理の分野に一歩踏み込んだ戦略的な在庫管理と言える。
  第1回冒頭の「水道の蛇口と水槽」の絵を思い出して欲しい。上の蛇口のその上流まで遡って管理しようというのがMRPである。「源流管理」の一手法とも言える。
  最近は、物流センターでも、セット詰めやPETボトル入り飲料への「首掛け」(販促キャンペーンの札などを取り付ける流通加工業務が増えている。
  流通加工には、首掛けのタグ・景品や梱包材料などの調達について、MRPの考え方を取り入れていかないと、商品があっても販促品が欠品して作業ができないなどトラブルを生じる。

(2)統計的在庫管理とMRP

  MRPの資材計画・購買(調達)計画は、前述したように生産管理における計画機能の一つであり、MRPが導入されると、自ずから川上(源流)であるサプライヤー・ベンダーからの調達物流の効率化・改善が求められることになる。
  材料・部品は必ずしも計画通りに入ってくるとは限らないので、遅れていれば、納品管理システムで督促するなどの日常業務も必要である。
  「MRPを導入したけれど巧く行かない」という理由の一つには、コンピュータ任せになっており、材料・部品入荷のイレギュラー対応力が、現場に不足していることもあるようだ。
  また、「MRPを導入したが在庫が減らない」という声も聞くが、もともとMRPは在庫削減が主目的ではなく、資材調達・購買の「欠品を無くす」「煩雑な手間を簡素化する」ことが目的である。
  第2回では、伝統的な統計的在庫管理に基づく「定量発注方式(発注点法)」と「定期発注方式」について説明したが、MRPは、「定期発注方式」の応用ということになる。
  4項で説明する「かんばん」方式は、「かんばん=発注点」であるから「定量発注方式、(発注点法)」の応用と言えよう。

(3)MRPの処理機能

  生産計画で「なにを」「いくつ」「いつ」造るかということが決まり、MRPに送られる。MRPでは以下の処理を行う。

①材料・部品の所要量の計算
  まず、製品の生産量に基づき「部品展開」して「材料・部品の総所要量」を計算する。
  部品については、一次部品だけに展開する「サマリー型」と、さらに二次・三次と部品展開していく「ストラクチャー型」がある。
  かなり前に、日通では「パソコン・キッティング・サービス」として、ノートパソコンの組立て、アプリケーション・ソフトのインストール、CD-ROMや取扱説明書のセット、宅配便による配送を請け負っており、筆者が主宰する中小企業診断士の研究会でも見学会を開催した(今でも、半年に1回の「物流見学会」を開催しており、前回は、このロジスティクス・レビュー誌でも紹介された、きくや美粧堂殿を見学した)。
  日通物流センターには、たいした物流機器もなかったので、見学した技術屋さんは不満だったようだが、SCMの専門家には大変好評だった。
  同センターでは、ノートパソコン部品はストラクチャー型、その他の付属品はサマリー型で、MRPにより調達していた。(残念なことに、そのパソコンメーカーは、ノートパソコン事業を中国企業に売却してしまい、生産が中国に移転して国内生産そのものが無くなった。)

②在庫の引当
  次に、手持ち在庫の引当を行う。
  手持ち在庫「OH」は「On Hand=オン・ハンド(手元にある)」で、「在庫品」を表す。また、「OO」は「On Order=オン・オーダー(発注済である)」で、「発注残」を表す。目の前に在庫があっても、既に引当済であれば、在庫として使えないので「OH」ではない。

③正味(純)所要量とリードタイムの計算
  引当(OH・OO)を差し引いて、本当に作ったり、買ったりする「正味(純)所要量」を計算する。
  さらに、調達リードタイム(内製の場合は生産リードタイム)の計算をする。
  化粧品メーカーの話では、本体(化成品が原料)はリードタイム1日だが、容器・化粧箱などの調達は1月以上かかるとのことである。

④ロットまとめと発注
  生産・購買に最適な、予め決められた生産ロットにまとめる。
  予め決めてあるリードタイムによって、先行計算を行い、着手日別の発注オーダーを自動的に出力する。

⑤納期管理
  あとは、計画に従い、納期管理を行う。

  MRPは、多品種少量の加工・組立をやっているところでは、有効である。
  最近は、飛び込み注文や設計変更が多く、そのつど手直しが必要になるが、往々にして手配漏れとか納期遅れが発生しがちである。その対策として、MRPの導入メリットは大きい。

  MRPの処理機能をおさらいすると、
  「生産計画→部品展開→在庫引当→正味所要量計算→納期設定→発注(月次・週次の定期発注)」
となる。
  あとは、材料・部品の変更や納品時のイレギュラー(遅納・未納)に対して、すぐ次のMRPを回して、修正発注・緊急発注等の対応ができるかどうかが、MRP導入の成否の分かれ目になる。

(4)MRPの基本的な計算過程

  前項の処理機能を、具体的な数字で計算してみよう。コンピュータになったつもりで読んで欲しい。
  MRPの手順は、図表3にあるように、以下の通りである。

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①右上の表では「1,2,3,4」は生産期間(第1期~第4期)を示す。
  製品A・Bには、部品Xが各1個使われる(簡単にサマリー型で示している)。
  製品Aの生産計画は、各期100個である。
  製品Bの生産計画は、各期50個である。

②これを部品Xの在庫として見たのが、下の表である。
  Xの発注ロットは200個で決まっており、発注から納品までのリードタイムは1期かかる。
  Xの総所要量は、右上の表から各期とも100(A用)+50(B用)=150個である。

③第1期
  既に手持ち在庫(OH)が200個あり、手持ち在庫で製品Aを100個、製品Bを50個生産できるから、部品Xの発注は不要である。

④第2期
  期初には、手持ち在庫が200個から150個使ったので50に減る。
  既に発注済(OO)であった100個が納入されるので、部品Xは150個となり、第2期も、第1期と同様に手持ち在庫で製品A・Bを生産できるから、部品Xの発注は不要である。

⑤第3期
  期初には、手持ち在庫は0となる。
  製品A・B合わせて150個を生産するためには、第3期初に150個納入されていなくてはならない。
  そこで、第2期初に発注ロットの200個を先行オーダーしておく(着手日欄)のである。

⑥第4期
  期初には、部品Xは50個あることになる。
  製品A・B合わせて150個を生産するためには、第4期初に100個納入されていなくてはならない。
  そこで、第3期初に発注ロットの200個を先行オーダーしておく(着手日欄)のである。

以下、これが繰り返される。

  この計算過程例は、各期の生産計画が均一であり、部品も1種類だけなので、非常に簡単だが、生産アイテムの少ないビール等でも数十アイテム(容量等のSKUは、もっと多い)であり、逆に部品点数の多い自動車では3万点にも及ぶ。
  調達件数が「製品アイテム数×部品点数」となれば、MRPでなくては処理できない(実際には、計算過程例のように共通の材料・部品もあるので、単純な「積」と言うわけではない)。

※後編(次号)へつづく


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