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WSセミナー

第569号 これからの物流について一緒に考えましょう(中編)~物流2024年問題、物流統括管理者(CLO)など~(2025年12月4日発行)

執筆者 浜崎 章洋 氏
大阪産業大学 経営学部商学科 教授

 執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。
    • タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会社設立を経て現職。
    • 2004年度、2013年度日本物流学会賞、第12回鉄道貨物振興奨励賞特別賞受賞。
    著書
    • 『改定第2版 ロジスティクスの基礎知識』(海事プレス社)
    • 『物流コストの算定・管理のすべて』(共著、創成社)
    • 『ロジスティクス・オペレーション2級』(共著、社会保険研究所)
    • 『通販物流』(共著、海事プレス社) など

*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回、大阪産業大学 経営学部商学科 教授 浜崎 章洋 先生の講演内容を3回に分けて掲載いたします。
*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。
*前号(2025年11月18日発行 第568号)より

目次

1.CLOについて 2)CLOに対する各社への問題提起

私は大学教員という立場なので、物流業界とか、皆さんの物流のお仕事を外から見ているのです。中に入って日々業務をしているわけではないですし、オペレーションを行ったり計画を作っているわけではないので、外から見ているからこそ見えることがあると思うのです。そういった視点で発言しているということを、ご理解いただければと思います。

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こちらは、これから取り組まれるであろう、各社さんに対する問題提起ということで、こちらに取りまとめています。特定荷主に選ばれようが選ばれまいが、改正物流効率化法が2026年4月より施工予定ですが、数年後にいずれ実施するとして、法律や規制の対応だけで終わるのですか。これは多分、すごく手間と時間とお金がかかると思いますので、それだけではもったいないのです。
つまり、物流コスト削減とか人手不足対応だけで終わってしまうのか、あくまでも物流部門の中で解決させていくとか、物流会社の中で対応するだけで終わってしまうのかというと、このあたりは非常にもったいないと思います。折角実行するのだったら、少なくとも自社の、調達とか生産、販売、物流、全体を一括りにするロジスティクスの最適化、そんなところを目指していただきたいと思います。
更に次の段階では、仕入れ先とか、販売先、取引先も含めたサプライチェーンの最適化を目指していただきたいと思います。これは売上を上げるためだけのことではないのです。いろんな無駄があり、それを改善して、廃棄物を減らすとか、CO2を減らすとか、フードロスを削減するとか、持続可能な社会を実現するために、折角始めるのならここまで取り組んでいきましょう、こういうふうに、問題提起をしたいと思います。
そんなこと言うだけだったら、と思われるかもしれませんが、実はこういう時は、かえってビジネスチャンスなのです。例えば、荷主企業の物流部門の方は、今まで営業部門とか製造部門とかに、かなり悔しい思いをしていませんか。一生懸命努力して、物流コストを削減して、物流改善をして、生産性を高めているのに、緊急出荷が1件か2件あっただけで物流コストが跳ね上がるとかですね。あるいは、一生懸命、業務改善していたのに、これまでの出荷形態が変わってしまい、元の木阿弥みたいになってしまったようなことがあるかと思います。
そのような悔しい思いをされてきた物流部門の方にとって、このような機会は、千載一遇のチャンスではないかと思います。もう一つ、物流会社の方にとってみれば、これは確実にビジネスチャンスなのです。
今日、荷主の物流部門の方が、たくさん参加されていると思いますが、荷主の物流部門の人数は、5年前、10年前と比べて減ってきており、人数が削減されています。皆さんの会社でも以前に比べて減ってきているかと思います。
更に、仕事の範囲は確実に増えています。例えば、新たに海外との輸出輸入が始まったりとか、従来の物流だけではなくて、BCPや、災害時の物流対応について考えないといけないとか、環境負荷軽減策について考えて取りまとめないといけないとか、人手不足の対応策を考えないといけないとか、5年前10年前と比べて確実に業務量が増えているのに、(物流部門の)人数は減らされてきているのです。
その限られた数の物流部門の人員で、次のCLOの業務への対応、いろんな企画をして、改善を行っていくということは、到底無理なのです。ということは逆に言えば、提案力のある物流会社さんにとっては、大きなビジネスチャンスなのです。
取り組みたくてもできない、こういった時は、間違いなくビジネスチャンスなのです。今日ご参加の、荷主企業の皆さん、あるいは、物流事業者の皆さん、物流に関連しているサービスを提供されている皆さんも、ビッグビジネスのチャンスがやって来た、こんなふうに考えていただけるとよいのではないかと思います。

LSCと経営成果との関連性分析

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これは、私が今から25年ぐらい前に、東京工業大学の圓川先生と共同研究を実施したのですが、荷主企業の方々に、LSC(ロジスティクス・スコア・カード)という、その会社のロジスティクスのレベルを診断する簡単な診断シートを使用して、これに回答していただいたものと、その会社の業績を統計分析した結果になります。
ロジスティクスのレベルの高い会社は業績がよく、ロジスティクスのレベルの低い会社は業績が良くないということを、統計学的に証明しました。これは実は日本だけではなくて、東南アジアの企業とか、ヨーロッパの企業、中国の企業にも協力していただいたのです。
例えば、業種を問わず国を問わず、ロジスティクスのレベルの高い会社は業績が良くて、ロジスティクスのレベルが低い会社は業績が良くない、という結果が出ていました。今回のCLOにも関係してくるのですが、在庫を適正化して、ローコストオペレーションを行って、取引先と交渉し、サプライチェーンの最適化に取り組んでいる会社とそうでない会社は、業績が違って当たり前なのです。それで、何が言いたいかというと、こういったCLO(チーフ・ロジスティクス・オフィサー)の、対応をされるのであったら、自社の経営改革、あるいは荷主の経営改革を、どんどんと進めていっていただきたい、こんなふうに思っている次第です。
では、どんな人が向いてるのかですが、これは私の経験則から少し事例を集めてきました。私は日本ロジスティクスシステム協会時代に、物流技術管理士講座の事務局を担当していたのです。当時、私は関西担当だったのですが、1期あたり100人から120人位の参加者がいて、計15期を担当し延べ1,500人ぐらいの卒業生をサポートしてきました。あとは、コンサルティングをやっていたときも、物流管理部門のお客様がいたりとか、大学教員になってから、いろんな企業の方とお付き合いしている中で、お会いする方の役職は各社様々で、サプライチェーン担当役員とか、ロジスティクス担当役員、物流部長とかなのですが、いわゆるCLOの立場のお仕事をされていた方の役職は、大体3パターンあります。

1.CLOについて 3)CLOの事例

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1番目のパターンは、一番積極的なタイプの方で、元々物流が専門ではないのですが、例えば、元々生産部門とか、営業部門、そういった方が調達とか、生産、販売の責任者をされてから、物流・ロジスティクス部門に来られて、いわゆるチーフ・ロジスティクス・オフイサー、CLOのようなお立場になられた方です。
例えば、関西に本社がある、食品メーカーさん、日用雑貨メーカーさん、小売業さんで、生産、購買、調達、営業部門の複数の部署を経験されてきた方が、物流の責任者をされたというパターンが結構ありました。そんな方々に、いろいろお話を聞いていると、「物流部門へ来て、今まで自分がどれだけ営業のとき、酷いことしていたかというのがよくわかった」、今は、営業部門に当時の部下がいるので、「もうアカン、(締め時間を過ぎており)緊急出荷を止めてくれ」と言ったら、元上司ですから聞いてくれるとか、「実は営業の手の内がわかっている」とか、「元部下がいるから説明しやすいんだ」等、そういったことを言われていました。
2番目のパターンは、他部門の経験があまりなくて、物流・ロジスティクス部門一筋の方が、その部門長になり、CLOになられている方です。こちらも関西に本社がある、電機メーカーさんとか、大手加工食品卸売業の方で、どちらも元々ずっと物流、ロジスティクス畑の方です。物流、ロジスティクス馬鹿なのかというと、決してそうではなくて、非常に全体を俯瞰して見られているのです。こうあるべきではなくて、営業とか調達部門の方の話もよく聞かれますし、「理想はこうだけれども、とはいえ、取引先のあることだから」と言って、その辺りは非常に上手くバランスを取られており、(部門間の)調整が非常に上手い、という印象を受けています。
どちらが良い悪いというのではなく、その会社の、例えば社風だとか、あるいは業界の特性だとかがあるかと思います。
3番目のパターンは、たまにあるパターンなのですが、中途採用の方が、そのままそこの会社のロジスティクス部門の責任者になられたという方で、もちろん元いた業界でそういった立場におられた方なのですが、同業者であったり異業種であったりしますが、その会社へ来て、ロジスティクス部門の部門長に着かれたという場合があります。この場合は、関連部署の方とコミュニケーションがとれるまで、少し時間がかかることもあるかと思います。
また時々、管理部門の管理職の方が、ロジスティクスの担当者、あるいは、責任者になられることもあります。例えば、総務とか経理の担当の方が、責任者としてくるということもあるかと思います。
私は、経理部門の方は、ロジスティクスの責任者に向いてるのではないかなと思っています。物流は、全部数値で表すことができます。コスト、生産性、品質について、経理財務部門の方は、数字で語る、数字を見ることに、非常に長けているからです。
どのパターンの人材がよいのかというのは、私がアドバイスできる立場にはないのですが、皆さんの会社で、CLOを選ぶときのご参考になればと思います。
荷主企業だけではなく、物流事業者の方にとってみれば、皆さんの取引先の荷主さんとか、主要荷主さんは、どんな人がCLOになるのか、これも皆さんにとって重要な問題かと思いますので、確認をされるとよいと思います。

2.物流2024年問題について 1)2024年問題とは①

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それでは、2024年問題ですが、概要については既にご存知かと思いますので省略し、一番下のところ、今後規制がもっと厳しくなると思われる、トラックドライバーの時間外労働の上限、年間960時間ですが、これはいずれ必ず他の産業と同じように、年間720時間が上限になるかと思います。
ということは、物流2024年問題はゴールではなくてスタートなのです。これから始まります、ということです。では、どんな影響がでるのかというと、物流コストが上がると思われるかもしれません。

2.物流2024年問題について 1)2024年問題とは②

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物流会社さんにとったら、一時的に売り上げが減ったり、利益が減ったりするかもしれないし、ドライバーさんの収入が減るかもしれない、ということなのですが、これは少し怒らないで聞いていただきたいのですが、運賃が上がったのではないのです。これまで運賃が安すぎたのです。物流コスト上がったのではなく、これまでが安すぎたのです。これは間違えないでください。ここ数年で、物流コストが上昇した、運賃が上がった、倉庫費用が上がった、人件費が上がった、のではなくて、これまでが安すぎたのです。過去25年間、皆さんはこの安価な物流コストの恩恵を受けてこられたのです。
それがちょっと値上げをしたら、運賃が上がったと言って大騒ぎしているというのは、外から見ている私からしたら、いやそれはちょっと違いますよ、と言いたいのです。今までが安すぎたのです。人件費が上がっているし、燃料費も上がっているし、法規制(残業時間規制他)も厳しくなっている、だから運賃が上がって当たり前、倉庫の費用が上がって当たり前なのです。こちらの(スライドの)上の3つはお金で解決できる問題なのですが、一番困ることは、荷物が運べなくなることですから、この辺りをどうやって解決していくのかがポイントだと思います。
※後編(次号)へつづく


(C)2025 Akihiro Hamasaki & Sakata Warehouse, Inc.



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