ロジスティクス・レビュー

第363号 日雑メーカーと卸の共同物流を振り返る。(2017年5月11日発行)

執筆者  髙野 潔
(有限会社KRS物流システム研究所 取締役社長)
    執筆者略歴 ▼

  • 職歴・履歴
    • 日産自動車株式会社(33年間)
    • (出向)株式会社バンテック(7年間)
    • (起業)有限会社KRS物流システム研究所(平成11年~)
    組織・履歴
    • 神奈川流通サービス協同組合・物流システム研究所所長(5年間)
    • 株式会社湘南エスディ-・物流顧問(5年間)
    • 株式会社カサイ経営・客員研究員(7年間)
    • 物流学会・正会員(8年間)
    • 物流学会・ロジ懇話会事務局(5年間)
    • 日本情報システムユーザー協会・個人正会員(JUAS-ISC)(9年間)
    • 日本情報システムコンサルタント協会(JISCA:東商会員)正会員・理事(平成25年~)
    委嘱(受託)・履歴
    • 通産省(現・経済産業省) 荷姿分科会委員・委嘱(1年間)
    • 運輸省(現・国土交通省)輸送分科会委員・委嘱(1年間)
    • 中小企業基盤整備機構  物流効率化アドバイザー・委嘱(8年間)
    • 中小企業ベンチャー総合支援センター 新事業開拓支援専門員・委嘱(6年間)
    • 中小企業基盤整備機構  企業連携支援アドバイザー・委嘱(6年間)
    • 中小企業大学校(関西校) 非常勤講師・委嘱(4年間)
    • 海外技術者研修協会 [AOTS]関西研修センター 非常勤講師・委嘱(2年間)
    • 座間市観光協会・事務局長(2年間)
    • 座間市・都市計画審議会委員(2年間)
    著書・講師・履歴
    • 日本のロジスティクス (共著:日本ロジスティクスシステム協会)
    • 物流共同化実践マニアル (共著:日本ロジスティクスシステム協会・日本能率協会)
    • 図解 なるほど!これでわかった よくわかるこれからの物流 (共著:同文館)
    • 雑誌掲載:配送効率化・共同物流で大手に対抗(日経情報ストラテジー)
    • 雑誌掲載:情報化相談室回答担当者(日経情報ストラテジー)
    • 雑誌掲載:卸の物流協業化・KRS共同物流センター事業(流通ネットワーキング)
    • 雑誌掲載:現場が求めるリテールサポート・ドラックストア-編(流通ネットワーキング)
    • その他  :執筆実績多数
    • 講師(セミナー、人材育成、物流教育・etc):実績多数

目次

1.はじめに。

  メーカーの共同物流の良きお手本だった化粧品・日用雑貨の共同物流会社「プラネット物流」が2016年(平成28年)半ばに解散しました。さらに、中小企業のひな型と言わしめた地域卸4社(化粧品・日用雑貨)の「KRS共同物流;年商約380億円」(神奈川流通サービス)がバブル時期に全国大手卸に営業権を譲渡して解散していたことは、ご存じだと思います。
  先日、農機具商社からKRS共同物流センターの施設見学をしたい旨の留守電が入っており、これにはビックリでした。
  さて、メーカーと卸の共同物流のひな型として流通業界の代表?であった化粧品・日用雑貨の共同物流が終焉を迎えてしまいました。特に、KRS共同物流(神奈川流通サービス)は、通産省(現・経済産業省)や専門家の方々や物流関係者が連日視察に訪れていたことが昨日のように思い浮かびます。
  メーカー(3PLに吸収)と卸(大手卸に吸収)の代表的な共同物流が時代の流れに吸収される形で消し去ってしまったこと、昨今、物流子会社をはじめとする荷主企業が主導する共同物流が盛んになってきていますが、これを単なる流行に終わることなく物流力の改善の一つのテーマとして長期的な観点からの取り組みを期待したいものです。
  日本社会の急速な少子高齢化は、物流業界を含むすべての産業の根本的な問題となりつつあります。この不可避な全体環境の中で、物流部門の業務の効率化、生産性の向上を目指した事業者同士、荷主との連携・協調、共同化で労働生産性をあげることが大事になってくると考えます。私が経験した物流の共同化を振り返ることにより、今後の参考にして頂ければ幸いです。

2.メーカーと卸の物流の連動化構想が頓挫してしまいました。

  KRS(神奈川流通サービス)共同物流センターの隣接地に約5,800坪(19,140㎡)の物流会社所有の空き地がありました。
  1993年(平成5年)頃からその隣接地の有効活用の課題があり、日雑メーカーの営業倉庫を誘致してKRS共同物流センターが一括して担い、KRS非参加卸への納品業務の代行、メーカーの生産工程から卸までの物流の流れを「ストックからフローへと集約化とサプライチェーン物流」を目的にメーカーを巻き込んだ共同物流の取り込みの話しが出てきました。以前、流通ネットワーキングにKRS共同物流の概要と今後の展望などを掲載した経緯があり、その中にメーカーとの連動化のイメージを掲載させて頂きました。
  そのような時にKRS(神奈川流通サービス)共同物流の隣接地にプラネット物流を誘致する話しが持ち上がり、日雑系のメーカーと卸業の共同物流の連動化を前提とした双方の実務責任者によるプロジェクトが編成されました。物流分野の中でも特に在庫(調達・在庫確保、保管スペース)、の横持ち、コストウェートの高い、輸・配送の効率化を推進するために「メーカー・卸、双方の連携による連動化物流」に着目し、具体的に関東圏の商圏を想定した実務的な取り組みの検討をしようとの声がプラネット物流と卸の共同物流関係責任者から出てきました。
  さらに、メーカー、卸の物流共同化の実績を踏まえて、さらなるメーカーと卸の垣根を越えた物流実務の効率化、新たな共同物流に踏み込むための必要となるルール、運用などの共通基盤のあり方を検討することを共通認識としてプロジェクト・チームがスタートしました。
  メーカーと卸による物流の共通基盤が成り立つのか、連動化を目的とした検討会が始まりました。
  ①実務的な研究:モデル地域は神奈川県、並びに関東圏を商圏としたフィージビリティスタディ 
  ②基盤的な研究:メーカーの共同物流と卸の共同物流が同一商圏でのメリット、デメリットの確認を検討することになりました。
  プラネット物流のメーカー〜卸間だけでなく、KRSと連動化して小売りへの納品までを一気に手掛ければ、サプライチェーン全体の最適化、効率化が進むという認識で取り組むことにしました。検討会を数回実施しましたが、突然プロジェクト活動が中止になってしまいました。理由はよく分かりませんでした。
  当時のKRSの理事長によりますとメーカーサイドや同業大手卸から見てプラネット物流とKRSが連動化することにより、日雑業界の商取引の慣習、プラネットに参加しているメーカーと取引のある大手卸、並びに同業卸への影響、特に主要メーカーの各社が卸業の一翼を担うことは、許されないとの日雑業界の葛藤があったのではないかとの推測がありました。
  プラネット物流はメーカー側に属しており、物流の連動化でTC/DC/業務が共同物流センター経由で、小売業まで一気通貫で商品を届ける行為は、合理化の一環とは言え、メーカーが卸機能の一翼を担うことで、許容されない範囲だったのかもしれません。さらに、プラネット物流の庫内運営である物流実務・配送実務が卸の関連会社、物流会社が運営を担っている企業に任せることでKRS参加卸を優遇することになり、メーカーの大手特約店(帳合卸)を刺激したくないとの判断が働いたようでした。
  その後もP&Gが他社の卸部門を吸収?し、卸部門を持つ話しが世間にクローズアップされましたが、いつの間にか消えてしまいました。日雑業界においては、メーカーと卸が合体することは、業界的に非現実的だということを知りました。

参考:プラネット物流とKRS共同物流、連動化イメージ(案)
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3.プラネット物流の共同物流の概要と終焉

  1985年頃(今から30年くらい前)に販社方式(販売から生産と物流まで)を取りこんだシステムを構築した花王に対抗するためにライオンなどの化粧品・日用雑貨メーカーと大手卸が受発注の業界VAN会社である株式会社プラネット(ライオンなど同業他社が出資)を設立しました。
  さらに10年程、経過した1989年(平成元年)頃に化粧品・日用雑貨業界の雄、花王を追い上げるためにプラネット(化粧品・日用雑貨VAN会社)が物流共同化構想を提唱、日雑などの大手メーカー11社が共同出資でプラネット物流(共同物流会社)を設立、全国5ヶ所(中部流通センター、東北流通センター、九州流通センター、北海道流通センター、南関東流通センター)に共同物流センターを開設しました。
  立ち上げの混乱を防ぐために取り扱い物量の少ない地域からスタート、共同物流を首都圏まで広げ、参加メーカーの物流の煩わしさの解消、効率化、コスト削減に貢献すべく事業展開をしてきました。
  2000年代の初頭から店舗納品を効率化する一括納品物流の普及が始まり、プラネット共同物流センターの立地条件がメーカーの要望とかけ離れていた様子、また、長い付き合いとノウハウで輸・配送業務の実績のある既存の物流事業者との関係をプラネット物流取り扱い分のみを断ち切る難しさと、さらに、諸条件、及び全国的な一括納品の進展により、プラネット物流への参加メーカー各社が事業規模を縮小、徐々にメーカー各社の共同物流を行う意義が薄れてきたことから、2016年(平成28年)4月にプラネット物流の全事業を外部物流事業者に委託したようでした。
  ライオンは、2016年(平成28年)7月に持分法適用関連会社であるプラネット物流の解散を決め、メーカーの共同物流が終焉を迎えてしまいました。

参考:プラネット物流の立ち位置(位置づけ)
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4.プラネット物流の情報システムの概要

  プラネット物流は、プラネットVANのEDI標準を使用し、メーカーと卸間のサプライチェーンの効率化を図っていました。さらに、ITFコードを利用した無線LANによる先進システムを採用していました。
  物流EDIを中心とした情報の流れを構築、発注と商品、情報を有機的な結合で、卸からの発注による卸への商品の出荷・配送とプラネット物流からメーカーへの発注で商品の補充・入荷を行っていました。卸店は、オンライン・電話・FAX ・営業の訪問などにより、商品取り扱いメーカーに発注を行い、受注したメーカーは、出荷処理後、出荷指示データをプラネットVANに送信、プラネットVANでは、各メーカーから送信された出荷指示データを受信後、プラネット物流の共同物流センターごとに振り分けて送信、各共同物流センターでは、受信した出荷指示データを卸ごとに振り分け、配車コース別の配車スケジュールを組み、その情報をもとに出荷指示データでピッキングリスト(ケース単位)を作成、卸毎に出荷していました。
  出荷完了の情報は速やかにプラネットVANに送られ、メーカー毎に振り分けられ、出荷実績データとして各メーカーに送信(返送)、メーカーは、その情報で出荷確認を行い、売上処理につなげていました。メーカーでは、プラネット物流の出荷状況をもとに補充商品をプラネット物流に納品(出荷即納品)していました。
  同時に補充指示として入荷予定データをプラネットVAN経由でプラネット物流に送信し、プラネット物流は、メーカーから商品が共同物流センターに届くと事前に受け取った入荷予定データで入荷検品を行い、検品が終わると、入荷実績データをプラネットVAN経由でメーカーに返信していました。プラネット物流では、毎日棚卸を行い、在庫量データの報告をプラネットVAN経由でメーカーに送っていました。
  共同物流のメリットとしては、作業ミス、欠品の低減、人時生産性の向上、作業待ち時間の短縮、事務作業の削減、作業進捗の把握、作業の標準化(簡素化)などにより、作業員の熟練度を必要としなくなったこと、誰でもすぐ作業ができることでした。

参考:卸店からの発注による商品(入荷・出荷・配送)と情報の流れ
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5.KRS(神奈川流通サービス)共同物流の概要と終焉

  プラネット物流と並行して1986年(昭和61年)頃に化粧品・日用雑貨の全国卸や東京、静岡を拠点とする強力な卸に対抗する手立てを興じて、生き残るために神奈川県の競合関係にあった同一商圏、同業種(化粧品・日用雑貨)の中小企業卸のスミック、ドメス、折目、神奈川スミックの4社が物流と情報システムを束ね、1社では困難だった物流の強化を狙い、共同物流センターを構築、取扱商品の共同購買、共同在庫(商品)、共同物流作業・共同配送などを実施することで経営基盤の強化・改善を図ることで、物流の全ての共同化を実現させ、成功させることができました。
  商流は独自の活動を行い、物流の強みを生かせる事業活動をバックボーンに商流の強化に邁進しました。
  中小企業の生き残りをかけた事業活動の先駆けとして、通産省(現・経済産業省)をはじめ中小企業関連組織からも認知を受けることができました。事業展開が順調な時に、取引メーカーからの季節物の商品をシーズン前に好条件で先行取得を大量に勧められ、借り入れによる大量の商品取引を行っていました。
  そして、数年後、バブルが弾けた1998年(平成10年)頃に、借入金の強烈な引き剝がしに合い、中小企業の資金調達力の弱さを露呈してしまいました。事業の先々を熟慮し、全国大手卸に営業権を譲渡し、事業を清算、全ての人材を営業権譲渡先に受け入れて貰う打開策を講じて神奈川流通サービス(略称:KRS)を解散、終焉を迎えてしまいました。
  時代の流れとはいえ、大手卸に対抗する地域卸が小異を捨て、大同に就いたものの結果として大手卸に屈してしまいました。地域卸として長年、支えて頂いたパパママストアー、先代からお付き合いのあった個店などの取引先(仕入先、納品先)が、大手卸業のスケールに合わないために継続取引が出来なかったことを共同物流参加卸の経営者の人達が申し訳なかったと懺悔していたのが記憶に強く残っています。

参考:KRS(神奈川流通サービス)が共同物流を立ち上げた理由
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参考:KRS共同物流の各種緒元(データ)
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6.同一商圏、同業種のKRS共同物流のメリット&効果

  KRS共同物流参加卸企業の共通のマーケットである880万人の消費者を抱える神奈川県下での参加企業の基盤強化が先ず挙げられます。
  1企業での力量では対抗できなかった全国大手卸や東京、静岡を拠点とする強力な同業卸に束になり、物流の強化をバックボーンに参加卸が商流を強化し、立ち迎える体制を整えたこと、参加卸業の最大の特徴は、単独卸では、帳合の関係や取引条件などの仕入面に制約がありましたが、一括仕入・一括決済などでメーカーサイドの理解を得て乗り越えることができたこと、さらに、メーカーの理解が得られなかった商品調達も帳合のある卸が代表卸と称して納品代行で乗り越えることができたこと、さらに、ロ-コストで付加価値のある商品も含めて参加卸の共同在庫として品揃えが豊富になったことで商流にも良い影響を与えることができました。
  売り上げにも寄与しました。従来の卸毎のオーダーの受注・出荷、配送の取り扱い物量も多くなり、作業量(受・発注、入荷、ピッキング、流通加工、棚卸、返品、etc)の集約化でスケールメリットが享受できるようになりました。
  情報関連では、ハードウェア・ソフトウェアが束ねられたこと、商品M/Fのメンテナンス、ソフトウエアの一元化、オペレーションの集中化・集約化、納品伝票の集約化により、EDIのデータ量や伝票枚数の削減が図れたこと、データ量を集約したことに伴い事務工数と伝票経費が半減しました。
  庫内作業の強力なアシストとしてエリア別(8ヶ所)、配送コース別(MAX120コース)、得意先別など、庫内全体をアンドン表示と端末で管理者・作業者全員に約6,700坪の4層式倉庫全体の進捗を可視化出来たこと、可視化による全体の作業コントロールが容易になったこと、IE手法による人的工数の配分が適宜行えるようになったこと、さらに、商物分離と各社への売上(得意先別、商品別、店別、など)、卸業や得意先が必要なデータをタイムリーに入手出来たこと、得意先への販売支援のための売れ筋IQ情報のサービスでマーチャンダイジングの強化ができたことなどが挙げられます。
  但し、参加卸の規模にかかわらず、物流サービスレベルが同一になるため参加卸の努力で差別化を図らなければならなくなりました。
  さらに、得意先への物流サービスレベル(過少、過剰、異品、欠品、遅配、誤配など)の向上で、得意先からの信頼性が格別に向上したこと、メーカーに対しても一括発注、一括決済、販促、売込などもメーカーの意向に沿った受け入れに心がけ、各卸が個々に対応するのではなく、KRS共同物流で一本化、責任を持って対応、さらに束ね効果を武器にメーカーとの交渉力と信頼性を高めることができました。
  そして、システムと運営が落ちついた後、異業種企業がKRS共同物流に数社が参画してくれたこと、そして、TCのみの参加企業も加わり、参加フィと物量が増えてコスト削減に寄与できました。さらに、地域大手の菓子食品も加わったので得意先の拡大がしやすくなったことなどが挙げられます。
  参加卸は、保管スペースの過不足問題、作業人員の過不足対応、定着性の確保などの物流の煩わしさと気苦労が無くなり、商流での競争をはじめました。さらに、設備投資、償却、情報システムのI/P、O/P、メンテナンスや配送問題などから解放され、商流で競合、経営課題に集中し易くなりました。
  特に情報ネットワーク化とコンピュータの管理水準が向上し、在庫管理のレベルアップが著しく向上しました。商品情報を使っての商品戦略、販売戦略、仕入戦略などの策定に反映させることにより、豊富な品揃えが効果を発揮し始めたようでした。また、納品積載率、充填率が高くなり、一括納品物流と同じようなメリットが享受できるようになり、配送のロ-コスト化が若干かもしれませんが実現しました。
  また、得意先への周単位の納品回数からのコスト試算により、取引採算点を試算し、トップ層から営業までを含めた事業としての採算性を考えた交渉ができるようになりました。参加卸業の経営者に「経営が面白くなった」と言わしめることができました。
  メーカーからも卸の納品先が集約(9ヶ所→1ヶ所)されたことで物流量が束ねられ、メーカー発注時にアイテムの一回当たりの納品物量が大きくなり、パレット積み付け数を考慮した一環パレチゼーションを積極的に導入、スケールメリットの享受で商品代金に加味する約束で積極的に取り組み、好結果を得ることができました。その影響で、物流センター側の受入・入荷も効率化できるようになりました。
  さらに、入荷車両を中小型の車両から大型車両にシフトすることにより、納品車両台数の省力化に寄与出来ました。さらに、店舗納品・配送を担う物流会社の協力で部品物流で使用している大型トラックの帰り便で日雑メーカーから引き取り入荷が実施できたことで日雑メーカーから物流合理化支援金を頂くことができました。
  得意先のメリットとしては、店舗毎に共同物流参加卸の商品を一括納品で実現させたことで、納品車両の台数削減、納品作業の省力化が図れました。KRS共同物流内においてスキャン検品(店頭ノー検品)を実施したことにより、店頭での滞留時間の短縮で納品の効率化と納品車両の回転率が若干上がりました。

参考:定量的改善効果
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参考:KRS共同物流センターレイアウト図
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7.KRS共同物流のコンピュータシステムの概要と特徴

参考:KRS共同物流・情報システム関連図
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  受注情報などは、参加卸が従来の所有していたコンピュータで受注し、各社が出荷指示データをチェックした後、ホストコンピュータに送信、得意先別に集計、さらにKRS共同物流センターのサブホストに伝送して処理をする階層方式を採用していました。
  参加卸が経験したことのないシステムの幅広い知識が求められるほか、ネットワークの知識や関連ソフトの習得も必要でした。システムの全貌を把握しておく必要があり、システムの急なトラブルで出荷停止に繋がらないように、対応できるだけの知識を日頃から培うことが求められているものと皆さんが判断していました。
  中小卸の力量を踏まえた運営、維持管理システムを構築すること、得意先と参加卸に共同物流に関わるシステムの開発などに極力負担のかからないことを前提にすること、開発だけでなく日常の運営にも気遣いをしました。
  従って、オーダー数の増加、SE、オペレーターの人材確保や教育の困難性からハード、ソフトの管理、特にソフトの開発費、保守費用、消耗品、回線料、オペレーション工数などの対応と卸側の管理(人材の確保、工数増、費用増,etc)を省力化するために階層方式という複雑な情報システムにしました。卸側の情報システムの運営・維持管理を従来と同様になるように配慮したこと、得意先とのデータのやり取り(オンラインでのデータ伝送)などは、参加卸と得意先のデータ伝送をあまり変更せずに取り組める優位性を確保したこと、但し、メーカー各社と物流会社のコンピュータとをオンラインで直接インターフェイスすることが共同物流の在庫管理(共同在庫、各社在庫をKRSが直接受け入れを行う)に必要でした。
  さらに、物流会社のコンピュータを間借りしたことで、KRS共同物流の情報システムが問題なく運営できたことにKRS共同物流関係者、参加卸共に満足していました。物流会社の配慮でKRS共同物流サイドにもシステム運用費の負担を極力かけずに、また、参加卸にも負担をかけずに運営することができていました。

参考:開発したかった共同物流の情報システム概要図<<案>>
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8.最後に。

  全国的に注目され、通産省からも「中小企業の生き残りのモデル事業」だと推奨されたKRS(神奈川流通サ―ビス)の卸の共同物流事業も日本経済のバブルが弾けると共に約10年という短命に終わってしまいました。
  時代の変遷とはいえ、メーカーと卸の共同物流の双方の灯が消えてしまったこと、特に卸の共同化が日本の中小企業の生き残りのビジネスモデルを失ったと某・著名な経営コンサルタントの方に言われました。
  開発のお手伝いをした私も残念でなりません。私は、自動車メーカーに入社、情報システム部門に配属、その後、自動車生産工場の立ち上げプロジェクト、自動車用サービス・補修部品物流システム(8ツの仕組み)など、プロジェクト活動一筋でサラリーマン生活を終えました。
  さらに、出向で自動車会社を離れ、KRS共同物流の開発プロジェクトに参加させて頂き、私にとっての財産になりました。
  最後に、同一業種のメーカーと卸の共同物流の連動化ができなかったこと、KRSの先駆者達と企業の生き残りをかけて死にもの狂いで取り組んだ共同物流の実務ノウハウを後世に残せていないことをとても残念に思っています。

以上。



(C)2017 Kiyoshi Takano & Sakata Warehouse, Inc.


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