第562号 ロジスティクスのゼミが「企業とコラボ」-担当教員の手記-(前編)(2025年8月19日発行)

執筆者  髙橋 愛典 近畿大学 経営学部 教授  執筆者略歴 ▼ 略歴 1974年千葉市生まれ。1996年早稲田大学政治経済学部卒業、2005年同大学大学院にて博士(商学)取得。 早稲田大学商学部助手、近畿大学商経学部講師等を経て、2013年より現職。 主な著書に『地域交通政策の新展開』(白桃書房、2006年)、 『日本社会に生きる中小企業』(共著、中央経済社、2017年)、『まちづくりの統計学』(共著、学芸出版社、2022年)がある。 本論文は、前編、後編の計2回に分けて掲載いたします。   目次 はじめに:B to Bで産学連携とは? 1 コラボの第一歩:物流拠点の見学 2 コラボの概要:チーム編成から報告会まで (以上前編)    前編 はじめに:B to Bで産学連携とは? 筆者は近畿大学(以下「近大」)の経営学部で教育と研究に従事している。「経営(学部)」といっても何を「経営」するのか目的語が不明確であるが、一般に想定されるのは民間企業である。ここ15年ほどであろうか、近大経営学部では、ゼミ(3年・4年次における専門科目としての「演習」)が民間企業と連携(いわゆる「産学連携」「企業とコラボ」)する事例が大きく増えた。人気をとりわけ博しているのは商品開発への学生の参画らしく、商品開発を直接の研究対象としない教員も、ゼミで頻繁に産学連携を試みているようである。学生にとって、消費者の立場を活かして企業に提案し、それが実際に商品化されて店頭に並ぶことは大きな喜びに違いない。 こうした事例は、最終消費財(consumer goods)に関わる内容、いいかえればBusiness to Consumer (B to C)に限定されがちである。これなら学生は、いち消費者として意見を出すことは難しくない。一方で、筆者の近大での担当科目は講義・ゼミとも着任当初から一貫して「ロジスティクス論」である。その物流・ロジスティクスの世界は、ほとんどが企業間取引(Business to Business: B to B)である。端的にいえば、物流企業も荷主企業も担当者がプロ同士という真剣勝負であり、学生が入り込んでアイディアを出す余地はきわめて少ない。学生たちの間に、産学連携でも就職活動でも、消費財関連の企業ばかり意識して企業間取引に目を向けない傾向があることを懸念しつつも、筆者のゼミが「企業とコラボ」することは諦めていた。 そこに転機が訪れた。文房具でお馴染みコクヨ㈱の物流子会社であるコクヨサプライロジスティクス㈱(以下「KSL」)の若林智樹社長が、お声をかけてくださったのである。コクヨの創業の地は大阪である。コクヨもKSLも本社は大阪市東成区にあり、東大阪市にある近大経営学部のキャンパスからも程近い。若林社長は勉強熱心で、日本物流学会にも所属され、そこでご一緒したことがきっかけであった。2023年秋にイギリスでの在外研究(サバティカル)から帰国し、2024年度にゼミを本格的に再開する矢先のことであった。 本稿ではまず、2024年7月から12月にかけて、筆者のゼミの第19期生(当時3年生)がKSLと実施した産学連携のあらましを記すこととする。 1 コラボの第一歩:物流拠点の見学 若林社長から、KSLのSCM推進室(当時)に所属する住野博紀・井上真一両氏をご紹介いただき、6月4日にまずはゼミ生を交えずに打ち合わせを実施した。その結果「コラボのキックオフイベント」として、7月25日にKSLの物流拠点「近畿IDC」(大阪市住之江区)をゼミ生たちと見学した。物流関連のアルバイト経験を持たないほとんどのゼミ生にとって、物流拠点を訪れること自体が初めてであった。 この日に見学を実施したのは、前期授業期間中唯一の補講日であり、補講には教室での出席が厳格には求められないという理由にほかならない。一方で、普段クーラーの効いた教室にいるゼミ生たちにとって、暑い盛りの物流拠点の空気も初体験であり、ゼミ生数名はKSLの計らいで空調服を試着できた。物流拠点についてはもちろん、筆者は講義で説明するし、その内側を紹介する映像資料(いわゆる「動画」)も教室で流すのであるが、このように五感で知ることの重要性を、ゼミ生たちの反応を見て改めて実感した。 この日は金曜日であり、週末を挟んで試験期間に突入するという意味では、学生たちにとってつかの間の休息日でもあった。見学後は大阪市中心部に移動し、KSLの方々を交えて「反省会」を行ったことも印象に残っている。なお、学生の夏休みは、3年生ともなるとインターンシップなどで多忙になりかねないこともあり、宿題をゼミ生個別に課したものの、産学連携とは関連づけなかった。 写真1 ゼミ生によるKSL近畿IDCの見学 *画像をClickすると拡大画像が見られます。 (出所)KSL提供。 2 コラボの概要:チーム編成から最終報告会まで 後期第1回のゼミは9月19日であり、ここでチーム編成を行った。今期は、並行して日本ロジスティクスシステム協会(JILS)関西支部の「大学合同ロジスティクス研究発表会」にもゼミとして参加することとした。表1にあるようにスケジュールがほぼ重なることとなったので、ゼミ生21名(男子16名・女子5名)を3名×7チームに再編し、5チームをKSLへの最終報告会(12月2日)を目指す「コクヨ班」、2チームを大学合同ロジスティクス研究発表会(12月1日)を目指す「JILS班」に割り当てた。 […]

第561号 物流センターの「働き方改革」(後編) (2025年8月7日発行)

執筆者  長谷川 雅行 (一社)日本物流資格士会 顧問  執筆者略歴 ▼ 略歴 1948年 生まれ 1972年 早稲田大学第一政治経済学部卒業 日本通運株式会社入社 2006年 株式会社日通総合研究所 常務取締役就任 2009年 同社顧問 2017年(一社)日本物流資格士会 顧問 活動領域 日本物流学会 (一社)日本SCM協会 (一社)日本物流資格士会会員 流通経済大学客員講師 港湾短期大学校非常勤講師 (公社)日本ロジスティクスシステム協会「物流技術管理士資格認定講座」ほか講師 本論文は、前編、後編の計2回に分けて掲載いたします。 前編はこちら   目次 2.人手不足の解消策~働き方改革(1) (1)労働環境の改善 (2)福利厚生の見直し (3)賃金水準の見直し 3.人手不足の解消策~働き方改革(2) (1)自動化・省力化機器の導入 (2)労働生産性の向上 おわりに    2.人手不足の解消策~働き方改革(1) それでは、人手不足を解消するためには、どうすれば良いのだろうか。倉庫・物流センターにおいても製造業・流通業などの他産業や他の物流業と同様に、「働き方改革」を進めて行かねばならない。 厚生労働省によれば、「我が国は、『少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少』『育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化』などの状況に直面して」おり、「こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になって」いる。「『働き方改革』は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指して」いる そこで、働き方改革関連法(正式には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が制定され、労働基準法・労働安全衛生法・労働契約法・パートタイム労働法(以上、通称)など8つの法律が2018年に一括改定された。2019年以降、改正された8つの法律は逐次施行され、最後に施行されたのが、前述の自動車運転者等に対する「時間外労働時間の年間上限960時間」(2024年4月施行)である。 「働き方改革」は、働く人が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革であり、「働き方改革」を進めない企業は、働く人から「選択」されなくなる恐れがある。 そこで、倉庫・物流センターの「働き方改革」を幾つか述べたい。なお、(1)~(3)は図表2にも掲出されているので、参照されたい。 (1)労働環境の改善 まずは、働く環境の整備・改善である。その基本は「安全・安心」にあることはいうまでもない。 中央労働災害防止協会の「倉庫業における事故の型別労働災害発生状況(1999-2021年)」によれば、直近の2021年には休業4日以上の労働災害(職業性疾病を含む)が781件発生し、増加傾向にある(1999年は340件)。類型別にみると、動作の反動無理な動作178件、転倒170件、はさまれ巻き込まれ97件、墜落・転落96件などが多い。 安全については、前号「3.高年齢者に優しい物流センター」で、厚生労働省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(2020年)を紹介させて頂いたので、そちらを参考にされたい。 また、倉庫・物流センターの安全対策については、筆者も某メーカーの工場倉庫での安全対策をお手伝いしたことがあるので、後日、稿を改めて述べることにしたい。 退職者を減らして離職率を下げて、倉庫・物流センターにおける人材の定着を目指すには、労働環境の改善が必要である。「安全・安心」で労働環境が良くない職場では、人材は定着しない。 一般論ではあるが、庫内の温湿度管理や、作業しやすい設備と配置、清潔な休憩所やト イレ、自動販売機の設置などがある。かなり前のことになるが、田中サカタウエアハウス社長と横浜市近郊の3PL企業の物流センターを見学した際に、事務所・休憩施設がカフェ風に整備されていて、当時としては珍しかったので驚いた(今では、当たり前になっているが)。 温湿度管理については、労働安全衛生規則が改正されて、2025年6月から「職場における熱中症対策の強化」により、事業者に対策措置が義務化されている。 労働環境が整備されて働きやすい環境が整えば、離職率は改善され、求人にも有利になると思われる。 図表3 倉庫業における事故の型別災害発生件数 *画像をClickすると拡大画像が見られます。 […]

第560号 物流センターの「働き方改革」(前編) (2025年7月22日発行)

執筆者  長谷川 雅行 (一社)日本物流資格士会 顧問  執筆者略歴 ▼ 略歴 1948年 生まれ 1972年 早稲田大学第一政治経済学部卒業 日本通運株式会社入社 2006年 株式会社日通総合研究所 常務取締役就任 2009年 同社顧問 2017年(一社)日本物流資格士会 顧問 活動領域 日本物流学会 (一社)日本SCM協会 (一社)日本物流資格士会会員 流通経済大学客員講師 港湾短期大学校非常勤講師 (公社)日本ロジスティクスシステム協会「物流技術管理士資格認定講座」ほか講師   本論文は、前編、後編の計2回に分けて掲載いたします。   目次 はじめに 1.倉庫業における人手不足 (1)倉庫業の現状 (2)「物流の2024年問題」が倉庫業に及ぼす影響 (3)倉庫業の人手不足    はじめに 「ロジスティクス・レビュー」誌の第551~553号(以下、「前号」)では、「すべての人に優しい物流センター」と題して、女性・高年齢者・障害者、そして外国人に優しい物流センターのあり方について、紹介させて頂いた。 2024年4月から自動車運転者にも適用された「時間外労働時間の年間上限960時間」によるトラック運転者不足などの「物流の2024年問題」は、後述するように倉庫業にも影響が及んでいる。また、新型コロナ禍以降に定着・拡大したEC(エレクトリック・コマース)などは、倉庫業にも多頻度小口出荷の増加、流通加工業務の負荷拡大などをもたらし、庫内作業者などの人材不足に悩む倉庫業も多い。 そこで、今回の寄稿では「倉庫業の現状と課題、さらには展望」と、前号で述べた倉庫・物流センターで働く人々の「働き方改革」について述べてみたいと思う。 1.倉庫業における人手不足 (1)倉庫業の現状 (一社)日本物流団体連合会から毎年発刊されている「数字でみる物流」には、国土交通省の統計資料に依った「物流業の概要」が収録されており、その最新版である2024年版には2022(令和4)年度の実績が掲載されている。 それによれば、倉庫業は「営業収入3兆円」「事業者数7,066」「従業員数14.4千人」「中小企業の割合96.8%」となっている(「営業収入・従業員数は推計値」と注書きされている)。なお、「中小企業」とは中小企業基本法第2条「中小企業の範囲」によれば、「資本の額(資本金)又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員・社員の数が300人以下の会社及び個人」とされている。 ただし、「数字でみる物流」が依拠している国交省の資料における「倉庫」は、営業倉庫に限られており、(営業倉庫でない)輸送途上の一時的な保管のための「保管庫」「上屋」や、 物流センターなどは含まれていない。 国土交通省では、営業倉庫を含めて広く「物流拠点」と捉え、「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」を2024年10月から本年3月まで4回開催してきた。そこには、学識経験者以外に、倉庫業・冷蔵倉庫業のほか、物流不動産・トラックターミナル・金融など関連業界が参加している。2025年4月9日には同検討会の報告書が公表された。報告書では、「物流拠点が直面している課題」として、①全体最適を見据えた政策的な物流拠点の配置、②トラック輸送の変容(中継輸送等)への対応、③物流拠点の老朽化、④沿岸部の物流拠点における供給量不足、⑤地域との合意形成 の5点が挙げられているが、残念ながら喫緊の課題である「物流拠点の人材不足」は入っていない。 また、同検討会では、物流拠点の「今後の方向性とそれに対する支援策」として、①物流拠点の整備に係る国の方針策定等、②基幹物流拠点の整備に係る関与・支援、③公共性の高い物流拠点の整備・再構築に係る関与・支援 の3点を提言しており、今後この提言に基づいて国の物流拠点政策が推進されると期待している。 本題とは、やや離れるので詳細な説明は割愛するが、関心をお持ちの方は国土交通省のホームページをご覧頂きたい。 第2回検討会(2024年12月)では、日本倉庫協会・日本冷蔵倉庫協会がそれぞれ「倉庫業」「冷蔵倉庫業」の現状と課題について報告している(報告資料も国土交通省のホームページで閲覧できる)。 誌面も限られているので冷蔵倉庫は省略して、日本倉庫協会(以下、「日倉協」という)の報告「倉庫業の現状と課題」を概観してみる。 図表1 営業倉庫の果たす役割 *画像をClickすると拡大画像が見られます。    (出所)日本倉庫協会「倉庫業の現状と課題」 1)営業倉庫の果たす役割 まず、営業倉庫の果たす役割(図表1参照)として […]

第559号 物流二法の改正とサプライチェーン改革の方向性(後編) (2025年7月10日発行)

執筆者  橋本 雅隆 氏明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学)明治大学BCP・SCM研究所代表  執筆者略歴 ▼ 略歴 早稲田大学 理工学部 工業経営学科 卒業 明治大学大学院 経営学研究科 博士前期課程を修了 一橋大学客員教授等を経て、2015年より現職に至る ―――――――――――――――――――――――――――――――――――*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。*今回、明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学) 橋本 雅隆 先生の講演内容を3回に分けて掲載いたします。*前号(2025年6月17日発行 第558号)より*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。――――――――――――――――――――――――――――――――――― 目次 物流効率化法における物流統括管理者 物流効率化法の義務を遂行するCLOの責任とは CLOの本来的な責任範囲 CLOが直面する3つの分断と二つの連携 フィジカルインターネット実現に向けた重要項目の抽出 物流総合効率化法のKPIの実行条件の例 業務プロセス改革担当者の条件 価値共創プロセスの拡張的発展 業務プロセス改革担当者の条件   フィジカルインターネットを実現していくために、「製・配・販連携協議会」で、「商流・物流におけるコード体系の共通化」、「物流資材の標準化」、「商取引慣行の見直し」、「物流・商流データの共有・連携のルールづくり」、の4つの重要項目に分類しました。プロジェクトの中では、主要なメーカー、卸、小売の、経営者がコミットして、この大枠の方向性を2024年3月に出しています。 さて、CLO(物流統括管理者)が何をやらないといけないかについては、特定荷主は、CLOの設置が法律で義務化されますので、その方は、これから説明する責任と役割を果たす必要があり、かなり大変な業務となります。 物流効率化法における物流統括管理者   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   この物流効率化法第47条にありますように、特定事業者に物流統括管理者を置きなさい、中長期計画と改善の報告を出しなさい、さらに、「特定荷主が行う事業運営上の重要な決定に参画する管理的な地位にあるものを持って充てなければならない」、という言い方をしています。これは、実質的には役員クラス、取締役とか、経営会議に出て発言できる人、そういう人を専任しないと投資判断ができないということです。 物流効率化法の義務を遂行するCLOの責任とは   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   それでは、CLOの責任とは、何をしなければいけないかというと、この法律は、まず「持続可能な社会をつくる」ということが、前提としてあるのです。それからもう一つは、「企業が価値を生み出し向上させる」ということです。この二つについて、社内外を俯瞰した全体最適を図りましょうということなのです。そのときには、サプライチェーンだけではなくて、ライフサイクル・サポート・ロジスティクス、BCPまで含めて、根本的な考え方をとりまとめて作成しないといけないのです。「統合報告書」(企業の財務情報と非財務情報を統合した報告書)は、主要企業が出していますが、この中に持続可能な社会、つまり、社会的な資源をインプットして、価値を見出しているわけですから、その企業価値向上は、ROIC(投下資本利益率)を上げなさい、投資利益率を上げなさいということと、もう一つは、持続可能な社会に貢献してくださいという枠組みなので、これに対して責任を持つということなのです。振り返って、日本の生産性はどうかというと、90年代の半ばから、下がり続けています。1人当たりのGDPは、一番良いときは世界5位ぐらいだったものが、今26位まで落ちています。それから、日米欧のROIC(投下資本利益率)を見ても、日本はアメリカの半分位しかでていないという状況なのです。 CLOの本来的な責任範囲   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   CLOの本来的な責任範囲は、①企業全体のオペレーションの統合的調整、②経営層・スタッフ層と現場を結びつける仕事、それから、③お客様とサプライヤーさんとの調整であり、これらに責任を持たないといけないのです。 CLOが直面する3つの分断と二つの連携   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   CLOになると、私は三つの分断、三つの壁に直面すると考えています。一つは、社内の営業、工場・生産、資材調達、物流、それから製品開発、ここは縦割り組織になっていることです。それぞれ部長がいても、横の連携が不足していることは珍しくない。そこを繋げて全体調整を行って、ROIC(投下資本利益率)を上げるような、オペレーション改革をするというのが、第一番目に必要なことなのです。サプライヤーとお取引先との調整については、先ほど言ったように、「今日発注して、明日持ってきなさい」という顧客ばかりだと、物流効率が上がらないので、「納品のリードタイムをN+2日にしてください」といった交渉までやらないといけないのです。それからもう一つ、私が今懸念してることは、こういう経営管理層と現場の壁です。「物流などの日々の現場の実態などは把握していません」という経営層の方が、結構いらっしゃいます。そこを繋ぐ、経営層・スタッフ層と現場、この三つを繋ぐのが、CLOの役割だと考えています。では、何をやるのかというと、これについてはガイドライン(「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」)や、それから省令・政令でも定められていますが、そこだけでは足りないのです。私は、参考になるのは実は、欧米のECR(Efficient Consumer Response) という、効率的な流通を進めるにあたり、GCI(Global Commerce Initiative) という団体があって、そこが作っている、「ECRスコアカード」 […]

第558号 物流二法の改正とサプライチェーン改革の方向性(中編) (2025年6月17日発行)

執筆者  橋本 雅隆 氏明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学)明治大学BCP・SCM研究所代表  執筆者略歴 ▼ 略歴 早稲田大学 理工学部 工業経営学科 卒業 明治大学大学院 経営学研究科 博士前期課程を修了 一橋大学客員教授等を経て、2015年より現職に至る ―――――――――――――――――――――――――――――――――――*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。*今回、明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学) 橋本 雅隆 先生の講演内容を3回に分けて掲載いたします。*前号(2025年6月5日発行 第557号)より*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。――――――――――――――――――――――――――――――――――― 目次 改正物流効率化法43条の荷主の取り組み措置について省令でさだめる判断基準 2つのロジスティクス 対象事象の特性とロジスティクスの類型 ロジスティクス・リスクの低減の方策 リスク低減方策の相互関係構造 リスク低減施策の対象と相互関連 フィジカルインターネット・ロードマップ    2025年度から改正物流二法が施行されます。特定事業者によるCLOの選任義務は、2026年4月から施行されるという日程で進めています。今そこで、どんなことを議論しているのか、少しお話をしたいと思います。 改正物流効率化法43条の荷主の取り組み措置について省令でさだめる判断基準   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   まず、荷主が講ずべき措置ですが、とにかく積載率を上げなさい、荷待ち・荷役時間を短縮しなさい、それからCLOを選任しなさい、というようなことが盛り込まれる予定です。それからもう一つは、それをチェックするために、トラックGメンによる監視、改善要請というものが実施されます。では、積載率の向上と荷待ち・荷役時間短縮のために具体的に何をしていくのかというと、例えば、「トラック予約システム(バース予約システム)」を導入し利用しなさいとか、あるいは「標準(T11型)パレット」を使いなさいということです。それから、運送事業者がとるべき行動については、共同物流、混載輸送、求貨求車システムの利用、実車率の向上のための帰り荷の確保、混載共同物流に向けた個建て運賃の導入、輸配送契約の最適化やリードタイムの確保、というようなことについて、荷主さんと協力して取り組むことが求められています。荷待ち・荷役時間の短縮については、バース予約システムの導入、パレタイズの実施とか、検品の効率化です。発荷主から送られてきた事前出荷明細(ASN)に基づき、効率的に検品することに取り組んでくださいということです。あるいは、製品のダンボール破損による返品の見直しとか、フォークリフトの活用、物流データの標準化、それからトラックGメンによる監視、荷主と物流事業者の協力というようなことが議論されています。また、改正法の(第37条、第45条、第55条、第64条)に関連する、貨物量の取り扱いの多い「特定事業者」の指定についてですが、日本全体の貨物量の半分ぐらいがカバーされ、大体3200社位が指定されると言われています。特定事業者の指定基準は、「特定荷主」と、もう一つ、「特定連鎖化事業者」というのは、例えばコンビニエンスストアのように、発注は店舗で行うが、本部が加盟店を管理し商品を販売する事業者ということで指定しています。これらの対象となるのは、年間貨物の取り扱い重量が、9万t以上となっています。それから、「特定倉庫業者」は、年間の貨物の保管量が70万t以上で上位70社程度、「特定貨物事業者運送事業者等」は、保有車両台数が150台以上で上位790社程度がカバーされる予定です。それで、その事業者は何をしなければいけないかというと、物流効率化改善の中長期計画を作って、原則毎年政府に提出し、計画が変わらない場合は、5年に一度提出してくださいということです。それから、その改善結果を毎年報告することと、先ほど言ったCLOを選任し、政府に届け出をしなさいという法律になっています。この定期報告ですが、「業務負荷の軽減」、あまり負担をかけないような簡易的なチェックリストを用いた報告と、「取組の実効性の担保」という、両方のバランスをどうやって取るかという議論を今しているところです。今回は特に、荷待ち・荷役時間を必ず測るということですが、荷待ち時間等が一定の時間以下、例えば30分未満のところは免除してもいいのではないか、というようなことが議論されています。計測方法だとか、報告方法だとか、業界団体からもいろんな声が上がっています。例えば、「荷待ち時間と荷役時間を分けて測るというのは、どうやって測るんだ」とか、結構難しいのです。技術的にはこういうことができる仕組みがあり、これを人でやっていたら大変な負担がかかるので、これを機会にDX化してくださいとか、計測方法については、複数の拠点を回ってくる場合には、どう計算するのかとか、倉庫を寄託している場合には、寄託契約との関係があるので、そこにどういうふうに時間を計らせるんだとか、全部を計測するのは無理だからサンプリングでいいんじゃないかとか、あるいは届け出する時間は平均時間でいいんじゃないか、というようなことを今議論しています。では、物効法を遵守しようとすると、何をしなければいけないのかということ、これは判断基準なのですが、積載率を上げるために共同配送をしてくださいとか、繁閑差を平準化してください、ということがあり、その時に社内では、調達、生産、物流、販売の関係部門の調整をしなければいけない、そうしないと平準化ができないのです。だから、CLOの責任というのは、物流の現場だけではなく、荷待ち時間の短縮のためには、バース予約システムを入れるとか、フォークリフトを使って荷役をするとか、その他にも、ここに記載されているようなことが判断基準とされているのです。このまま現行の事業の作業の仕方(オペレーション)のままで定められた基準を守ろうとすると、どういうことになるかというと、おそらくコストだけが上昇する恐れすらあるかもしれません。例えば、共同物流や混載輸送をしないままで、輸送頻度を削減して積載率を上げると、在庫負担が増えるかもしれません。発注を平準化せずに、荷待ち時間を削減するために荷受けバースを増やすと投資効率が落ちるかもしれません。それから、自動フォークリフトの導入は、構内作業のやり方を変えないと、相当な投資負担が重荷になるとか、物流体制の効率化に取り組まないままで付帯料金とかサーチャージとかを支払うと、運送料金の負担が増えるだけになる恐れもあります。パレットの標準化はどうするのか、今使っているパレットを全部廃棄するのか、新たに購入する機材の投資負担を誰がどうするのか。こうした投資の前提として、社内の組織間連携だとか、取引先や、サプライヤーとの社外連携を行って、まず前提としてオペレーションの見直しをやってください。これがチーフ・ロジスティクス・オフィサー(CLO)の役割です。オペレーション改革をやらないと投資効率が下がり、コスト上がるだけで、投下資本利益率(ROIC)がますます低下するのです。一つの例として、今バース予約システムの導入が求められていますが、単に導入するだけだと、例えば、トラックが2ヶ所、Aという拠点とBという拠点を回ると、そのバース予約の指定時間が近いと、今まで1台のトラックで巡回して届けていたものが、その指定時間を守るために、トラックを2台出さないといけない等、現場ではいろんな問題が実際に起こる可能性があるのです。だから、道具(システム)だけを入れればいいのではなくて、そのオペレーションの体制を変えなければいけないのです。実質的な荷役時間を短縮するためには、例えばASNデータ(事前出荷明細データ)を発荷主の方で、荷受けするお客さんのところへ事前に送っておいて、ASNデータと紐づいたRFIDやQRコードを使ってスキャン検品をすれば、検品が終了するような、そういった仕組みに変えていかないといけないのです。要は、ロジスティクスを計画的に運用する体制に改める必要があるということです。さて、ロジスティクスの改革をどういう前提でどのような方向へ持っていくのかについてお話します。まず、リスクということを、今考えるべきだと思います。こうした対策はBCPにも繋がってくるのです。能登半島地震は今年の1月1日に発生して、その時に建設した仮設住宅が、9月の豪雨によって大きな浸水被害にあったということがありました。この30年で災害によるリスクがどんどん増加しているのです。「南海トラフ地震」が、30年以内に8割程度の確率で起こるのではないかと言われてるわけですから、拠点の見直しだとか、物流体制の見直しということは、今検討しておかないと大変なことなり、企業は立ち行かなくなるのです。3.11東日本大震災のとき、発生から約2ヶ月後に仙台のある倉庫会社さんの調査をさせていただいことがあります。この会社では、初めから建設時に倉庫の建物の強度を高めていたり、倉庫が水没しないような準備をしていたため、震災直後も、停止すること無く倉庫は稼働していたのです。ただし、発災時に運行していたトラックでドライバーが本社に状況を連絡しようとしたときに、普段のスマホとかの通信手段が全く使えなくなったため、MCA無線という昔の無線を使ってトラックの状況を把握したりしたそうです。また本社は東京にあるのですが、BCP対応で災害用の備蓄品をすぐに送ってくれたので助かったり、地域住民の方々が倉庫へ避難して、物流センターは、社会的な避難場所としての役割を発揮したそうです。 2つのロジスティクス   *画像をClickすると拡大画像が見られます。    対象事象の特性とロジスティクスの類型   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   こういったことを実施するためには、効率的なサプライチェーン・ロジスティクスだけではなくて、ライフサイクル・サポート・ロジスティクス(Life Cycle Support Logistics)といいますが、こういった施設だとかシステムがきちんと維持可能な体制を整えるためには、様々な対応する仕組みだとか投資が必要になってくるのです。このロジスティクス・リスク低減の方策には、これらの四点があります。 ロジスティクス・リスクの低減の方策   *画像をClickすると拡大画像が見られます。    リスク低減方策の相互関係構造   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   ①「共通化・標準化」、次に②「共有化」は、シェアリングをします、トラックで言えば共同物流とか混載をすることです。③「分散化・複線化」は、運ぶルートを複線化し変えるとか、鉄道や船を使いましょう、ドローンを使いましょう、というようなことです。それから、④「可視化・連携化」は、ネットワーク全体を見える状況にしておかないといけないということで、これらをこの順番で進めていかないと、ロジスティクス・リスクの低減ができないのです。 リスク低減施策の対象と相互関連 […]

第557号 物流二法の改正とサプライチェーン改革の方向性(前編) (2025年6月5日発行)

執筆者  橋本 雅隆 氏明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学)明治大学BCP・SCM研究所代表  執筆者略歴 ▼ 略歴 早稲田大学 理工学部 工業経営学科 卒業 明治大学大学院 経営学研究科 博士前期課程を修了 一橋大学客員教授等を経て、2015年より現職に至る ―――――――――――――――――――――――――――――――――――*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。*今回、明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学) 橋本 雅隆 先生の講演内容を3回に分けて掲載いたします。*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。――――――――――――――――――――――――――――――――――― 目次 はじめに 2024年問題対応に関する行政の動き (1)「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の設置 (2)「物流革新に向けた政策パッケージ」の決定 トラックGメンの創設 (3) 改正物流二法の制定 荷主・物流事業者に対する規制的措置 トラック事業者の取引に対する規制的措置    はじめに ただいまご紹介いただきました、明治大学の橋本でございます。本日のテーマ、「物流効率化法とサプライチェーン改革の方向性」についてお話していきます。   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   本日冒頭にお話をする物流効率化法は既に公布されており、2025年度から施行されます。   *画像をClickすると拡大画像が見られます。 本日お話する内容は、この3点です。「2024年問題と物流効率化に関する行政の動き」ということと、政府が方向づけをしている、「リスクに強いサプライチェーン」とはどういうものなのか、それからこの法律で定められている、物流統括管理者、俗にCLOと言っていますが、「CLOの役割と求められる人材」についてお話させていただきたいと思います。 2024年問題対応に関する行政の動き   *画像をClickすると拡大画像が見られます。 まず、2024年問題と物流効率化法に関する行政の動きについて、少しおさらいをしておきたいと思います。ご承知のように、2024年問題に関して、この4月から労働基準法と改善基準告示が改正されまして、トラックドライバーの所定外労働時間の上限規制が年間960時間に設定され、このまま続けていくと、ひとつの試算ですが、コロナ前の2019年に比べて14.2%ぐらいのものが届かなくなるということです。更に6年後の2030年には、34.1%、つまり3分の1ぐらいのものが届かなくなるという試算が出ているわけです。これは放置しておけないのでこの法律が施行されるわけです。なぜこういう状態になったかというと、平成2年に物流二法が改正され、トラック運送業の新規参入が実質的に緩和されたことで、それまで約4万社だった運送事業者が、約6万社、1.5倍ぐらいに増加しました。このため競争が非常に厳しくなり、全産業平均よりも、労働時間が約2割長く、年間賃金は約1割前後低くなっており、若い方がドライバーになりたがらないのです。政府では、2024年問題の影響について試算をしており、影響が大きい業界は、農産・水産品、建設業・建材であり、こういったところでは、物流コストが上がっていくということと、地域的には、中国、九州地方といった、地方の影響が大きいと言われています。 (1)「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の設置   *画像をClickすると拡大画像が見られます。 これは放置できないということで、一昨年の9月に、この三省で、「持続可能な物流の実現に向けた検討会」(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/index.html)が設置され、この対策が議論されました。ここでは、主に3点ほど指摘がされました。その中では、荷主、特に経営者層の方が、物流についてもっと関心を持っていただきたいということです。また、消費者も、再配達とか、いわゆる賞味期限の問題だとか、行動変容をしてくださいということが一つあります。それからもう一つは、非効率な商取引慣行の見直しと、トラックの荷待ち・荷役時間の削減です。これが長いとドライバーがずっとトラックの中で待っていなくてはいけないのです。今後対策をとらないと、ドライバー不足のなかで、更に届けられなくなるのです。それから、リードタイムの問題です。今日注文した商品を、明日届けなければいけないとか、厳しい条件で輸送しているので、最短でもN+2のリードタイムを取るといった変更です。また、発注量のピーク・ボトムの差が非常に大きいので、稼働率や積載効率が低くなる。こういうところの平準化をするということです。あるいは、運送業の運送契約の問題です。これは多重下請け構造というのがあって、実運送の実態が元請けの段階で十分把握されていない場合も多いのです。こういったことを改善し、適正な運賃・料金を払うようにするということです。その前提となるのが、物流標準化、デジタル化、共同化、モーダルシフト等による効率化です。これは、改正省エネ法を下敷きにして法改正をしました。物流は、発荷主、受荷主、それから運送事業者があって、そこも元請け・下請けの構造になっていて、こうした物流の問題を解決しようとすると、発荷主の方は、「お客様が受荷主であるため、お客様の言うことを聞かなくてはいけない」、受荷主の方は、「物流現場は、物流会社が作業していて、その実態はよく知りません」となり、物流会社へ行くと、「発荷主から指示されてるから、その通りやっています」ということで、どうどう巡りになってなかなか解決しないので、これは法改正により、ある程度規制しないといけないということになったのです。こういう構造的な悪循環が発生する原因は、相対的に買い手の荷主の交渉力が強く、厳しい納品条件が課せられるとか、あるいは、店着価格制といって、お店へ商品を届けるまでが、売り手の責任になっていて、その中で商品の金額と物流費が明確に区分されていないのです。それに、前に述べた通り、運送契約は発荷主と結んでいるので、受荷主側でドライバーが荷役などの付帯業務をさせられても、料金の請求は受荷主に求めづらいという問題があるのです。しかしながら、先ほどお話しました、多重下請け構造というのがあり、労働時間規制もあり、これから物流危機なので商慣行や構造改革に取り組もうとなった時、やはり着荷主の協力も重要ですし、物流の標準化、効率化が重要となってきます。そこで、「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、実際に、荷待ち・荷役時間の短縮や、リードタイムの長期化、あるいは契約条件の明確化というようなことが方向づけられたのです。 (2)「物流革新に向けた政策パッケージ」の決定   *画像をClickすると拡大画像が見られます。 これらを具体化するために、昨年の3月に「物流革新に向けた政策パッケージ」(https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/content/001725232.pdf)が決定され、そこで、商慣行の見直し、物流効率化、あるいは荷主の責任について、この政策パッケージの中に盛り込まれています。ここで、荷主と、物流事業者さんへ努力義務を課して、そこで規制をしていこうという方向になりました。その他にも、食品等の納品期限の3分の1ルールの見直しとか、あるいは多重下請け構造の是正ということを記載しています。具体的な施策としては、ここに挙げているように、トラックドライバーの稼働率を上げましょうということで、荷待ち・荷役時間を2時間以内に収めることを目標にしています。それからもう一つは、積載効率です。今これは、平均が40%を切ると言われており、約60%空気を運んでいるわけですから、そこをせめて50%以上に引き上げという目標がパッケージに記載されました。 トラックGメンの創設   *画像をClickすると拡大画像が見られます。 こういった流れの前に、「荷主への働きかけ等の制度」というのは、貨物自動車運送事業法が平成18年に改正されました。そこで、いわゆるトラックの効率化に資するような取り組みの実施を促進するために、この枠組みを使って去年の7月に、トラックGメンが全国162名の体制で、「物流の現場でこんな困り事がある」という情報を入手し、物流事業者や、あるいは荷主のところへ行って、「何とか改善してください」という要請をしているところです。この「相談窓口」というか、「目安箱」が、ネット上に設けられ、また、いわゆる「プッシュ型(積極的)情報収集」を基に、トラックGメンによる情報収集が進んでいます。これは、「働きかけ」「要請」「勧告・公表」という段階になっていますが、要請しても改善されない場合には社名を公表します、ということです。例えば、長時間荷待ちで待たされるとか、運賃の契約を10年以上改定してもらっていないなどの情報を得て是正指導をしています。このトラック事業者への活動実績ですが、これも国の資料ですが、昨年から月当たりの、「働きかけ」「要請」「勧告・公表」の件数が上昇しており、特に11月から12月の間、通常月の倍ぐらいになっており、今年も11月~12月に「集中監視月間」を設けており、集中的にチェックするのです。活動の中身としては、長時間の荷待ち、契約にない付帯業務、これはドライバーに積み下ろし作業を任せて、きちんとその料金を支払っているのか、そういったところがチェックされます。 […]

第556号 ロジスティクスEDI構想~日用品業界におけるメーカー・卸売業・物流事業者の協働推進活動~(後編)(2025年5月27日発行)

執筆者  上原 英智 株式会社プラネット 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長 執筆者略歴 ▼ 略歴 1996年4月 株式会社プラネット入社 2015年4月 営業部長 2017年4月 執行役員 ネットワーク推進本部副本部長兼営業部長 2018年8月 執行役員 ネットワーク推進本部担当役員 2024年4月 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長 現在に至る *サカタグループ2024年3月15日開催 第27回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。 *今回株式会社プラネット 執行役員 ネットワーク推進担当役員 上原 英智 様の講演内容を計3回に分けて掲載いたします。*前号(2025年5月15日発行 第555号)より 目次 ASNデータのヴァージョン別データ設定方法 ASNデータ1.0のデータ設定 ASNデータ2.0の場面整理 ASNデータ2.0のデータ設定 ASNデータ ヴァージョン別のデータ設定項目 物流現場の情報をASNデータに付加する機能 ロジテラス(LGITERAS) ロジテラスの主な搭載予定機能 入荷検収データの運用イメージ 物流の適正化・生産性向上に向けた日用品メーカー自主行動計画 経産省事業:セブンーイレブン店舗向け共同配送センターへの納品データ電子化の実証実験 ロジスティクスEDIの期待効果、経営インパクト ロジスティクスEDIの将来展望   ASNデータのヴァージョン別データ設定方法   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   話を戻しますと、「ASNデータ、ASNデータ」と言っていますが、今、日用品のメーカーさんと卸売業さんの間では、バージョンを1、2、3と定義付けをしています。一番簡単なものがASN1.0です。これは今お話した伝票レスを主目的にしますので、日別、出荷元別、納品先別に、いつ、どこからどこに、こういう製品がこの数量届きますという、本当に(出荷明細の)素の情報が通知されるものが、ASN1.0です。 ASN2.0になると、1.0の情報に加え、一番大きな違いは車両の括りのところです。先程言ったとおり、「この車両には、この製品群が積載されています」という括りのコード(車両識別コード)がついているのがASN2.0です。 さらに進んだものがASN3.0で、「この車両のこのパレットには何がいくつ載っています」というところまで分かるものがASN3.0です。ただ、今の日用品業界の中で、まだ3.0までは、ハードルが少し高いかと思っていますので、ASN2.0を中心に、今普及推進を進めているところです。 ASNデータ1.0のデータ設定   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   ASN1.0のデータ設定について、どのようなものか示したものがこちらの図表です。すごく簡単なのですが、①番の例は、「車両1台」で1メーカーさん分があります。「いつ、どこからどこに、この商品をこれだけの数量で持っていきます」という情報があります。出荷梱包番号の1番や2番のところが空白になっているのは、特に車両を括ったり、パレット単位にしたりというものが無いためで、情報としては空欄ということです。 ②番の「複数車両」の例は、結果的に複数の車両になったとしても、メーカーさん側と言いますか、発側では、この車両に、これだけ載っているという数値を、とらまえられない状態があるので、「これだけは1日で持っていく」というところまでは決まります。しかし、結局、車両の手配の都合であったり、積んでみないと分からなかいこともあるので、そうした時には、このようなデータ設定になります。 ASNデータ2.0の場面整理   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   車両別のASN2.0に関しては、考え方が細かくあるのですが、ここでは省略します。これは私が全部整理したものですが、当初96パターンぐらいあったものを、4つのパターンに収れんしたものです。 ASNデータ2.0のデータ設定   *画像をClickすると拡大画像が見られます。 […]

第555号 ロジスティクスEDI構想~日用品業界におけるメーカー・卸売業・物流事業者の協働推進活動~(中編)(2025年5月15日発行)

執筆者  上原 英智 株式会社プラネット 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長  執筆者略歴 ▼ 略歴 1996年4月 株式会社プラネット入社 2015年4月 営業部長 2017年4月 執行役員 ネットワーク推進本部副本部長兼営業部長 2018年8月 執行役員 ネットワーク推進本部担当役員 2024年4月 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長 現在に至る *サカタグループ2024年3月15日開催 第27回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。 *今回株式会社プラネット 執行役員 ネットワーク推進担当役員 上原 英智 様の講演内容を計3回に分けて掲載いたします。 *前号(2025年4月22日発行 第554号)より 目次 ロジスティクスEDI:ASNデータ、入荷検収データ ASNデータの活用メリット ASNデータ活用事例 日用品における物流標準化ガイドライン 事前出荷情報(ASN)の活用による納品伝票レス・検品レス運用ガイドライン    ロジスティクスEDI:ASNデータ、入荷検収データ   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   このロジスティクスEDIの中で、先程、概要書の中では「28種のデータを定義しました」とお話ししましたが、皆さんのニーズが高いところからリリースをして取り組んでいくためには、基本的にはASNデータが必要であり、卸売業さんの倉庫に製品が届く前に、メーカーさんから、もしくは物流事業者さんからASNデータを送ることで、卸売業さんの入荷業務の効率化につなげようとしました。 ひいては、何時間も待っている車両の待機時間を短縮したり、ドライバーさんが荷物を置いたらすぐに帰れるような業務の形を目指そうとしたのです。今日は、このASNデータについて、細かくお話したいと思います。 卸売業さんからメーカーさんへの受領書の返送時、今は受領書の紙に受領印が押されて戻ってきていると思います。ロジスティクスEDIによる入荷検収データは、簡単に言うと、その紙の部分を基本的にはデータに置き換え、ペーパーレスを目指すものです。 ASNデータの活用メリット   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   資料にいくつか「ASNデータの活用メリット」がありますが、これから説明させていただくのは、卸売業さん、荷受側のメリットです。ASNデータを使う前はどうなっていたのか見てみましょう。 この例ですと、8ケース注文したときに、現物も8ケース届きました。そのときに一緒に添付されている伝票にも8ケースと書いてあります。注文した数字も8ケース、現物も8ケース、伝票の記載数も8ケースだったということで、この3点間の情報の一致でようやく在庫計上ができるのです。 しかし、ASNデータを使うと、どうでしょう。基本的にASNデータは、メーカーさん、もしくは物流事業者さんから、製品が届く前に「このトラックには商品をいくつ載せました」という情報が届きますので、そのデータを見て、「現物も本当にその数量だった」と確認できれば、入荷数量の確認は完了します。 資料に少し訂正があり、「発注数量との比較が不要となる」と書いていますが、現実的には「ASNデータと現物を見てチェックをし、8ケースを確認する」というのが、第1ステップです。「その8ケースに対して、もともとの発注データを消し込む」というのが第2ステップであると、理解いただければと思います。どちらにおいても(入荷業務の)効率化になることは間違いありません。   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   それから、ASNデータが無いと、どこの倉庫から車両が何台入荷するのかは全然分かりません。しかし、ASNデータがあれば、この車は大阪の倉庫から出たのか、広島の倉庫から出たのか、どれだけ製品を積んでいるのかが事前に分かります。そうすると、荷受側は入荷の予定を知ることができ、「それで今日の入荷係の方は、このぐらいの時間帯に何人配置しておこう」といったように、ASNデータを使うことができるかと思います。   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   入荷側で「数量検品を省略できる」というのは、基本的には納品の精度とデータの精度、これが揃っていないと数量検品を省略することはできません。メーカーさんの納品精度はだいたい高いので、おそらく直近3か月位の情報を見て間違いが無ければ、数量を数えることなくASNデータを元に作られた数量をもとに、入荷計上ができるかと思います。実際にそのように運用して、その後、もし瑕疵があっても、後工程での処理(入荷数の修正)で対応できるので、日々の効率アップに十分つながると思います。   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   続いて「納品案内書を無くすことができる」とありますが、一般的な言葉で言うと、伝票レスですね。詳しい話は後段のパートでお話しますが、我々の感覚からすると、いわゆる「伝票レス」と言われているものと、「ペーパーレス」と言われているものは、似て非なるもので、おそらく、伝票は無くせるけれども、一部、紙は残るというのが現実的かと考えています。ただ、伝票ですと、こういう分厚い束で来ますので、これが結局1枚の紙(後述の配送指示書)に置き換わるということです。 […]

第554号 ロジスティクスEDI構想~日用品業界におけるメーカー・卸売業・物流事業者の協働推進活動~(前編)(2025年4月22日発行)

執筆者  上原 英智株式会社プラネット 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長 執筆者略歴 ▼ 略歴 1996年4月 株式会社プラネット入社 2015年4月 営業部長 2017年4月 執行役員 ネットワーク推進本部副本部長兼営業部長 2018年8月 執行役員 ネットワーク推進本部担当役員 2024年4月 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長 現在に至る *サカタグループ2024年3月15日開催 第27回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。*今回株式会社プラネット 執行役員 ネットワーク推進担当役員 上原 英智 様の講演内容を計3回に分けて掲載いたします。 目次 はじめに ロジスティクスEDI構想 化粧品日用品業界の活動と製配販連携協議会WGの関係     *画像をClickすると拡大画像が見られます。   はじめに 本日、私の方からお話する内容は、今、日用品業界のメーカーさんと卸売業さん、それから物流事業者さん、この3社で、このような考え方でこんなことをやっています、今後こんな方向に向かっていく予定なのです、というようなお話をさせていただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   まずは、プラネットの紹介をさせていただきます。1985年に、日用品のメーカーさん8社、それから情報通信・SI企業のインテックさんの出資によってできた会社です。当時は、日用品業界のメーカーさんと卸売業さんの受発注であるとか、請求決済、こうしたことをEDIデータを使ってお互いにペーパーレスで業務効率化をしましょう、基本的には商流領域のEDIをやりましょうということでスタートした会社です。   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   現在は、日用品業界の他に、ペットフード用品業界、それからドラッグストアで売っているOTC医薬品(処方箋なしで買えるお薬)、こういった非食品業界を対象に、我々の事業領域のメインは、メーカーさんと卸売業さん、こちらの間でのデータ交換と認識いただければと思います。我々のサービスの提供を行う際の姿勢としては、右下に書いてある四つのキーワード、「中立」、「標準」、「安全」、「継続」があります。まず「中立」というのは、例えばメーカーさんと卸売業さんがいて、メーカーさんばかりの声、卸売業さんばかりの声ではなくて、両者の声を聞いてバランスよくサービスを投入していきますよ、ということです。それから、この業界の中には大手企業さんばかりではなく、中小企業さんもいらっしゃいますので、どちらか一方の機能だけということではなくて、大手の企業さんも使えるし、中小企業さんも使えるような機能提供をして、流通業界全体を、包含していくようなEDIサービスを行っていますという、こういったところが、中立の姿勢となっています。それから「標準」ですが、我々が考えている標準の段階というのは4つあると思っています。まずは、標準仕様を作りましょうということで、データの仕様もそうですし、物流の設計、外装表示もあると思うのですが、業界標準をまず作るというところ、これが第1ステップです。標準は作っただけではなくて、皆さんに使っていただかないといけませんので、普及推進をしましょうということで、こういう考え方で世の中がハッピーになる(便利で得になる)ようなことなので、皆さんこの仕様でいきましょう、ということで進めていくことが、大きな2番目です。3番目は、標準の維持ということです。世の中の環境の変化やテクノロジーの進化により、「当社だけこんなふうにしたい」みたいなところがあり、そういった1社が少しづつ変えていくと、標準がガタガタになって崩れてしまうということになりますので、いやそうではなくて、そうは言ってもこの範囲の中でやっていきましょう、というように標準を維持するということです。最後に4番目は、3番目に近いのですが、世の中、環境が変わっていきます。流通環境が変わっていく、社会環境が変わってくる、テクノロジー環境が変わっていく、そうしたときに、1回作った標準をずっと変えないのかというと、そんなことはなくて、(環境に合わせて)変えていきましょうということです。我々直近のことで、商流で言えば、軽減税率がどうとか、インボイス制度とか、それから電子帳簿保存法(電帳法)とか、いろんな変化があるわけですから、その中でシステム対応を行っていきます。日用品業界を中心に、メーカーさんと卸売業さんが集まって、次はどういうビジネス取引にしていきましょうか、それだったらシステム仕様はこういう形にしましょうとか、このようなことを全て行って初めて、標準の活動になると認識しています。我々はそういったことを30数年間、愚直に取り組んでいます。それから、我々は様々な業界のビジネス取引をしていて、加工食品業界ほどではないのですが、包含している業界を合わせると、ビジネスの市場規模でいうと、大体、約5兆円位の規模があり、そうしたメーカーさんと卸売業さんの取引は止めることができまませんので、「安全」というキーワードがあります。当社の事業のなりわいとしては、流通業界の情報インフラストラクチャーですので、このビジネスを「継続」をしていくという責任感を持ち、これまで商流EDIを展開してきました。本日のメインの話は物流の話になりますので、このようなことで物流が始まりましたという点について、この後お話をさせていただきたいと思います。少し繰り返しになりますが、我々の成り立ちは日用品・化粧品業界からスタートし、現在はペットフード・用品の業界、それからOTC医薬品業界、そういったところを中心に、本日の資料に掲載しているような業界、それから、このカテゴリーのメーカーさん、卸売業さん、そういった業界の企業の皆様にご利用いただいているというような状況です。 ロジスティクスEDI構想   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   本日の講演テーマ「ロジスティクスEDI構想」ですが、なぜこの「ロジスティクスEDI」にプラネットが尽力しているかについて、最初にお話します。基本的には目的は二つあります。1つ目は、エネルギー費用の高騰であるとか、世界中でいろんな紛争が起きていることで、今後の物流費の高騰を考えると、あまりポジティブなニュースが入ってこないのですが、何とかしてこの物流費の高騰を抑えなければいけないのです。このためには、誤解していただきたくないのですが、何も物流事業者さんに対して、費用を何とかしよう、抑えつけようとかそういうことではなくて、何か工夫をして、今あるものを持続できるような形にしないと、コストは上昇していくと考えています。それから2つ目は、安定した商品供給を持続することです。お取り扱いの製品、商品は生活必需品ですので、メーカーが生産した商品を、卸売業さんは、高精度で細かなバラピッキング物流ができ、その能力をもって、きちんと小売業様の店頭に並んで、生活者の方々に製品、商品を取っていただくことが必要になります。ここまでいかないと、業界全体としては役目を果たしたことになりませんので、そうしたことを、今の言葉で言うと、サスティナビリティな物流、この持続可能な物流を実現するために、我々は今活動をしているところです。では、どうやって実現するのか、資料右上「方法」に書いていますが、基本的には物流分野の標準化したデータを、メーカーさん、卸売業さん、それから物流事業者さんでデータ交換をする、これが我々の提供するサービスの一つです。   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   我々が提供する「ロジスティクスEDI」、これによって物流のオペレーションを変えていき、これで物流業務の改善を図っていくという機能を提供しています。その一つとして「ロジスティクスEDI概要書」を、2020年2月に発刊しました。この中で何をしたのかというと、まずメーカーさん、卸売業さん、物流事業者さんが、どのような情報をやり取りして改善していけばいいのだろうということで、いろんな取り組みや活動をする前に、大きな俯瞰した図を作ってまとめたものがこの概要書です。ここに書いてあるメーカーさんには、都度、ワーキンググループ(以後WGと表記)を開催し、有識者という立場から、いろいろな見解、「実情はこうなんだ」というようなことを、議論をいただいたところです。   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   WGでは、やり取りする情報について議論し、28種のデータが必要というところまで整理ができました。その中身については、1番の事前情報交換というところから始めて、それから2番目に発注、これは卸売業さんからメーカーさんへの発注業務、それから、3番目、この辺りが今世の中でたくさん言われているところだと思いますが、メーカーさんの出荷と卸売業さんの入荷の部分、これに対する業務の範囲、それから4番目が、卸売業さんの入荷検品、卸売業さんの倉庫に入った後、バースについた後の業務範囲です。本当はここで終わればいいのですが、返品というのも現実に存在しますので、5番目が「返品についての合理化のところはこうだよね」、というようなことを整理をして、全部で28種のデータが必要という所にたどり着いた次第です。   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   「化粧品・日用品業界における物流課題への取組み」をどんな体制でやっているのかが、こちらの図なのですが、中央の「ロジスティクスEDI推進会議」は、我々が主催させていただいて、7社のメーカーさんが毎月集まり、この業界のいろんな取り組みについて、何から始めて、何を優先して解決していくのか、という方針を決めることと、我々の得意分野はデジタル(情報)の部分ですから、データの実装についてはどうしようか、というような原案を考えているところです。右上の部分が、流通経済研究所さんが主催している「サプライチェーン物流生産性研究会」(https://www.dei.or.jp/project/supplychain/)で、荷主であるメーカーさんと、メーカーさんをサポートする物流事業者さんが集まって、今大体25社から30社ぐらいの参加ですが、こちらはどちらかというと、リアルな物流現場の改善について、研究テーマを設定し、どうしていこうか、という施策について議論をしているところです。デジタル面(情報)とフィジカル面(物流)で、それぞれ検討し、スライドの中央と右側の二つの会議団体は、出荷側です。受け側の卸売業さんは、左側の全卸連(http://zenoroshiren.jp/)という、日用品とか化粧品の卸売業さんの連合体があり、そこの情報システム委員会というところに、それぞれメーカーさんの案、物流事業者さんで考えた案を持ち込んで、卸売業さんとディスカッションを行い、業界としてこれをガイドラインとして進めていこう、ということで取り組んでおり、これらの計三つの会議団体で運営している形となっています。 *1(注釈)*1..2024年5月に、日用品メーカーが商品供給・物流に関わる社会課題に協働して取り組むことを目的に「日用品サプライチェーン協議会」(https://www.dei.or.jp/project/supplychain_kyogi/)を設立。「ロジスティクスEDI推進会議」と「サプライチェーン物流生産性研究会」は、いずれも本協議会へ参加する形で活動を実施中。 化粧品日用品業界の活動と製配販連携協議会WGの関係   […]

第553号 すべての人に優しい物流センター(後編)(2025年4月10日発行)

執筆者  長谷川 雅行 (一社)日本物流資格士会 顧問  執筆者略歴 ▼ 略歴 1948年 生まれ 1972年 早稲田大学第一政治経済学部卒業 日本通運株式会社入社 2006年 株式会社日通総合研究所 常務取締役就任 2009年 同社顧問 2017年(一社)日本物流資格士会 顧問 活動領域 日本物流学会 (一社)日本SCM協会 (一社)日本物流資格士会会員 流通経済大学客員講師 港湾短期大学校非常勤講師 (公社)日本ロジスティクスシステム協会「物流技術管理士資格認定講座」ほか講師 本論文は、前編、中編、後編の計3回に分けて掲載いたします。   目次 4.障害者に優しい物流センター 5.外国人に優しい物流センター 6.おわりに    4.障害者に優しい物流センター (2)障害者雇用の現状 厚生労働省では毎年、6月1日時点における障害者雇用の現状厚生労働省では毎年、6月1日時点における障害者雇用の現状を発表している。 2024年6月1日時点における民間企業で働く障害者数は67万7千人余りで、2023年(同)から5.5%増加して21年連続で過去最多を更新した。法定雇用率の2.5%(図表3参照)を達成した企業は、法定雇用率が2.4%から引き上げられたためか46%と半数を割った。また、未達成企業の58%は障害者を1人も雇用していない。 企業で働く障害者の種別をみると、身体障害者55%、知的障害者23%、精神障害者22%で、近年、雇用対象となった精神障害者の伸び率が大きい。 上記のように、 2024年4月から新たに法定雇用率の義務対象となる企業が、常用労働者40人以上に拡大した。 最近は、物流センター等でロボットなどが導入されて自動化・省力化が進んでいる。このうち、棚搬送型(GTP=Good To Person)ロボットがある。これは、ピッキング作業者が棚まで対象物を取りに行くのではなく、棚の方がピッキング作業者の前まで対象物を運んで来る。なかには対象物を入れたコンテナをピッキング作業者がいるピッキングポートまで届けてくれる。ピッキング作業者は、オリコンから必要数をピッキングしてコンテナを戻すだけの作業なので、座っていてもできる。 上述のアマゾン小田原FCでは、ピッキング作業者が商品を探して、FC内を1日約20km歩いていた。人間の歩行速度は時速4kmなので、単純計算では1日5時間歩いている。同社では、「歩くために、1日5時間分の時給を払っている」生産性の低さに驚いたのか、GTPメーカーの米国キバ・ロボティクス社を買収(現・アマゾン・ロボティクス社)し、日本国内でもGTPを導入している。 欧州の物流センターの写真・動画を見ると、作業者は座ったままで物流機器を操縦しているので、車いすの障害者でも物流センター業務が可能になると思われる。 障害者雇用に積極的な製造業では、生産ライン等を障害者向けに改造して対応している例もあり、物流分野でも同様の対応や配慮が、後述のSDGsの観点からも望まれる。 電動車椅子メーカーのWHILLでは、「倉庫作業専用モビリティ」の試作機(特許出願中)を製作した(図表4)。 図表4 WHILL社の「倉庫作業専用モビリティ」試作機 *画像をClickすると拡大画像が見られます。 (出所)WHILL社ホームページ また、機械部品製造のアクセスエンジニアリングでは、前後左右の全方向に移動でき、椅子の高さも変えられる車椅子ロボットmovBot® Office(図表5)の販売を開始した。同社HPによれば、同機は下肢に障害があっても健常者と同じ行動が可能となり、障害者雇用のために施設内を改造する必要がない。 図表5 アクセスエンジニアリング社のmovBot® Office *画像をClickすると拡大画像が見られます。 (出所)アクセスエンジニアリング社ホームページ 上記2社のような、障害者の就労を支援するロボットが開発・実用化されることは、障害者雇用の拡大にとって望ましい限りである。今後も、棚搬送型ロボット・作業支援ロボットなどの障害者支援機器の開発・普及が期待される。 […]

第552号 すべての人に優しい物流センター(中編)(2025年3月18日発行)

執筆者  長谷川 雅行(一社)日本物流資格士会 顧問  執筆者略歴 ▼ 略歴 1948年 生まれ 1972年 早稲田大学第一政治経済学部卒業 日本通運株式会社入社 2006年 株式会社日通総合研究所 常務取締役就任 2009年 同社顧問 2017年(一社)日本物流資格士会 顧問 活動領域 日本物流学会 (一社)日本SCM協会 (一社)日本物流資格士会会員 流通経済大学客員講師 港湾短期大学校非常勤講師 (公社)日本ロジスティクスシステム協会「物流技術管理士資格認定講座」ほか講師 本論文は、前編、中編、後編の計3回に分けて掲載いたします。   目次 3.高年齢者に優しい物流センター 4.障害者に優しい物流センター    3.高年齢者に優しい物流センター (2)高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン2)高年齢労働者の健康や体力の状況の把握①健康状況の把握労働安全衛生法(以下、「労安法」と略す)で定める雇入時及び定期の健康診断を確実に実施すること。その他、以下に掲げる例を参考に、高年齢労働者が自らの健康状況を把握できるような取組を実施することが望ましいこと。<取組例>・労安法で定める健康診断の対象にならない者が、地域の健康診断等(特定健康診査等)の受診を希望する場合は、必要な勤務時間の変更や休暇の取得について柔軟な対応をすること。・労安法で定める健康診断の対象にならない者に対して、事業場の実情に応じて、健康診断を実施するよう努めること。・健康診断の結果について、産業医、保健師等に相談できる環境を整備すること。・健康診断の結果を高年齢労働者に通知するに当たり、産業保健スタッフから健康診断項目毎の結果の意味を丁寧に説明する等、高年齢労働者が自らの健康状況を理解できるようにすること。・日常的なかかわりの中で、高年齢労働者の健康状況等に気を配ること。②体力の状況の把握高年齢労働者の労働災害を防止する観点から、事業者、高年齢労働者双方が当該高年齢労働者の体力の状況を客観的に把握し、事業者はその体力に合った作業に従事させるとともに、高年齢労働者が自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、主に高年齢労働者を対象とした体力チェックを継続的に行うことが望ましいこと。体力チェックの対象となる労働者から理解が得られるよう、わかりやすく丁寧に体力チェックの目的を説明するとともに、事業場における方針を示し、運用の途中で適宜当該方針を見直すこと。具体的な体力チェックの方法として次のようなものが挙げられること。・労働者の気付きを促すため、加齢による心身の衰えのチェック項目(フレイルチェック)等を導入すること。・厚生労働省作成の「転倒等リスク評価セルフチェック票」等を活用すること。・事業場の働き方や作業ルールにあわせた体力チェックを実施すること。この場合、安全作業に必要な体力について定量的に測定する手法及び評価基準は安全衛生委員会等の審議を踏まえてルール化することが望ましいこと。体力チェックの実施に当たっては、以下の点を考慮すること。・体力チェックの評価基準を設けない場合は、体力チェックを高年齢労働者の気付きにつなげるとともに、業務に従事する上で考慮すべきことを検討する際に活用することが考えられること。・体力チェックの評価基準を設ける場合は、合理的な水準に設定し、職場環境の改善や高年齢労働者の体力の向上に取り組むことが必要であること。・作業を行う労働者の体力に幅があることを前提とし、安全に行うために必要な体力の水準に満たない労働者がいる場合は、当該労働者の体力でも安全に作業できるよう職場環境の改善に取り組むとともに、当該労働者も作業に必要な体力の維持向上に取り組む必要があること。・高年齢労働者が病気や怪我による休業から復帰する際、休業前の体力チェックの結果を休業後のものと比較することは、体力の状況等の客観的な把握、体力の維持向上への意欲や作業への注意力の高まりにつながり、有用であること。3)高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応①個々の高年齢労働者の健康や体力の状況を踏まえた措置健康や体力の状況を踏まえて必要に応じ就業上の措置を講じること。脳・心臓疾患が起こる確率は加齢にしたがって徐々に増加するとされており、高年齢労働者については基礎疾患の罹患状況を踏まえ、労働時間の短縮や深夜業の回数の減少、作業の転換等の措置を講じること。就業上の措置を講じるに当たっては、以下の点を考慮すること。・健康診断や体力チェック等の結果、当該高年齢労働者の労働時間や作業内容を見直す必要がある場合は、産業医等の意見を聴いて実施すること。・業務の軽減等の就業上の措置を実施する場合は、高年齢労働者に状況を確認して、十分な話合いを通じて当該高年齢労働者の了解が得られるよう努めること。また、健康管理部門と人事労務管理部門との連携にも留意すること。②高年齢労働者の状況に応じた業務の提供高齢者に適切な就労の場を提供するため、職場における一定の働き方のルールを構築するよう努めること。労働者の健康や体力の状況は高齢になるほど個人差が拡大するとされており、個々の労働者の健康や体力の状況に応じて、安全と健康の点で適合する業務を高年齢労働者とマッチングさせるよう努めること。個々の労働者の状況に応じた対応を行う際には、以下の点を考慮すること。・業種特有の就労環境に起因する労働災害があることや、労働時間の状況や作業内容により、個々の労働者の心身にかかる負荷が異なることに留意すること。・何らかの疾病を抱えながらも働き続けることを希望する高年齢労働者の治療と仕事の両立を考慮すること。・複数の労働者で業務を分けあう、いわゆるワークシェアリングを行うことにより、高年齢労働者自身の健康や体力の状況や働き方のニーズに対応することも考えられること。③心身両面にわたる健康保持増進措置「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(1988年)に基づき、事業場における健康保持増進対策の推進体制の確立を図る等組織的に労働者の健康づくりに取り組むよう努めること。集団及び個々の高年齢労働者を対象として、身体機能の維持向上のための取組を実施することが望ましいこと。常時50 人以上の労働者を使用する事業者は、対象の高年齢労働者に対してストレスチェックを確実に実施するとともに、ストレスチェックの集団分析を通じた職場環境の改善等のメンタルヘルス対策に取り組むこと。併せて、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2006年)に基づき、メンタルヘルス対策に取り組むよう努めること。これらの事項を実施するに当たっては、以下に掲げる対策の例を参考に、リスクの程度を勘案し、事業場の実情に応じた優先順位をつけて取り組むこと。・健康診断や体力チェックの結果等に基づき、必要に応じて運動指導や栄養指導、保健指導、メンタルヘルスケアを実施すること。・フレイルやロコモティブシンドロームの予防を意識した健康づくり活動を実施すること。・身体機能の低下が認められる高年齢労働者については、身体機能の維持向上のための支援を行うことが望ましいこと。例えば、運動する時間や場所への配慮、トレーニング機器の配置等の支援が考えられる。・保健師や専門的な知識を有するトレーナー等の指導の下で高年齢労働者が身体機能の維持向上に継続的に取り組むことを支援すること。・労働者の健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践する健康経営の観点から企業が労働者の健康づくり等に取り組むこと。・保険者と企業が連携して労働者の健康づくりを効果的・効率的に実行するコラボヘルスの観点から職域単位の健康保険組合が健康づくりを実施する場合には、連携・共同して取り組むこと。4)安全衛生教育①高年齢労働者に対する教育労安法で定める雇入れ時等の安全衛生教育、一定の危険有害業務において必要となる技能講習や特別教育を確実に行うこと。高年齢労働者を対象とした教育においては、作業内容とそのリスクについての理解を得やすくするため、十分な時間をかけ、写真や図、映像等の文字以外の情報も活用すること。中でも、高年齢労働者が、再雇用や再就職等により経験のない業種や業務に従事する場合には、特に丁寧な教育訓練を行うこと。併せて、加齢に伴う健康や体力の状況の低下や個人差の拡大を踏まえ、以下の点を考慮して安全衛生教育を計画的に行い、その定着を図ることが望ましいこと。・高年齢労働者が自らの身体機能の低下が労働災害リスクにつながることを自覚し、体力維持や生活習慣の改善の必要性を理解することが重要であること。・高年齢労働者が働き方や作業ルールにあわせた体力チェックの実施を通じ、自らの身体機能の客観的な認識の必要性を理解することが重要であること。・高年齢労働者にみられる転倒災害は危険に感じられない場所で発生していることも多いため、安全標識や危険箇所の掲示に留意するとともに、わずかな段差等の周りの環境にも常に注意を払うよう意識付けをすること。・高年齢労働者に対して、サービス業の多くでみられる軽作業や危険と認識されていない作業であっても、災害に至る可能性があることを周知すること。・勤務シフト等から集合研修の実施が困難な事業場においては、視聴覚教材を活用した教育も有効であること。・危険予知トレーニング(KYT)を通じた危険感受性の向上教育や、VR技術を活用した危険体感教育の活用も考えられること。・IT 機器に詳しい若年労働者と現場で培った経験を持つ高年齢労働者がチームで働く機会の積極的設定等を通じ、相互の知識経験の活用を図ること。②管理監督者等に対する教育事業場内で教育を行う者や当該高年齢労働者が従事する業務の管理監督者、高年齢労働者と共に働く各年代の労働者に対しても、高年齢労働者に特有の特徴と高年齢労働者に対する安全衛生対策についての教育を行うことが望ましいこと。この際、高齢者労働災害防止対策の具体的内容の理解に資するよう、高年齢労働者を支援する機器や装具に触れる機会を設けることが望ましいこと。事業場内で教育を行う者や高年齢労働者が従事する業務の管理監督者に対しての教育内容は以下の点が考えられること。・加齢に伴う労働災害リスクの増大への対策についての教育・管理監督者の責任、労働者の健康問題が経営に及ぼすリスクについての教育また、こうした要素を労働者が主体的に取り組む健康づくりとともに体系的キャリア教育の中に位置付けることも考えられること。併せて、高年齢労働者が脳・心臓疾患を発症する等緊急の対応が必要な状況が発生した場合に、適切な対応をとることができるよう、職場において救命講習や緊急時対応の教育を行うことが望ましいこと。6)高年齢労働者に求められる事項(抄)・高年齢労働者が自らの身体機能や健康状況を客観的に把握し、健康や体力の維持管理に努めること。なお、高齢になってから始めるのではなく、青年、壮年期から取り組むことが重要であること。・事業者が行う労安法で定める定期健康診断を必ず受けるとともに、短時間勤務等で当該健康診断の対象とならない場合には、地域保健や保険者が行う特定健康診査等を受けるよう努めること。・事業者が体力チェック等を行う場合には、これに参加し、自身の体力の水準について確認し、気付きを得ること。・日ごろから足腰を中心とした柔軟性や筋力を高めるためのストレッチや軽いスクワット運動等を取り入れ、基礎的な体力の維持と生活習慣の改善に取り組むこと。・各事業所の目的に応じて実施されているラジオ体操や転倒予防体操等の職場体操には積極的に参加すること。また、通勤時間や休憩時間にも、簡単な運動を小まめに実施したり、自ら効果的と考える運動等を積極的に取り入れること。・適正体重を維持する、栄養バランスの良い食事をとる等、食習慣や食行動の改善に取り組むこと。・青年、壮年期から健康に関する情報に関心を持ち、健康や医療に関する情報を入手、理解、評価、活用できる能力(ヘルスリテラシー)の向上に努めること。6)項の「積極的な運動」「適正体重」「栄養バランス」などは、高年齢者の一人である筆者にも耳が痛い。(3)スキマバイト高年齢労働者は、加齢による身体機能の低下等もあり、ギグワーカーとして短時間の軽作業に就労すること(スキマバイトなどと言われている)が増えている。とくに、最近は、事業者側も職業紹介(マッチング)アプリによって、高年齢者をはじめとするギグワーカーを募集している例も多い。実際に、マッチングアプリで就労した経験のある高年齢者に聞くと、「仕事が細分化された単純作業の場合は、すぐ働ける」が、①監督者などからの事前説明(業務内容・安全など)についての説明が少ない(または「ない」)②作業服(靴)が体に合わないのに、(短時間だからと)我慢させられた③「『タ〇ミーさん(アプリ名)』『メ〇カリさん(同)』『スキマさん』『バイトさん』などと呼ばれて、本名で呼ばれないのが気になる」(派遣労働者も、本名でなく「派遣さん」と呼ばれることが多いと聞く)。④労働時間が「契約」より延びてしまうことが多い等の不満もあるようなので、物流センター長などは(高年齢者に限らず)気を付けたい。②の「体に合わない作業服(靴)」は労働災害の遠因となりかねない。また、③は「差別」とも受け取られかねないので、本名で呼ぶべきである。 4.障害者に優しい物流センター (1)障害者雇用率制度(本稿では、「障碍者」「障がい者」ではなく、後記の法律名に従い「障害者」を使用する)障害者の雇用対策は、「障害者雇用促進法」により、企業に対して、雇用する労働者の一定比率の障害者を雇用することが義務付けられている(図表3)。 図表3 障害者雇用率制度   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   (出所)厚生労働省資料 障害者雇用率は、2023年度の2.3%が2024年度は2.5%に、2026年度には2.7%に引き上げられる。また、各業種の業務実態により、一定の「除外率」が定められている(倉庫業5%、貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く)15%、道路貨物運送業20%、港湾運送業25%など。多くの製造業・流通業・サービス業は、除外なし)が、2025年度以降は除外率が一律10%引き下げられることが決定している。障害者雇用率を満たさない企業(常用労働者100人超に限る。100人未満の中小企業は除外)からは納付金(不足1人当たり月額5万円)を徴収しており、納付金をもとに雇用義務数より多く障害者を雇用する企業に対して調整金(超過1人当たり月額2万7千円)が支払われ、障害者を雇用するために必要な施設設備費等に助成される(障害者雇用納付金制度)。また、障害者本人に対しては、職業訓練や職業紹介、職場適応援助等の職業リハビリテーションを実施し、それぞれの障害特性に応じたきめ細かな支援が配慮されている。2018年4月からは、障害者雇用の対象として、従来の身体障害者・知的障害者に加えて精神障害者も含まれることになった。肉体作業の多い物流センターなどの現場では、身体障害者の雇用が難しい側面(除外率が適用されてきた理由の一つ)もあったが、知的障害者とともに精神障害者も対象となったことで、物流現場における障害者雇用の増加が期待される。 ※後編(次号)へつづく 【参考資料】 1.総務省「労働力調査」(各年版) 2.労働基準法「女子労働基準規則」「年少者労働基準規則」 3.中央職業能力開発協会編「ビジネス・キャリア検定ロジスティクス分野『ロジスティクス管理3級』テキスト 4.内閣府「高齢社会白書」(各年版) 5.厚生労働省「高年齢労働者の労働災害発生状況」(各年版) 6.厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(2020年) 7.柏労働基準監督署「倉庫・物流センター関連の事業者・労働者の皆さん 労働災害が多発しています」パンフレット(2022年) 8.中央労働災害防止協会「高年齢労働者の安全と健康確保のためのチェックリスト」(2020年) 9.厚生労働省「事業者のみなさまへ 障害者の法定雇用率の引き上げと支援策の強化について」パンフレット 10.厚生労働省「障害者雇用の現状」(各年版) 11.内閣府「障害者白書」(各年版) 12.東京都産業労働局雇用就業部就業推進課「障害者雇用促進 […]

第551号 すべての人に優しい物流センター(前編)(2025年3月6日発行)

執筆者  長谷川 雅行(一社)日本物流資格士会 顧問  執筆者略歴 ▼ 略歴 1948年 生まれ 1972年 早稲田大学第一政治経済学部卒業 日本通運株式会社入社 2006年 株式会社日通総合研究所 常務取締役就任 2009年 同社顧問 2017年(一社)日本物流資格士会 顧問 活動領域 日本物流学会 (一社)日本SCM協会 (一社)日本物流資格士会会員 流通経済大学客員講師 港湾短期大学校非常勤講師 (公社)日本ロジスティクスシステム協会「物流技術管理士資格認定講座」ほか講師 本論文は、前編、中編、後編の計3回に分けて掲載いたします。   目次 1.はじめに 2.女性に優しい物流センター 3.高年齢者に優しい物流センター    1.はじめに (1)物流センターと人材確保最近の業界動向をみていると、物流不動産(物流REIT)による大型物流施設(物流センターなど)が各地で開発されている。従来の首都圏・近畿圏・東海圏から東北・中国へ、そして最近は、半導体関連で九州・北海道にも広がっている。とくに、流通加工などを伴うフルフィルメントセンター(FC)・プロセスセンター(PC)では、パートタイマー・アルバイト(以下、「パート」「バイト」と略す)などの有期の短時間労働者を多く雇用することから、地方自治体にとっては貴重な雇用機会の創出機会(ひいては住民税等の増収)でもあり。これまでの工場誘致以上に誘致合戦を繰り広げている。千葉県流山市のように、「物流立国」ならぬ「物流立市」によって、「雇用の増加→税収拡大→子育て支援策の拡充→子育て世代の流入による人口増」という好サイクルを遂げている例もある。古い話で恐縮であるが、2013年4月のアマゾンジャパン小田原FC開所式には、小田原市長が参列して進出に対する謝意を述べている(同FCによって、1000人超の小田原市民の雇用機会が生まれたとされている)。しかし、最近のように各地で物流センターが増加すると、そこではパート・バイトなどの雇用が難しくなり、テナント企業間での求人競争も目立つようである。なかには、テナントが大家の物流不動産に対して「入居条件に『パートを集めやすい』とあったが、集まらない。何とかして欲しい」と要望し、物流不動産がパートを集めて提供し、職業安定法(職安法)違反に問われた例もある。物流不動産側もテナント獲得競争が激化し、「ウチでパートも集めますヨ」という例もあるようだ(人材紹介会社を「紹介」するのは合法であるが、物流不動産が有料職業紹介事業を行うのは「職安法」違反である)。(2)多様化する物流センター人材と労務管理の難しさ上記、物流不動産による大型物流施設開発などで、物流センターの規模が大きくなって、物流センターの従業員数が増えること、さらには、労働力不足の進展により、従来の女性中心のパート・アルバイトから、高年齢者・障害者・外国人など、人材が多様化する傾向にある(その就労実態は、以下の各項目を参照願いたい)。まさに物流センターは、D&I(Diversity & Inclusion 多様性と包摂性)を象徴する場になっていると言ってよい。筆者は、リスクマネジメントの講義のなかで、「(物流・ロジスティクスにおける)組織内部のリスク=内なるリスク」として、①コンプライアンス、②BCP、③取引先の経営破綻・与信管理、④車両・施設の故障、⑤ヒューマンエラー、⑥外部委託先管理、⑦顧客対応、➇セキュリティ(施設管理上など)、⑨情報セキュリティ、⑩労務・人事、⑪その他(不正など)を挙げて説明している。このうち、「⑩労務・人事」上のリスクとしては、関係法令(通称)などとともに、次のようなことを列挙している。・パワハラ・セクハラなどの各種ハラスメント、メンタルヘルス=ハラスメント法 労安法・女子労働=女子労働基準規則 男女雇用機会均等法 パート・有期雇用労働法・年少者労働=年少者労働基準規則(18歳未満、貨物の重量制限等)・障害者雇用=障害者雇用促進法・高年齢者雇用=高年齢者雇用安定法・外国人労働者=入国管理法 外国人雇用届出など・最低賃金=最低賃金法・労働組合=労働組合法・社会保険=健康保険法・雇用保険法・厚生年金法・労働保険法・介護保険法・自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)・労働環境の整備(休憩施設・女子用施設)物流センターでは、①雇用区分では正社員・契約社員・準社員・臨時社員(各社で呼称は異なる)はじめ、パート・バイトの短時間有期労働者、派遣労働者など②上記のリスク関連では、女子労働・障害者雇用・高年齢者雇用・外国人労働者などのように、様々な人材が一緒に働いている。「働き方改革」で改正された「同一労働同一賃金」(パート・有期雇用労働法)に象徴されるように、賃金や処遇を巡っての不服・不満を内在していることも想定され、物流センター長など現場第一線の管理監督者には、気苦労が絶えない。そこで、働く人々にとっての「人に優しい物流センター」とは、どのようなものであるか考えて見たい。なお、ここでいう「物流センターは」、営業倉庫・保管庫・上屋・物流センター・商品センター・配送センター・FC・DC・TC・PCなどの名称を問わず、入荷・入庫・保管・ピッキング・流通加工・検品・梱包・出荷・情報処理などを行う物流施設を指す。 2.女性に優しい物流センター ご存知のように、今や、「女子労働」(厚労省による)なくしては、物流センターの業務は遂行できない。総務省労働力調査では、倉庫業では2021年には女性の比率が42.6%と高く、ピッキング・流通加工などの軽作業も多いので、パートタイム労働者を中心に、倉庫作業従事者で37.3%、荷造従事者で68.1%と、女性比率が高くなっている。「女子労働」については、かつては労働基準法の女子労働基準規則(通称「女子則」)で、「深夜労働の禁止」等が定められていたが、上記「男女雇用機会均等法」等により緩和された。現行の女子則のうち、物流センター業務に関連する規定は、以下の通りである。第2条労働基準法第64条の3第1項の規定により妊娠中の女性を就かせてはならない業務は、次のとおりとする。1.表の左欄に掲げる年齢の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる重量以上の重量物を取り扱う   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   (注1)2項以下は省略するが、「つり上げ荷重が5トン以上のクレーン若しくはデリック又は制限荷重が5トン以上の揚貨装置の運転の業務」も、妊婦や産後1年の女子には就業制限がある。筆者は、最近では港湾でのコンテナターミナル荷役に使われるガントリークレーンも、事務所棟からの遠隔操作が可能な機種もあり、労働環境が改善されていることから、大型クレーン運転業務について画一的に女子の就業制限をするのは如何なものかと思う。(注2)また、「多量の低温物体を取り扱う業務」「著しく寒冷な場所における業務」も、妊婦や産後1年の女子には就業制限があるので、冷蔵・冷凍倉庫(低温の物流センター)などでの就業には留意する必要がある。(注3)18歳未満の女性については女性労働基準規則(女子則)と年少者労働基準規則(年少則)の両方の適用を受ける。ただし、上表以外に、「職場における腰痛予防対策指針」(2013年)では、「重量物を取り扱う作業を行わせる場合」において、事業者は、「満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね40%以下となるように努めること。満18歳以上の女子労働者では、さらに男性が取り扱うことのできる重量の60%位までとすること」と女性保護が示されている。物流センターの施設整備(トイレ・更衣室・休憩室など)については、パート確保の観点からも改善が進み、物理的にはオフィスどころからホテル並みのものもあるので、以下の表に止めることにする(ハード面では整備されたが、「使用」「運用」というソフト面では、改善余地があるかもしれない)。 図表1 物流施設内の労働力不足への対策   *画像をClickすると拡大画像が見られます。   (出所)中央職業能力開発協会編「ビジネス・キャリア検定ロジスティクス分野『ロジスティクス管理3級』テキスト」 女子労働に限らないが、パートについても触れたい。パートを雇用する際に遵守しなければならないのが、パートタイム・有期雇用労働法(2020年4月施行。2021年4月からは中小企業にも適用)である。「パートタイム労働者」とは、同法では「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定められており、雇用する際のパート・バイト・嘱託・契約社員・臨時社員・準社員という区分は関係なく、正社員より労働時間が短ければ、すべて「パートタイム労働者」となり、同法が適用される。企業側がパートを雇うメリットとしては、「業務量などに合わせて人員確保できる」「人件費を抑制できる」「正社員の仕事をパートに振ることで、正社員の生産性が上がる」などがある。一方、デメリットとしては従業員の入れ替わりが多く「長期的な人材育成が難しい」などがある。同法では、パートを雇用するときには、書面(雇用契約書・労働条件通知書など)で労働条件を明示することを企業に義務付けている。明示しなければならない労働条件は、以下の11項目である。①契約期間 ②有期契約の場合は更新の基準 ③就業場所 ④業務内容 ⑤労働時間 ⑥賃金 ⑦退職に関する事項 ➇昇給の有無 ⑨退職手当の有無 ⑩賞与の有無 ⑪相談窓口(➇~⑪の4項目は、同法に独自の項目)また、2024年10月以降、従業員51人以上の企業では、週に20時間以上働き、年収106万円以上の主婦パートなどは健康保険(協会けんぽ)・厚生年金の加入対象になった。厚労省は社会保険の加入条件について、賃金要件と企業規模要件を撤廃して、従業員5人以上の飲食・理美容・宿泊などの事業においても全面加入を目指している。労使折半の健康保険料・厚生年金保険料については、一定の収入までは使用者側に折半以上の保険料を課すなどを検討している(昨今話題となり、2025年には改善されると思われる「年収の壁」については、別途ご報告したい)。同法は、正規従業員と非正規従業員の不合理な待遇の差をなくすことが目的の一つであり、いわゆる「同一労働同一賃金」も規定されている。具体策としては、「待遇に不合理な差をつけてはいけない=均等待遇」「待遇差(=均衡待遇)についての説明義務」「行政ADR(裁判外紛争解決手続)の対象」が定められている。均等待遇には、雇用後の教育・訓練等も含まれている(「同一労働同一賃金」の詳細は、2019年10月10日「第421~423号 働き方改革関連法改正と実務的対応(その2)」を参照されたい )。 3.高年齢者に優しい物流センター (1)高年齢者の雇用(本稿では、メディア等で使われる「高齢者」ではなく、後記の法律名に従い「高年齢者」を使用する)少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境の整備を目的として、「高年齢者雇用安定法」が一部改正され、2021年4月から施行されている。主な改正の内容として、事業者には、「70 歳までの 定年の引上げ」「定年制 の廃止」「70 歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入」など、いずれかの措置を講ずるよう努力義務が課せられた。雇用者全体に占める60歳以上の高年齢者の割合は、2023年で18.7%と2割近い。物流センターなどを見学しても、各所で高年齢者を見かけることが多い。厚生労働省の「令和5(2023)年高年齢労働者の労働災害発生状況」などによれば、以下の通りである。高年齢者の就労が一層進むなかで、労働災害による休業4日以上の死傷者数のうち、60歳以上の労働者(高年齢労働者)の占める割合は29.3%と、全死傷者数の約4分の1を占めているほか、絶対数でも39,702人と4万人近く、年々増加傾向にある。労働者千人当たりの労働災害件数をみると、30歳代と比べ、60歳以上では男性で約2倍、女性で約4倍と相対的に高くなっている。また、高年齢労働者の労働災害事例では、「事業所構内で、同僚が運転するフォークリフトと衝突し、後遺障害を負った(男性60代」「倉庫の段ボールにつまずき転倒し大腿骨を骨折。3カ月休業(女性60代)」などがある。「墜落・転落」「転倒」が多く、年齢が上がるにしたがって「休業見込み期間」が長期化するのが、高年齢者の労働災害の特徴ともいえる。千葉県・柏労働基準監督署のように、「物流需要の高まりを受けて(同署)管内では倉庫・物流センターが急増するに伴い、物流センターでの労働災害も多く発生している」として、「物流センターの労働災害防止」パンフレットを作成・配布しており、そのなかでも「プラスα」として「高年齢労働者の労働災害防止に取り組んでいますか」と強調している。(2)高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン高年齢者が安心して安全に働ける職場環境の実現が求められ、厚生労働省では「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(2020年)を打ち出している。また、中央労働災害防止協会では「高年齢労働者の安全と健康確保のためのチェックリスト」を作成・配布している。 図表2 「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」別紙 […]

第550号「データが欲しい」(2025年2月18日発行)

執筆者 山田 健 (中小企業診断士 流通経済大学/文教大学非常勤講師)  執筆者略歴 ▼ 著者略歴等 1979年日本通運株式会社入社。 1997年より日通総合研究所で、メーカー、卸の物流効率化、 コスト削減などのコンサルティングと、国土交通省や物流事業者、 荷主向けの研修・セミナーに携わる。 2014年6月山田経営コンサルティング事務所を設立。 著書に「すらすら物流管理(中央経済社)」「物流コスト削減の実務(中央経済社)」 「物流戦略策定のシナリオ(かんき出版)」などがある。 中小企業診断士。 URL:http://www.yamada-consul.com/   目次 1.ある共同物流の挫折 2.データによる検証が先 3.「データ至上主義」に注意    1.ある共同物流の挫折 その自治体は名産品の首都圏での共同物流を計画していた。巨大市場である首都圏や関西圏までの距離が遠いことで物流面でのハンディがあるという。注文から配送までのリードタイムが長くなることで、競合品に後れをとっていた。商品自体の競争力にくわえて、物流サービス水準が劣っていることが販売が伸びない一因と考えていたのである。そこで、自治体の販売支援策の一環として首都圏に共同配送センターを設置し、あわせて共同配送体制を構築する企画が固まったのである。 筆者は物流面のアドバイザーとしてこの企画に参加することになった。ただ、参加を決めた時はすでに「共同物流ありき」で企画が進んでしまっていたことに気づくのが遅かった。もっとも重要な「共同物流のメリット」と「コンセプト」があいまいなまま自治体主導で走り出してしまっていたのである。不覚であった。 共同物流を実施するのに何より大切なことは参加メンバーのモチベーションである。そもそも荷主主体で行う共同物流のハードルは高い。オーダーの締め時間が違う、出荷時間が違う、納品指定時間が違う、オーダーのフォーマットが違う、運賃・料金が違う、などなど上げればきりがない。こうした高いハードルを乗り越えるための最大の原動力は参加メンバーの「モチベーション」なのである。 もちろん、あいまいながら「共同物流によるリードタイム短縮」という目的はあるにはあった。また、昨今なら2024年問題への対応策としての配送距離の短縮や車両の安定確保という「錦の御旗」を掲げることもできたであろう。ただ、計画当時はそのような動きはまだ見えていない。 結局、参加メンバーの最大の関心は「物流コストの低減」にあった。これは物流の永遠のテーマであることは間違いない。2024年問題がこれだけ喧伝されている中にあっても、いまだにコスト低減にこだわる企業は多い(残念ながらほとんど不可能であるが)。 当然ながら、参加メンバーによる共同物流化プロジェクトの会議は盛り上がらない。共同物流センターの選定など計画はどんどん具体的になるものの、乗り気でないメンバーによる議論はいつも堂々めぐりである。気が付けば常に原点に戻ってしまっている。皆はっきり口にしないものの、考えていることは一緒である。参加することに「どのようなメリットがあるのか」「コストはどれだけ下がるのか」である。 一般的に、遠隔地に共同物流センターを設置して共同配送を行う場合、よほどの条件がそろわなければコスト低減は難しい。各社が別々に貸切トラックを走らせており、かつその積載効率が非常に低い、納品先が重なる、ベースカーゴがある(6割程度の物量を持つリーダー荷主)などである。通常、参加各社の在庫を保管する倉庫とは別に共同物流センターを設置することで拠点コストが増えてしまうこと、そのために2段階配送となり配送コストが増えてしまうことなどが原因である。まして、このケースでは単価の高い首都圏に設置することで大幅なコスト増は避けられない状況であった。企画への参加を決めた後に計画の詳細を聞いた時点で、ようやく筆者はそのことを悟った。 やむを得ず、参加メンバーの出荷データを集めて共同配送の可能性とその効果の見込みをシミュレーションしてみることにした。データで効果を検証しないことには話が前に進まなくなってしまっていたからである。 日別の納品先や配送重量などの出荷データを提供してもらい分析するわけであるが、これはそれほど簡単なことではない。フォーマットはバラバラ、数量や重量単位もバラバラ、中でもやっかいだったのは納品先の「名寄せ」である。納品先の表示名がA社、A社物流センターなど統一されていないことにくわえ、小売りチェーンの物流センターの場合は納品先(卸)のそのまた先の納品先名(小売りチェーン)だったりする。いまだったらAIがうまくやってくれるのかもしれないが、結局は住所を頼りに手作業で名寄せするしか方法はなかった。 データを見てもっとも衝撃を受けたのは物量の少なさである。本来ベースカーゴとなるはずの大手荷主は、すでに首都圏に自前の拠点を構え配送網も出来上がっているため参加しなかったのである。共同配送は、理想的には6割くらいの物量(ベースカーゴ)を持つリーダー荷主に中小規模物量の荷主が「相乗り」させてもらうことでコスト面でのメリットが出る。物量の少ない「弱者連合」では共同配送は成り立たないのである。 実際、配送データは特別積合わせ便レベルであった。どう足してみても貸切便を運行できる量にはならない。現在も遠距離の特別積合わせ便で配送している物量を、地元から共同配送センターまで輸送・保管してから、その先を特別積合わせ便配送する2段階配送ではコスト高になるのはシミュレーションするまでもなく明白であった。 最後の望みをかけたのは同一納品先への配送であった。そこで、先のような「名寄せ」作業を行ったのであるが、重複する納品先は件数で1割、物量で約3割と意外に少ない。なかでも同一日に納品しているのは、件数、重量とも全体の2~3%にとどまることがわかった。もうひとつやっかいなのは異なる荷主の物流を1つにまとめて配送しても、特別積合わせ便事業者は発荷主ごとのロットで運賃計算するため、ロットまとめ効果(つまり共同配送効果)が得られないことである。このあたりはもう少し融通を利かせてくれてもいいのではないかとも思ったが、何せ物量が少ないため事業者側への説得力に欠ける。 結局、共同物流は自治体の補助金が投入されている間は継続した。参加メンバーとして自治体に対する一応の面子が立ち、コスト増も避けられたことなどによってかろうじて共同物流はスタートした。しかし、金の切れ目は縁の切れ目。補助金が途絶え大幅なコスト負担が生じた時点で、リードタイム短縮以外のメリットはほぼなくなる。官民をあげての共同物流は数年で幕を閉じたのである。 2.データによる検証が先 この共同物流の挫折の最大の原因は、「計画段階で定量的な効果を検証」していなかったことに尽きる。効果のないことがわかっていればプロジェクトは発足していなかったであろう。悲しいことに、物流ではこうした「イメージ先行」型のプロジェクトが少なくない。「共同物流=コスト低減、積載効率向上」といったイメージが定着しているため、最初から「共同物流ありき」で計画が進んでしまうのである。本来、データによる定量的な検証があって初めて共同物流の余地があるのかどうか、トラックの積載効率が上がるのかどうか、メリットがあるのかどうか、などの要点が明確になるのである。その重要なステップを飛び越えた取り組みはあり得ないはずである。現在、2024年問題で関心が高まっている共同物流に同じような例が少なからずあるのではと危惧している。 ところが、現実的にはこの問題は「鶏と卵」の関係になることも多い。参加企業にとっては、実現するかどうかもわからない段階でのデータ提供には慎重とならざるを得ない。ましては、検証の要となる出荷・配送データは門外不出の「秘中の秘」である。そう簡単に提供できないという事情も理解できるところではある。 ただ、事情はどうあれ「データによる検証が先」であることは明白である。効果もわからないうちに走り出すのはリスクが高すぎる。メーカーであれば、需要やニーズが不明なまま工場を建設するようなものである。秘密保持契約(NDA)をきちんと交わした上で、第三者(コンサルタントなど)に検証を委託するというのが王道なのではないか。 共同物流にかかわらず、一部の大手を除いて物流でのデータ活用はとくに遅れているように感じられる。とにかく、データにもとづかない感覚的な議論や判断が多すぎる。筆者も物流会社に所属していた当時はそうであったのでよくわかる。経験や勘にもとづく判断は当たるときもあれば外れるときも多い。 実際、これはコンサルティングを行う中でも痛感することではある。当初のヒアリングで把握した実態とデータで検証した実態が大きく異なることも少なくない。よくあるのが、在庫のABC分析である。倉庫会社の担当に聞けば、「当社は在庫の出荷頻度や出荷量によるABC分析にもとづいて、よく動く出荷量の大きい商品を入り口近くに配置する在庫レイアウトを行っています」という話が返ってくる。裏付けのために、在庫・出荷データを取得して分析を行ってみると全然そうなっていない。要は感覚的に「よく動く、量が多い」ことを判断しているにすぎないのである。 ある倉庫会社と荷主の間では在庫レイアウトにかかわるトラブルが頻繁に発生していた。倉庫会社からすれば、在庫の量が多すぎるので現有倉庫に収まらず、外部倉庫を借りある必要があるという。荷主にとってみれば、在庫の置き方が非効率なので格納できないのであり、適正にレイアウトすればオーバーフローはしない(つまり外部倉庫の借庫料は不要)という。この議論はどこまで行っても平行線で結論は出ない。判断材料となるデータによる検証がないのだから当たり前である。 そこで、筆者が在庫データの提供を受け第三者の立場で検証を行った。商品ごとの在庫ロットとピッキング通路、メイン通路などをデータによりシミュレーションすれば理論上の必要スペースが算出できる。 結論として、倉庫会社の主張は正しかった。現在の在庫量を保管するには現有倉庫では狭すぎることがわかった。非効率なレイアウトどころか「詰め込みすぎ」で、荷役作業に支障をきたすレベルであった。 このように、データを活用すればさまざまなことがわかり、正しい判断をすることが可能となる。メーカーなどではデータにもとづかない提案や企画などは上司に見てももらえない、というのは常識である。 私事で恐縮であるが、筆者はこのような背景を踏まえ、データで物事を見る手法や習慣の定着を図るために、業界団体や物流事業者向けに「物流データ分析入門研修」を実施している。物流業界でも「まずはデータ」という習慣が定着することを祈るばかりである。 3.「データ至上主義」に注意 データの重要性はいくら強調してもしすぎではないのだが、一方でデータだけで判断するのもきわめて危険であることを最後に付け加えておきたい。 筆者がある自動車整備業の顧問を務めていた時のこと。自動車整備といってもこの会社は普通の整備工場とは違う。整備する対象は、トラック、高所作業車(電線工事などに使われる)や大型クレーン、除雪車などいわゆる特殊車両に特化していた。当然、乗用車などとは異なる特殊で高い技術を要求されるが、競合も少なく整備料も高額なため利益率は高かった。ニッチ市場に優位性を持つ有望な整備業である。 ただ悩みの種は整備士の確保である。工業高校などを卒業して整備士を目指す学生が圧倒的に少ない。まして、特殊な整備技術を身に付けた整備士確保はさらに困難である。競合他社からの転職や自衛隊OBなどで人員補充しているものの、整備士さえ確保できれば仕事はいくらでもある状態であった。典型的な「供給制約事業」である。 そこへ親会社が雇った大手コンサル会社が乗り込んできた。彼らは調査表に整備士ごとの一日の業務内容を分単位で記入させ、それを集計した報告書を持ってやってきた。驚くことにこれが初めての訪問でもある。報告会には筆者も立ち会った。 「特殊車両を整備している1日の時間の中で空白の時間帯がある。この時間帯に乗用車など一般車両の整備を行えば〇〇円儲かる」という趣旨の報告であった。名の知れたコンサル会社であったし、まさかと思ったがこれにはさすがに唖然とした。空いた時間に都合よく整備を依頼してきてくる顧客がいるという超楽観的な前提にもとづく、特殊車両整備という強みをまったく無視した現実離れした提案である。おそらく一般車両に手を出せば、空いた時間の分だけ引き受けるなどという身勝手は許されず、顧客の都合に振り回され、本業の特殊車両整備が後回しになってしまうだろう。強みを台無しにしてしまう「悪手」であることは火を見るより明らかであった。 これは現場に一度も足を踏み入れずにデータだけを分析し、誤った判断をしてしまった典型的な例といえよう。担当者や経営者のヒアリングを行い、現場を見ていれば本質的な課題が供給制約にあることは一目瞭然であったはずだ。 「現場を知る」ことが大切なのはあらためて指摘するまでもない。現場を知らず、知ろうともせずにデータだけで判断する愚を犯してはならない。 ところで、この「現場を知る」とはどういうことであろうか。現場で行われている作業や業務を知ることなのか。筆者の拙い経験であえて申し上げれば、「現場を知る」とは「現場で働いている人たちの心理、気持ちを知り理解すること」なのではないかと考える。何らかの構想や施策を実施しようとするなら、「こういうことをやれば現場がどう感じるか」「喜んで取り組んでくれるか、嫌々やるのか」というレベルまでわかっていないとスムーズに受け入れてもらえないと思う。 […]

第549号「近畿大学におけるロジスティクス教育の源流 ~交通論と倉庫論~」(2025年2月7日発行)

執筆者 髙橋 愛典 (近畿大学経営学部教授)  執筆者略歴 ▼ 著者略歴等 1974年千葉市生まれ。1996年早稲田大学政治経済学部卒業、 2005年同大学大学院にて博士(商学)取得。 早稲田大学商学部助手、近畿大学商経学部講師等を経て、2013年より現職。 主な著書に『地域交通政策の新展開』(白桃書房、2006年)、 『日本社会に生きる中小企業』(共著、中央経済社、2017年)、 『まちづくりの統計学』(共著、学芸出版社、2022年)がある。   目次 はじめに:筆者の教員としての出生の秘密 1 「倉庫論」と有田喜十郎先生 2 平成後半の「ロジスティクス論」 3 物流・ロジスティクスにおける「交通論」の意味 4 物流情報の扱われ方:「おまけ」から「しんがり」へ おわりに:経済のサービス化・情報化を踏まえて    はじめに:筆者の教員としての出生の秘密  筆者が2002年に近畿大学(以下「近大」)の商経学部(当時)に着任して、すでに20年以上が経過している。担当科目は一貫して「ロジスティクス論」であるが、筆者自身、学生時代は交通経済学のゼミに属し、旅客交通(自転車、都市鉄道、バス)の研究こそを柱としていたのも確かである。近大に来て、旅客から貨物に研究対象を単純に乗り換えたわけではなく、ヒトとモノを並行してボチボチ研究を進めている。近大には交通経済学の大御所、斎藤峻彦先生がおられ、着任直後から実質的な指導教授として公私にわたり大変お世話になったが、筆者は斎藤先生の後任に当たるわけではない。それなら筆者が近大に職を得ることができたのは、どのような巡りあわせだろうか。 1 「倉庫論」と有田喜十郎先生  着任して数年経った頃、難波の古書店で、有田喜十郎『改訂 倉庫論講義』(新東洋出版社、1981年)を入手した。かつての大阪球場のスタンド下に古書店街があったことを覚えているが、この店はそこから道を挟んだところに移転したようである。同じ棚に近大法学部の教科書らしき本が並んでいたところを見ると、1980年代の近大生が、単位を取った後に売り払ったものだろう。  有田先生のご経歴は、本書の奥付にも載っていなかったが、今頃になって気になってきた。大学図書館でレファレンスを依頼したり、学生センター(近大は教務の窓口を近年そう呼んでいる)で以前の講義要項(シラバス)を閲覧したりして、昭和の頃の近大におけるロジスティクス教育の源流が、おぼろげながらわかってきた。  有田先生は1909年福岡県生まれ、大分県中津の商業学校(現在の商業高校)を卒業された後、大阪に本社がある住友倉庫に入社された。勤務の傍ら、戦前のうちに日本大学大阪専門学校(近大の前身)と立命館大学(旧制)を卒業され、戦後には倉荷証券に関する研究成果をもって関西学院大学で法学博士号を取得された。その時分には住友倉庫で監査役・取締役を歴任されるほどであったが、1969年に近大に戻られて法学部教授に就任、法学部長を務められ、退職して名誉教授に就任された後も大学本部の監事をされていた。  有田先生は法学部で「商法」を担当される傍ら、商経学部(現在の経営学部および経済学部)にも出講され「倉庫論」を担当されていた。講義要項によれば、有田先生が商経学部で倉庫論を担当されていたのは1986年度までで、1988年度からは不開講の扱いとなっている。1988年といえば昭和でいうと63年、まさに昭和が終わるタイミングであった。 2 平成後半の「ロジスティクス論」  平成に入ってからの講義要項のページをめくると、倉庫論が1997年度に「ロジスティックス論」に変わったことに気づく。この時期、ビジネスの世界でロジスティクスの概念が定着しつつあったのは確かであり、筆者がこの語を初めて耳にしたのもその少し前の1994年頃であった(確か、DHLのテレビCMだったはずである)。とはいえ、不開講はその後もしばらく続き、筆者が着任して何はともあれ空白が埋まったのである。  こうしてようやく、筆者の前任が有田先生であることが明確になった。どの大学でも法学部には商法の教員は複数いるだろうが、その中に商学部系統の倉庫論まで担当できる教員がいたことは稀に違いない。近大に、交通論とも商法とも別にロジスティクス論の教員が置かれ、その枠に筆者が収まっていることはひとえに有田先生のおかげであり、そこに様々な偶然が重なったことがわかる。有田先生は2000年、つまり筆者がまだ母校で助手をしていた頃に亡くなられ、お会いする機会はなかった。 3 物流・ロジスティクスにおける「交通論」の意味  さてここでロジスティクス、というより物流(物的流通)の基礎理論に立ち返ってみよう。基礎理論といっても難しい話ではなく、業界の常識「6つの物流機能」を指す。具体的には輸送・保管・荷役・流通加工・包装・情報である。これらの物流機能を組み合わせて考えれば、物流拠点(「物流センター」「流通センター」など、企業と機能によって名称は異なる)で何が行われているかは、たちどころに理解できるようになる。  物流機能を列挙するとき、必ず最初に並ぶのが輸送と保管であり、「二大機能」や「主要機能」と呼ばれる。アメリカから物的流通(physical distribution)の概念が導入され、6機能の統合が目指されるようになったのは高度成長期以降であるが、それまででも昭和戦前期から、旧制の高等商業学校・商科大学や私立大学商科には交通論と倉庫論が科目として並び立っていた。貨物の輸送と保管は、それぞれが科目として講じられるほどの内容を、100年前から誇っていたのである。  わが国で明治30年代以降に商学の体系化が試みられた背景に、貿易商社(例えば三井物産)で即戦力となる人材を育成する必要性があった。商社にとって「交通」は、貿易・商取引を成り立たせる、海運や鉄道といった貨物輸送を意味していた。同じ時期に、商社だけでなく倉庫業に進出することで、企業集団としての基礎を固めていった財閥も目につく。  思い返すに斎藤先生は、商経学部では商学科で「交通論」、経済学科で「交通経済学」を担当されていたが、交通論については近大に着任されたとき(1971年)は「運輸論」という科目名だったのを変更してもらった、とおっしゃっていた。その真意を聞きそびれたことは、斎藤先生が2018年に急逝されたゆえ惜しまれる。とはいえ今になって考えると、運輸論という科目名は、あくまで貨物輸送を中心に講じられていた名残ではなかったか。斎藤先生は博識で、貨物輸送に関する造詣も深くていらしたが、研究上のご関心は鉄道、とりわけ旅客輸送が中心であった。 4 物流情報の扱われ方:「おまけ」から「しんがり」へ  1990年代以降のロジスティクスの時代になると、物流機能の中でも、輸送・保管「じゃないほう」、つまり「残り」の4機能が持つ意味が増していった。苦瀬博仁『付加価値創造のロジスティクス』(税務経理協会、1999年)がこれらを「物流サービス機能」と括り直し、経済全体のサービス化との関連を議論したことは意義深い。  大学教育においては、1991年の大学設置基準大綱化に伴って「必置科目」の制度がなくなり、商学部や関連する学部・学科で交通論を置き続ける意味が薄れた。倉庫論はこの時点で、半期ないし通年の講義を担当できる教員の存在自体が、それまで以上に稀になっていたに違いない。この時期に、交通論や倉庫論がいよいよ「物流論」や「ロジスティクス論」に衣替えしていった大学は、多かったように記憶する。近大がその一つであったことはすでに指摘した。  その中で位置づけが大きく変わったのが(物流)情報である。情報は目に見えず捉えどころがなく、重要であることはわかっていても、物流機能を列挙するとき最後に「おまけ」のようにぶら下がっていた感が、かつては強かった。しかしいうまでもなく、通信とコンピュータ、いいかえれば情報システムとネットワークの進歩によって「しんがり」ないしは「まとめ役」へと位置づけが変わっていった。つまり情報機能が、他の5つの物流機能を統合し、物流ないしはロジスティクスとして機能させる役割を担うと認識されるようになったのである。  このような、情報が媒介となって諸々を統合するという機能が、企業経営それ自体、そして経営学においても重要視されるようになった。四大経営資源たる「ヒト・モノ・カネ・情報」を列挙したとき、「なぜ「情報」だけ漢字なんですか?」という質問を受けた経験が筆者にはある。「情報化社会が到来した後に追加されたから」としか、とっさには答えようがなかった。しかし、経済・社会の情報化が一層進展するに伴い、企業さらにはサプライチェーンが情報(システムとその供給企業)に振り回される事態が見られるようになった。  四大経営資源に沿えば、経営学はヒト=人的資源(労務)管理論、モノ=生産管理論、カネ=財務管理論、情報=情報管理論の各論に一応は分解できようが、しんがりに控える経営情報(情報管理)論の位置づけが大きくなっている。とはいえ、経営(学)における情報の位置づけを見定めることは、今なお難しいように感じる。大学教育として、情報リテラシーを教えて事足れりとするのでもなく、情報システムとビジネスモデルに関するバズワード(buzz word)の説明に終始するでもなく、システムエンジニア(以下「SE」)の養成に走るでもなく…と考えると、後に残るのは何であろうか。筆者のゼミ生も、2年に1人程度、つまり30~40名に1人は、卒業後にSEとして就職していく。本当は「ロジスティクスに強いSE」をゼミから輩出したいのだが、物流(機能)における情報の役割と、ここで見た経営情報論を接続して教えることは難しいというのが正直な思いである。 おわりに:経済のサービス化・情報化を踏まえて  交通論と倉庫論という源流に立ち返った上で、今後の展望を示したい。 […]

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