荷主における物流コストと物流品質の現状(後編)
(JILS総合研究所 副主任研究員)
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*サカタグループ2011年2月8日「第17回ワークショップ/セミナー」の講演内容をもとに編集しご案内
しています。
*今回は3回に分けて掲載いたします。
コストを下げながら、顧客(事業者にとっての荷主、荷主にとっての着荷主)のCSを維持するために
一つ目は、過剰サービスを提供することと品質向上とは分けて考えるべき
ではないか、ということです。余談ですが、今の消費トレンドをみますと、
機能的にはシンプルを目指す、豪華なものからシンプルなものを目指してい
って、値段は安くするとこういうのが、支持されているトレンドの一つかと
思います。例えばユニクロさんは非常に高収益・高成長企業であることは
間違いないことだと思いますし、卑近な例では、立ち飲みの居酒屋さんみた
いなお店が、非常に増えてきているというような傾向がありますが、これ
も、やはり過剰なサービスをするよりも実質重視、しかも値段は安くという
傾向に変わってきているという世相が反映しているのかなと思います。
そういう流れで考えますと、物流においても同じ考え方ができるんじゃな
いか、要するに無駄なサービスを削ってそれによって価格を安くしようとい
う方向性です。このような考え方に対して、違うんじゃないかと考える方も
おられると思います。これまでずっと主流の考え方は、付加価値を追加し
て、またはより新しい商品を作って、メーカーであれば、それによって買い
替えさせていくというのがこれまでのメイントレンドでしたので、サービス
を削るというのは非常に抵抗のある選択だと思います。ただし、まずコスト
下げてくださいということが、顧客に求めれられるとすると、機能を削ると
いうこともやはり考えていかなくてはいけない。これが現実論としてあるの
ではないかと思います。まとめると、品質を維持しながらコストを削減する
ために、優先度の低いところは削りましょう、という戦略がこれから受け入
れられる余地が広がって行くんじゃないかと思います。物流でも同じような
傾向が見られますので、それをこれからお話しします。
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少し文字が小さい表で恐縮ですが、私どもJILSで荷主さんが毎年どういう
物流コスト削減策に取り組んでおられるかということを毎年調査していま
す。毎年200社ぐらいの荷主さんに協力をいただいており、こちらは、直近
取り組んでおられる物流コスト削減策を選んでいただいて、それを多い順に
上から並べた図です。ですので、上の方にいくほどよく実施されていて、
定番的なものであるということになります。過去10年ぐらいあるんですが
グラフ表示の都合上5年分ぐらいで計算しています。この5年ぐらいのトレン
ドを見ましても色々と変化がわかりますので、コスト削減のトレンドがどう
いうものがあるかなということが見えてきます。
さて、図をご覧いただくと、今増えてる一つのトレンドは、物流条件の
見直しいうことがわかるかと思います。具体的な項目としては、商品の
アイテム数を整理をしていく、配送頻度を見直す、物流を考慮したような
商品設計をやっていく、このような物流を規定する基礎的な条件を見直しま
しょうという取り組みが、増えています。
物流の条件ということでお話ししましたが、サービスレベルと言い換えて
も良いでしょう。従って、過剰なサービスの見直しが進んでいると言えると
思います。
2つ目のポイントは、品質とは何かということ自体が、実はお客さんによっ
て変わってくるのであり、追求すべき品質の中身が違ってくるということで
す。お客さんといった場合、物流業者さんにとっては荷主さんがお客さん、
荷主さんにとっては着荷主がお客さん、ただ実態としてはその次のお客さん
まで、例えば最終ユーザーとかまで見据えてお客さんと捕らえているといっ
た場合も多いと思います。お客さんのニーズを知ろうというのは、当たり前
のことなんですが、それがきちんとできている会社は、やはり少ないんじゃ
ないかと思い、あえてこういった項目をあげさせていただいた次第です。
顧客のニーズをつかむことが難しい理由の一つとして、顧客自身が何を
望んでいるのかわからないという側面もあると思います。お客さんに対し
て、例えばアンケートで何を望んでいますかときいてもお客さんとしては、
それは自分に聞かれてもわからない、むしろサービスの提供者であるあなた
方に考えてほしいと思う場合があるかと思います。そういうことを考えてみ
ても顧客が何を望んでるのかを知るというのは非常に難しいのかと思います。
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ニーズが異なる例として業種、業態による視点の違いをご紹介します。
荷主さんを業種別にみた時に、どのようなKPIを重視をしているか、という
ことを調査をしたものです。重要だと考えているものほど外側にいくような
グラフになっています。右側のグラフでは、メーカーさんと卸さんを比較し
ていますが、メーカーと比較しますと、卸売業は関心のポイントがずいぶん
違います。特徴的なところに丸印をつけていますが、欠品率、誤出荷、
返品、こういったものを特に重視していることがわかります。卸業は、中間
流通の企業ですから、サプライチェーンをいかに効率的に築くか、それが
卸さんの中核的な業務であるので、そこに関わるような、返品とか欠品、
これに対してセンシティブになるというのは、当然かなと思います。
一方でメーカーさんの場合は、これもちょっと業種によって違いますが、
例えば欠品というのは、あまり問題ないよねっていう業界も世の中には多い
ですね。例えば、車だと即納じゃなくても別に良いというのが普通だった
り、産業機械もそういった扱いだったりすることがあります。つまり業界に
よって違いがあり、一律に評価してしまうのは危険じゃないかなということ
は言えると思います。
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それに関連して3つ目のポイント、KPIの活用の話にはいっていきます。
KPIというのが問題解決を促す、この図のようなサイクルがあるのではない
かと思います。問題解決の必要なポイントを絞って、それを測定し、それを
「見える化」してコミュニケーションをとり、それにより、人とか組織が
改善を自ら行うような仕組みを作っていこうというふうに整理をしています
が、KPIの最終的な目標は、この右上の「真に」関係すべき人、ないしは組織
が自ら行動するようにそれを促すようなものでなければならない、という
ことかと思います。品質というのはすぐれて人的な問題であると思いますの
で、「人」に改善行動を促すことが重要であると思います。
なお、あえて「真に」と言いましたが、物流においては、問題が発生して
いる人とか場所、すなわち現場と、原因をつくっている人とか組織が別で
あるということが、むしろ一般的であると言われます。生産とか営業のミス
が原因で緊急出荷がおき、それがミスを誘発するとか、そういったことが
よく起きているわけです。このようなケースへのよくない対応例で、現場の
ミスは現場担当者のせいだ、ということで、現場の担当者にしっかりやって
くださいと注意をして終わり、というようなことがあるわけですが、それで
は、問題の解決にならないことは言うまでもありません。そうではなくて、
真に問題の解決すべき、人ないしは組織に、行動を促すべきであるという
ことで、「真に」と言っているわけです。
さらに、この下のほうに3つの見える化と書いています。KPIの最大のメリ
ット、これは「可視化」であると思いますが、あえて3つと書いたのは、
問題そのものが見えるということも重要ですが、そこで止まってはもったい
ない。一番重要なのは、原因を作ってるものは何か、さらに言えば誰なのか
ということまで見えることなのです。右端にありますが、真の原因がわかる
ということが、本来KPIを使って「見える化」することのメリットであり、
目指すべきゴールではないかと思います。
KPIの重要性はロジスティクスに限られませんが、さきほど述べたロジステ
ィクスの特殊性を踏まえると、ロジスティクスの品質管理においては、特に
KPIが重要であると言えると思います。
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ちょっと気分転換にというか、一つクイズのようなものですが、これ
サービスの受け手として考えていただけたらと思います。もう行きたくない
飲食店のランキングという調査で、ここにあるような10個の項目が挙げら
れています。このなかでどれが一番かと思うと、実は店員の態度が悪いと
いうのが圧倒的に多いという結果になっています。料理がまずいよりも、
店員の態度悪いというのが嫌だということです。
これは一例ですが、物流もサービスですから、やはりサービスの品質とい
うのは人間がつくるものであるということは、非常に強いのかなと思いま
す。
これはいろんな意味があって、今の例のように、サービスの提供者の
印象、現場レベルの対応の良し悪し、みたいなものがクレームにつながる、
あるいは逆に、現場の人の対応次第でクレームを回避できる、というような
場合もあるかと思います。そういうふうにそのサービスを提供する人が左右
するという側面が一つです。
もう一つは、ミスというのは極めて人間的なものであるということです。
フェイルセーフなど仕組みの構築も重要ですが、やはり、ヒューマンエラー
が大きいわけですから、そのミスをなくす上では、現場の方の努力とか
注意、工夫、これが極めて重要なんじゃないかと思います。
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人の要素の3点目は、管理者の姿勢、全体を管理されている方の態度と
姿勢、これが究極的には会社全体とかオペレーション全体、ないしは委託先
の品質も含めて、品質を左右するんじゃないかと思います。これは全体とし
てのまとめでもあるんですが、やはり品質は人間がつくってるということを
認識することが全ての立脚点になるんじゃないかと思います。そのため、
そこを改善していくためには、教育や環境作り、これが重要で、そういった
ことに力を入れていく、やはり個別の具体論よりもそういう人間の力を引き
出すということがすごく重要であるのではないかと思います。
少し逆説的なんですが、人的要素に左右されるということは、逆にいえ
ば、人任せとか委託先任せでは危険であるということでもあります。良くも
なれば悪くもなるということです。極めてオペレーションレベルの高い、
物流業者さんがおられて、完全に任せられる、ということもなくはないと
思いますが、普通に考えると、管理される方が主体的に品質をあげて行くん
だと、委託先まで含めてキチンと目を届かせていくというような姿勢が問わ
れる分野なのかと考えています。
本日のお話は以上になります。長時間ご静聴いただきましてありがとうございました。
以上
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