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経営戦略・経営管理

序論 第4号情報ネットワーク社会における物流戦略-Eロジスティクス戦略の動向-

執筆者 田中 孝明
株式会社サカタロジックス 代表取締役
    執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 1960年大阪市生まれ。
    • 神戸大学大学院 経営学研究科 博士前期課程修了。
    • ACEG (英国・ボーンマス校),オタワ大学ELI修了。
    • 株式会社住友倉庫を経て,現在,株式会社サカタロジックス 代表取締役。
    • 明治大学 商学部 特別招聘教授。
    主な資格
    • 修士(経営学)
    • 環境審査員補(ISO14000S)
    • 物流技術管理士(運輸大臣認定)
    • 倉庫管理主任者
    所属学会等
    • 経営情報学会
    • 現代経営学研究所(NPO法人)
    • 日本物流学会

目次

Ⅰ.はじめに

情報革命,IT革命,ネットワーク革命,デジタル革命などといった言葉が、連日、様々なメディアを賑わしている*1。情報革命の核心とは何か、われわれの生活にいったいどのような影響を及ぼすのか、プラスの部分だけでなくマイナス面はないのかなど、まだまだ侃々諤々の論があると言ってもよいだろう。しかしながら、実際にわれわれの周囲では、ITを利用した新たなビジネスが生まれたり、そうしたビジネス展開を行う企業の株が高値で取引されたり、さらには情報化の進展により、一部で従来のビジネスの常識や慣習が打ち破られ始めていることも事実である。
一方、情報革命は物流/ロジスティクスの分野にも大きな影響を与えている。インターネットを利用したマーケットプレイスの登場と、それを支える宅配便の活躍などに代表されるように、情報革命の進展に伴い、物流の分野でも大きな動きが生じている。しかし、情報革命による次代の物流がどのようなものになるのかについても、まだ明確な答えが出されていないというのが実状であろう。いくら情報化が進んでも、物理的なモノの動き自体はなくならないし、物流分野も大きくは変わらないといった主張がある一方で、情報化が進めば進むほど(情報以外の)物流などのリアルな部分が企業の競争優位を決めるため、今後の物流に求められる機能や内容は大きく変化するといった指摘もなされている。果たして情報革命と物流との関係は、どのように捉えていけばよいのだろうか。
本稿では、情報化の進展が物流分野に与える影響と今後の物流業界の在り様を考察し、来るべき情報ネットワーク社会における新たな‘物流/ロジスティクス’の確立に向けて、果敢に手を打っていくための道筋、すなわち“Eロジスティクス”の戦略について検討を加えていきたい。

Ⅱ. 情報化の進展がロジスティクスに与える影響

1.デコンストラクションの波とロジスティクス

エバンス=ウースター(1999)は、情報は「普通は情報ビジネスとは見なされないビジネスの多くで、驚くほど重要な役割を果たして」おり、「バリューチェーンやサプライチェーンをまとめておく絆である」が、いわゆる情報革命の進展により、「その絆が今、ほころびつつある」と指摘する(pp.14-19)。具体的には、「情報の流れが物理的なモノの流れから切り離され、それぞれが独自の経済原理に従って動くように」なり、情報の経済原理とモノの経済原理の妥協で成り立っていたビジネスは、両者が切り離されることにより、今まで互いの妥協により圧迫されていた経済価値を顕在化させ、大きな価値を生みだすようになると言及する(p.21)。こうした情報とモノの流れの分離を一つの要因として、デコンストラクション、即ち、従来の事業構造の分解と再構築が生じると説明している*2。
一方、内田(1998)は、デコンストラクションとは、「今まで当たり前と思っていた自社の事業の定義と競争のルールが、今までとは異なる視点から捉え直すことで、新しい定義や新しいルールに生まれ変わること」と定義し、その要因としては、1.従来型ビジネスモデルの限界 2.グローバル化 3.規制緩和 4.情報ネットワークの発達 5.情報の新しい経済性 といった5つが挙げられると指摘する(pp.17-47)。そして、「情報ネットワークが発達し、新しい情報の経済性が生まれると、情報流とものの流れの分離が加速化され」、「従来型のバリューチェーンが壊されて、新しいバリューチェーンが生まれる可能性が高」くなると主張する(pp.68-69)。
どうやら情報化の進展は、情報の流れとモノの流れを分離し、これを契機として新たなバリューチェーンが生み出される可能性が高くなると言えそうである。そしてこのような動きは、程度の差こそあれ、相当広い範囲の業界,産業においてみられることになり、その中には、物流/ロジスティクスそのものの分野も含まれると考えられるのである。最近のサプライチェーン・マネジメント(以下、SCMという)概念の展開や、それを物流分野において捉えたサプライチェーン・ロジスティクス(以下、SCLという)などの考えの台頭は、まさにこうした動きと符合しているようである。
次節以降に、デコンストラクションの波が、物流/ロジスティクスの分野に及ぼす影響について詳しく考察していくが、まず結論を先に述べると、その内容は次の2つの側面に分けて整理されることになる。まずは、物流の分野・業界そのものにおいてデコンストラクションが生じ、その業界構造・産業構造が大きく変化する可能性があるということである。情報化の進展は、物流の分野や業界そのものにも大きな影響を与え、物流の産業構造が大きく変化する可能性も秘めていると思われる。もうひとつは、デコンストラクションが生じた業界や分野におけるモノの流れが従来とは大きく変わり、それにより、当該分野における物流やロジスティクスの機能や存在理由、位置づけが大きく変貌する可能性があるということである。以上を取りまとめたものが、次の表2-1である。

  表2-1 デコンストラクションが物流分野に及ぼす影響


では次に、物流の分野・業界そのものにおけるデコンストラクションの発生と、それによる業界構造・産業構造の変化について考察してみよう。

2.デコンストラクションによる物流業界の変貌

内田(1998)は、デコンストラクションが発生するのは、1.既に強固なビジネスモデルが存在する業界 2.規制業界 3.ローカルな事業を展開している業界 4.技術革新の可能性の高い業界 5.非効率な業務を抱える業界 などの5つの枠組みがあると主張し(pp.118-119)、こうしたフレームに則して考えると、物流業界もいくつかの点でデコンストラクションが起こりやすい業界のひとつであると指摘する(pp.143-144)。さらに彼は、航空業界の例をあげて、新たなプレーヤーの業界参入、航空会社間の合従連衡、ネットによる航空券販売の動きなどを示し、物流業界でも既にデコンストラクションが起こり始めていると言及する(pp.143-144)。
またエバンス=ウースター(1999)は、デコンストラクションは、従来の「事業構造・産業構造を変貌させ、それによって競争優位を生み出す源泉も変わってくる」のであり、また「変化が生じるペースや影響の強弱は産業ごとに違うだろうが、デコンストラクションの対象となる事業や産業である限り、その変化がもたらす結果は同じである」と述べている(p.81)。
どうやらデコンストラクションの波は、物流分野そのものにも押し寄せつつあると考えられ、それにより、物流の産業構造自体も大きく変化してくる可能性が高いと思われる。引き続き、以下に今後の物流の業界構造の変化の中味について考察していこう。
(1) 牧田(1998)の主張
牧田(1998)は、情報化の進展と同期して、物流業界では業務領域の「分解と拡張」および「編集」という動きが生じていると指摘する(pp.157-163)。つまり、情報化の進展により、従来一体不可分であった物流サービスの実行と、物流サービスのデリバリーが「分解」され、また顧客自身が行ってきた物流に関する業務を取り込む物流業者が現れるといった「拡張」が生じている。あわせてこうした動きにより、分解・拡張され、多様化した物流サービスを、今度はサービス提供者側および顧客側それぞれに軸足を置いた形で、再度「編集」するという変化が生まれているというのである。こうした分解,拡張,編集といった一連の動きは、エバンス=ウースター、および内田におけるデコンストラクションの内容と、ほぼ同義と考えてよいと思われる。
続けて彼は、物流機能を構成する個々のサービスを提供する者を「コンポーネント」、サービス提供者側に軸足を置き、顧客に訴求する物流サービス商品を作る者を「パッケージャー」、そして顧客の視点から最適な物流サービスの提供者(コンポーネント,パッケージャー)を選択する者を「エージェント」と呼び、今後の物流業界では、こうした新たなプレーヤーが活躍すると主張している(pp.157-163)。
(2) 内田(1998)およびエバンス=ウースター(1999)の主張
内田(1998)は、デコンストラクションのプレーヤーは、1.レイヤーマスター(専門特化型企業) 2.オーケストレーター(外部機能活用型企業) 3.マーケットメーカー(取引市場創造型企業) 4.パーソナルエージェント(購買代理店型企業) などの4つに分類できると述べ、「自分の業界のどの辺でデコンストラクションが起きるのかを見極めた後は、それを実現するようなプレーヤーが誰であるのかを把握する」と同時に、「自分がどのタイプのデコンストラクターになるかを決めなくてはならない」と主張している(pp.74-78,pp.196-197)。
一方、エバンス=ウースター(1999)は、デコンストラクションにより選択肢がある限度以上に増えすぎれば、必然的に「ナビゲーター(案内役)」企業が登場することとなり、「独立したビジネスとしてのナビゲーターの登場が、デコンストラクションにおける最も劇的な場面の一つになるのは確実」であり、また「既存の産業の多くにおいて、最も多くの価値を手にするのは‘ナビゲーター’である」と言及している(pp.87-94)。
以上、3者が使用する用語やその意味するところを詳しく振り返ることは紙面の関係で割愛するが、上記より共通項を抜き出す形で、いわゆるデコンストラクションによる物流業界の変貌を整理すると、次の表2-2の3つのポイントが挙げられると思われる*3。

  表2-2 デコンストラクションによる物流業界の変化

出所:エバンス=ウースター(1999),内田(1998),牧田(1998)をもとに筆者が作成

3.デコンストラクションと物流の‘位置づけ’の変化

以上、デコンストラクションによる今後の物流業界の変貌とその内容について考察してきたが、次に、デコンストラクションが生じた業界や分野において、物流の機能や存在意義、ロジスティクスの‘位置づけ’がどのようなものに変化するのかについて検討してみたい。
エバンス=ウースター(1999)は、「今日、多くのビジネスにおいて、情報を提供する目的から、物理的なバリューチェーンにおける効率化が犠牲にされて」おり、「ビジネスにおける情報面の機能を独立させれば、物理的なロジスティクスのほうも最大限の効率を発揮するように構築できる」と主張する(pp.77-84)。さらに彼らは、「情報の経済原理を(モノの経済原理と:筆者注)分離できればロジスティクス面でのバリューチェーンを合理化し、より持続性のある物理的な競争優位に基づくビジネスを構築するチャンスも生まれてくる」のであり、その結果、「多くの産業で、情報面の要素に浮気せずに(といってもロジスティクスに関わる情報は別だが)、物理的なサービスに専念する企業が将来大きな成功を収め」、「場合によっては、物理的ビジネスが意外な競争優位をもたらす場合もある」と言及している(pp.84-85)。
また加護野(1999)は、「情報化が進展すればするほど、情報で差を出すことは難しくなり、情報以外のものにおける違いが決定的な意味を持つようになってきた」と述べ、これがいわゆる「情報化のパラドクス」と言われるものであると主張する(p.185)。「情報技術の発達にともなって情報技術以外の物事が価値創造にとって鍵になりはじめ」ており、企業における価値創造のプロセスは、「組織編成、組織の文化や風土、ロジスティクス、他社との連携関係」になってきていると言及する(pp.185-186)。さらに彼は、「EC(エレクトロニック・コマース)ということで、インターネットを利用したビジネス・システムがつくられつつある」が、ここでも、組織編成や他の企業の協力などに加え、「最後はロジスティクス」がポイントになり、「情報システムにしか競争優位がないというECは、意外に脆弱」になる可能性があると、その問題点を指摘している(pp.182-187)。
以上のように、情報化の進展は企業に対し、物理的なモノの流れの最適化を実現する可能性を与えると同時に、(情報面での優位性のみならず、それ以上に)物理的なロジスティクス面での優位性を求めてくることとなる。つまり各企業は今後、情報の流れとモノの流れを一旦分離して捉え、ロジスティクス面におけるバリューチェーンを合理化し、モノの流れの最適化の実現に向け、当該バリューチェーンを再構築する必要に迫られるのである*4。あわせて、こうしたリアルな世界での競争優位性を、より持続的なものにすることができるような新たな物流戦略を確立していくことが重要になるのである*5。
では次に、今後の情報ネットワーク社会における、このような新たな物流戦略すなわち、Eロジスティクス戦略の内容について考察していこう。

Ⅲ.Eロジスティクス戦略のスキームと概要

1.Eロジスティクス戦略の2つの側面

来るべき情報ネットワーク社会における物流,ロジスティクスは、これまで考察してきたように、情報化の推進自体とあわせて(より以上に)、企業経営にとって重要なものになってくると断言してよいと思われる。こうした意味において、今後のEロジスティクス戦略は、企業にとっての経営戦略そのもの、あるいはその中での非常に重要な位置を占めると考えてよいだろう。
ところで、経営戦略は一般的に、「事業構造の戦略」あるいは「成長戦略」と、「競争の戦略」あるいは「競争戦略」との2つがあるとされる。前者は、企業全体の事業の構造をどのように選択するのか、自社を長期的にどのような事業分野にて成長させるかを問題とし、後者は、選択された事業構造の中での個々の事業ごとに、他社事業に対してどのような競争上の優位性を獲得・維持するのかを問題とする*6。
ここで次代の新たな物流分野・業界を考えてみると、企業は今後も従来同様、主として物流サービスやリソースを“提供する立場”と、それらを“調達する立場”の、まずは大きくは2つの立場に分けられることに気がつく。あわせて、先にも触れたように、物流リソースやサービスの取引を行う新たなマーケットプレイスを創出する(提供者でも調達者でもない)第三者という立場の存在,確立も今後想定される。よって、Eロジスティクス戦略は、大枠としては、物流サービスやリソースの提供者もしくは第三者の立場にあっては成長戦略の一環として、そして調達者の立場にあっては競争戦略に近いものとして捉えることが妥当であると思われる*7。
換言すると、今後の新たな物流業界の中で、自社が物流サービスやリソースを提供しようとする立場である場合には、まずは、第2章第2節で述べた、コンポーネント,パッケージャー,エージェント等の業界内における自社のポジショニングを明確化し、その成長戦略を確立していくことが何より重要となる。続けて、当該ポジションにおける他社事業に対しての競争優位を、いかに獲得・維持すればよいのかという競争戦略を策定していくことが望まれることになる。これが主として、物流リソースやサービスの提供者としてのEロジスティクス戦略の中味となる。
一方、自社自身は今後の物流業界におけるプレーヤーとなるのではなく、主として顧客として、より望ましいサービスやリソースを調達しようという立場である場合には、誰から、どのような方法で、どういったサービス,リソースを調達するのかという方策を立てていくことが極めて重要となる。いわゆる‘ソーシング’の仕組みを確立していくことが、他社事業との比較で競争優位を確立するために必要不可欠となるのである。これが物流サービスやリソースの調達企業にとっての競争戦略であり、Eロジスティクス戦略となるのである。
さらに、提供者でも調達者でもない第三者として、物流リソースやサービスの取引を行う新たな流通市場を創出しようとする企業にあっては、いかにこうしたマーケットプレイスを構築し、ビジネス化していくかという成長戦略を確立し、次に他社事業に対して、自らの市場の競争優位をいかに獲得・維持するかという競争戦略を策定していくことが重要となる。そしてこれが、第三者にとってのEロジスティクス戦略の内容となるのである。
以上を整理したものが、次の表3-1である。

  表3-1 Eロジスティクス戦略の2側面と立場

2.Eロジスティクス戦略と主要「技術」としてのIT

ところで、経営戦略においては「技術」ファクターが非常に重要な意味を持つ。例えば、成長戦略の策定に際して、「技術シナジー」を利用して事業多角化をはかるといったことは周知のモデルであるし、また、特許により自社の「技術」を守り、他社事業が容易に参入できないような障壁を作るといった競争戦略も、一般的によく見られるケースである。ここでEロジスティクス戦略に目を向けてみると、当たり前ではあるが、情報の「技術」、すなわちITが、とりわけ重要な意味を有していることに気がつく。では以下に、物流分野におけるITの活用方法について整理・検討を加えることにより、Eロジスティクス戦略を考察する際の指針としてみよう*8。
コトラー(2000)は、「今後10年間に、マーケティングのすべてがリエンジニアリングの対象になるだろう」と述べ、コンピュータとインターネットによって、販売および購買活動といったマーケティングは、大きな変貌を遂げると指摘する(p.320)。情報化の進展により、「従来、企業にとって多大なコスト要因であり、かつ取引の障壁にもなっていた時間と距離の縮小のインパクトは計りしれない」ものとなり、「いままで通りの販売方法を継続する企業は、やがて市場から姿を消すだろう」と主張するのである(p.321)。
また小川(1999)は、今後の「ネットワーク経済社会における商取引では、取引情報がモノに先行する」ことにより、「100年間にわたって続いてきた‘売り手優位’の仕組みが大きく揺らぎ始め」ることになると指摘する(p.3)。つまり「20世紀に事業の優位性を規定してきた生産技術と販売経路を保有することが、21世紀的な情報優位の枠組みのなかでは、必ずしも強みにならない」のであり、商取引にかかわる情報革命の進行により、マーケティングの世界も大きく変化してきていると主張するのである(p.5)。
一方コトラー(2000)は、こうした、いわゆるEマーケティング時代において今日の企業が成功していくためには、1.顧客データベースを構築し積極的に利用する 2.インターネットの利用に関する明確なコンセプトを持つ 3.関連のウェブサイトにバナー広告を掲載する 4.アクセスが容易であり顧客からの問い合わせにすばやく対応する といった4つの原則が重要になると述べている(pp.334-341)。
特に彼は、インターネットの利用に関しては、表3-2の7つの利用法があると指摘しているが、これは、今後のEロジスティクス戦略立案におけるキーファクターとなる「技術」を確認していくためにも、極めて有用であると思われる。なぜなら現下の物流情報化においても、インターネットは主要な「技術」としての中心的地位を有しているものであり、これをベースに、他のEDI等の技術活用を加味していけば、Eロジスティクス戦略の具体的な方策を明確化しやすいと思われるからである。

  表3-2 7つのインターネット利用法

出所:エバンス=ウースター(1999),内田(1998),牧田(1998)をもとに筆者が作成

 こうしたコトラーの指摘をベースにすると、物流分野におけるキーファクターである「技術」としてのITは、主として、1.情報の提供 2.オンライン上での売買の提供 3.オンライン上でのオークションあるいは交換の場の提供 の3つへの活用に関連して整理することができると思われる(表3-3参照)。

  表3-3 Eロジスティクス戦略と主要「技術」としてのITとの関連

出所:コトラー(2000) ,p.334をもとに物流分野に関して筆者が整理

 以上の2節より、今後のEロジスティクス戦略の枠組みを整理すると、次の表3-4のように取りまとめることができると思われる。こうしたスキームにもとづき、いよいよ次章以降にて、具体的なEロジスティクス戦略の内容について考察していこう。

  表3-4 Eロジスティクス戦略のスキーム

Ⅳ.新たな物流業界におけるポジショニング-Eロジスティクス戦略(その1)-

Eロジスティクス戦略の第1のスキームは、情報化の進展とデコンストラクションの波により、大きく変貌していくことが予想される物流業界・産業の中で、自社がどのような企業としてポジションを確立していくかということに関する戦略である。第3章第1節でも述べたように、これは、主として物流サービスやリソースを提供する企業、あるいは第三者たる企業にあっては、いわゆる成長戦略の一環として策定していく必要があるものと言えるし、また、調達者の立場にあっては、競争戦略の重要なひとつとして位置づけることができると思われる。

1.コンポーネント(専門特化型企業)としてのポジショニング

牧田(1998)は、物流関連業務あるいは物流のコンポーネント・サービスは、「輸送・保管サービスそのものを提供する‘物流基本業務’、物流加工等を行う‘付帯業務’、これらの情報管理を行う‘物流情報管理’、金融サービスや受発注業務等を行う‘情報管理’、そして‘事業そのもの’などに分解」されるが、従来の物流業界構造は、多数の物流事業者が「輸送・保管サービスという基本サービスそのものを顧客に提供」し、「そこでの売上が業界全体の6割強を占めてきた」が、いわゆるデコンストラクションの波により、そうした伝統的な業界構造が大きく変化し始めていると指摘する(pp.158-159)。すなわち、「(1)顧客業務の取り込みという形でのサービスの領域の‘拡張’と、(2)サービスのデリバリーと(サービスの:筆者注)実行のアンバンドル、および専門領域への特化という意味での‘分解’」という、2つの方向に物流の業界構造が変化していると言及する(p.159)。
つまり、単なる輸送や保管などの基本サービスを提供していた運送会社や倉庫会社等の中には、従来、顧客(荷主)が自ら実施していた検査,組み立て,修理などの‘物流付帯業務’や、物流EDIや輸配送管理,倉庫管理等の‘物流情報管理’、受発注,代金回収,コールセンターなどの物流以外の‘情報管理’などを受託するという‘拡張’が顕著に見受けられはじめている。これは顧客(荷主)の立場で見れば、物流業務を物流業者にアウトソースするという動きになる。
一方で、こうした動きに伴って、従来の運送,倉庫会社等の物流事業者以外にも、特定機能に特化した形で、様々なプレーヤーが物流サービスを提供するという動きが見られはじめている。システムインテグレータが‘情報管理’を実施したり、またコンサルティング会社が‘物流情報管理’を展開したり、また海運や空運などの分野では、いわゆるキャリアが専門特化する形で、より事業規模を拡大するといった‘分解’の動きも生じている。
ところで、内田(1998)は、デコンストラクションの4種類のプレーヤーのうち、レイヤーマスター(専門特化型企業)については、「もともとインテグレーターが支配していたバリューチェーンのあるレイヤーを集中的に攻撃することで、バリューチェーンの分解を起こし、そのレイヤーで支配権を握る」パターンと、「あるレイヤーに特化していた企業が、そのレイヤーでリーダーの地位を獲得するにつれ、ほかのレイヤーのプレーヤーにまで影響をおよぼすほど強大になる」ケースの2つがあると述べている(p.80)。ここで内田が主張する内容をよく振り返ると、前者のパターンは牧田(1998)が述べる(2)、すなわち「サービスのデリバリーとサービスの実行のアンバンドルおよび専門領域への特化という意味での‘分解’」と、そして後者のケースは牧田が述べる(1)、つまり「顧客業務の取り込みという形でのサービスの領域の‘拡張’」と、ほぼ同様の指摘をしていると考えてよさそうである。
以上から導き出される結論としては、今後のEロジスティクス戦略の第1スキームの最初のものは、新たな物流業界の中で、コンポーネントあるいは専門特化型企業として、確たるポジションを確立するという方向性である。こうした方針は各企業において、従来の成長戦略の延長線上に近く、あまり新奇性がないようにも受け取られる可能性があるが、非常に重要な戦略のひとつである。物流業界とは異なるが、エレクトロニクス産業における特定の部品メーカーの中には、高いシェアと高収益率を誇る企業があり、逆にこうした企業の存在無しには、製品が完成しないほどの重要なポジションを占めているところがある。自社が物流サービスの提供者たらんとする場合、こうしたコンポーネントあるいは専門特化型企業への展開という方向性は、十分検討に値する、非常に重要な戦略のひとつであると思われる。

2.パッケージャー(外部機能活用型企業)としてのポジショニング

牧田(1998)は、「物流のサービス・コンポーネントが多様化する一方で、複数のアウトソーサーの管理を嫌うユーザーと、顧客を握りたいという事業者側の思惑から、さまざまな業務コンポーネントを組み合わせ、顧客のニーズに合致するサービス体系を組み上げる事業者が現れる」と述べ、そのうちのひとつのタイプが、「サービス提供者側に軸足を置き、顧客に訴求するパッケージ商品・サービスを作ることを目指す‘パッケージャー’」であると主張する(p.161)。こうしたプレーヤーは、「必ずしもアセットを持つ必要はない身軽な存在であり」、例えば、物流分野においては、顧客の「特定のニーズを括り取り、輸送サービス、金融サービス、物流加工などを束ねてサービス・スペックを作り込み、オペレーション品質を保証する」といった事業展開を行うプレーヤーであると説明する(p.161)。
一方、内田(1998)は、「ある要素で強力なプレーヤーが、バラバラになったバリューチェーンを取りまとめることで、消費者にトータルな価値を提供する」といったプレーヤーをオーケストレーター(外部機能活用型企業)と呼び、またこうしたプレーヤーは、「全てのバリューチェーンを自分で持つことはせずに、コアになる機能のみを自前で持ち、後は外部資源を活用しながら、顧客へはトータルサービスを提供するプレーヤー」であると説明する(p.77)。
牧田および内田の両者が言及する、パッケージングにおけるポイントや、事業を成功させるための条件等については、紙面の関係で詳しくは触れないが、今後のEロジスティクス戦略の第1のスキームの中での2番目の方向性は、こうしたパッケージャーあるいは外部機能活用型企業としての展開というものである。日本における3PLの展開は、従来は、主として本章1節で触れたコンポーネント企業が、その業務領域を拡張させる形態のものがほとんどであったが、2000年に入って、こうしたパッケージャー型の3PL企業が、徐々に生まれつつある段階に来ていると言えるだろう。今後のわが国における3PLビジネスのうち、とりわけアセットベースの展開を志向する企業にあっては、その事業コンセプトの本質・実態は、このパッケージャーあるいは外部機能活用型になるといえるだろう。

3.エージェント(購買代理店型企業)としてのポジショニング

Eロジスティクス戦略の第1スキームの最後は、エージェント、購買代理店型企業、あるいはナビゲーターといった形での展開という方向性である。
牧田(1998)は、さまざまな業務コンポーネントを組み合わせ、顧客のニーズに合致するサービス体系を組み上げる事業者のうち、パッケージャーとは異なるもうひとつの事業者をエージェントと呼んでいる(p.165)。こうしたエージェントは、「複数のパッケージャーの強み・弱みを理解し、顧客にとって最適なサービスパッケージを顧客に代わって選択・統合するメタ・サービス」を行うことになると言及する(pp.165-166)。
一方、内田(1998)は、「消費者のニーズが多様化し、かつ商品やサービスのメニューが広がるにつれ」、消費者の側に立って「消費者の購買や情報収集・選択を助ける仕組み」が必要となり、こうしたビジネスモデルを提供するのが、「パーソナルエージェント」であると述べている(p.78)。
さらに、第2章第2節で触れたように、エバンス=ウースター(1999)は、デコンストラクションにより選択肢がある限度以上に増えすぎれば、必然的に「ナビゲーター(案内役)」企業が登場するが、こうした「水先案内はビジネスとしては小規模に見えるかも知れないが、実は競争優位のカナメとなるポイント」であり、ナビゲーターの登場は、「確実にプレーヤー間に根本的なパワーシフトをもたらす」と主張している (p.87)。
物流分野におけるエージェント,購買代理店型企業、あるいはナビゲーターという事業の具体的な内容や、その主要なプレーヤーが誰なのかについては、まだまだこうした機能,ビジネス自体が萌芽期にあるため想定しにくいが、エバンス=ウースター(1999)が示唆するように、ソフトウェア,データベース,評価企業,検索エンジン、あるいは人間自体といった候補が考えられると思われる。また、わが国における3PLビジネスのうち、場合によると、いわゆるノン・アセットベースのプロバイダなどが果たすべき機能、あるいは担っていくことが望ましいと思われる役割は、こうしたエージェント/ナビゲーターとしてのものであると考えられる。

Ⅴ.ITを利用したロジスティクス情報提供-Eロジスティクス戦略(その2)-

1.物流関連業務へのIT活用

Eロジスティクス戦略の第2のスキームは、物流関連業務自体へのITの活用,応用にある。インターネットをはじめとする情報通信技術の進展により、従来の技術ではなしえなかったり、あるいは非常に高コストにつくため実現が困難であったような物流サービスが、ローコストでかつスピーディに実現可能になってきている。こうした物流関連業務自体への情報通信技術の応用,利用、あるいはインターネット等を利用した様々な物流情報の提供などは、あらゆる企業にとって、Eロジスティクス戦略(とりわけ競争戦略の側面)のひとつとして、非常に重要な意味を持つものと考えられる。
ところで、コトラー(2000)は、インターネットを利用した情報提供の一般例として、

  • 会社の製品・サービス・所在地・歴史
  • 顧客サービス支援
  • 顧客へのアドバイス
  • 音楽・本・ビデオの見本供給のための、オーディオさらには(もしくは)ビデオのクリッピング
  • 社員や営業マンについての情報(イントラネット)
  • 販売店情報システム
  • 包括的情報の提供

などがあると整理している(p.334)。
従来は電話やファクシミリなどにより送達されたり、あるいは個別のデータ交換等により提供されたり、さらにはそもそも容易には伝達が困難であったような物流に関する情報が、インターネット技術の進展に伴い、安価にかつ容易に提供可能となってきているのである。もちろんインターネットだけがITの全てではなく、それ以外に企業内EDIや業界標準EDIなどもITに含まれるのであり、こうしたインターネット以外の技術による情報提供といったものも、情報化の進展にともない、活発化していることは言うまでもない。
では次に、物流やロジスティクスの分野におけるITを利用した情報提供の例を少し整理してみよう。

2.ITを利用した物流情報の提供例

(1)ホームページ開設
物流やロジスティクスに関連する企業が、ウェブ上にホームページを開設し、社内外に物流関連情報の提供を行うものである。提供する情報の中味としては、自社の物流サービスやリソースの案内的なものから、顧客への物流アドバイスや質問コーナーの設置など、様々なものが考えられる。
(2)電子メール活用
電子メールの活用により、物流に関する情報を社内外に提供することは広く行われている。例えば最近では、事前入荷情報や出荷完了情報などを電子メールで送受信したりといったことが実施されている。
(3)貨物追跡情報
トラッキングやトレーシングに関する情報を、インターネットを利用して提供する運送会社は増えている。また最近では、かなりリアルタイムに近い貨物追跡等が可能となりつつある。
(4)在庫情報
倉庫や物流センターなどの物流拠点にある引き当て可能な在庫情報を、インターネット等を利用して、携帯端末にてリアルに、顧客や自社営業マンに提供したりするといったものである。
(5)受発注(入出荷)
受発注の情報化は従来かなり取り組みがなされてきたが、特に最近の動きとしては、ウェブEDI、あるいはインターネットEDIにより、従来型の汎用コンピュータ等を利用した(大がかりな)EDIによらなければ実施が困難であった物流情報の送受信が、PCなどによるコミュニケーションツールをベースに展開することが可能となってきている。またこうしたインターネットEDIは、従来型のEDIが主としてB to Bの取引を主眼としていたのに対し、B to Cの取引も包含していることにも特徴がある。
(6)見積り作成
引っ越しの見積もり作成などでインターネットが利用され始めている。またこうした例以外にも、一般的な企業間での見積書の授受にさいして、まずは電子メール等を利用して見積書ファイルを添付送信したりすることは日常茶飯となってきている。
以上は想定される一般的なケースとして、インターネット等のITを利用した物流情報の提供例を整理したものであるが、上記以外にも、例えば、従来は物流の範疇としては捉えにくかった‘決済’の機能が物流分野と融合し、こうした決済に関する情報を物流関連情報の一環として、顧客や消費者等に提供するといったことも考えられる。ITを利用した物流関連情報の提供については、今後ますます多様な利用例や活用方法が生まれてくるだろう。
いずれにせよ、Eロジスティクス戦略の第2のスキームは、上記のような、比較的われわれの身近で既に起こっている、物流に関する様々な情報の提供,送受信,授受であると考えられるのである。

Ⅵ.Eコマースを支える物流サービス-Eロジスティクス戦略(その3)-

Eロジスティクス戦略の第3のスキームは、インターネット等を活用した電子商取引、つまりEコマース,ECに関するものである。物流事業者や第三者が、新規事業や多角化の一環として、こうした電子商取引を展開するといったことももちろんあり得るが、Eロジスティクス戦略のスキームを考える際の視点は、基本的には、Eコマースを展開する顧客に対し、それを支えるための合理的かつ効率的な物流サービスを提供するという点にあると考えてよいだろう。つまりこのスキームは、主として物流リソースやサービスの“提供者”たる企業にとって重要になる戦略ということになる。
一方、インターネットを利用した電子商取引自体がまだまだ揺籃期にあるため、それをサポートする物流サービスの中味がどのようなものになるのか、またその主要なプレーヤーが誰になるのかといったことについても、まだまだ不透明ではあるが、こうしたECを支える物流サービスは、あらゆる企業にとって、直接・間接に、非常に重要なものになってくると思われる。
ところで一般的にECには、B to CおよびB to Bなどのタイプがあるといわれるが、それらをサポートする物流サービスも、こうした分類で整理すると理解しやすいだろう。以下、こうした切り口を使いながら、Eコマースを支援する物流サービスについて考察していくことになるが、まずはECの現状や将来像について少し整理してみよう。

1.電子商取引の現状と将来

桜井(1996)は、電子商取引すなわち『エレクトロニック・コマースは、一般には「すべてのビジネスプロセスをオープンなネットワーク上で電子的に行うこと」と定義されているが、むしろ「インターネット等のオープンネットワークをマーケットプレイス(市場)として捉えた、ネットワーク上の商活動」』と定義するほうが理解しやすいと主張する(p.4)。
まず本稿では、こうした彼の定義を中心としながらECを捉えていくこととする。
ところで、通商産業省(機械情報産業局・電子政策課)とアンダーセンコンサルティングが、平成10年11月から平成11年3月にかけて行った、わが国の電子商取引の市場規模に関する調査においては、以下のような結果がまとめとして報告されている(表6-1参照)*9。
この調査報告で注目すべきことは、現時点では、インターネットショッピングなどの、いわゆるB to C型の電子商取引に注目が集まっているものの、実際には、市場規模や将来動向等を踏まえると、はるかにB to Bが重要になってくるということである。また、本報告では、「運輸・物流は、各業種のサプライチェーンマネジメントの普及に伴い電子商取引が普及する」との言及がなされているが(p.16)、これも情報化が物流に与える影響を考える際には、着目すべき指摘であろう。

  表6-1 電子商取引の現状と今後

出所:通商産業省ホームページより抜粋(引用文中の下線は筆者による)

2.ECをめぐる物流分野の動向と今後の戦略

電子商取引の進展にともなう最近の物流分野の動きを考察すると、まず基本的に、物流はあくまでEコマースを支える機能を果たしている、Eビジネスをサポートする物流サービスを提供するという位置づけにあることに気がつく。もっとも、次章で述べるように、トラックや倉庫といった物流リソースを交換する新たな電子市場が設立されたり、あるいは、物流事業者自身が、インターネットによる通信販売等を実施したりというケースなども当然あり得るが、これらは原則として、電子商取引/Eコマースの進展に伴う物流分野の動きとは、区別して考察すべき事項である。
では以下に、Eコマースの進展にともなう最近の物流分野の動きを整理してみよう。
(1)宅配サービスの活性化
Eコマースを支援する物流サービスの提供という意味において、現在のところ最も注目を集めているのは、いわゆるインターネット通販等における宅配の機能やサービスであろう。
これは原則として、B to Cの分野におけるものであることは明らかであるが、こうした動きを受けて、宅配会社がクレジット決済の機能を新たに提供したり、またウェブ上でリアルタイムに近い貨物追跡情報を提供するなど、活発なサービス提供がなされはじめている。一方で、ウェブ上にモールを開設する企業が、モールの出店者のために、一括して宅配会社と料金契約を行い、ボリュームディスカウントを引き出すといった動きなども出始めている。
(2)コンビニエンスストアが有する物流インフラへの着目
宅配サービスが上記のような付加機能を提供したり、あるいは夜間配送や時間指定配送といった利便性を高める一方で、消費者の中には、家に不在がちであったり、また自宅でくつろいでいる最中に荷受け応対するのは避けたいといった事由により、宅配を好まない層が存在するのも事実である。またインターネット通販等を展開する事業者の中には、宅配料金の低減や運賃コントロールが困難なため、宅配以外の輸配送方法を検討するといった動きも出はじめている。(さらには宅配会社の中にも、先に述べたようなボリュームディスカウントの影響から、一部でインターネット通販等に対するサービス提供には慎重に対応するといった動きも見られはじめている。)こうした事情により、最近、コンビニエンスストア(以下、CVSという)が有する物流インフラ-店舗あるいは店舗への商品供給のための配送ネットワークなど-をEビジネスへ活用することに注目が集まっている。
一方、CVS以外の、既に特定のユーザーや顧客向けにモノを供給できる物流インフラを有している企業に対し、当該物流インフラを有効活用(共同物流あるいは物流業務委託を)したいといったニーズも出はじめている。Eコマースを展開する事業者の中には、一部の職域販売等をビジネスとする企業に対し、当該企業が確立してきた物流センターや輸配送ネットワークなどを利用したいと言った申し入れを行っているところもあるようである。
また今後は、消費者に‘近い’ポジションでの物流インフラ-例えばタクシー,郵便,新聞・牛乳配達,ケータリングサービス業者など-が、従来の業界の枠や規制を乗り越えて、Eコマースを支援する新たな物流サービスのプロバイダとして注目を浴びて行くといった可能性なども、決して否定できないと思われる。
(3)従来の卸売業が有する物流機能の再評価
CVSやそれ以外の物流インフラにも注目が集まっているとはいえ、現時点でのCVSでは、店舗面積の面での制約により、本やCDといった比較的形状の小さなモノの取り扱いに限定して対応せざるを得ないというのが事実である。またCVS以外の物流インフラの活用については、まだまだこれからというのが実態であろう。ここで俄然脚光を浴びるのが、従来の卸売業等が有している物流インフラや機能である。例えば、特定の商品のEコマースに関する取り扱いに関しては、既に関連商品の物流を手がけていて、ノウハウや経験のある卸売業に、在庫管理や流通加工、ピッキング業務などの物流機能を委託するといった方法が出はじめている。
また卸売業の中には、3PLとしての事業展開を模索している企業も多く、今後、ECを展開する事業者としては、従来の卸売業が有する物流機能やインフラを有効活用するといった方向性もあり得るし、一方、卸売業としても、ECを支援する物流サービスの提供を事業のひとつにするといった方向が考えられる。さらには、卸売業以外の物流事業者の中にも、Eコマースを支援する物流サービスの提供をうたうものや、新たにこうしたサービス提供に参入する企業等もあらわれ始めている。
(4)B to Bを支援する物流サービスの今後
以上のように、現下は主として、B to C型のECを支援する物流サービスに注目が集まり、いかにそうしたサービスを、消費者や顧客のニーズに合致させつつ、効率的にかつリーズナブルなコストで実現するための方法や手段を、各社が試行錯誤して求めている,提供しはじめているというのが実態であろう。
しかしながら、ここで思い出さねばならないのは、先に述べた、通商産業省とアンダーセンコンサルティングによる調査報告である。つまり、今後の電子商取引の市場においては、B to Cより、あくまでB to Bがより重要な位置を占めており、このB to Bを支援する物流サービスがどのようなものになるのか、またそうしたサービスを提供する主要なプロバイダやプレーヤーは誰になるのかといったことについては、今のところまだ明確な姿が浮かんでこないということである。わが国では、電子・情報関連製品や自動車・自動車部品、ならびに建設などの分野での電子商取引が伸びると言われているが、既に一部では、こうした分野のEコマースを支援する新たな物流サービスも登場しはじめており、今後、このような動きに注意しておくことが重要となるだろう。

Ⅶ.物流リソースのオークション/エクスチェンジ-Eロジスティクス戦略(その4)-

Eロジスティクス戦略の第4のスキームは、インターネット等を活用した、物流リソースのオークションあるいは交換(エクスチェンジ)の場に関するものである。車輌単位のトラック,トラック上の空きスペース,倉庫スペース,(空の)海上コンテナなど、物流業務に必要とされる様々なリソースあるいはサービスを、ウェブ上で売買するといったマーケットプレイスが多数登場してきている。
物流リソースやサービスの提供者の立場としては、こうした場を、自らのマーケティング活動の手段として利用するという方法と、自分自身でこうしたウェブを立ち上げるという道が考えられる。一方、調達者の立場であれば、物流サービスのソーシングの一手段として、こうしたマーケットプレイスを利用するという道と、提供者と同様、自社にてウェブを運営するといった展開方法とが考えられる。またもちろん、こうした物流リソースやサービスの提供者あるいは調達者ではない、全くの第三者が、このような場を作り上げることもあり得るだろう。
つまり、こうした物流リソースのオークション/エクスチェンジウェブの登場は、最近のインターネット技術等の進展により、従来なかったような新しい‘市場’が創り出されつつあると捉えることができるのである。よって、物流リソースやサービスの提供者あるいは調達者にあっては、こうしたマーケットプレイスを展開したり、活用したりすることは、今後のEロジスティクス戦略の中で競争戦略に近い意味を持つこととなり、一方、提供者でも調達者でもない第三者がこうした新たなウェブを立ち上げる場合は、新たな事業そのものを創り出すという点で、成長戦略の一環としての重要な意味を有することになる。

1.エクスチェンジとオークションについて

ところで、最近の情報革命やEビジネスなどに関する著述には、エクスチェンジやオークションといった言葉が頻繁に登場するが、こうした言葉の定義が明確でなかったり、あるいは著者,論者によって、その意味するところが異なったりしている場合が見受けられる。本節ではまず、エクスチェンジとオークションという言葉について、整理をしておきたい。
滝沢(2000)は、エクスチェンジとは、「売買可能な商品やサービスを中心に、それを売りたい人と買いたい人とが多数集まり、商品やサービスに対する互いの価値を表示して、自由公正な売買を行う場所」であると定義している(p.152)。エクスチェンジそのものは、「ただひたすら‘場’を提供するのであり、取引を斡旋したり、(売り手と買い手の:筆者注)どちらかの利益を代弁するものではない」と述べ、そしてこうしたエクスチェンジの場で、売り手と買い手のシーズ/ニーズをマッチングさせる際のひとつの方法が、オークションであると説明する(p.154)。エクスチェンジやオークションといった言葉の使われ方には、先にも触れたように様々なバリエーションがあるが、本稿では、彼の定義や説明をベースとする。
つまり、インターネット等のオープンな環境を利用した、新たな商取引の市場(いわゆるEマーケットプレイス)の中で、商品やサービスの売り手と買い手が集まる、公正で中立的な‘場’が“エクスチェンジ”と呼ばれ、そこで行われる取引のひとつの形態に“オークション”という方式が存在していると理解しておきたい。  ところで、一般的にオークションには、次の3つの形態があるとされる。紙面の関係で詳しく触れることは差し控えるが、こうしたオークションの基本形を理解しておくことは、物流リソースやサービスのエクスチェンジ,マーケットプレイスとはどのようなものであるのかを理解する上で、参考になると思われる。
オークションの第1の形態は、‘売り物’を販売したい売り手が、第三者が構築した場にそれを‘上場’し、複数の買い手がそれに対して‘入札’を行い、最終的に最も高い価格を提示した買い手が落札するという形式である。こうした形態は、“英国式オークション”などと呼ばれることもある。第2は、買い手が、第三者が構築した場に、自身が購入を希望する価格を‘指値’で提示し、それに対して(複数の)売り手が当該価格にて‘入札’を行い、条件の適った‘売り物’を買い手が購入するという形式である。“指値オークション”などとも言われることがある。オークションの形態の第3は、買い手が、第三者が構築した場に購入希望を(指値ではなく)‘上場’に近い形で提示し、それに対して複数の売り手が、自身の販売希望価格や条件等を示し、買い手がそれらの中から購入を希望するものを選択するといった形態のものである。この場合、英国式オークションとは異なり、売り手が提示する価格は、段階的に下がっていくこととなるため、こうした形式は、‘逆オークション’と呼ばれる*10。
つまり、今後の物流リソースやサービスのエクスチェンジの場において行われるオークションにも、当然、上記で触れたような3つの形態が生まれてくる可能性が高いと思われる。さらに、今後の物流業界においては、売り手が物流業者、買い手が荷主といった単純な構図ではなく、先に述べたような、コンポーネント,パッケージャー,エージェントなどの様々な事業主体が、時には売り手になったり、またある場合には買い手になったりといった関係になると考えられる。

2.物流リソースエクスチェンジ/オークションの今後の展望

ところで、最近の物流業界においては、インターネットを利用した「求車求貨システム」が注目を集めている。米国等での積極的な展開もさることながら、わが国でも2000年9月現在、10以上の「求車求貨システム」のサイトが登場してきている*11。これらは主に、ネット上でトラックなどの車両自体(いわゆる‘帰り便’)や車両上の空きスペースの売買を目的としたものであるが、こうした「求車求貨システム」以外にも、倉庫スペースや、(空の)海上コンテナといった物流リソースのエクスチェンジ/オークションの場も展開されはじめている。
こうしたEマーケットプレイスは、物流リソースやサービスの取引市場において‘迷子’になった情報を結びつけるには、極めて有効なソリューションを提供する可能性があると思われるし、また物流分野における環境問題への対応策のひとつとしても有効な手段となり得るものと考えられる。しかしながら、実務の上からこうしたマーケットプレイスを検証してみると、現時点ではいくつかの問題点を抱えていることも事実である。以下、こうした市場の実状や課題等について、少し整理をしてみよう。
(1)SCM概念と物流リソースエクスチェンジ/オークションは馴染まない!?
まず、物流リソースやサービスの取り引きは、実務の世界においては一般的に継続性あるいは反復性のあるものが多くなる。とりわけ最近のSCM概念の進展のもとでは、物流サービスプロバイダには、当該サプライチェーンを構成する重要な一事業主体としての役割を果たすことが求められることとなり、そうした事由から、より一層密接な取引が継続的になされるようになってきている。‘取り引き’から‘取り組み’へと言われるものである。つまり、昨今のSCM概念の進展のもとでは、物流リソースやサービスには、当該サプライチェーンにおける‘共有情報’にもとづく一定の品質やサービスレベルを実現することが何よりも重要な事項となっている。にもかかわらず、残念ながら現段階のEマーケットプレイスで取り引きされる物流サービスやリソースは、この点をクリアすることが非常に難しいと言わざるを得ないのである。よって、物流リソースのエクスチェンジ/オークションの場は、現時点では、あくまでスポット的な取り引きのための市場に限定されてしまうと考えられるだろう。
(2)クローズドな‘オープンマーケットプレイス’しか成功しない!?
次に、実務の世界では、物流リソースがマーケットプレイスで円滑に取り引きされるためには、‘上場’されるサービスに対する‘目利き’の機能が必要不可欠となる。一般的に物流サービスには、規格化されているものが少なく、一部の‘物流商品’を除いて、なかなかモジュール化,ユニット化しにくいというのが物流サービスの特性でもある。さらに上記でも触れたように、物流品質やサービスレベルの面では、現段階でマーケットプレイスに‘上場’される物流サービスは玉石混淆になりがちであり、‘入札’希望者としても非常に危うい橋を渡ることとなってしまう。
よって現時点では、サイトの構築者自身が目利き役を果たすとか、あるいはマーケットプレイス上の参加者が互いに相手をよく見知っているといった信頼関係を形成していることが何より重要となる。不特定多数の物流サービスやリソースがマーケットプレイスに登場すると、目利きや信頼関係の確立が非常に困難となり、取り引きが円滑になされない可能性が高くなるのである。逆説的ではあるが、現段階で成功するマーケットプレスというのは、一定要件のもと、ある程度クローズドなものにならざるを得ないと考えられるのである。
(3)物流マーケットプレイスの成功するビジネス・システムとは!?
ところで、現時点で登場してきている物流リソースのマーケットプレイスには、参加する買い手や売り手が誰なのか、また、そうした参加者(あるいは参加者以外)の誰から、どのように料金・代金を徴収するのかなどの点において各々相違がある。言い換えると、マーケットプレイスの課金の仕組み自体が異なるサイトが存在し、その意味で様々なビジネス・システムが登場してきていると言える。
一方、情報の価値を収益に結びつけるモデル、すなわちインターネット等のデジタル・ネットワーク上に情報を提供する事業者のビジネスモデルには、今日いくつの分類がなされて捉えられ、物流リソースのマーケットプレイスの多くも、そうした例に漏れず、入会金や会費、売買が成立した場合の手数料、その他の広告料といったものが収益の柱となっているが、一般的な他のマーケットプレイス同様、その事業化には相当の困難が伴うことが予想される*12。とりわけ先にも触れたように、現段階で物流リソースのマーケットプレイスを存立させるためには、スポット的な取り引きに限定し、目利きの機能を設定し、さらに、ある程度クローズドな市場とするといったことがサイト事業者に求められるが、これは、いたずらに売上高を追い求めず、かつ維持管理の面で相応のコストをかけることを事業者に強いることを意味する。
サイト事業者は、最終的には、マーケットプレイスにおける情報を存在させたいと考える人々から資金を得ていくことが基本になると思われるが、物流リソースのエクスチェンジ/オークションの場が存立していくためには、(上記に見てきたような諸般の事情や特性により)一般的なマーケットプレイスより、一層厳しい制約条件が課せられていると言っても過言ではなく、今後、ビジネス・システムの確立自体が問題とされるだろう。
以上、物流リソースのエクスチェンジ/オークションの場について、少々辛口の考察となったが、本章の冒頭にも述べたように、こうしたマーケットプレイスは非常に有用なものであり、一定の条件のもとでは、存立可能なものであることには相違ないと思われる。よって、物流リソースやサービスの提供者,調達者あるいは第三者にあっては、こうしたマーケットプレイスの創出や活用は、各自のEロジスティクス戦略の中で重要な意味を有することに変りはなく、今後も注視していく価値は十分あると考えられる。

Ⅷ.おわりに-社会全体最適化の視点とEロジスティクスの今後-

本稿ではこれまで、情報化の進展が物流分野に与える影響、および今後の物流業界の在り様を考察し、来るべき情報ネットワーク社会における新たな‘物流/ロジスティクス’の確立に向けて、積極果敢に手を打っていくべき道筋、すなわち、“Eロジスティクス”の戦略について検討を加えてきた。
そして今後のEロジスティクス戦略には、

  • (デコンストラクションにより大きく変貌する)今後の物流業界における自社ポジショニングの明確化
  • ITを利用したロジスティクス情報の提供
  • Eコマースを支える物流サービスの展開
  • 物流リソースエクスチェンジ/オークションの場の創出と活用

という、大きくは4つのスキームがあることを指摘した。
以上を通じて導き出されることは、情報革命は物流の分野において、企業内はもとより企業間における「モノと情報(ロジスティクスそのものの情報も含む)の流れ」の最適化を伸展させていると考えてよさそうであるということである。これは最近のサプライチェーン・ロジスティクス概念の台頭とも符合するものであり、逆に、そもそもSCLはITの活用なしには、その実現が困難な考え方であるとも言えるだろう。
しかしながら最近の企業経営においては、インタラクティブ・マネジメントやOne to One マーケティング、さらにはCRMといった言葉に代表されるように、ますます真の顧客,エンドユーザー,最終の消費者たるわれわれひとりひとりとの関係性を重視した戦略立案、方針確立が重要とされてきている。またこうした動向は、物流の世界においても同様であり、今後は、われわれ生活者に満足やバリューをもたらすことのできる物流のビジネス・システム確立が必要不可欠となってきていると思われる。こうした観点においては、残念ながら上記の4つのEロジスティクス戦略は、あくまでサプライチェーン,デマンドチェーンの最適化を目指したものとも言え、真の顧客重視の視点は、いささか欠如しているとの謗りを免れないであろう。
SCL時代の次には、ソーシャル・ロジスティクスあるいはグリーン・ロジスティクスの時代が到来とすると言われている。つまり、今後の情報ネットワーク社会においては、消費者,生活者ひとりひとりの立場にたって、社会全体最適化を実現するような物流の仕組みを形成していくことが何より重要となるのである。今後は、単なるサプライチェーン,デマンドチェーンの最適化に止まらず、‘社会全体最適化の実現’と、それに向けた情報技術の活用が、ますます求められてくるのであり、これこそが、Eロジスティクス戦略の最後の、第5のスキームであると言えるのではないだろうか。

(2000年11月11日脱稿)

以上


【注】
*1.本稿では、「情報革命」という言葉を、これらの言葉の代表として用いることとする。
*2.エバンス=ウースター(1999)は、デコンストラクションは、「情報の経済原理とモノの経済原理との分離」と、情報の経済原理の枠内での「リッチネス/リーチというトレードオフの消滅」の、2つの要因によって生じると述べている(p.56)。
*3.彼らの主張をベースに考えると、最近の物流業界でのサードパーティ・ロジスティクス(以下、3PLという)の隆盛などは、コンポーネントベースの企業が顧客業務を取り込む形で拡張し、専門特化型企業に近づいていく、あるいはパッケージャー(外部機能活用型企業)に展開しつつあるというように解釈してよいと思われる。また、一部のノンアセットベース3PLプロバイダの中には、エージェント(ナビゲーター)に近いポジショニングを狙っているような動きも認められる。
*4.こうした、「情報の流れとモノの流れとを一旦分離して捉え、ロジスティクス面におけるバリューチェーンを合理化」しようとする動きこそが、いわゆる最近の「サプライチェーン・ロジスティクス」といわれる考え方の中味であると考えてよいだろう。
*5.物理的なサービスに専念する企業、つまり物流サービスプロバイダにあっては、こうした物流戦略の新動向を踏まえ、ロジスティクスそのものに関する情報化の進展に努め、かつ顧客に対し新たな物流分野における的確なバリューを提供できるような、プロバイダとしてのEロジスティクス戦略を確立していくことが必要となるだろう。
*6.こうした経営戦略の考え方については、伊丹敬之=加護野忠男『ゼミナール経営学入門』日本経済新聞社,1989年.や、坂下昭宣『経営学への招待』白桃書房,1992年.などに詳しい。
*7.実務の世界では、第三者として純粋に情報のみを取り扱うビジネスを展開する企業を別として、あらゆる企業は、物流リソース,サービスの調達者と提供者という2つの立場をミックスして、自らのEロジスティクス戦略を検討する必要に迫られることになると思われる。なぜなら、自社が物流サービスやリソースの提供者として、今後の新たな物流業界の中の一プレーヤーとして事業展開していく場合においても、自社単独で全てのサービス等を提供するのではなく、業界内より必要とされるサービスやリソースを調達することが大いにあり得るからである。とくにパッケージャーなど にあってはそれが顕著である。一方、自社が顧客の立場として、新たな物流サービスを調達する立場である場合でも、全ての物流に関する業務を外注化するのでない限り、一定の物流に関する業務や機能は、依然としてインハウスで実施する、果たす可能性も残されているからである。よって、Eロジスティクス戦略は、どのような立場の企業にあっても、成長戦略と競争戦略の両方の意味を有すると考えてよいだろう。
*8.ITとは何かについては本稿の主題ではないので詳しくは触れないが、筆者はITはツールであると同時に、(単なるツールに止まらず)新たなビジネス・システムを構築する、あるいは従来にない新しいビジネス・システムを生み出す‘ドライバー’になる場合とがあると考えている。後者の意味において、ITはビジネス・ドライバーであり、これは成長戦略としてのEロジスティクス戦略を策定する場合には、非常に重要な視点になると思われる。
*9.http://www.jipdec.or.jp/chosa/andersen/ を参照のこと。
*10.こうしたオークションについての考え方は、経営情報学会「ロジスティクス情報」研究部会での岡本明雄主査の発表や、メンバー各位の議論によるものである。なお、同研究部会のHPは次の通りである。http://www.ohta.is.uec.ac.jp/~hikaru/logiinf.htm
*11.「求車求貨システム」については、『流通設計』NO.363,2000年 8月号に詳しい。
*12.インターネット等のデジタル・ネットワーク上に情報を提供する事業者のビジネスモデルは、國領二郎『オープン・アーキテクチャ戦略』ダイヤモンド社,1999年.あるいはエスター・ダイソン『未来地球からのメール』集英社,1998年.などに詳しい。


【引用・参考文献】

  • 伊丹敬之=加護野忠男『ゼミナール経営学入門』日本経済新聞社,1989年.
  • 伊藤賢司ほか『電子商取引のすべて』NTT出版,1996年.
  • 内田和成『デコンストラクション経営革命』日本能率協会マネジメントセンター,1998年.
  • 小川孔輔『マーケティング情報革命』有斐閣,1999年.
  • 加護野忠男『<競争優位>のシステム』PHP新書,1999年.
  • 坂下昭宣『経営学への招待』白桃書房,1992年.
  • 滝沢哲夫『企業間インターネット取引所のしくみ』明日香出版社,2000年.
  • フィリップ・エバンス=トーマス・ウースター『ネット資本主義の企業戦略』ダイヤモンド社,1999年.
  • フィリップ・コトラー『コトラーの戦略的マーケティング』ダイヤモンド社,2000年.
  • 牧田俊一「物流業界-真に筋肉質な業態への転換」『The McKinsey Quarterly(日本語版)』Vol.18,1998・12.


(C)Takaaki Tanaka 1998 & Sakata Warehouse, Inc.

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