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物流コスト

序論 第3号物流ABCの導入について(Vol.1)

執筆者 吉井 宏治
株式会社サカタロジックス シニアマネジャー
    執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 1989年 サカタ産業株式会社入社、工場内物流管理業務を担当。
    • 1990年 サカタウエアハウス株式会社(大阪本部)に異動。
      情報サービス部門に配属。
    • 1991年 鐘紡(現・カネボウ)株式会社 情報統括室コンピュータ部に1年間出向。
    • 1995年 サカタウエアハウス株式会社(門真営業所)に異動。
      アパレル物流管理業務を担当。
    • 1998年 株式会社サカタロジックスに異動。
      物流改善,物流情報システム構築,物流ABC導入,
      物流アウトソーシング等の提案営業およびコンサルティングなどを担当。
      現在に至る。
    主な資格
    • 物流技術管理士
    • 第2種情報処理技術者
    • 倉庫管理主任者

目次

Ⅰ.はじめに

まず、物流ABCについて以下に述べる。ABC(Activity Based Costing)とは、アクティビティ(活動)を基本単位として活動毎の費用を算出し、算出された活動毎のコストにより企業の経営を分析する手法である。
ABCによりコスト分析を行うことにより、活動単位の損益計算、アクティビティ単価、アクティビティコストが明確になり、アクティビティに基づくコスト管理と、業務改善、また、顧客や取引先に対する提案に結びつくことにより、コストプラス*1 取引関係への発展の糸口となりうる。

Ⅱ. ABCコスト分析について

ABCコストは次のように定義される。
ABCコスト = アクテイビティ単価  × アクティビティ・ドライバー(活動発生回数)
アクティビティ単価 = リソース単価(アクテイビティが消費している資源の単価)
×リソースドライバー(活動あたりの標準時間)
各項目について以下に説明を行う

1.リソース単価

リソースとは、アクティビティに伴い投入されたすべての企業資源であり、直接かかわる人件費や、間接的にかかわる、賃貸料、光熱費、設備費用、情報処理費、本社管理費等に分類される。
すべてのリソースを、アクティビティに投入される労力の割合によって割り振り、単位あたりの費用として算出したものがリソース単価である。
具体例として、時間(分)あたりの人件費や面積(㎡)あたりの賃貸料等があげられる。

2.リソースドライバー

リソースドライバーとは、ABCコストを分析するにあたり、リソース単価を設定した活動がアクティビティ内で測定される単位であり、具体例として、1つのアクティビティを実行するなかで、行われる作業の回数,出来上がる製品の個数,作業に要する時間等があげられる。

3.アクティビティ単価

アクティビティ単価とは、上記のリソース単価とリソースドライバーを掛け合わせることにより得られ、1つのアクティビティに対応する単価である。具体例として、1ケースの流通加工を行うのに要する費用や、1ケースを出荷するのに要する費用等で表される。
ただし、同一の活動に対するアクティビティ単価も、作業能率や人件費、設備費用等により左右されるため、いかに標準的な単価を算出するかという点と、間接コストを含まない直接に関わる単価、ブラス、環境により左右する変動単価という形で把握するという二つの点が重要となる。
また、一度算出したアクティビティ単価は、通常6ケ月を目途に見直していくことも必要とされる。

4.アクティビティ・ドライバー

標準的なアクティビティを年間何回実施したか、その発生する回数、またはその単位であり、アクティビティ・ドライバーによってその活動のコストが左右される。具体例として、年間の総出荷ケース数、総作業数量等が該当する。

5.ABCコスト

アクティビティ単価とその発生回数であるアクティビティ・ドライバーを掛け合わせたものが、ABCコストとして算出される。具体的には、顧客に対する業務毎の費用という形で算出され、個々の業務毎のABCコストを加算し、売り上げ利益と比較することにより、顧客毎の損益分析が可能となる。

Ⅲ.ABCコスト分析導入の手順について

ABCコスト分析を導入する手順として以下のポイントに沿った形での導入が必要である。
(1) 期間を区切って、目標をたて、なるべく短期間でまとめる。ABC分析自体にコストをあまりかける必要はない。
(2) プロジェクトのメンバーとして、経営部門(役員等)、経理部門、業務部門、システム部門よりメンバーを募り、全社的に協力・推進できる体制が必要である。
(3) 対象とする顧客の業務を絞り、当初はあまり詳細なレベルまでを対象とせず、問題点を絞った上で、必要と思われる部分については再度深く調査すれば良い。
(4) 業務の作業時間等を計測するにあたり、実際の作業を行っている部所に主旨説明理解を得られた上で、業務の調査、分析を行う。
(5) 人件費等はできるだけ実際の費用に近い値を使用(固定費+残業費は別途計算)し、また、間接費等は、前年度の実績等により算出する。
間接費の締め日(EX.20日締め)と調査期間の締め日(EX.月末締め)が異なってもよい。厳密に間接費を計算する必要はない。
(6) 分析にあたっては、現在使用している表計算ソフトを使用し、グラフ化等も容易に行える。
(7) 分析されたデータについては、プロジェクトメンバーの他にも、実際の業務を行う従業員を交えて、業務の改善等の討議をする。
以上の手順により、まずは、アクティビティ単価、及びABCコストを数値として算出し、その結果によって以降の計測方法の検討、間接費の割り振り等を再検討することにより、次回の測定・分析作業をより正確なものとしていく。
ある程度、得られた結果や、ABCコストの把握方法がつかめた上で、顧客毎の損益計算や業務改善へと結びつけていく、次のステップへと進むこととなる。

Ⅳ.最後に

当社では、現在上記手順にそって、プロジェクト体制を組み、第一回目の物流ABCの導入・分析作業を行っているところである。次回以降、当社における物流ABC導入実践の例を紹介していきたいと思う。

以上


【注】
*1.顧客や取引先に提供するサービスに応じた価格を設定し対価を求める取引の形式。規定外のサービスに対しては、相応な単価を設定し交渉する。また、コストのかかる過剰なサービスは、削減、もしくはできるだけ標準化されたサービスに統合していく取り組みが必要である。


【引用・参考文献】
松川孝一,宮副謙司,『流通ABC革命』,同友館,1998年.



(C)Kouji Yoshii 2000 & Sakata Warehouse, Inc.

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