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ロジスティクス ・レビュー

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グローバル・ロジスティクス

第52号スーパーバリューのアドバンテージ・ロジスティクス(2004年3月26日発行)

執筆者 鈴木 準
有限会社サン物流開発 代表取締役社長
    執筆者略歴 ▼
  • 学歴
    • 東京経済大学商学部卒業。
    • 産業能率短期大学生産管理科卒業。
    • 日本電子専門学校電子計算機科卒業。
    職歴
    • セーラー万年筆(株)経営企画室主任。
    • (株)長崎屋 物流部・電算部部長・システム本部副本部長。
    • (株)サン商品センター代表取締役社長。
    • (有)サン物流開発代表取締役。
    • 現在に至る
    講師
    • 専修大学講師・早稲田大学講師及び
    • 早稲田大学アジア太平洋研究センター講師経験
    • JILS 物流現地フォーラムコーディネーター
    • 日経ビジネススクール講師
    • 文化ファッションビジネススクール講師
    • 中小企業事業団登録専門指導員経験。
    資格・所属団体等
    • 物流管理士
    • 販売士1級
    • 日本物流学会会員
    • 国際物流管理士
    その他
    • 海外物流視察70回
    • 内外合わせて1,000施設視察
    連絡先
    • 事務所 〒135-0033東京都江東区深川1-1-2-701
      TEL.03-3642-3762
    • 住 所 〒274-0822千葉県船橋市飯山満町3-1761-105
      TEL.047-467-1077
    • メール BZN00530@nifty.com

目次

1.輝く1970年代の物流機械化

  スーパーバリューはミネアポリスに本部を置く米国最大の食品・日用品卸売業で、年間15億ケースを出荷し、トラック走行距離は年間1億マイル(約1億6千万㎞)、顧客店舗数4,000店、約100億ドルの売上がある。一方、小売業としても全米第32位、スーパーマーケット業界第6位、年商98億4,800万ドルを上げている(2002年度)。前年対比では20%成長し、純利益率は4.4%と好調である。店舗は、直営とライセンス店を併せて39州に1,400店以上を持つ。

  同社が運営する小売業は次のとおりである。
・ bigg’s(EDLPの食品・日用品フルライン)
・ Cub Foods(食品スーパーの他、専門店、薬局、医院を含む)
・ Farm Fresh(高品質・高サービスを特徴とする高級食品スーパー)
・ Hornbacher’s(高品質・フルサービスのスーパーマーケット、宅配あり)

スーパーヴァリュウ・アニストンのRDC

  物流センターは48万坪で、受注に対する供給率は96%となっている。SVHarverのシステムを導入し、インターネットでの発注が可能である。商品調達面ではWWREに加盟している。
  RDC、FDC方式を採用し、全米に最新物流センターの配置を完了している。物流センターには、ピック・ツー・コンベヤ、ピースピッキングのDPSが導入されている。運営はアドバンテージ・ロジスティクスという物流子会社を使っているが、これは商品供給先のボランタリーチェーン(VC)や小売店に対し、“小売業”のスーパーバリューが商品供給するという違和感を緩和するためと云った幹部がいた。

2 アドバンテージ・ロジスティクスとは

  アドバンテージ・ロジスティクスはスーパーバリューが100%出資する物流子会社である。“アドバンテージ”(優越、有利)とは、スーパーバリューがリエンジニアリングに取り組んだ時の標語で、物流戦略にも使われ、同社RDC(Regional Distribution Center:広域配送センター)の名称にもなっている。スーパーバリューは1995年、約 2,000万ドルを投資してアラバマ州アニストンにある既存の配送センター(46,170㎡) の隣に、18,580㎡のRDCのプロトタイプを建設した。RDCは2001年現在、アニストンの他、イリノイ、ミシガン、アリゾナなど7カ所にある。
  スーパーバリューは、全米を七つのリージョン(地域) に分割し、各リージョンの中心に位置する場所に配送センターを建設して、ここに一般雑貨、日用品、トイレタリー及び回転の遅い日用品、加工食品を集め、リージョン全体にこれらの商品を供給するという方式を採っている。尚、回転の速い商品と生鮮食品については従来の配送センターで扱う。
アドバンテージ・ロジスティクスの基本は、次のとおりである。
① ロジスティクスの強化により同業他社よりも絶対的なローコストで小売業に
商品を供給する。
② メーカー及び小売業との関係を取引関係以上のパートナーシップにまで強
め、小売業務に関与し、取引小売店の改善を推進する。
③ ベンダー(メーカー)との関係を良くし、より有利な取引条件を引き出し、
これを顧客である小売業に転化し、小売業の成長を助成する。
  物流のサービスレベル(納品率)は98%に設定し、実行している。エラーレートは日本より悪いが 0.1%と低い。また、配送時間はほぼオンタイムで、高回転商品は24時間、低回転商品は48時間以内に配送する。
RDCのメリットとしては、次の8点が挙げられる。
① 一つの配送センターに在庫を集約することにより、在庫量が削減できる。
② 各ディビジョンのオーダーを集約することにより、ピッキングの機械化や生
産性の向上が図れる。
③ 既存の各ディビジョンの配送センターは、高回転の商品に集約されるため
スペース効率が良くなる。
④ 既存の各センターでのピッキングが簡素化し、労働生産性が上がる。
⑤ RDCも既存のFDC(Front Distribution Center:狭域配送センター)も
在庫管理がし易くなり発注の自動化により発注に要する人員が削減できる。
⑥ メーカーからのフルトラック仕入れにより、仕入れ原価が低下する。
⑦ 複数のディビジョンのロット仕入れを集約し大ロットにすることで原価が
低下する。
⑧ 在庫日数2日間短縮、コスト5千万ドル削減

3 アニストンRDC

  1)概 要
  アニストンのRDCはアラバマ州アニストンに1995年に建設され、テスト稼動の後1996年6月、フル稼働に入った。物流センターの面積は20,900㎡、商品を供給する店舗は約1,000店で、アメリカ南東部の8州をカバーしている。扱い商品はCアイテム、低回転商品主体でグロサリー5,000アイテム、雑貨、日用品、健康美容用品11,000アイテム、計16,000アイテムである。
  スーパーバリューの南東リージョンはジョージア州アトランタ、ミシシッピ州インディアノーラ、ルイジアナ州ハモンド、アラバマ州アニストン、フロリダ州クインシーの5つのディビジョンから成り立っているが、その中心的位置にアニストンRDCを造り、5つのディビジョンの各店舗からの低回転商品の注文をアニストンに集約し、ここで店別にピッキングし、高回転商品と合わせて各店舗に配送する。
  アニストンRDC開設前には、食品5カ所、非食品4カ所の計9カ所の物流センターがあったが、現在は4カ所に集約されている。さらに、この4カ所を1カ所に集約する計画である。

  この改革により管理費、運営費、運賃が減少し、在庫回転が上がり、バイヤーのメーカーに対する交渉力が強くなった。また、集約することで機械化し、労働装備率を高めることが可能となった。また、このセンターのサイズは従来のセンターの4分の1である。なお、天井の高さは約10mである。冷房は水冷式、電気は自家発電で余剰電力は販売している。

  アニストンRDCは、フレミング社では日用品雑貨について行われ日本でも菱食が実施しているスロームーブ商品の専用センターで、しかもここでは集荷センターの役割も兼ねている。集荷センターとは、各センターがパレット単位にならない商品を一つのセンターに集め、トレーラー単位にして、センターまたは店に配送する方式である。輸送のノードとリンクが増えるが、在庫低減、仕入れコスト低減等トータルではコストダウンになる。
FDCのケースピッキング

(2)人事関係
  このセンターを開設する時、従業員を100人募集したところ2,000人の応募があり、その内から600人を選んで32時間無給で働かせてテストし、92人を採用したということである。現在、92人のフルタイマーと50~60人のパートタイマー、合計約150人が働いているが、彼らは入社後32時間の有給の教育を受けてから現場に配属される。厳しい試験の中から採用した人たちなので優秀だということだ。
  基本賃金は、フォークリフトドライバーが時給10ドル80セント、その他の従業員は8.5~12ドルである。フルタイマーとパートタイマーの違いは福利(Total Benefit Package) 、つまり健康保健、歯の健康保健、企業年金(401K)、有給休暇、休日出勤、残業手当などの有無である。週40時間を越えると、オーバータイム50%が支給される。
  スーパーバリューは労働者に評判が良いので働きたい人が常に登録しており、募集広告は出したことがないという。以前、100人募集したところ、580人の求職者が来たそうだ。

(3)システム・設備
  WMS(Warehouse Managing System)については、フォークリフトに無線端末搭載し、HHTをもってパレットジャックでケースピッキングしている。DCから配送先まで、バーコードによるペーパーレス・トラッキングシステムを採用している。
  さらに、ラピスタン社のマテハン情報システムや、ピック・ツー・ライトというデジタル・ピッキング・システムを採用し、荷受や日用品補充発注などにも最先端の情報システムを利用している。
  また、当地では夏には気温が38℃にもなる。そこで水冷式冷房装置を採用している。この装置は約3m×5m×高さ7mの大きさで、庫内に4台ある。これにより温度は25℃になるが、従来の電気の空調よりエネルギーコストが安いそうである。また、フロンを使わないので環境にも優しい。

4 商品の流れと作業

  (1)作業時間
  作業シフトは商品と作業によって異なるが、6時から16時の中で1シフト、週6日稼働、日曜日は休みである。但し、グロサリーの荷受けは月曜から金曜まで週5日、朝5時から1日10時間、週4日の勤務、ピック・ツー・ライトは1日8時間、週5日勤務、出荷は月曜から土曜まで週6日勤務である。

  (2)荷受けと格納
入荷前に入荷情報(ASN)があり、これにより仕入先、商品名、UPC、数量が印刷された荷受けリストと、シリアル番号のバーコードが印刷された入庫ラベルを用意する。商品が入荷すると運送会社送り状、納品書を受け取って荷受けリストを探し、入荷商品 と照合し、入庫ラベルをパレットに貼り、荷受けリストのUPC

荷受けはHHTで

  をTELEXON 社の無線ハンディターミナルでスキャンしてから入庫ラベルのバーコードをスキャンし、続いて1パレットの面の個数と段数を確認し、総個数をテンキーで入力する。入庫ラベルは出荷されるまで、その商品の管理に使う。
  クロスドッキングはメーカー8社と行っており、LTL(Less-Than-Track-Load:混載型)をTL(Track-Load全車貸切型)に切り換えて運賃を低下させることと、在庫削減、リードタイム短縮が目的である。
  パレット単位の入荷商品については重量と体積の測定器にかけ、重量と体積と回転日数によりコンピューターがその商品の保管先を指示する。今までの経験ではコンピューターの指示は90%正確だそうである。尚、新商品の重量体積のマスター登録には自動的に測定と登録のできるキューブスキャン(Cube Scan) が使われている。
  荷受けはパレタイズ貨物が多いが、パレットで入荷してもラックの高さに合わないことがあり、高さを低くするために積み替えをしている。これはパレットラックの1段の高さが1m位しかなく、高いと棚に入らないからである。しかし、手間はかかるが保管効率は良くなる。パレタイズ商品の格納には4ウェイ・フォークリフト(リーチタイプ)が使われている。ラックの高さは約9mである。パレットラックはダブルディープ(奥行き2枚)であり、奥のパレットも取ることができる。棚にパレットを入れる時にスロットのバーコードをスキャンし、パレットの商品のIDバーコードをスキャンしてコンピューターに登録する。これにより間違いを防止する。

(3)ケースピッキング
  ピッキングモジュールは7ラインあり、配員は、①グロサリー(低回転の食品)が14人、②GM/HBC(雑貨、日用品、化粧品)が16人、③パレタイザー(マニュアルによる積み付け)が12人である。

  ピッキングはピック・ツー・コンベヤのウェーブ(バッチ)ピッキングである。8段の高層ラックを4層にし、各層(階)にコンベヤを敷いている。これを1モジュールと呼び、1ラインの長さは約100mで40ラインあり、6,000 アイテムを収容している。1バッチは20店で1台 1,400才(立方フィート)収容のトレーラーに合わせている。パレットフローラックには
ピック・ツー・ベルト

プラスチックローラーを使っているが、これは、金属より長持ちして安いというマテハンメーカーの助言により採用した。ラックは珍しい、明るい黄色で美しく見えた。
  手順は、まずラックに置かれたパレットの商品にラベルを貼り、コンベヤに載せる。ピッキングラベルは1階で印刷され、ピッキングは食品と日用品雑貨に分かれている。出荷量によって配員は変える。ピークは木曜日である。1日に16人で25,000~35,000個のピッキングをしている。生産性は、ケースピッキングは1人時 330個がスタンダードだが、条件によって標準は変わる。ピック・ツー・コンベヤ・ラインの空パレットの置場は6ベイ12パレット毎に一か所あり、そこまで手で持って運んでいる。

(4)ピースピッキング
  ピースピッキングには LOGON社のデジタル・ピッキング・システム(DPS) が導入されている。棚はフローラックで1ベイ(ゾーン)は約1.8m、5段で約35アイテムが収容されている。1人で4つのベイを担当している。数量の表示装置は1ベイに1個、各スロット(アイテム)毎に1段置きに緑と赤のランプとピッキング完了ボタンがある。

Pick to LightというDPS

  赤は表示灯のある段、緑は表示灯の下の段である。ベイ毎に黄色いランプがあるが、これはベイにピッキングする商品があることを表している。
  オーダーは複数で、箱単位で荷札を付けて流し、アルファベットで区分している。オーダーの箱がピッカーのゾーンに来てIDのバーコードをハンディスキャナーでスキャンすると、オーダーがあればベイのランプとスロットのランプが点き、1ベイに1個のデジタルディスプレイに箱を指示するアルファベットとピッキング数量が表示され、ピッキングスロットのランプが点く。ピッカーは指定の数だけ商品を取り、指定の箱に入れ、ピッキング完了ボタンを押して1オーダー(箱)のピッキングを完了し、これを繰り返す。
  ピッキングは1人時182リーチ(ライン)である。ピッキングの完了したトウト(通い箱)は3本のコンベヤの中央の搬送コンベヤに押し出してコンベヤの末端で蓋をし、ナイロンピンで蓋と箱をロックする。
  フローラックの後ろにはパレットのリザーブラックがある。パレットの残数が僅かになると複数アイテムを集合して置くスロット(棚)に移動して、パレットラックを空ける。真似をしたいアイデアである。ピッキングミスは0.1%以下である。

(5)ノンコンベヤブル(Non-conveyor able)
  ノンコンベヤブルとは嵩高品でコンベヤに載らない商品である。この商品は8段ほどのラックに収容されており、3アイルある。ダブルパレットジャックで庫内を巡回して、商品にピッキングラベルを貼って、パレットに積む。この商品は自動仕分機を通さずコンピューターによるチェックがかかっていないので、それを識別するためにオレンジ色の蛍光塗料のラベルをパレタイズ貨物に1枚貼る。

(6)出荷
クロスドッキングの出荷はパレット単位である。入出荷ドアは16あり、一部のドアは一部入出荷になっている。入荷ドアの内、5ドアはメーカーが固定されている。当初は、入荷したパレタイズ貨物はコンベヤに乗せられ、ディビジョンを表す番号を押すと、パレット用チェーンコンベヤで出荷ドアに運ばれたが、 現在はコンベヤは撤去され、フォークリフトで搬送されている。

見事なトレーラーの荷台と床の水平

  各店と各ディビジョン行きのケース又はパラピッキングのコンテナ出荷のドアは40ドアある。各モジュールでピッキングされた商品のケースとトウトは自動仕分機のインダクションで荷札のバーコードをスキャンし、そのデータをミネアポリスの本社に送る。
  1台分の荷物のバーコードが全て読み取られると本社からトレーラーの出発指示が来る。自動仕分機でセンター別又は店別に5本のシュートに仕分けられる。センター行きはバラ積みだが、大型店行きはパレタイズしている。シュートの上にはウェーブナンバーとパレット数、トウト数、カートン数が表示されている。出荷予定リストからパレットに店コードを書いたラベルを貼り、シュートからパレットに積み上げ、フィルムでラッピングし、シリアルナンバーのバーコードをパレットに貼り、トラックに積み込む。3本のシュートは各センターに割り当てられ、シュートの先端に60フィートの伸縮コンベヤがついており、トレーラーの奥まで入る。センター一括配送はバラ積みである。
  10時30分に受注した商品は当日ピッキングされて発送され、翌朝店舗に配達される。トラックの発車時間は決められており、8:00、11:00、11:50に出発する。スーパーバリューの店舗には1日に10~12台、それ以外の店舗には5~6台、計15~18台で出荷する。尚、RDCから来た荷物とFDCの荷物が合流して店舗に配達されるが、RDCからの荷物のトランスファーの時間は45分しかない。

5 視察所感

①レンタルパレット
スーパーバリュウでもブルーのCHEP社のレンタルパレットが目立った。また、マイヤーで見たネスティングできるプラスチックパレットも使われている。パレットレンタルについて、日本は後進国ではなかろうか。
②高度な情報システム
自動仕分機の仕分けのためのスキャナーのデータが本社に送られ、本社から物流センターにトレーラーの出発が指示されるシステムは、さすが情報の国アメリカと言える。
入荷から出荷まで無線、HHT、バーコードが使われ、リアルタイムにマテリアルフローが管理されている。日本でもこのようなシステムは増加しているが、まだ、アメリカには後れていると思った。荷受け場のテーブルが木製で手作りであったことは、シーバビジョンのカート同様に興味深かった。
③在庫回転
在庫は1,800万ドルから 2,000万ドルで、1週間の出荷高が 400万ドルだから年10回転になる。棚卸しは年2回である。許容誤差は1アイテム50ドル。
④従業員管理
雇用契約期間は1年間。採用後60日間は試用期間で、この間にトレーニングをする。1カ月間の作業量が標準の95%以下であると、管理職が警告をする。1年間に4回査定し、4回警告しても改善さなれない時は解雇する。
現場の作業者とシステム、IE等のスタッフがミーティングを持ち、アイデアや意見の交換をする。ワーカー、スタッフ共に1週間1回ミーティングを持ち、QCサークル活動をしている。
⑤自家発電電力の販売
16シリンダーの非常用発電機を持ち、夏期に電力会社の発電量がピークになった時に発電機を動かし、電力会社に売電している。
⑥生産性と物流品質の公開
グループ別に生産性グラフを作成し、現場に公示している。物流品質は個人レベルで捉え、個人の評価に使っている。
⑦その他
開設当時はクロスドッキングの荷受にパレット搬送コンベヤが複雑に設置されていたが、現在は完全に撤去され、アニストン地区のFDCとして使い、高回転商品のケースピッキングの作業場になっていた。最近のアメリカの物流現場は「人と道具とコンピューターで、フレキシブルで、ローコストオペレーションである。

6 まとめ

  アニストンRDCは、全体の評価としては「並」以上である。
  スロームーブ・センター自体は、ヨーロッパでもアメリカでもかなり昔から実施されている。特にスーパーバリューのコンペティターだったフレミング社(2002年倒産)では1980年代から実施している。ヨーロッパではドイツ、スウェーデンの日用品、食品や乳製品で実施され成果を上げている。また集荷センターの機能についても、スウェーデンのICA社が1990年頃にスウェーデンのヘルシンボリに設置している。
  しかし、ロジスティクスを経営戦略の一環としてシステマティックに発想するアメリカ人には敬服する。もちろん、日本でも花王の直販・直配、資生堂のオリコンを使ったユニットロードとDCの配置など優れた発想と決断の例があるが、日本の場合はえてして庫内に限られた改善、狭い範囲のシステム改革に止まっていることが多い。
  物流にはテクノロジー、マネージメント、ポリシーの三つの分野があるが、日本はポリシーが不足していると思う。それはロジスティクスが経営の中にポジションを得ていないからであり、経営者は経営に於けるロジスティクスのプライオリティを低く見ているのではないかと思う。
  スーパーバリューのRDCは、テクノロジーの面から見ると日本の菱食の白岡RDCの方が数段勝っていると感じた。

以上



(C)2004 Jun Suzuki & Sakata Warehouse, Inc.

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