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経営戦略・経営管理

第37号VMI (Vendor Managed Inventory)(入門編)(2003年08月05日発行)

執筆者 木村 徹
西濃シェンカー株式会社 課長
    執筆者略歴 ▼
  • 経歴
    • 1985年4月 渋沢倉庫株式会社入社
      配属部署(通関部門・貿易代行部門・海外引越部門・大井埠頭の保税倉庫)
    • 1997年2月 同社退職
    • 1997年3月 リーボックジャパン株式会社入社 ロジスティクス部 課長代理
    • 1999年10月 同社退職
    • 1999年11月 マースク株式会社入社
      マースクロジスティクス株式会社 SCM課 課長
    • 2002年8月 同社退職
    • 2002年8月 西濃シェンカー株式会社入社 ロジスティクス部 課長
      現在に至る。
    所有ライセンス 通関士、ジェトロ認定貿易アドバイザー、危険物取扱者、海技士(Navigator)他
    誌紙出稿
    • 流通設計21(旧 ロジスティクスジャーナル) (2001年1月より現在連載中)
    • ジェトロセンサー (2000年11月&2002年2月)
    講演実績
    • サカタウエアハウス ワークショップ
    • ジェトロ埼玉 貿易実務講座 (内容:貿易取引と為替決済)
    • ジェトロ埼玉 貿易実務講座 (内容:ロジスティクスの実際)
    • (財)静岡県国際経済振興会 (内容:物流企業の生残り)
    • ジェトロ埼玉 貿易実務講座 (内容:ロジスティクスの実際) 他
    所属学会
    • 日本貿易学会
    • 日本物流学会

目次

1.VMIとは

VMIとは”Vendor Managed Inventory”の略である、各々の単語の意味を分解して説明していく。
「Vendor(ベンダー)」とは供給業者のことでありサプライヤー(Supplier)と言われる場合もある、つまり製造業や組立業から見た場合は商品を製造するために必要な部分品や原材料を納入する業者のことを意味している、また小売業者の場合は店頭に並べるための商品を納入する製造業者や卸売業者等を指している。
「Managed(マネージド)」とは管理するという意味であり、会社で言うマネージャー(課長)も語源は同じManageから来ているどちらも管理という意味では同じである。VMIの場合にはVendorが管理をしている、然しながら会社のマネージャーの場合には部下を管理すると同時に上司から管理されているという板ばさみの一番成りたくない立場である。
最後に「Inventory(インベントリー)」であるが、これは在庫という意味である、手元にある講談社英和辞典を紐解くと「財産・商品・物品などの明細目録」と記載されている。
つまりこれらの意味を合わせると、部分品供給業者であるベンダーが部分品の在庫を自分のものとして管理すると言う意味になる。実際には物流会社の倉庫に保管し管理を委託している場合も多いであろうが、その部分品はここで言うベンダーの資産であるのでベンダーが管理していることに間違いが無い。これでは一般に行われている商取引となんら変わりの無いことであり決して目新しいことではない。
では、どこが違うのであろうか。
その違いは「倉庫での商品管理の方法」、「出庫オーダー・配送方法」において従来と大きく違う手法が用いられているところである。どのような出庫オーダー・配送方法がとられているかというと、製造業者や組み立て業者であるユーザーからの指示に基づいて出庫を行うというものである。ここで言う指示とは従来の商慣行で行われている発注とはニュアンスがちょっと違ってくる。

2.富山の薬売り

例えて言うならば「富山の薬売り」の様なものであると言われている、また「コンビニエンスストアーの発注」の様なものである、また人によっては「回転すし」の様なものであると形容する人もいる。
前者の例でいうと、富山の薬売りは薬箱に何種類もの薬を入れて各家に置いて行く、これは一つの倉庫内へ何十件ものVendorの何百種類・何千種類もの部分品を置いておくことに例えることが出来る。この場合に薬箱とは倉庫のことである、そしてそこには何社もの製薬会社が製造した何種類のまたは何十種類の薬が入っている。つまり様々なベンダーの在庫が一つの倉庫に保管され管理されていると言うことである。その後熱が出たり、風邪を引いたり、頭痛がした場合に必要に応じて薬箱から薬を取り出しそれを服用する、これはユーザーである製造業者や組み立て業者が工場の生産状況に応じて必要な部分品を倉庫から取り出し使用することと考えることが出来る。そして薬を使用した後は薬屋さんへ薬の代金を払う、つまりこれはユーザーが部分品を使用したときに部分品の売上が立ちユーザーがベンダーへ対価を支払わなければならないことを指す。
つまり、ユーザーの需要に応じてベンダーの資産である部分品をユーザーの工場へ支給するということである。これでは通常の商品の売買となんら変わらないように思えるが、商品(部分品)の保管方法、契約内容、管理方法に従来とは全く異なった手法を用いられている、これらの手法が「富山の薬売り」と類似していると言っている所以である。
後者の場合は、現在殆どのコンビニエンスストアーではバーコードを使用しておりこのバーコードはPOSレジで管理されている。このPOSレジではバーコードを使用することによりどの商品が販売されたか、その商品の単価がいくらであるか、何個販売されたか、男性が購入したか女性が購入したか、購入した客の年齢は何歳であったか、販売された時間は何時であったか、またそのときの天気は何であったか等の情報が管理されており、それらの情報は本部で集計され販売動向や販売傾向が今後の戦略として生かされている。そして一部の商品の購入情報は製造業者や卸売業者に自動的に情報が流れることにより、その販売された数量を製造業者や卸売業者が各店舗へ配送する仕組みが出来上がっている。つまり、商店側ではなんら発注するという行為なしに商品が自動的に補充されるのである。この仕組みもVMIの仕組みに類似しているといえるであろう。
これら両者の参考例は、共に一般に行われている商慣習とはかけ離れた新しい手法が用いられた商取引である。なぜかと言うと、ここには発注という行為が発生していない。発注なくして必要な部分品が必要な商品が自分の手元に必要な時に届く、これは夢のような話ではないではなかろうか。
このVMIを知っていくうえにおいてこれらの参考例は基本的考えになるので覚えておいてもらいたい、またVMIを知っていく上で、また実践していくためには従来の枠にとらわれない発想を持つことが重要な要素となっていく、いつまでも現在の経営手法、物流手法、系列や取引先に縛られ引きずられて行くようでは満足の行くVMIをおこなって行くことは出来ないのではないかと考えられる。当然そのような環境においても満足の行く誰が見ても成功しているVMIを実践することは不可能ではないであろう、しかし殆どの場合はVMIもどきの実践になることは間違いない。これはSCMと同じである、SCMを行っていますと標榜している企業は数多く存在している、それこそ石を投げればぶつかるくらいあるであろう、しかし成功している企業を見つけ出すことは至極困難ではないのではないか。
これら新しいことを行うために重要なことはコンセプトの熟知と共にリエンジニアリングである。リエンジニアリングについてはマイケル・ハマーとジェイムズ・チャンピーが「リエンジニアリング革命」の中で説いているのでそちらを参照してもらいたい。

3.物流の中でのVMIの位置付け

物流という言葉は物的流通を短くした言葉であり、英語のPhysical Distributionを語源とした言葉である。そして物流とは大きく3つにわける事が出来る「調達物流」と「販売物流」そして「静脈物流」である。
「調達物流」とは商品を製造するにあたり、その商品を構成する素材や部分品等を各ベンダー(サプライヤー)へ発注した後にそれを製造工場や組み立て工場へ運送することを言う。
「販売物流」とは工場で出来あがった製品をエンドユーザーへ配達するために配送センターへ集めるための運送と配送センターからエンドユーザーへ運送するための行為を言う、つまり出来上がった製品の運送のことを指している。
「静脈物流」とは別名回収物流とかグリーンロジスティックスとも呼ばれている、これは不要になった品物を再利用するために集めてくるための物流のことを指す、つまり今回のVMIとは関係がない。
VMIのコンセプトは第1章で説明したとおり、これら「調達物流」にも「販売物流」にもあてはめることが出来る。しかしながらVMIの言葉の”V”はVendorを指しており、これは部分品の供給業者のことを指しているのでここからはVMIイコール「調達物流」として話をしていく。

4.「国内VMI」と「国際VMI」の違い

「国内VMI」とはこれら物流業者の資産を活用し国内でVMIを完結するものである。つまり、国内で登記している法人や国内に在住している居住者が供給者になり部分品をユーザー工場の近くにある物流企業の倉庫に蔵置しユーザーの需要に合わせて部分品を供給するものである。それは完全なかたちでの国内取引といえる。これに必要なことは部分品供給業者とユーザーの契約でありコンピュータソフトを含めた仕組み作りであるといえる。
「国際VMI」の場合は「国内VMI」に加えて輸入・輸出という行為が伴ってくる。ここでは輸入に焦点をあてて解説していく、この”輸入”という行為を分解すると、航空(海上)輸送と輸入通関に分けることが出来る。
日本は島国である、海外から商品を日本へ持ち込むためには必ず航空機若しくは船舶を用いなければならない、航空機の場合は航空会社または航空フォワーダーへ、船舶の場合は船会社やNVOCCに依頼することで輸送を行うのが一般的である。そしてもう一つの重要な事項である通関についてであるが、海外から商品を輸入する場合、また日本から商品を海外へ輸出する場合は必ず”通関”という行為を行わなければならない。輸出入の当事者である個人や法人が直接税関へ輸出入申告を行うことも出来るし、通関業者へ依頼し通関業務を代行してもらうことも出来る。
一般的には後者のケースが多く用いられている。しかし、海外から航空機や船舶で商品や部分品を日本へ持ち込み輸入通関をした後に倉庫へ蔵置し必要に応じてユーザーへ届けることではなんら「国内VMI」と変わることが無い。ここで言う「国際VMI」とは航空機や船舶で日本に持ち込んだ後、輸入通関することなくそのまま保税地域に蔵置することを指している、しかもその商品の所有者が輸出者に帰属したままでである。日本では日本国内で登録していない法人や日本に居住していない個人の在庫はたとえ保税地域であろうと長期間蔵置することは出来なかった、この方法は認められていなかったのである。しかしながら2003年4月1日に関税法が改正され「非居住者在庫(Non Resident Inventory)」が認められ、また日本で登記していない法人や日本に居住していない個人も一定の手続きを踏めば輸入者として自己の名前で輸入通関手続をする事が可能になった。

5.VMIの構造図

次の図は財務省のホームページに掲載されているものである。この図よりVMIの流れが分ると思う。ただしこの図は上記4で説明した「国際VMI」を説明した図である。

出所:財務省ホームページ

6.終わりに

ここでは、VMIの初期的知識について述べた。
筆者が知る限りではVMIについて記載されている出版物は
「LOGI BIZ」(2001年11月号)ライノスパブリケーション
「CARGO」(2003年2月号)海事プレス
「SPACE」(2003年3月号)ジャパンプレス
「VMI」(2003年3月)日刊工業新聞
から出版されただけである。
VMIのコンセプトとしては1990年代初頭よりあったと耳にしているが日本に於いて未だ浸透しているとは思えない。それはWIN=WINビジネスが成り立ちにくいビジネスモデルだからなのではなかろうか。それは上記「VMI」の中にも記載されている。
筆者もVMIを題材として出版を試み出版社の担当者と共に熟考したが販売部数を見込めないという経済の原則のもとに出版を諦めざるを得なかった。
VMIはどちらかと言うと物流の一手法であるといえるであろう、しかしながら社会の中での物流の位置付けがまだまだ低いために一般の興味を引く事が出来なかったと思われる。
商流がネットを使ったものに移行していきバーチャルなものに変化していっても、物流はリアルである。人間が生きて行くうえで絶対になくならないビジネスの一つであると筆者は考えている。
話しをVMIに戻す、VMIを研究していくと関税法、商法等の法律にぶつかる、またコンピュータソフトウエアー、キャッシュフロー経営、アウトソーシング、モーダルソフト、INCOTERMS、FAZ法等色々な問題が複雑に絡み合ってくる魑魅魍魎としたところがあり、そこが面白みでもあるのでこれからの研究題材にしていきたいと考える。

以上



(C)2003 Toru Kimura & Sakata Warehouse, Inc.

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