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マーケティング

第331号 個配・宅配のラストワンマイルの変革を考える。(2016年1月7日発行)

執筆者  髙野 潔
(有限会社KRS物流システム研究所 取締役社長)

 執筆者略歴 ▼
  • 職歴・履歴
    • 日産自動車株式会社(33年間)
    • (出向)株式会社バンテック(7年間)
    • (起業)有限会社KRS物流システム研究所(平成11年~)
    組織・履歴
    • 神奈川流通サービス協同組合・物流システム研究所所長(5年間)
    • 株式会社湘南エスディ-・物流顧問(5年間)
    • 株式会社カサイ経営・客員研究員(7年間)
    • 物流学会・正会員(8年間)
    • 物流学会・ロジ懇話会事務局(5年間)
    • 日本情報システムユーザー協会・個人正会員(JUAS-ISC)(9年間)
    • 日本情報システムコンサルタント協会(JISCA:東商会員)正会員・理事(平成25年~)
    委嘱(受託)・履歴
    • 通産省(現・経済産業省) 荷姿分科会委員・委嘱(1年間)
    • 運輸省(現・国土交通省)輸送分科会委員・委嘱(1年間)
    • 中小企業基盤整備機構  物流効率化アドバイザー・委嘱(8年間)
    • 中小企業ベンチャー総合支援センター 新事業開拓支援専門員・委嘱(6年間)
    • 中小企業基盤整備機構  企業連携支援アドバイザー・委嘱(6年間)
    • 中小企業大学校(関西校) 非常勤講師・委嘱(4年間)
    • 海外技術者研修協会 [AOTS]関西研修センター 非常勤講師・委嘱(2年間)
    • 座間市観光協会・事務局長(2年間)
    • 座間市・都市計画審議会委員(2年間)
    著書・講師・履歴
    • 日本のロジスティクス (共著:日本ロジスティクスシステム協会)
    • 物流共同化実践マニアル (共著:日本ロジスティクスシステム協会・日本能率協会)
    • 図解 なるほど!これでわかった よくわかるこれからの物流 (共著:同文館)
    • 雑誌掲載:配送効率化・共同物流で大手に対抗(日経情報ストラテジー)
    • 雑誌掲載:情報化相談室回答担当者(日経情報ストラテジー)
    • 雑誌掲載:卸の物流協業化・KRS共同物流センター事業(流通ネットワーキング)
    • 雑誌掲載:現場が求めるリテールサポート・ドラックストア-編(流通ネットワーキング)
    • その他  :執筆実績多数
    • 講師(セミナー、人材育成、物流教育・etc):実績多数

 

目次


 

1.はじめに。

  先日、某外資系企業から配送用軽バン、軽ワンボックスカー約100台を使用した調剤店配送の合理化案(人員不足の解消とコスト低減)の3PL(外部委託)、または内製での改善を検討したい旨のお話しを頂きました。そこで、ラストワンマイルを考えるきっかけと、さらに、国内の人手不足、物流業界においても物流実務に携わる人員不足が顕著になってきているとのお話しも出て来ました。昨今、ドライバー不足が深刻だそうです。長時間労働、低賃金、交通事故の危険性が伴うなどの厳しい労働環境で人員補充、将来を担うべき若年層の採用などが難しい要因と指摘されています。逆に、観光バスや路線バスのドライバーの補充に大型トラックのドライバーに着目、標的にされている企業が増えているようです。これからの労働力不足を乗り越える妙案が求められています。特に個配・宅配業界は、商品を集荷、そして、荷受人(消費者)にお届けするラストワンマイル(最後の区間)は、大手を中心とした物流業者の人手に委ねているのが現状だと思います。これからの荷量の増加、人口減少で、先々の人手不足が確定的であり、コスト比率が大きい最後の荷受人(消費者)への配送であるラストワンマイルの変革が必須です。ラストワンマイルの変革と人口減少とを融合させたラストワンマイル物流を考えてみたいと思います。

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2.ラストワンマイルの大手の取り組み。

  ネット通販最大手のアマゾンが大型のフルフィルメントセンター(お客様の満足を満たすアマゾン独自の配送センター)をいくつも建設して、当日配達、翌日配達といった配送サービスを充実させるのもこのラストワンマイルを制する動きだと考えます。また、楽天は自社の楽天スーパーロジスティックスを構築、セブン&アイホールディングスはオムニチャネル戦略(例えば、顧客が探している商品の在庫がない場合、ECサイトから仕入を行い自宅にお届けする。ネットで注文を受けて店舗で仕入れて指定の場所にお届けする流通・物流体制を構築しようとしています。さらに、ユニクロが商品開発、ネット通販で扱い、セブン&アイがコンビニの店頭でも扱い、商品受け渡しもコンビニ店頭で行う業務提携をしました。このラストワンマイルを超越した競争が益々厳しくなり、社会全体の利益に寄与すると共により良い流通構造に繋がることを期待しています。まさに、ラストワンマイルを制するものが個配・宅配だけでなく流通を制するものと考えています。

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3.個配・宅配業界を取り巻く環境。

  物量の需給関係に異変が起きる中、これからの暮らしやビジネス、社会を支える持続可能である個配・宅配の仕組みは、どうあるべきかが問われています。日本の総人口は、2005年から減少に転じ、生産年齢人口(15~64歳)も1995年を境に減少傾向にあります。

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  都市部や地方を問わず、高齢者の単身世帯の増加が進み、ネット通販、ネットスーパー、ポスティング、宅食、etcの個配・宅配システムが本格的に利用される社会になってきています。日本のBtoC、BtoBのEC(電子商取引)の市場規模は、2014年(平成26年)9月に経済産業省が2013年(平成25年)度の日本の経済社会の情報化・サービス化に関わる基盤整備(電子商取引に関する市場調査)の結果を発表しました。日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は、11.2兆円(前年比17.4%増)まで拡大しています。また、日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)の市場規模については、186兆円(前年比4.4%増)に拡大しました。特に個配・宅配は買い物弱者の足になることが期待されています。個配・宅配便の動向は、2013年度に取り扱い個数36億3700万個で、15年前と比較すると約2倍に増えています。これからも取り扱い個数が増え続ける要因として、個配・宅配を活用したネット通販、ネットスーパー、宅食などの急速な普及が挙げられます。2023年には、個配の取り扱い個数が50億個以上になると試算されています。

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  労働力不足は、あらゆる業種の課題となっていますが、特に労働集約産業である物流業界では、深刻な影響が懸念されています。そこで、個配(宅配)各社のラストワンマイルの革新的な一括納品(TC)拠点(結節点)づくりにチャレンジし、共同で、配送効率、配送生産性の向上を実現することにより、コストの圧縮と使用するトラックの削減などを実現したいものです。今まで難しいと感じていた個配業務の効率化、共同化・集約化を見据えたサプライチェーン全体の中で、無駄な輸送や無駄な作業を排除する効率的な物(配送)の流れをつくり出し、個配業務の変革に向けた新しい一歩を踏み出すべきと考えます。さらに、荷量の伸びがこれからも増え続くと予想されていますので、物流業務をビジネスの合理性に基づいた徹底した効率化、省人化、無人化を進めていくべきと考えます。こうした観点から個配・宅配の変革に向けて知恵と新しい一歩を踏み出す時であり、一括共同納品型の個配・宅配用ラストワンマイル拠点(プラットホ-ム)の実現を望んでいます。

4.個配・宅配のこれからの課題と対応策を考える。

  これからの課題として少子高齢化の影響で人手不足(物流労働力不足)が益々厳しくなると言われている2020年の東京オリンピックを迎えるに当たり、現在の個配・宅配インフラでは、荷物を捌ききれない懸念が大きくなっています。個配・宅配では、特に人手がかかるのがラストワンマイルと呼ばれる個配(宅配)の最後の数km、これは、大手企業でもロボット化や極限まで無人化できたとしても人手に頼る分野だと言われています。そこで、個配・宅配業界の希求的な課題である量的拡大への社会的対応に抜本的に応えるシステム(仕組み)が求められていると感じています。その方策として、年々増え続ける個配・宅配の荷量を捌く方策として、数多くの顧客がいる配達エリアから物流拠点が遠く、さらに、荷量に見合った配達営業拠点のカバーエリアの広すぎ?の問題点が散見されます。そこで、CS(顧客指向)と物流勝者のキーワードである「サービス、品質・精度、ローコスト」を実現する効率型ラストワンマイルサービスシステム(仕組み)を構築していくことが望まれています。その中で、最も重要なものとして、再配達の極少化と採算割れを防ぐ方策、再配達を防ぐシステム(仕組み)の構築が個配・宅配の重要なポイントになると考えます。全国一律の条件下での取り組みではなく、荷量(個口数)の多い地域を前提に個配・宅配事業の集中化で活性化させるルールづくりが必要と考えます。急ぐもの、急がなくてよいものを選別するのは、当然ですが、非温度管理品(ドライ)、温度管理品(冷凍・冷蔵)を従来通りに区別せず、混在で配達できるようにしたいものです。

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  そして、保冷加算、不定形サイズ加算(大きなサイズ)、地域別配達加算(配達頻度)などによる地域別新料金体系、破損品に関する研究を行い、高効率が発揮できる個配・宅配システムの検討が必要と考えます。これからは、あらゆる場所で顧客と接点を持とうとする考え方(オムチャネル)が進んでいくと思われます。今後、65歳以上が30%以上という高齢化社会が到来し、遠くに行けない買物困難者が増加して行くと言われています。また、働く女性が増えると共に外食・中食の支出が増え、単身世帯の増加によって健康管理や家事サポートのニーズが高まって行くものと思われます。店舗やイベント、ネットやモバイルなどのチャネルを問わず、あらゆる場所で顧客と接点をもとうとする考え方やその戦略が中心になって行くと思われます。顧客は、いつでもどこでも自分のライフスタイルにあった購買行動をとるようになり、そうした中で新しい個配・宅配システム(オムニチャネル戦略)が求められていくものと思われます。

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5.将来の個口数増加に対応するラストワンマイル拠点を考える。

  ラストワンマイルを網羅する個配・宅配結節点(物流拠点)を構築、個口数(荷量)と配送面積(ラストワンマイルエリア)を基本に適正な地域拠点(トラックターミナル&方面別仕分け)経由のワンマイルエリアを網羅する個配・宅配結節点(物流拠点)としての一括共同納品(TC型)拠点を設置することが重要です。荷量(個口数)を基本に適正なカバーエリアの策定、荷量が伴う1日1回転以上(1回転+α)可能な配送エリアの策定、ラストワンマイルにおけるカバーエリア内の宅配同業他社の営業拠点・配送拠点の共同・共配化(商物分離)が将来の個口数増加に対処する一つの方策と考えます。

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  目安として地域の広さ(人口密度・k㎡)と個口数(荷量)を基準に配達車両の積載率、配達の効率化を目指した配送回転数、一日2回転+α(AM1回転、PM1回転)の可能エリアの選択が重要です。各家庭の在宅率が高いのは午前10時までと午後4時~6時、朝と夕方に山があるM字問題があり、これで、M字問題の改善に万全とは言えませんが、荷量を加味した1日2回転(AM、PM)方式で寄与するのではないかと考えます。

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6.急ぐもの、急がないもの実情に合った個配・宅配システムを考える。

  基本は、早く届けるだけでなく、顧客の要望と効率化を追求しなければなりません。そこで、顧客の都合と事業者の都合を加味した料金設定(料金の加算、減算)を加味したいものです。そして、個配・宅配システム(仕組み)に柔軟性を持たせます。例えば・・・。①緊急(即日)配達指定・・・料金割り増し、一括納品センター到着後:当日納品(再配達は翌日納品・・・再配達での採算割れ防止)留守時の受け渡し方策の検討(事前連絡&確認、宅配BOX、店舗止め、指定止め・・・)、②定期納品(配達指定なし)は、配送地域毎に月水金、火木土毎に日に2回(AM,PM)の分割配達(再配達:直近の次回納品を検討・・・再配達での採算割れ防止)、留守時の受け渡し方策などの検討(事前連絡&確認、宅配BOX、店舗止め、指定止め・・・)など、実情に合ったラストワンマイルの変革を考えることが重要です。

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7.最後に。

  超高年齢化社会が訪れ、生産人口の減少により、人手不足が慢性化した社会が顕著になると言われていますが、高齢者、人口減少地域と融合した地域社会にも貢献できるラストワンマイルを地域創生の観点からも実践したいものと考えています。ラストワンマイルの業務を地域密着型に変革し、配送時間のフレキシブルな仕組み、配送効率の向上、地域居住者の働く場、働きやすい環境づくり、65歳の定年退職後の長寿命時代の男女シニア、主婦層、学生、団塊フリーターの身近で働ける場の提供が多様な労働力生み出すと考えています。さらに、働きがい、生きがいを醸成する地域ぐるみのシニアのフリーランサーを増やし、地域活性化、日本経済の維持、発展に寄与することも重要と考えます。これからのITの技術革新と生活が豊かになればなるほど必要とされる個配・宅配荷物の増量による労働力不足の対応の一助を担えればと願っています。

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以上



(C)2016 Kiyoshi Takano & Sakata Warehouse, Inc.

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