ロジスティクス・レビュー

第324号 ITFシンボルは正しく表示されているか(2015年9月15日発行)

執筆者  植村 康一
(一般財団法人流通システム開発センター ソリューション第1部 上級研究員)
    執筆者略歴 ▼

  • 職歴・履歴
    • 1988年 京都薬科大学大学院修士課程修了
    • 2012年より流通システム開発センター勤務。GTIN、GLNなどのGS1標準の普及活動に従事。

目次

1.はじめに

  段ボールなどの包材に集合包装された取引単位に表示されるITFシンボルは、単品商品に表示されるJANシンボルと同様、商品物流における最も重要なバーコードシンボルの一つである。ITFシンボルは基本的には14桁の集合包装用商品コード(GTIN-14)を表現するために利用されるが、誤ったコード設定や表示が行われていることが多い。また、集合包装用商品コードは、2005年までは、国内基準として14桁に加えて16桁のコード体系が認められていた経緯があり、現在でも若干ながら16桁のコード体系での利用が続けられている。
  大手日用品卸売業の物流センターでの現地調査をとおして、特に、16桁の集合包装用商品コードとITFシンボル表示に関して得た知見を紹介する。

2.集合包装用商品コードとITFシンボル

  集合包装用商品コード(GTIN-14)は企業間の取引単位である集合包装(ケース、ボール、パレット)に対して設定される14桁の商品識別コードで、受発注、納品検品、仕分け、棚卸管理等に使用されている。一般的には集合包装に内包される単品商品のJANコード(GTIN-13)を元に設定され、ITFシンボルによって表示される。先頭の一桁はインジケータと呼ばれ、荷姿や入数の違いを識別するために1~8まで利用することができる。

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3.ITFシンボルの表示位置

  ITFシンボルは、物流センター、倉庫などでソーター、コンベアラインなどにより自動的に読み取られることを前提に表示される。そのため、表示位置がかなり厳密に決められている。表示は原則として箱の4側面に行うこととなっている(4側面の表示が困難な場合は、少なくとも長手の2側面に行う)。バーの下側と箱の底面との距離は、32㎜±3㎜の範囲で、水平工法の左右どちらかのコーナーからベアラバー(ITFシンボルを囲む黒い外枠)までの距離が19㎜以上離れていなければならない。

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4.調査場所

  日用雑貨、ヘルスケア商品など18,000アイテム程度の商品を取り扱っている卸売業のDC型物流センターで調査を行った。

5.16桁の集合包装用商品コードの使用状況調査

  集合包装用商品コードは、2005年までは、国内基準として16桁と14桁のコード体系が認められていた。2010年までに国際標準である14桁に移行することになっていたが、実際には現在でも16桁のものが多少存在している。
  今回調査した物流センターでは、登録商品約18,000のうち、956商品において過去に一旦16桁の集合包装用商品コードを利用した記録があった。この956商品についてパッケージのITF表示の目視確認を行ったところ、調査当日にITF表示が確認できた732商品中、137商品は現在でも16桁の集合包装用商品コード(ITFシンボル表示)の利用を続けていることがわかった。一方で、595商品は14桁へのコード移行が行われていた。16桁から14桁コードへの移行率は81%であった。
  また、商品数の総数を18,000とし、全ての商品に集合包装用商品コードが設定されているとした場合、現在でも0.76%の商品に16桁の集合包装用用品コードが利用されていることになる。

6.ITFシンボルの表示状況

  ケースピッキング用の保管棚のうち、雑貨1(芳香剤、カイロ、クリーナー等)、雑貨2(おむつ、パンツ類)、食品(べビーフード、健康食品等)の3カテゴリーを選択し、ITFシンボルの表示位置やJANシンボルとの併記に関する調査を目視確認により行った(表1)。
  調査を行った273商品のうち、ITFシンボルが表示されている商品は262商品であり、そのうち標準に従って正しくつけられているものは222商品であった。また、ITFシンボルが表示されていない商品が11あったが、その内訳は、JANコードのみが表示されているものが10商品、バーコード表示が全くないというものが1商品であった。

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  表2には、ITFシンボルが表示されている商品(262商品)の中で、誤った表示(標準外の表示)の主なものについての割合を示す。16桁のコード体系になっているものの他に、印刷位置の間違いや、ITFシンボルとともにJANシンボルを表示している場合の表示方法の間違いが多く確認された。
  特にITFシンボルとJANシンボルの両方を表示している商品の間違いの全てが、単品のJANシンボルを、そのままケースにも印刷しているというものであり、ITFシンボルとJANシンボルで表現されている商品識別コードが一致しないというものであった。単品商品識別のためのJANシンボルと集合包装商品識別のITFシンボルが同じパッケージ上にあった場合、スキャナで読取っただけではどちらの商品であるかを識別できず、受発注・納品などに問題が起こる可能性がある。

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7.流通用のケースにITFシンボルとJANシンボルの両方の表示が必要な場合

  流通用のケースのままPOSレジ等を通して販売される商品の場合には、流通用のケース上にITFシンボルに加えてJANシンボルを表示することが必要となり、近年、食品業界、特に飲料業界において比較的一般的に行われるようになってきた。
  この場合、単品商品のJANコードとは別に、ケース販売用のJANコード(JANシンボル)を新たに設定し、そのケース販売用のJANコードの前に“0”をつけてITFシンボルを作成・表示しなければならない(図3参照)。この表示方法は、一つのパーケージ上に異なる商品識別コードが存在することを避けるために必要であるが、今回の調査では、調査範囲を絞ったこともあり、本手法で設定されたITFシンボルを確認することはできなかった。

8.まとめ

  物流センターにおいて、商品入荷時の検品は最初のステップとなるが、その時点での商品外箱(段ボールやケース)のITFシンボルの表示の意味は大きい。ITFシンボルがついていない場合、作業者は内部の商品のJANシンボルを読み取る必要があり、誤った表記がされている場合にはそれだけ確認に時間を取ることとなる。
  今回の調査で、集合包装用商品コードに関しては、今だ16桁のコードが一部の商品で使用されており、ITFシンボルの表示に関しては、カテゴリーを絞って調査を行ったことも原因ではあるが、少なくない商品に標準外の表示が行われていることが明らかとなった。これらの標準外のコード設定や表示は、物流作業の効率化を妨げる可能性がある。
  また、賞味期限やロット番号も表示できることから現在利用拡大が期待されている、GS1-128バーコードなどでは16桁の集合包装用商品コードは利用できず、今後ますます市場がグルーバル化するにつれて国際標準に準拠したコードやバーコードシンボルの設定・利用が厳しく求められる。
  いずれにせよ、商品を製造するメーカーには、取引先である卸売業や小売業での物流現場での作業が正確かつ迅速に行われるためにも、正しい集合包装用商品コードの設定と、正しいITFシンボルのマーキングが求められる。

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以上



(C)2015 Koichi Uemura & Sakata Warehouse, Inc.


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