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ロジスティクス

第268号在庫管理を考える。(前編)(2013年5月21日発行)

執筆者  髙野 潔
(有限会社KRS物流システム研究所 取締役社長)

 執筆者略歴 ▼
  • 職歴・履歴
    • 日産自動車株式会社(昭和36年~平成5年)
    • (出向)株式会社バンテック(勤務先:神奈川流通サービス協同組合) (平成5年~11年)
    • (独立)有限会社KRS物流システム研究所・設立(平成11年~現在に至る)
    参加組織・履歴
    • 株式会社湘南エスディ-  物流顧問(平成8年~12年)
    • 株式会社カサイ経営  客員研究員(平成12年~18年)
    • 物流学会  正会員(平成12年~)
    • ロジ懇話会・事務局(平成15年~19年)
    • 日本情報システムユーザー協会 個人正会員(JUAS) (平成15年~20年)
    • 情報システムコンサルタント(JUAS認定No161)
    委嘱(受託)・履歴
    • 通産省(現・経済産業省)  荷姿分科会委員・委嘱(平成8年頃)
    • 運輸省(現・国土交通省) 輸送分科会委員・委嘱(平成8年頃)
    • 中小企業基盤整備機構  物流効率化アドバイザー・委嘱(平成10年~17年)
    • 中小企業ベンチャー総合支援センター 新事業開拓支援専門員・委嘱(平成13年~18年)
    • 中小企業基盤整備機構  企業連携支援アドバイザー・委嘱(平成15年~21年)
    • 中小企業大学校(関西校) 非常勤講師・委嘱(平成14年~16年、18年)
    • 海外技術者研修協会 [AOTS]関西研修センター 非常勤講師・委嘱(平成20年~21年)
    著書・寄稿・その他
    • 卸の物流協業化事例研究(雑誌)・・・流通ネットワーキング
    • 業務革新・物流配送効率化(雑誌)・・・日経情報ストラテジー
    • 中小企業のロジスティクスは共同物流が決めて(雑誌)・・・SCAN
    • 日本のロジスティクス物流協業化事例研究(出版物・共著)・・・JILS
    • 物流共同化実践マニアル(出版物・共著)・・・日本能率協会
    • 共同物流の動向と共同物流の進め(雑誌)・・・物流情報
    • ドラック・ストア編ここがポイント!(雑誌)・・・流通ネットワーキング
    • 物流を核にした現場密着型のコンサルタントを目指して(論文)・・・JUAS/ISC
    • 需要予測で適正な発注を実現するには!(情報化相談室)・・・日経情報ストラテジー
    • 図解 なるほど!これでわかった よくわかるこれからの物流(出版物・共著)・・・同文館

 

目次

1.在庫とは、何か?

  企業で保管する在庫量には望ましい水準があり、多くても少なくても良くありません。
  在庫(棚卸資産)の管理を担当する部門では、在庫を適正量に保つ努力をします。
  在庫が少ないと得意先からの注文に対応できず、売り逃す(機会損失)ことになり、一方、在庫が多すぎると在庫を保管するためのコストがかさみます。
  在庫を受け入れてから販売するまでの期間が長くなると商品の劣化も多くなり、在庫を抱えることで、企業の資金が固定化されてしまいます。
  適正な在庫水準がどの程度かという点については、明確なルールはありませんが各社で試行錯誤を繰り返しながら、適正な在庫水準を探っているのが現状のようです。
  商品(在庫)を必要とする市場の条件は経済、季節、催事などで多彩に変動しています。
  パーフェクトな在庫管理は有りませんが、常に実績と市場動向の先読みと自社の戦略に沿った入出庫量を予測(マーケットインを意識)した在庫管理に取り組みたいものです。

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2.在庫管理の目的

  当たり前のことですが、市場に合わせて、少なすぎない、多過ぎないように在庫アイテム毎に「売れ行き」に応じて「在庫量」を「適正水準」に維持管理すること、欠品をなくし、販売機会の損失を防ぐこと、在庫精度(情物一致)を保つことです。
  この分かりやすい在庫管理の目的をどの企業も目指していますが、大半の企業が年間を通して満足する水準に達していないのが在庫管理の現実だと思います。

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3.商品政策と在庫管理

  流通(需要)している特性で商品群を分ける。
  それぞれに応じた取り扱い(販売・在庫管理)基準を策定して管理することが 必要です。
  市場の変革に対応したニーズに合致した販売・在庫管理方策が求められていますが、昨今の市場動向は、1回当たりの受注量(小ロット・多数回物流)が小さく、新商品が多くなり、取り扱いアイテム数(多品種・多品目販売時代)が増大しています。
  さらに、新商品の開発・販売が乱発、市場では、大量販売を狙う一方で、ターゲット(対象)を絞った新商品を矢継ぎ早に開発、販売合戦が始まっています。
  売れ行きの鈍い商品(不動・不良在庫)は、値下げしても売れなくなっています。
  これからは、商品・販売政策に在庫管理の在り方が従来以上に求められてきています。

4.在庫管理活動の基本

  MD(マーチャンダイジング)機能との連携が在庫管理の基本です。
  在庫管理活動は、後始末業務から脱却、社会や市場の量や質的変化に対応するMD(マーチャンダイジング)機能を構成する4ッの活動との強い連携が必要です。
☆参考:マーチャンダイジングとは・・・。
  消費者の要求にかなう商品を適切な数量、適切な価格、適切なタイミングで市場に提供する企業活動のことです。

4ツの管理活動と在庫管理活動の基本

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5.在庫方針と目標の決め方・・・在庫目標を決める手順

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6.適正在庫(標準在庫目標)の決め方を考える。

   業種、業態によって在庫水準の違いが大きく、 同業種であっても取り扱い商品や商品構成によって在庫保有水準が異なっています。
☆参考:在庫量の決め方・・・。

1) 在庫保有日数による方法・・・在庫数量で対応させた在庫日数
適正在庫数量(標準在庫日数)=目標1日平均出荷量×目標在庫保有日数
<参考>:在庫金額で対応させた在庫日数
適正在庫金額(標準在庫日数)=目標1日平均売上高×目標在庫保有日数
2) 商品回転率による方法・・・出荷数量で対応させた在庫回転率
商品回転率=年間出荷数量÷年間平均在庫数量(×該当月の季節変動指数)
<参考>:出荷金額で対応させた在庫回転率
商品回転率=年間出荷金額(売上高)÷年間平均在庫金額(×該当月の季節指数)
3) 月別在庫目標の設定・・・前年の月別在庫実績から季節変動指数を求め、標準在庫目標(適正在庫)を月別に変動させる方法です。
月別在庫目標=標準在庫目標(適正在庫)÷12ヶ月(×月別季節指数)


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7.在庫管理でやるべきこと(在庫管理のポイント)

  在庫管理の目的は、在庫を出きるだけ少なくし、在庫切れを少なくすることです。
  常に在庫の実態(在庫回転率・在庫月数、在庫コスト、同業他社比較)を把握すること、売れる物を在庫し売れないものは持たない。(言うは易く、行なうは難し)
  売れなくなったらルールに乗っ取り処分することが在庫削減の必須条件です。
  営業部門と物流部門の力関係で少量でも取り扱っているアイテムは、営業部門の了承がないと処分できない現実をコンサルティングで訪問した企業で複数件、見受けました。
  在庫ABC分析だけでなく、需要特性の実態を在庫管理に反映していくこと、在庫(年間・月間・商品群別)目標と実行の乖離を日々振り返り、日々の在庫計画の策定と商品調達に反映させることが重要です。

1) いまある在庫を減らしていく取り組み:長期的な在庫計画の策定

2) 現在ある在庫を必要最小限に抑え込む取り組み:日々の在庫計画の策定と商品調達
絞り込んだアイテムをDKKD(データと勘、経験、度胸)による予測の精度アップ


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※後編(次号)へつづく


(C)2013 Kiyoshi Takano & Sakata Warehouse, Inc.

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