ロジスティクス・レビュー

第255号理美容業界における流通効率化の取り組み(前編)(2012年11月8日発行)

執筆者 青木 利夫

(全国理美容製造者協会(NBBA) 事務局長)
    執筆者略歴 ▼

  • 略歴
    • 1951年生まれ
    • 1973年 早稲田大学卒業、婦人服専門店「三愛」入社 本社経理部勤務 営業経費・償却資産・支店会計担当。
    • 1977年 東急ハンズ入社 本社経理課勤務 決算・税務・企画収支担当渋谷店立ち上げに携わる。
    • 1979年 ウエラ化粧品入社 債権・予算・受注管理・営業データ管理におけるエンドユーザーコンピューティング担当。
    • 2008年 タカラベルモント入社 東京本社管理部特命担当。
    • 2011年 同社 東京本社管理部顧問。
      全国理美容製造者協会事務局長を兼務。
      理美容業界VAN・業界標準WEB-EDI「NBBA楽々注文ねっと」構築・共通倉庫研究に携わる。

*サカタグループ2011年11月16日開催第18回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回理美容業界における受注システムの標準インフラである「NBBA楽々注文ねっと」立ち上げ時の苦労話、今後の楽々倉庫の構想他ついて、実際の体験談を交えて講演いただきました「全国理美容製造者協会(NBBA)事務局長 青木 利夫」様の講演内容を計4回に分けて掲載いたします。

目次

  皆さんこんにちは。ただいまご紹介に預かりました全国理美容製造者協会の青木と申します。本日のセミナーでは前半の部分で長谷川様・増井様のかなりロジスティクスに特化したお話を、皆さんお聞きできたのではないかと思いますが、私ははっきり申しましてロジスティクスに関しては門外漢の人間であります。したがって、ロジスティクスに関するアカデミックなお話はできないのですが、たまたまサカタウエアハウスさんの田中社長様と親交いただいておりまして、僭越ながら壇上に立たせていただいております。
  全国理美容製造者協会は、業界団体としては珍しく、競争関係にあるメーカーが共同で業界のインフラ作りに励んでおり、サカタウエアハウスさんからも多くのサポートをいただきながら、事業に取り組んでまいりました。
  その取り組んできた事柄が、皆様のお役に立つのではないかと言うことで、今日お話をさせていただくことになりましたので、出来る限り私たちが取り組んできた事の具体的な部分について、以前サカタウエアハウスさんのセミナーでお話させていただいたことはありますが、ちょっと裏話的な話を交えて今回はお話しさせていただきたいと思っています。

1.全国理美容製造者協会(NBBA)とは?

  全国理美容製造者協会は現在10社のメーカーで構成されています。
  現在はNBBAという略称ですが、理美容業界の中ではNBAと言う名称でつい数年前までは通っておりました。ところがある日大量の印刷物が国際弁理士事務所から送られてきて、NBAという略称とロゴマークを使うのをやめてくれないかと言うお話がございました。全米プロバスケットボールチームの協会(NBA)の代理人ということで、日本においてもこのNBAという略称が一人歩きされては、ブランドの希釈につながるので困るというお話でした。
  私どもは業務用頭髪化粧品メーカーの団体なので、会社のロゴや略称に関しましては、日常の業務の中で大切に取り扱っていることもあり、先方のおっしゃる意味もよく分かりましたし、このNBAという名称を使って物を販売するといった団体ではないので、お互いの意思を尊重するという形で、自らの権利にこだわることなく対応させていただきました。ただNBAのロゴに関しては設立当初から思い入れがかなりありましたので、こちらに関して変更は行わずに、略称に関しては、既に業界内では定着しているものの、先方の意思を尊重しNBBAへの変更を行いました。そのようなわけで、プロスポーツ関係の商品には使わないということを前提にして、ロゴはそのまま使用しております。
  NBAという略称は、日本バス協会とか、日本バーテンダー協会、日本ビリヤード協会とかいろいろNBAと言う略称を使っているところはあるらしいのですが、この私ども全国理美容製造者協会の動きが業界の中ではかなり浸透していて、業界内ではNBAというと全米バスケットボール協会ではなくて、こちらの全国理美容製造者協会を意味し、セミナーの開催や業界VAN、WEB EDIの構築など多岐にわたり活動していることに懸念を持たれているということだったので、ある意味私たちからすると、自分たちの行なってきた活動が認められたのではないかと言うふうに思ってこれも、今までの活動の成果であると嬉しい気もいたしました。そんなわけで今はNBAではなくNBBAという略称で活動しています。

2.OUTLINE 協会概要

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  私どもNBBAは、1998年に設立されました。
  業界の中ではメーカーの団体としては「日本ヘアカラー工業会」・「日本パーマネントウェーブ工業会」という団体はあるのですが、製品を主体とした活動ではなく、業界全体の発展や仕組みを研究、構築していく団体として、発足いたしました。

3.全国理美容製造者協会 会員会社は現在10社

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現在はこちらにある10社で構成されております。
  アリミノさん、資生堂プロフェッショナルさん、資生堂さんの業務用の専門の会社ですね、それからタカラベルモントさん、中野製薬さん、ナンバースリーさん、デミさん(日華化学さん)、それから、ロレアルさん、ミルボンさん、モルトベーネさん、リアル化学さん、こういった会社で構成されています。
  当初4社からスタートして、加盟メーカーも増え2年程前までは12社になっていたのですが、その12社から私の前職であるウエラさんとシュワルツコフさんが退会されました。理由は企業買収を行った企業のビジネスルール適用やヨーロッパでのヨーロッパ競争法の適用を受けた経緯などから、業界の競合会社と一緒に行動するような会合とかには出席できないということで、退会されていきました。グローバルな会社さんの中では、世界的なビジネスルール適用の影響が出てくる部分があるのかなというふうに考えています。
  全国理美容製造者協会は繰り返しますが、理美容の業務用化粧品及び関連製品製造業の総合的改善と発展を図り、理美容産業の健全的な伸展と、健康で豊かな国民生活の維持向上に貢献するということが目的でありまして、これに沿った形で活動を行っています。

4.組織図

  当会は、会員各社の社長で構成される理事会、統括を行う運営委員会、その下に5つの委員会が存在しており、それぞれの委員会で平均毎月1回委員会を開催しています。
  各社さん、特に地方の会社さんは、東京での会議では出張旅費をかけて、それぞれ手弁当で活動に参加いただいています。懇親会的な団体というよりは、具体的に目的をもって各委員会で活動しています。

5.夢のある業界づくりのために。

  設立10年目の節目に、「夢のある業界づくりのために」というスローガンを掲げて活動を行っています。なぜ「夢のある業界つくりのために」となっているかと言いますと、これから厳しい状況が理美容業界の未来にはひかえ、夢を持ちにくい環境があることを認識しているからです。
  皆さんの業種でも、日本の人口がこれから減って、とりわけ就労人口がどんどん減っていき、市場にかなり大きな影響を与えるようになることを予測さっているのではないかと思います。
  理美容業界でも人口の推計でいくと、昨年あたりから2020年にかけて、15歳から64歳の就労人口が大きく減って、大雑把に見積もって約800万人近くの人口が減っていくわけですから、平均して年間約80万人が減り続けるわけで、それだけ市場の規模が縮小されるということになるわけです。
  こういった構造的な環境の変化に加えて、理美容室に勤める従業員の方々の賃金が低いだとか、社会保険の整備が遅れているなどの問題があり、美容師さんになる方がだんだんと少なくなってきています。ですから、そういった意味では、業界としては非常に先が明るくない部分があるのです。
  このような状況下ですが美容師になって世界に羽ばたいていこうとか、美容の業界自体を面白くしていこうという、そういった夢作りのために、メーカーとしてもなんらかの形で動いていこうということで、このスローガンを掲げて今現在活動しています。

6.厚生労働省所管の生活衛生業 16業種に属する

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  理容業、美容業というのはどういった位置づけにあるのかというと、厚生労働省所管の生活衛生業16業種の中に属しています。この分類というのは結構面白い分類で、中華料理屋さん、料理屋さんや、おすし屋さん、飲食業があって、業種の線引きが非常に面白い分類になっているのですが、このような厚生労働省所管の生活衛生業というくくりの中で存在しています。

7.理容室と美容室の店舗数推移(厚生労働省データより)

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  次に、理容室と美容室の店舗推移という、厚生労働省のデータから作成されている資料がお手元にあるかと思いますが、1981年の段階で美容室が約156,000店舗、それから理容室が約144,000店舗あったのですが、バーバーさんの方はどんどん店舗数が少なくなっています。これは厚生労働省のデータでこういう形になっているのですが、実際に業界の状況を詳しく把握しようとすると、理美容業界は、市場規模がはっきりつかみきれない業種です。長時間お客様がお店に滞在し、かつフェイスtoフェイスなので、消費者との接点の非常に高い業種になります。
  このグラフでみると、バーバーさんは店舗数が減り続けていて、美容業の方だけは、どんどん店舗数が増えています。これは厚生労働省のデータですが、その他に、総務省統計局というところで、「特定サービス産業実態調査」という調査を5年に1回実施していたものがあるのですが、平成16年以降実施されなくなりました。

8.総務省統計局 平成16年サービス業基本調査からみた業界の実態1

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  データとして比較できる平成16年の資料で見てみると、総務省で把握している理容室の店舗数119,947ですから、約112,000店舗、美容室に関しては約173,000店舗という数でした。
  これが、同じ16年で比較すると厚生労働省の数字では、理容約140,000店舗、美容の方では213,000店舗という形になっています。
  店舗数推移は総務省統計局のデータを見てみても、平成元年からすっと比較していくと、バーバーさん(理容室)は減っていって同じく美容室の方は増えていくという、同じような傾向を示しています。
  現在、従業員の方は、バーバーさんの方では約25万人、美容の方では約45万人程度というのは、これは、総務省統計局のデータですが、恐らくこれくらいの人数の方がお仕事に従事されているということになります。また収入金額においては、平成16年のデータですが、約2兆円が美容の方で、7,700億円がバーバーさんの市場規模になっています。
  理美容業は、労働集約型の産業といわれ、一人の技術者が担当できるお客様の数には限界があります。
  例えば物販の場合ですと、同じ一人の人が、その人の腕次第で販売する個数をどんどんと増やしていくことができるのですが、理美容に関しては、一人で一日何百人も対応できるということではないので、そういう意味で労働集約型の典型的な産業なのです。
  また、変動費率が非常に低い業種です。材料費が美容のほうで8%から高くて12%くらい、ところが普通の物販ですと、65%から70%くらいの変動比率になりますので、1個あたりの儲け額は少ないけれども、数はいっぱい売れる、一方美容の方は、固定費を稼いだ段階ではそのほとんどが儲けになりますが、それほど数多くはこなせない、こういった特徴のある業種になります。
変動費である材料費の比率が低いということは、メーカー側から市場をみた場合は、小さなマーケットであるということになり、一般市場でのメーカー構成と業務用市場のメーカー構成が異なる要因になっています。

9.総務省統計局 平成16年サービス業基本調査からみた業界の実態2

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  総務省のデータで個人営業と法人営業の比率で見ますと、美容の場合には約15%が法人化されていて、バーバーさんの場合では、法人化率が5.5%というデータが平成16年の段階で出ていました。

10.総務省統計局 平成16年サービス業基本調査からみた業界の実態3

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  1事業所あたりの従業員の数ですが、こうやって見ていただくと、1人から4人という事業所が美容の場合だと約87%、バーバーさんだと約95%が4人以内の従業員で賄われており、その内の大半が1人から2人です。したがって小規模の事業形体で営業が行われているということです。

11.総務省統計局 平成16年サービス業基本調査からみた業界の実態4

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  これを今度収入別で見ていくと、美容の場合14.6%の法人さんが全体の54.2%の売上を稼いでいます。バーバーさんだと、5.5%の法人さんが全体の22.4%の売上を稼いでいるのです。この法人化された事業所が売上のシェアを高めているといったことがどんどん進んでいます。皆さんも、QBハウスさんとか千円くらいでカットされるお店があちこちで出てきているのをご存知かと思いますが、今こういった法人化されている会社の売上が全体の中でシェアを高めていることが推測されます。これは、美容の方においてもこのような傾向が強くなっています。


※中編:上(次号)へつづく


(C)2012 Toshio Aoki & Sakata Warehouse, Inc.


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