ロジスティクス・レビュー

第251号3PLによる物流の価値創造~物流品質活動のあるべき姿とは~(前編)(2012年9月6日発行)

執筆者 増井 秀典
サカタウエアハウス株式会社 取締役 情報開発部長
    執筆者略歴 ▼

  • 略歴
    • 1986年 鐘紡株式会社入社、生産技術研究部門、物流企画部門にて化粧品を中心とした物流センターの構築・設計・システム化を担当(在籍中に第7回流通システム大賞・通産大臣賞を受賞)
    • 1999年 朝日アーサーアンダーセン株式会社入社、2002年 ベリングポイント株式会社にて、SCM/ロジスティクスを中心としたコンサルタント(マネージャー)としてクライアントの業務改革(BPR)および事業・物流戦略の構築・実行を担当
    • 2005年 現職のサカタグループ入社、サカタウエアハウス株式会社、サカタインフォ株式会社にて倉庫・3PL事業の推進、SCM・ソリューション事業の推進を担当
    • (社)日本ロジスティクスシステム協会認定 ロジスティクス経営士

*サカタグループ2011年11月16日開催第18回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回は2回に分けて掲載いたします。

目次

平素はお世話になり、誠にありがとうございます。また、本日はお忙しい中、たくさん方々にお越し頂き、ありがとうございます。講演を始める前に先般、東日本大震災で被災された方、または被災された企業の方々にお見舞い申し上げます。
先に、長谷川様よりBCPのお話を頂戴しましたが、今回の災害を受けまして、BCPの考え方が本当に重要であり、事業を如何に継続するかということを考えさせられた方々が多かったのではないかと思います。
さて、私からは、物流における品質活動、特に3PLの品質に対する考え方がどうあるべきかについて、3PL企業として、あるいは弊社としての考え方や想い、取り組みを中心にお話させて頂こうと思っております。

講師のプロフィール

私事で恐縮ですが、プロフィールを紹介させて頂きます。
私は、最初、メーカーに10数年勤務し、その中で物流企画、物流システム開発・設計などを担当しておりました。特に、化粧品を中心とした物流センターの仕組み造り、センターの建設、立ち上げなどを担当しておりました。それから、外資系大手コンサルティング会社に転職し、メーカー様や運送会社様、卸様における物流・ロジスティクス・SCMのプロジェクト支援、3PL業者の切り替えに関わる評価、コンペ、立上げなどを行ってきました。本日は、現在3PLの立場である私ではありますが、コンサルタント的な立場でお話しますので、少し客観的な見方が出るかと思います。どうか、ご了承頂きたいと思います。さて、本日のアジェンダですが、最初に弊社の概要をお話させて頂き、その後3PLのビジネスは現在どうなっているのか、そして、本題の物流品質、品質活動のお話をさせて頂こう思います。

Ⅰ.弊社の概要

まず、弊社の概要ですが、私どもサカタグループは、2014年で創業100周年を迎える老舗の物流倉庫会社です。

1.サカタグループの紹介

現在の事業としては、サカタウエアハウスが、倉庫、3PLの事業、サカタインフォがシステム、サカタアセントがアウトソーシング、HRMの事業を行っており、この主要3社でグループが構成されています。
さて、弊社は、ロジスティクスレビューというメールマガジンの配信をさせて頂いており、現在5000名以上の方々にご覧頂いています。手前味噌ではありますが、お蔭様で物流関係のメールマガジンでは、それなりの規模まで成長させて頂きました。日頃ご購読頂いている読者の皆様には、たいへん感謝しております。

2.サカタグループのネットワーク

弊社のネットワークとしては、営業所、営業本部を含め、現在13拠点ございます。関東地区はこれまで、市川市塩浜の市川営業所1ヶ所でしたが、最近、市川市原木に市川第2営業所として1,600坪を拡張させて頂きました。そこでは、主に医療機器を中心とした貨物の取り扱いをさせて頂いております。今後、私どもは、関東地区はもちろん、中部地区、そして関西地区につきましても、倉庫の拡張を考えている状況です。

3.主要お取引先様

ここでは、主要なお取引先様をご紹介させて頂いております。私共は、化粧品、医薬品、トイレタリーの扱いを得意とし、最近では医療機器の取り扱い、加えて電機・電子部品などの取扱いをさせて頂いております。所謂、多品種、小ロットという物流分野を得意とし、ロット管理への対応など、流通上、非常にきめ細やかなサービスの提供を事業として展開させて頂いています。

4.最近の取組み事例

最近の取り組み事例を挙げさせて頂きました。細部は資料を読んで頂きたいと思いますが、3PLとしましては、先ほど申し上げましたような、化粧品、電子部品、輸入化粧品などの物流に関するご支援をさせて頂いております。情報システムにおきましては、検品システムなど、物流現場の周辺システムをはじめ、鉄道情報システム株式会社様と共同で開発した独自の倉庫管理システムを販売させて頂いています。最近では、Webを活用した受注システムを開発し、お客様にご活用頂いています。
また、コンサルティングにおいては、大手の医療機器卸様、あるいは大手の化粧品メーカー様、医薬品メーカー様にお声掛けを頂き、事業における問題解決のご支援をさせて頂いています。次に、教育分野では、日本ロジスティクスシステム協会様の物流技術管理士講座をはじめ、船井総研様セミナーでの講演、あるいは企業様における研修プランのご提案、ご支援もさせて頂いている状況でございます。

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Ⅱ.3PLビジネスの現状 ~弊社の視点を交えて~

1.3PLビジネスの市場規模①

まず、3PLビジネスの現状について、弊社の視点を交えて整理をさせて頂きました。これは、「LOGI-BIZ」という雑誌から引用させて頂いたのですが、3PLビジネスの市場規模は、少なく見積もって1兆5千億円位まで伸びてきたと示されています。これは各主要物流関連企業の売上を積算した場合に、これくらいの売上になっているということです。これを見てみると、皆さんご存知の日立物流さんなどが、M&Aを繰り返され、企業規模を益々拡大されていることがわかります。また、市場規模1兆5千億円の内、上位の企業がその30%を占めているといった状態が読み取れます。私共、同業他社とっては、このような形になってくると、当然競争も激しくなってくるわけです。その他を見てみると、3PLといってもいろんな業種、業界が参画していることがわかります。例えば、卸系、メーカー系、運送会社系、そして3PLとして独自で伸びてこられた企業もあります。そういう意味で、3PL事業は非常に伸びているけれども、競争自体は非常に激化しているといった状況にあるということが見て取れます。

1.3PLビジネスの市場規模②

ここでは、先の情報をグラフ化しているわけですが、今期から来期にかけて各企業が、売上の伸び率をどう考えているかということを見てみると、大半の企業が前年対比プラスを想定しておられます。こういったことからも、3PL業界が今後伸びていくことが見て取れます。一方、国内の物流におきましては、人口が減少傾向にあり、高齢化していること、また、景気が低迷している中で、物量が減少していくことが予想されているわけですが、現在3PLを利用されていない潜在顧客の開拓の余地であるとか、既存貨物の争奪戦、こういったものが非常に大きく発生してくるということが考えられます。これは余談ですが、先日、ロジスティクスソリューションフェアが東京ビックサイトで開催され、私共も出展させて頂いたのですが、非常にたくさんのお客様に私共ブースにお越し頂きました。今回は、3PLの提案をして欲しいというお話が結構ありましたので、お客様の3PLへの関心は高まっているのではないかと感じた次第です。
さて、最近、非常に大きな話題になっているのが、TPPの問題です。実際にTPPに参画すると、輸入貨物の動向は非常に大きく変わってきますので、物流に大きな変化が起きると思われます。当然我々のような3PLの業界にも大きな影響があると考えています。

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2.弊社アンケート結果の考察

これは毎年私共が、弊社主催のセミナーにおいてお客様にアンケートさせて頂いている結果です。これは昨年のものですが、物流の品質・精度を向上したい、或いはコストを下げたい、コストの分析を行いたい、そういったところに非常に多くの方々が関心を寄せられているという結果になっています。そういう意味で、私共3PL業者としては、こういったところにお客様が価値を見出して頂けるようなサービス、ご提案をしていかなければならないと考えています。本日もアンケートをお願いするかと思いますが、是非ご協力の方をお願い致します。

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Ⅲ.物流品質を考える

ここから「物流品質を考える」ということで本題の方に入っていきたいと思います

1.物流品質とはどんなものがあるのか?

物流品質にはどんなものがあるのか、3PLとしては物流品質をどう捉えていくべきかということを整理しました。これはあくまで1つの考え方ではありますが、4つに分けられると考えました。まず、最初に「製品(商品)の品質」があります。これは商品の企画とか生産にも関係するわけですが、商品自体の形状、強度、梱包、輸送、あるいは商品自体の適性に基づいた保管環境などにより実現されるものです。その場合、物流においては、製品の鮮度管理とか、温湿度管理などを行う必要があります。次に、「サービスの品質」というものがあります。これは、お客様が求める商品を正しく(品種、数量)、指定(納期、場所)に応じ、法令を遵守して届けることで実現されるものです。それから、「顧客満足の品質」があります。これはお客様の物流に対する商品やサービスの基準以上で対応したことによって実現されるものです。例えば、商品が期待以上に美しい状態で納品されれば、その丁寧さに感心され、お客様の満足を得ることができます。そして、「情報の品質」というものもあります。これはお客様が必要とする情報、データを正確、且つタイムリーに提供することによって、実現されるものです。
弊社としては、先に申し上げたように、3PLの競争が激化する中、物流において「品質」が差別化のキーワードであると確信しています。ここでは抜粋してご紹介しましたが、今後弊社は、「品質」に拘った事業展開を行いたいと考えています。

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2.3PLとしての物流品質の捉え方

弊社と致しましては、物流品質を維持・向上することを目指し、様々な活動、対応を行っております。そして、そこでの差別化の必要性を考え、物流品質を「商品」として捉え、ソフト/運用面での「物流商品」を創ることが重要と考えています。その背景には、3PLの課題として、①提案/見積内容の画一化が進み、他社との打ち出しの違いや比較が難しい、②コストのみの比較/競争に陥りやすい、結果として、③3PLの実績、強味が活かされにくいということがあり、より差別化というものが必要となってきていることが挙げられます。

3.物流品質の商品化に向けて

次に、物流品質の商品化に向けた考え方(取り組み)について整理します。ここでは、マーケティング・ミックスに基づき、製品、価格、流通、プロモーションという切り口で考えています。では、どういった製品(サービス)を作っていくのか、価格競争にならない形にするにはどうすればいいのか、どういった品揃えでやっていくのか、あるいは、お客様にどのようなアピールをしていくのかを考える必要があります。そういった中で、弊社しては、「物流品質の商品化」ということで、お客様から見て魅力のある物流品質の商品、サービスを提供していく必要があるのではないかと考え、鋭意、取り組んでいます。

※後編(次号)へつづく



(C)2012 Hidenori Masui & Sakata Warehouse, Inc.


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