ロジスティクス・レビュー

第230号実務リーダー(現場力)を考える。(前編)(2011年10月18日発行)

執筆者 髙野 潔
(有限会社KRS物流システム研究所 取締役社長)
    執筆者略歴 ▼
  • ~連絡先~ 有限会社KRS物流システム研究所   http://users.ejnet.ne.jp/~krs/
    取締役社長 髙野 潔 (連絡先
    ~職歴・履歴~ ●株式会社湘南エスディ-         物流顧問(平成8年~12年)
    ●株式会社カサイ経営          客員研究員(平成12年~18年)
    ●物流学会                 正会員(平成12年~  )
                    ロジ懇話会・事務局(平成15年~19年)
    ●日本情報システムユーザー協会 個人正会員(JUAS) (平成15年~20年)
                情報システムコンサルタント(JUAS認定No161)
    ~参加組織・履歴~ ●株式会社湘南エスディ-         物流顧問(平成8年~12年)
    ●株式会社カサイ経営          客員研究員(平成12年~18年)
    ●物流学会                 正会員(平成12年~  )
                    ロジ懇話会・事務局(平成15年~19年)
    ●日本情報システムユーザー協会 個人正会員(JUAS) (平成15年~20年)
                情報システムコンサルタント(JUAS認定No161)
    ~委嘱(受託)・履歴~ ●通産省(現・経済産業省)  荷姿分科会委員・委嘱(平成8年頃)
    ●運輸省(現・国土交通省) 輸送分科会委員・委嘱(平成8年頃)
    ●中小企業基盤整備機構  物流効率化アドバイザー・委嘱(平成10年~17年)
    ●中小企業ベンチャー総合支援センター 新事業開拓支援専門員・委嘱(平成13年~18年)
    ●中小企業基盤整備機構  企業連携支援アドバイザー・委嘱(平成15年~21年)
    ●中小企業大学校(関西校) 非常勤講師・委嘱(平成14年~16年、18年)
    ●海外技術者研修協会 [AOTS]関西研修センター 非常勤講師・委嘱(平成20年~21年)
    ~著書・寄稿・その他~ ●卸の物流協業化事例研究(雑誌)・・・流通ネットワーキング
    ●業務革新・物流配送効率化(雑誌)・・・日経情報ストラテジー
    ●中小企業のロジスティクスは共同物流が決めて(雑誌)・・・SCAN
    ●日本のロジスティクス物流協業化事例研究(出版物・共著)・・・JILS
    ●物流共同化実践マニアル(出版物・共著)・・・日本能率協会
    ●共同物流の動向と共同物流の進め(雑誌)・・・物流情報
    ●ドラック・ストア編ここがポイント!(雑誌)・・・流通ネットワーキング
    ●物流を核にした現場密着型のコンサルタントを目指して(論文)・・・JUAS/ISC
    ●需要予測で適正な発注を実現するには!(情報化相談室)・・・日経情報ストラテジー
    ●図解 なるほど!これでわかった よくわかるこれからの物流(出版物・共著)・・・同文館

*今回は2回に分けて掲載いたします。

目次

1.はじめに…。

*画像をClickすると拡大画像が見られます。

 近年、我が国は、世界的な未曾有の経済不況を背景に産業構造の変革、消費者、生活 の質的変化などにより、物流に関する産業界のニーズも益々高度化、多様化してきてい ます。(求められています )
 中堅・中小企業の物流は、コスト意識が前面に出て、実務面での現状業務、現場運用の 課題など、何が問題なのか、将来を含めて方向性が定まっていないのが現実です。
 多岐多彩な顧客(後工程も含めて…)に対応するニーズは、生産性向上やサービス性、品質などの改善で何をしたらいいのか、どこから手をつけていいのか、日々の作業に追われ、人手が足りない、客観的な評価ができない、等々の課題を抱えています。
 間近に迫った高齢化と人手不足(人口減少)、日本の産業の90%を支えている中小企業の 経営者の高齢化、後継者難が迫ってきています。
 大企業、中小企業を問わず、海外進出を図っています。
 海外進出の企業は、日本の物流力を海外水準に引き上げる必要に迫られています。
 物流の変革が加速しています。
 いよいよ、物流の面白い時代になってきました。
物流の基本は、拠点(物流センター)と輸・配送、情報の3ッから構成されており、 海外の拠点においても、上記の基本を核にムダなく、ムリなく、ムラなく、そして生産性 (ローコスト)や品質向上を優先した物流活動が求められています。
 企業はチャレンジ、チェンジを模索しています。
 長い間、力にモノを言わせ売上を伸ばしてきた企業も近年、売上減に苦しんでいます。
 物流の変革が加速しています。
 大手企業の破綻は、消費者ニーズへの対応の遅れが起因していると言われています。
 消費者の欲求は、うつろいやすい、その速度はますます速まっています。
 変わらずに守り続けるべき伝統もありますが、変化をチャンスと捉え、変わることを 楽しみに古きものから新しきものへと「チャレンジ・チェンジ」することも生き残りの ための必要な方策と考えます。
 このような時代だからこそ、物流の現状を把握し、さらに将来の物流活動の方向性を 策定、達成していくことは、物流に携わる人達に課せられた課題と考えています。
 まず、諸外国を凌駕する物流力と環境対応が求められています。
 日本の経済力の維持向上を賭けた経済改革には、諸外国(特に東南アジア・欧米)を 凌駕する物流力(改善力、運営力、その他)の向上が必須であり、さらに、企業の社会 的使命としての予測を上回る温暖化を防ぐ、環境対応も求められています。
 日本は、周辺国に比べてエネルギー、土地、労働力などの調達コストが高い、高速道 路の通行料金が高い、都市部の渋滞、港湾、空港などのインフラの整備が遅れています。
 物流事業者は、中小企業の零細企業が数多く存在しています。
 特に、港湾、空港などの設備、サービス、コストが周辺国に比べて劣勢にあります。
 環境問題としても、輸送機関が排出するCO2の排出量が徐々に増加しています。
 それから、海外(特に欧米)に比べて物流面の教育体制の遅れが顕著だそうです。
 物流業界を牽引する人材の不足、人材を育成する学校教育(特に大学)機関における 物流人材育成の教育体制が徐々に増えてきていますが、社会全体としての関心が低く、 海外(特に欧米)に比べて遅れを取っているのが現状だそうです。
 そこで、よりよい物流実務を求めて活動している一人として、物流現場からの経営改 革を目指せる物流の実務リーダーの育成の一助になればと念じて「実務リーダーの物流 力(現場力)を考える」を論じてみました。

☆参考:一握りのリーダーにより、成長した企業の事例紹介

2.実務リーダーの責務

実務リーダーの3ツの資質!
 下記の共通の土台になる考え方を実行する力が必要不可欠です。

1)実務リーダーとは・・・。

 物流センター(倉庫)ならセンター長、マネージャー、製造業なら マネージャー、係長、班長、事務所なら課長、主任クラスの人が該 当します。
 これらの人達は、配下を持ち、組織で仕事をする時の実務リーダーです。
 実務作業の出来、不出来はすべて実務リーダーの双肩に掛かっています。良い仕事をするには、良きリーダーが不可欠です。
 上層部からの指令を実務担当者に具体的に説明、伝えないと組織活動はで きません。
 実務リーダーは指令の意味を充分理解し、組織内に正確に指示を 与え、進捗状況を把握、軌道修正があれば、速やかに修正しないと 期待し成果に結びつきません。

2) 実務リーダーの役割

 安全・安心で、利益が出る物流実務(物流センター・倉庫)の運営を実現するには、組織内で実務リーダー(物流力…。)の果たす役割が非常に大きいのです。
 先ず、経営方針を示し、全社的な目的・目標を作るのは上層部の 仕事ですが、それを実践する現場では何をなすべきかを決め、実行するのが実務リーダーの役目です。

3)うまくいく企業とダメな企業

 うまく行く企業は経営層の力量もさることながら、なんといっても実務リーダーに人材がいるかどうかで決まるケースを多く見受けます。
 いろいろな企業で物流現場を沢山、見てきましたが実務リーダー に恵まれた企業は、的確に早く物流の役割である顧客に対する物流 サービス、物流品質と精度の維持向上、それを期待する物流コスト(ローコスト)で実施できるよう努力し、実現しています。
 良き実務リーダーのいない企業では、日々の個々の実務をこなす のに精一杯で、期待する効果の実効が上らないのが現実です。

4)実務リーダーを育てる機会が少ないのが悩みです。

 各企業のセンター長は、物流実務の重責を担った現場リーダーですが、作業に追われて教育・訓練の機会の少ないことが問題です。

5)経営層は実務リーダーの教育・訓練に今まで以上に力を入れて下さい。

 今までの2倍も、3倍も現場リーダーの教育・訓練に力を入れて下さい。
 実務リーダーは、物流の知識と経験を積み重ね、そのノウハウ(物流力)を駆使して物流実務・現場を運営する原動力になれば、
リーダーのさらなる成長と共に現場力を伴った最強の組織(物流企業)になると確信します。
 さらに、リーダーの成長と物流力(現場力)が高まれば、高まるほど顧客からの信頼も厚くなり、企業の発展に繋がり、人材育成の投資も早期に回収できます。

6) 実務リーダーの責務

 目配り、気配り、思いやり、プロ野球のキャッチャーはこの心構えが欠かせないのだとプロ野球生涯一捕手だった野村克也さんの語録にあります。
 ピッチャーの気持ちを汲み、内外野に満遍なく目を注ぎ、チームを盛り立てていく役割の重責を担えるのが実務リーダーの責務と考えます。
 監督(会社幹部)や選手(従業員)の思いつきやら理想論ばかりを口走るチームの中で目配り、気配りで苦心惨憺(さんたん)するのが真の実務リーダーかもしれません。


※後編(次号)へつづく



(C)2011 Kiyoshi Takano & Sakata Warehouse, Inc.


このページのトップへ戻る