ロジスティクス・レビュー

第224号物流共同化(&情報システム)の進め!(前編)(2011年7月19日発行)

執筆者 髙野 潔
(有限会社KRS物流システム研究所 取締役社長)
    執筆者略歴 ▼
  • 連絡先 有限会社KRS物流システム研究所   http://users.ejnet.ne.jp/~krs/
    取締役社長 髙野 潔 (連絡先 )
    略歴 ●日産自動車株式会社(昭和36年~平成5年)
    ●(出向)株式会社バンテック(勤務先:神奈川流通サービス協同組合) (平成5年~11年)   
    ●(独立)有限会社KRS物流システム研究所・設立(平成11年~現在に至る)
    参加組織 ●株式会社湘南エスディ-         物流顧問(平成8年~12年)
    ●株式会社カサイ経営          客員研究員(平成12年~18年)
    ●物流学会                 正会員(平成12年~  )
                    ロジ懇話会・事務局(平成15年~19年)
    ●日本情報システムユーザー協会 個人正会員(JUAS) (平成15年~20年)
                情報システムコンサルタント(JUAS認定No161)
    委嘱(受託)・履歴 ●通産省(現・経済産業省)  荷姿分科会委員・委嘱(平成8年頃)
    ●運輸省(現・国土交通省) 輸送分科会委員・委嘱(平成8年頃)
    ●中小企業基盤整備機構  物流効率化アドバイザー・委嘱(平成10年~17年)
    ●中小企業ベンチャー総合支援センター 新事業開拓支援専門員・委嘱(平成13年~18年)
    ●中小企業基盤整備機構  企業連携支援アドバイザー・委嘱(平成15年~21年)
    ●中小企業大学校(関西校) 非常勤講師・委嘱(平成14年~16年、18年)
    ●海外技術者研修協会 [AOTS]関西研修センター 非常勤講師・委嘱(平成20年~21年)
    著書・寄稿・その他 ●卸の物流協業化事例研究(雑誌)・・・流通ネットワーキング
    ●業務革新・物流配送効率化(雑誌)・・・日経情報ストラテジー
    ●中小企業のロジスティクスは共同物流が決めて(雑誌)・・・SCAN
    ●日本のロジスティクス物流協業化事例研究(出版物・共著)・・・JILS
    ●物流共同化実践マニアル(出版物・共著)・・・日本能率協会
    ●共同物流の動向と共同物流の進め(雑誌)・・・物流情報
    ●ドラック・ストア編ここがポイント!(雑誌)・・・流通ネットワーキング
    ●物流を核にした現場密着型のコンサルタントを目指して(論文)・・・JUAS/ISC
    ●需要予測で適正な発注を実現するには!(情報化相談室)・・・日経情報ストラテジー
    ●図解 なるほど!これでわかった よくわかるこれからの物流(出版物・共著)・・・同文館

*今回は2回に分けて掲載いたします。

目次

1.はじめに・・・。

 モノが生まれるということは、物流が誕生することであり、情報システムの急激な発達、インターネットの普及などで、製・配・販の三層の変革、及び海外生産、海外からの調達などで新たに生まれる経済活動を円滑に進めていくための新しい価値ある物流を求める時代が来ています。
 数多い物流実務・実地の開発&コンサルティング経験から物流現場の課題の緩和、改善は、運用(作業者)とマテハン(物流設備)と情報(コンピューター)を現場密着で有 機的に結合し、正しく、早く、楽に安全で快適に物流と言う怪物を御していくこと、物流で経済活動や社会を支えているのだという自負を持って前に進みたいと思っています。
 あらためて、物流という怪物の奥深さを共に勉強していきたいと思います。
 良くお聞きする言葉として「物流を最適化する」、この言葉を何度も色々な人からお聞きました。そこで企業や物流部門が求めているもの、必要なものは何だろうかと考え てみますと古い言葉になりますが、コアコンピタンス(強い機能・・・規模、人材、技術、製品、システム、コスト、品質、サービス、情報システム、etc)を明確に伸ばすことではないでしょうか。
 強い機能に企業力を集中できる企業は、時代がどう変わろうとも生き残れる確率が高いと言われています。
 今、世の中は、物流関連の大企業、中堅・中小企業のどのタイプにおいても物流部門の分離、合併、吸収、共同化、3PL、SCMロジスティクスなど、強い機能づくりに選択と 集中を繰り返しながら強い機能を求めて、事業改革(革命と言っても過言ではない?)を行っています。
 前向きな企業は、旧態とした取引慣習、取り引き形態、流通経路などを打破すべく、 新興企業も老舗企業も日夜躍起となって事業変革(構造を変える)を起こし、生き残りの 体制づくりにチャレンジ!し始めているように感じます。
 前に向かって進まなければ、何も変わりません。 大企業、中堅・中小企業を問わず、事業変革・物流変革を起こす気概を持って新しい 事象(改革)に取り組まなければ、置き去りにされてしまう時代を迎えています。 物流の改革・変革に社運をかける気概でダイナミックに取り組む姿勢を期待します。

2.物流の共同化を物流変革のキーワードにしたいものです。

 物流は今、労働力、エネルギー、土地、交通インフラ、環境問題・・・、いずれの点から見ても、多岐の課題が次から次へと現れ、極めて難しい時代にあると思います。
 例えば、商流・商取引(商慣習)、商品荷姿とマテハン、商品コード体系、共同保管、庫 内オペレーション、共同配送(車両の有効活用&車両の改造)、定時・定ルート配送、保証検品、受発注単位、輸送荷姿、保管荷姿、作業単位荷姿、投資負担・作業料率、etc の実務・実地面からみると、よりよい変革(構造)が必要とされています。
 よりよい変革は、これまでの物流の「基本的な枠組み」を変えることしかありません。
 その枠組みを変える一つの方策として、幾つものパターンの実務ベースの物流共同 化の経験から、物流の共同化がベター(ベストにはならない?)だと考えています。
 物流の共同化は、物流の変革のキーワードとなるはずです。(・・・したいものです。)

3.物流共同化の必要性(背景)

 企業の成長の持続に何が必要なのかを戦略的に考える時代が訪れています。 物流に携わる企業や部門が成長実現を目指すものとして「規模の重要性」は揺るぎません。
 規模を求めてるだけではありませんが、新聞、雑誌、インターネット、etcの報道によると、特に物流企業の提携、合併が日常茶飯事(報道)で行われています。
 物流企業や物流部門に問われているのは、規模を追求しながら独自の収益モデルを築く「力」だと思います。
 規模だけでなく物流企業として、資源高、デフレの風圧下で収益を生む仕組みづくり、技術、品質を含めた総合力を持ち、追いかけて来る同業他社よりも速く走れる企 業体質が必要と考えます。
 競争の土俵をどこに探すか、規模と技術と品質を収益源と位置付け、その進化の速度を上げ、より良き連鎖を個々の物流企業(及び物流部門)の枠を超え、事業活動を 広げる手段の一つとしての物流の共同化の必要性を考えてみたいと思います。
 海外進出、輸入増大、インターネット、環境対応、高齢化社会、人口減などの背景 を抱えて、従来の消費増大・発展を前提に「それ行けドンドン」の環境が一変、これからは、日本企業の全業種・業態に前述の如く、社会の変革(構造)に会わせた物流企業づくり!基本的な枠組みを変えるような物流の変革(構造)が求められています。
 そこで基本的な枠組みを変えるような物流の変革(構造)を物流の共同化に求めて行きたいと考えています。
 経産省・国交省もアジア地域との競争力強化のため、日本の物流力の水準向上と 環境対応(京都議定書)などを柱に高い水準の「物流品質、物流コストの低減、スピ-ド納品、IT化」などの要請を強めており、新たな方向へ向かっています。

◆参考:物流共同化の関心度合い
 物流共同化についての必要性(関心度)を感じている企業が30~40%、その関心の高 さにあらためて驚きました。

*画像をClickすると拡大画像が見られます。

4.物流共同化の狙い!

 物流をコアコンピタンス(強い機能)にしている企業の基盤強化を狙います。
 物流共同化で、個々の企業では、負担が多すぎる物流施設の近代化、情報システム の共同化、物流拠点の集約化、顧客指向などで企業基盤の強化(物流品質の向上、物 流コストの低減、納品のスピードアッ プ、etc)の実現を目指したいものです。
1) 物流共同化で、得意分野を強化、足りない所の補完を狙います。
2) 複数企業の類似ビジネスモデルで投資コスト(ローコスト・・・。)を分担しあいWMSなどの共同開発を狙います。
3) 事業者同士の連携で共同化のメリットを狙います。
●荷物や車両の融通・・・共同配送・共同保管、荷姿の標準化などの連携
●情報の共同化・・・EDIの推進・導入、受発注、情報(WMS)の武装などの連携
●中小・小売業との連携・・・小売り納品センタ-、異業種間連携など。
4) スケールを活かす庫内物流作業(共同物流事業)の標準化、物流オペレーションの 共同化による作業コストの低減、品質・精度、サービス性の向上、など 更に、物流共同化で、省エネルギーの効果を狙います。
5) 輸配送車両の効率的な活用、及び車両台数の削減
●参加企業の共配化(配達・集荷)、帰り便の利用(車両有効活用・台数の削減)
●参加企業の納品商品を配送エリアとルートを集約化することにより、共同配送・共 同集荷(混載、積載率の向上、走行延べ距離の短縮)による車両台数の削減
●社会的エネルギーの削減
分散化している企業の輸・配送業務を集約化し、共同配送を実現することにより、従来の使用エネルギーの削減が見込まれます。
◆参考:取り組みたい物流共同化の分野・・・中部経済産業局調査

*画像をClickすると拡大画像が見られます。

◆参考:共同物流参加の条件(複数回答)・・・JILS調査

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5.物流共同化のスタイル(物流共同化とは!)

前述(◆参考:物流共同化の関心度合い)の如く、物流の共同化を目指しておられる企業や組織、団体が沢山ありますが、共同物流を検討する出発点は、荷主主体、物流専業者主体、機能主体、発荷主・着荷主主体、etcと色々と挙げられます。
 そこで、物流共同化の目的、狙いからどのような実施スタイルが参加企業にとって必要とする変革、成果を享受できるのかを判断することが最も重要です。
 やみくもに物流共同化を実施したいではなく、目的、狙いからどのような自社の物流のスタイルを考え、参加企業を募ったり、自社の目指す物流共同化のスタイルに近い共同化推進組織を探し出し、加わることだと思います。
 新しい共同化のスタイルを指向するのも変革の時代として重要だと考えます。
 参考までに、物流共同化のスタイルの具体例を下記にご紹介します。

1)荷主主体の物流共同化

2)物流専業者主体の物流共同化

3)機能主体の物流共同化

4)発荷主・着荷主主体の物流共同化



(C)2011 Kiyoshi Takano & Sakata Warehouse, Inc.


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