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物流品質

第205号物流企業の品質改善、環境マネジメントシステムの必要性等(2010年10月7日発行)

執筆者 三代川 実
    執筆者略歴 ▼
  • 略歴 千葉工業大学 1975年3月卒業
    大手電子機器メーカ入社
    公害対策及び緑化対策他
    上記物流子会社で営業・ロジスティクス担当
    大手物流会社で、マネジメントシステム構築・維持
    上記会社・2009年9月30日退社
    資格 物流技術管理士
    品質審査員(JRCA)
    環境審査員(CEAR)
    所属団体 日本物流学会正会員
    日本品質管理学会正会員

目次

  物流企業で働いた経験及び事例から、上記テーマの必要性を論じてみたい。物流企業の事業領域を考えると次のようになる。
  調達物流⇒生産物流⇒販売物流⇒回収物流
ロジスティクスマネジメントの領域は
  ⇒輸配送   :鉄道、船舶、飛行機、トラック
  ⇒保管    :倉庫保管荷役
  ⇒包装    :通い箱、ダンボール包装、木枠梱包
  ⇒流通加工  :値札付け他
  ⇒情報処理  :WMS等
  ⇒回収    :静脈物流⇒3R
以上の観点から考察したい。

(1)品質改善

  ISO9001(品質マネジメントシステム)では、顧客の要求事項を配慮しながら物流サービスの実現(製品実現)を顧客に提供し、顧客満足の向上を図る品質改善を図る活動である。具体的な例としては次の活動が考えられる。
  ①正確な納品(誤出荷防止の活動、事故防止)
  ②コストダウンの実現
  ⇒上記のロジスティクマネジメントの領域での、環境負荷の低減の活動がコスト ダウンの実現ができる。

(2)環境マネジメントシステムとは

ISO14001(環境マネジメントシステム)
⇒ 全社的な経営機能の中で環境方針を作成し、実施・達成・見直し・維持する為の 組織の体制、計画活動、責任、慣行、手順及び資源をいう。
①環境とは
  環境というのは大気、水質、土地、天然資源、植物、動物、人及びそれらの相互関係含む組織の活動をとりまくもの。
②環境側面と環境影響
  ・環境側面は、有益か有害かを問わずに環境に影響を与える原因のこと。
  ・環境影響は、環境側面の結果として環境に生じる変化に関連する。
  ・・・例えば大気の汚染、水の汚染・汚濁、天然資源の枯渇
③環境マネジメントシステムとは
  ・環境方針:地球環境を・・・・・・・・・
  ・環境目的:環境保全活動を・・・・・・・
  ・環境目標:リサイクル率・・・・・・・・
  事業活動、製品、サービスの環境側面を特定する手順を定め、法的要求事項を確認 し、環境目的、目標を確立して、環境管理計画を作成する。
④環境マネジメントシステムの要素
  ・約束・方針
  ・計画
  ・実施
  ・測定及び評価
  ・見直し及び改善

  以上の有機的な活動のPDCAを廻していく事が、環境マネジメントの活動である。
コストダウンの実現では、環境側面・環境影響・環境負荷の低減の活動を環境マネジメントシステムの活動で改善目標にあげながら、活動すると結果が出やすい。
  以下、ロジスティクスマネジメントの領域で輸配送を考えてみたい。
  筆者の過去の事例を紹介すると、機械部品の輸送を受注する活動をしていた。
  東北の3工場から、中部地区のメイン倉庫に輸送する仕事に着目して活動したが、 トラック車両の地方料金が、かなりの割安なので、そのままの輸送形態での仕事の受注は絶望的であった。
  輸送形態を、3工場で発送でなく幹線定期便、及び支線定期便の運行設計をしながら 荷物のクロスドッキングして倉庫輸送を行った。
  結果的には、輸送費用は35%のコストダウンが実現できた。 環境改善活動として、従来輸送から定期便輸送に変更した場合、同様にトラックから 排出する、CO2ガスが35%の低減を図った。
  以下、コストダウンは環境負荷の低減を図る事により実現できる例である。
包装では、ダンボール梱包⇒通い箱。
倉庫照明設備をLED照明設備に変更し、環境負荷を低減しながら電気代のコストダウン を図る例もある。究極の品質改善活動は、余計な製造費用、輸配送費用を削減できる。 品質改善も、環境負荷の低減活動である。

(3)ISOの必要性

  顧客の要求事項で、品質改善及びコストダウンすることにより、顧客満足の向上が でき次の効果を得られる。
①取引の継続
②その、顧客の未受注の仕事の取り込み。
  ISO導入している企業は、社会的信用を得て、企業の宣伝にもなる。
よく見かける例として
  ⇒工場にISO9001認証工場と、広告版が掲示してある。
  ⇒トラックにISO14001取得と書き、広告している。
  CO2の低減は、世界的潮流なのでISOの活動をしていく事は、顧客と価値観を共有する。
③PDCAが適切に廻る
  ⇒マネジメントレビュー:経営者がマネジメントシステムを見直しを実施し、
継続的改善の実施。
  ⇒内部監査、第3者審査等のシステムのチェックがある為に、組織が維持・改善の意欲を持つ。
④組織の体制・構築
  ⇒トップダウンを実施するには、最適のツールである。
⑤人材育成
  ⇒品質改善活動に必要な力量確保の為に教育を実施する。
  ⇒自己啓発も活発になる。
⑥仕事のオープン化
  ⇒特定の人しか、この仕事はできないのを減少させる。
  ⇒手順書を作成して、誰でもがその仕事をできるようにする。

(4)ISOの誤解

・書類が多くなる。
・維持経費が、かかり過ぎる。
・余計な仕事をしている。⇒形式的に認証の維持のみの場合に多い。

(5)経営に役立つISO

①組織の予算・実施計画に、ISOの活動計画を包含して統合された企業活動とする。
②最高経営層がリーダシップを発揮しながら、全社活動として推進する。
③経営に役立つ、ISOの活動を推進する。
以上、物流活動から顧客満足の向上に繋げるプロセスを論じ、筆者の経験からISOを ツールとすると、体系的な活動ができたので当該活動を推奨したい。

参考文献:
  「よくわかるこれからの物流」同文舘出版
  「ISO14000環境マネジメントシステムと監査の実務」オーム社雑誌局

以上


(C)2010Minoru Miyokawa & Sakata Warehouse, Inc.

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