ロジスティクス・レビュー

第200号3PLが実現する今後のロジスティクス(前編)(2010年7月20日発行)

執筆者 増井 秀典
サカタウエアハウス株式会社 取締役 システム研究所長
    執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 1986年 鐘紡株式会社入社、生産技術研究部門、物流企画部門にて化粧品を中心とした物流センターの構築・設計・システム化を担当(在籍中に第7回流通システム大賞・通産大臣賞を受賞)
    • 1999年 朝日アーサーアンダーセン株式会社入社、2002年 ベリングポイント株式会社にて、SCM/ロジスティクスを中心としたコンサルタント(マネージャー)としてクライアントの業務改革(BPR)および事業・物流戦略の構築・実行を担当
    • 2005年 現職のサカタグループ入社、サカタウエアハウス株式会社、サカタインフォ株式会社にて倉庫・3PL事業の推進、SCM・ソリューション事業の推進を担当
    • (社)日本ロジスティクスシステム協会認定 ロジスティクス経営士

*サカタグループ2009年7月28日「第15回ワークショップ/セミナー」の講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回は2回に分けて掲載いたします。

目次

  サカタウエアハウスの増井でございます。
  私からは、『3PLが実現する今後のロジスティクス』という事で、お話致します。まず簡単に私共のサカタウエアハウスの紹介をさせて頂き、本編としては、現在、物流の現場がどうなっているのかというところから始め、3PLの実態の話を行い、それを踏まえた上での「今後のロジスティクス」という事で、私共の視点を交えてお話したいと思います。
  短い時間ですので、3PLは今後のロジスティクス、或いは物流をどのように捉えていくか、特に荷主企業様への対応や関係性等をどのようにしていくべきと考えているかを話の中心に置いて進めていきたいと思っております。

Ⅰ.弊社の概要

1.サカタグループの紹介

  まず、弊社の概要についてご説明します。
  会社の構成としては、倉庫・3PL事業を行うサカタウエアハウス、システム関係のサカタインフォ、アウトソーシング・HRM事業のサカタアセント、サカタ産業といった体制で事業を展開しております。
  事業所としましては、大阪府を中心にしまして岡山・福井・千葉・東京に12拠点の本部・営業所がございます。

2.サカタグループのネットワーク

  私共のネットワークとしては、先ほど申し上げましたが、12の本部・営業所という形で事業を展開しております。今回の講演にご出席の皆様には、是非、弊社ネットワークをご活用頂きたいと思いますので、こちらの資料を思い出して頂ければと思います。

3.弊社のお取引先様(順不同、関係会社様含む)

  こちらに私共のお取引先様を挙げさせて頂いております。弊社の得意分野としては、化粧品・理美容業界様、それから電気・電子部品業界様、それから医薬品業界様を中心とした多品種小口物流でございます。
  今後もこれまで長年培ってきました実績やノウハウを活かしてたくさんのお客様に高品質なサービスを提供させて頂けるように頑張っていきたいと思っております。

Ⅱ.物流現場の実態

1-1.サービスレベルの実態 ~納品リードタイム~

  ここから本題に入らせて頂きます。
  まず、現在の物流の現場、物流センターがどのような状況であるかというところについてお話したいと思いますので、皆様の実体験或いは感覚と比較して聞いて頂けたらと思います。

  まず、サービスレベルの実態についてお話します。物流現場の実態を現す指標や数値というのはいろいろなものがありますが、ここでは少し特徴的なものをピックアップします。
  特に、物流に関わる方々は「サービスレベル」、「納品リードタイム」については、非常に気に掛けておられると思います。これは取引条件という形にもなってきますので、尚更かと思います。
  掲載したデータを見ると、業界としては、素材型製造業・加工型製造業・食品・商業・運輸業があり、全体としては翌日納品が標準になってきており、当日納品が増加してきているという傾向が見て取れます。そして、業界別に見ると、加工型製造業というのは、期日指定納品があることから納期のパターンが多い傾向が見られます。一方、食品製造業は、翌日納品が前提になっていることが見られます。今後は、時間指定納品における時間帯の精度がより精緻に求められてきているという状況になるかと思います。
  一般的に物流には(物量などの)波動がありますが、その中で納品・リードタイムを厳守していくという事になってくると、非常に柔軟な体制を作っていかないといけないという事がありますし、当然時間を守るという事になるとそれを守るだけの能力が必要になるという事で、高い専門性といった事も要求されてきているという事が言えるのではないかと思います。

1-2.サービスレベルの実態 ~完全注文充足率~

  これは、注文があった商品の在庫が足りているか、さらに出荷間違い、配送ミスなどを含めてどの位の状態になっているのかという事を確認したものです。
  このデータでは、平均的には95~100%の充足率という企業が約53.9%となっています。ただ私共の実感としては、もっと高い数値になっているのではないかと思っています。業界別に見ると、食品業界の充足率は、若干他の業界よりも鮮度の関係から、充足率が不足(余剰な在庫は持たない)状態になっているのではないかと考えられます。
  ちなみに弊社も物流・3PLを行っているわけですが、在庫誤差・出荷誤差については、PPM単位で捉え、お客様からは限りなく100%を実現できるサービス水準を求められていますので、それを実現できるよう努めています。

1-3.サービスレベルの実態 ~出荷比率~

  これはバラ単位で出荷出しているのがどの程度あるか、ケースで出荷しているのがどの程度あるか、という割合を示しています。
  業界別に見ると、食品業界など、単価の安い商品は、ケース出荷が多いという傾向が出ています。一方、商業・運輸業といったところは、バラ出荷の比率が多くなっている傾向が見られ、この時点でバラ単位にして出荷されているという事実が見えているように思います。
  今後、BtoBからBtoCという形でビジネス展開が進めば、当然、出荷比率でいうバラ単位での出荷は増加しておくことが容易に想定できます。

2.労働力の実態

  2008年末位から景気の大幅な後退で、いわゆる派遣切りが非常に増え、また2009年に入ってからは、団塊の世代が定年を迎えられる2009年問題という事で、対策を検討されている会社も少なくないと思います。物流現場では、先程のデータにもありましたが、柔軟な人材の体制を作っていかなければいけないという事から、派遣社員、パート、アルバイトが必要で、その体制を組んできたという事は言うまでもありません。
  当然、その事実がこのアンケートの結果からも見て取れます。業界別に見てみると、やはり商業、運輸業については、多品種少量の仕分けを行っているという事が想定されますので、その対応のためにパート、アルバイト、派遣社員の構成比率が非常に多くなっているという事が見て取れます。

3.物流現場の実態(まとめ)

  最後に物流現場の実態をまとめます。
  現在、物流現場というのは、高いサービスレベルが要求される状況の中で専門性も要求されるということになっています。一方、それを実行する要員については、コストのコントロールという観点から雇用の柔軟性が要求されています。物流現場としては、要求を実現しなければいけませんので、3PLとして考えた場合、その実現が生き残りの条件という事になります。しかし、逆の見方をするとそれが3PLの価値という事にもなってきますので、この辺りを上手く対応していくという事が、差別化という点で当然必要になってくると考えます。また、お客様からも、それを要求されているという事がこのデータからも見て取れるかと思っています。

Ⅲ.3PLの実態

1.3PLビジネスの市場とプレイヤー

  ここからは3PLの実態という事で、ここまでで述べた物流の現場の状況を踏まえ、3PLの実態はどうなっているのかという事を荷主企業との関係性を検証しながら考えてみたいと思います。その関係性から今後のロジスティクスの取り組みや方向性といったものを整理していきたいと思います。
  さて、3PLの市場規模ですが、少なく見積もっても1兆円以上あるという事がデータから見て取れます。この資料では、3PLの企業構成を整理しています。この中で、私共サカタウエアハウスは、倉庫会社というところに位置付けられます。その他の3PLの分類としては、自動車運送事業者系、商社系、卸売業系、利用運送事業者系、メーカーの物流子会社というものがあり、非常に多岐にわたっており、市場はそれなりに大きくありますが、既存の物流事業者だけではなく、異業種からもどんどん進出してきています。例えば、コンサルティング会社といったところも進出してきており、非常に競争が激化しているという状況であると認識しております。

2.3PLの使用状況

  これは国土交通省のデータで、回答社数が約300社という事です。
  このデータでは、「既に3PLを使用している」という会社は、300社の中で41.6%であるという事です。受託のレベルというのは、3階層で整理されており、「個別に作業するだけ」、「物流管理まで」、「経営レベルまで踏み込む」となっていますが、「経営レベルまで踏み込む」というのはまだ少数派のようです。一方、私共サカタウエアハウスとしては、最近、経営レベルのところまで検討して欲しい、または提案して欲しいといったようなお話が多く出てくるようになり、それにはコンサルティングで対応しているという状況です。
  では、受託の範囲はどうかという事ですが、こちらについては「特定の拠点もしくは領域」、「複数拠点の広域」、「荷主企業の物流機能全体または物流以外の機能を含む包括的な受託」という事で3種類挙がっていますが、ほぼ均一に三分割されているような結果が出ています。
  3PLとしての立場から見た場合、「今は3PLを使用していないが今後積極的に使用する」或いは「状況が許せば使う」という企業が3割以上あるという事であり、3PLの需要があるお客様がまだまだ存在するということですので、我々も頑張ってお仕事を頂けるよう尽力する必要があると考えています。

3.物流(3PL)事業者の認識課題

  このデータは、荷主企業との関係性に関するアンケート結果です。
  3PLが荷主企業から業務を受託した上で問題だと思っている事は、多岐に亘るのですが、上位は、「十分な売上・利益が確保できない」、「自社でロジスティクスのプロを育成できない」、「荷主からコストダウンの要求を受けている」、「情報システムの対応が十分でない」であるという結果が出ています。
  また、3PLが荷主企業との契約更新を辞退した理由というデータもあったため、併記してみたが、3PLの受託後の問題意識と非常に合っています。1つは「3PL事業による十分な売上確保、利益が捻出できない」という点です。それから、「自社でロジスティクスのプロを育成できていない」という点です。また、「荷主からコストダウン要求を受けている」、「情報システムの対応が十分できない」という課題を認識しているという事がアンケートの結果から出ています。ちなみに、このアンケートの調査ですが、3PL事業者は350社、荷主企業は60社の回答となっています。

以上

※後編(次号)へつづく



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