ロジスティクス・レビュー

第181号LA Redoute(ラ・ルドゥート) フランス:通信販売(2009年10月8日発行)

執筆者 鈴木 準
サン物流開発 代表
    執筆者略歴 ▼
  • 学歴
    • 東京経済大学商学部卒業
    • 産業能率短期大学生産管理科卒業
    • 日本電子専門学校電子計算機科卒業
    職歴
    • セーラー万年筆(株)経営企画室主任
    • (株)長崎屋 物流部・電算部部長・システム本部副本部長
    • (株)サン商品センター代表取締役社長
    • (有)サン物流開発代表取締役
    • サン物流開発代表
    講師
    • 専修大学講師・早稲田大学講師及び早稲田大学アジア太平洋研究センター講師経験
    • JILS 物流現地フォーラムコーディネーター 20年経験
    • 日経ビジネススクール講師
    • 文化ファッションビジネススクール講師
    • 中小企業事業団登録専門指導員経験
    資格・所属団体等
    • 物流管理士、販売士1級、日本物流学会会員、国際物流管理士
    その他
    • 海外物流視察100回、内外合わせて1,000施設視察
    • 2006年 (社)日本ロジスティクスシステム協会 物流功労賞受賞
    連絡先
    • 〒274-0822千葉県船橋市飯山満町3-1761-105
    • TEL.047-467-1077
    • メール sun_logi@nifty.com

目次

1.通信販売

(1)通信販売
  通信販売(通販)は、アメリカ合衆国で、19世紀後半頃に地方の農民たちを対象としたカタログ販売の開始が起源とされている。この頃には鉄道網や郵便網の整備が進み、19世紀末期にはシアーズなど大手のカタログ販売小売業者が設立され、今日のようなカタログ販売の基礎が作られた。日本では津田塾大学創設者津田梅子の父、津田仙が自ら創刊した「農学雑誌」で、1876年(明治9年)に始めたアメリカ産トウモロコシの種の通信販売が最初といわれている。三越、高島屋、天賞堂なども、19世紀に通販を始めている。
  しかし、産業として確立したのは戦後で、ラジオ受信機製作用電子部品の雑誌広告による通信販売、大手百貨店の通信販売への参入が始まり、1960年代にはカタログ販売の主要業者が設立され、1970年代頃からはテレビショッピング、ラジオショッピングの形でも行われるようになった。また、アメリカの月刊誌「リーダースダイジェスト」の音楽レコード販売も記憶に残っている。
  1980年代後半以後、女性の社会進出の拡大や、宅配便サービスの拡充、さらに1990年代以後インターネットの普及によって大きく発達し、現在では販売品目も魚介類などの生鮮食品から、各地方の名産品、パソコンや大型電気製品に至るまで、あらゆる物品とサービス販売されている。
  小売業態のうちの無店舗販売の一つで、店舗ではなく、メディアを利用して商品を展示し、メディアにアクセスした消費者から通信手段で注文を受け、商品を販売する方法である。最初は郵便をメディアにしたことから通信販売と呼んだ。
  最近インターネットの普及に伴い、「通信販売」のメディアは郵便から電話、電話からインターネットの割合が増加し、Webを制するものが通販を制するといわれている。

(2)通販のメディア
  一般的な意味の通信販売においては、商品の展示は、主に以下の手段によって行われる。

テレビやラジオのコマーシャルやショッピングコーナー、あるいはCSやケーブルテレビなどに設置された専門チャンネル
新聞、雑誌の広告や折込チラシ
通販商品カタログ(主に各種ダイレクトメールなどで個人に届けられたり、会社などに届けられたりして社内で回覧される)
電話による販売
サンプルの送りつけによる販売
カタログ雑誌として書店で売られる

  その他、インターネットのウェブサイト(電子モール、電子商店街、場合によってはオークションサイト)を含む。これらの場合はインターネットの中での仮想店舗を持つ事もある。

(3)通販の法律
  通信販売業を規制する、特定商取引に関する法律(特定商取引法、旧訪問販売法)での通信販売の定義は販売業者又は役務提供事業者が郵便等(郵便、電話、フアクシミリ、電報、郵便振替、銀行振込など)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う指定商品若しくは指定権利の販売または指定役務の提供となっている。
  通信販売業者としては、実際の店舗を持つ百貨店や専門店のほか、カタログ販売専門業者、放送局関連企業、パソコンメーカー自身まで、多種多様である。
  通信販売については、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)などの、商取引に関する一般的な法律以外に、特定商取引法の適用を受け、商品に限らず販売業者などの各種情報の表示が規定されている。ただし、訪問販売で規定されているクーリングオフは通信販売には適用されない。しかし、業者によっては商品到着後の返品を受け付ける場合も多くある。購入前に返品に関する文言をよく理解しておくことが望ましい。
  なお、分割払いの場合には、割賦販売法の適用を受ける。

(4)代金回収
  代金の支払いの方法は、比較的低額な商品の場合には、後払い(注文後、先に商品を発送し、代金は同封された振込用紙で、到着後に金融機関やコンビニエンスストアから販売者の口座へ振り込む方法が多い)もあるが、主流は配達時の代金引換や、クレジットカードである。パソコンなどの高額な商品については、クレジットカードを使わない場合には事前の前払いがほとんどであり、販売者が倒産した場合の危険が大きい。過去には通販パソコン販売店が倒産し、10万円以上もの代金を一括前払いで注文をした客が、商品を手にできない被害を受けた例がしばしばあった。

(5)配達
  通販の取引は配達があって終了する。しかし、核家族化、共稼ぎにより不在宅が多い、ラ・ルドゥートはKIOSKを通じて、顧客に商品を渡している。

2.La Redoute(ラ・ルドゥート)

  ラ・ルドゥートのDCはフランスとベルギーの国境の近くにある。現在、ラ・ルドゥートはドイツの世界最大の通販グループOTTOの傘下にあるが、フランス最古の通信販売業者である。物流エンジニアリングに優れており、1990年代には通販初のロボットピッキングを採用し、NHKのニュースで報道された。ラ・ルドゥート は有名ブランド Gucci の所有者であり、スナックも経営する多角経営である。

(1)センターの概要

ラ・ルドゥートのDC

フランスらしい瀟洒なDCの受付

① 業  種 通信販売
② 年  商 2,700億円
③ 敷地面積 55,000㎡
④ 延床面積 23,900㎡
⑤ 建築構造 PC造4階
⑥ スパン 10m
⑦ 建  設 1968年
⑧ 出荷量 40万ピース 内フランス国内30万ピース
⑨ 購買点数 3点/1人
⑩ 出荷個数 10万カートン/1日
⑪ 品種数 60,000SKU
⑫ リードタイム 午前受注午後出荷
通常、前日午後受注、翌日午前ピッキング
午後6時から8時に出荷
24時間サービスが目標
⑬ デ  ポ 26か所
⑭ 配  送 駅前などのKIOSK、花屋でお客に渡すことが多い
⑮ 在庫回転 2か月
⑯ カタログ 500万部。6月、12月各1回、他に特売、季節あり

(2)物流の概要

  日本ではヤマトロジスティクスが3PLとして受託した通販会社向けに、一部の地域に12時間以内配送サービスを始めたが、ラ・ルドゥートでは24時間サービスを最終目標にしている。前日受注は午前ピッキング、午後出荷、18時から20時の間にトラックが出発する。フランス国内に26のデポがある。商品の引き渡しはKIOSKや花屋、新聞などの売店経由で顧客に引き渡す。この場合、運賃は当然無料である。

マニュアル立体倉庫

  但し、エキスプレスは1.2ユーロが割り増しされる。通常市街地は土日は、トラック通行止めのため配達はない。フランスの主たる配送業者は郵便局とUPS(アメリカ)である。
  仕入先は中国、バングラデシュが多い。在庫は2カ月分。年商は12億ユーロ、約2,000億円。家具など嵩高品はここから30Km離れた場所にDCがある。
  輸入は中国、タイ、インドなど、品質検査は中国以外は、現地検査である。La Redouteで行う検査は、前回までの検査結果により、抜き取り数を決める。従って新規取引業者の抜き取り率は高い。顧客の返品率はフランス20%、国によって異なる。ポルトガル10%、オーストリアは40%、ヨーロッパの平均は30%だからフランスの20%は低い方である。
  返品の95%は再出荷する。4%はアウトレットで販売。1%は廃棄処分する。出荷ミスは0.3%、以前は1.5%であった。センターの建設は40年前である。

(3)オペレーション

保管と補充
倉庫は自動ではなく、マニュアルの入出庫である。
一次ピッキング
作業場の各工程に作業説明の看板がある。案内の方は「カンバン」と言っていた。
ファッション商品で多品種少量のため1スロットの在庫量は少ない。
多品種少量品のピッキングは複数バッチのピッキングである。ピッキング後、手作業でバッチ別に仕分ける。
作業者はバーコードの印刷されたラベルを持ち、庫内を巡回して、商品にラベルを貼ってピッキングし。コンテナに入れる。どこの通販でも見られるシステムである。

一次ピッキングのラック

ピッキング

バッチ別仕分け

工程ごとの作業説明のカンバン

顧客別仕分け
バッチ別に仕分けられた、商品の入ったコンテナはバッチ別にコンベヤで自動仕分機の インダクションに運ばれる。インダクションの作業者は商品の貼られたラベルのバーコードをスキャンしてバッチを確認し、自動仕分機のインダクションコンベヤに載せる。

インダクション

自動仕分機のインダクション

梱包
自動仕分機に載せられた商品は顧客別単位で梱包作業者に送られる。梱包作業場には荷札と納品書が仕分け順序と同期して印刷されている。商品と納品書をチェックし、ポリ袋に詰め、次の工程で箱詰めする。箱は自動製函機で作られ、梱包作業者に供給される。

仕分けられた商品

納品書と荷札

包装作業場のレイアウト

包装作業ライン全景

3.まとめ

  DCには多くの緑があり、建物の色も緑がモチーフになっている。40年前の建物であるが外観は近代的である。内部は古色蒼然としているが、内部のデザインは優れている。フルフィルメントは標準的又はオーソドックスである。30年前に自動仕分機を使っている。多品種少量品の一次ピッキングは複数バッチで行い、バッチ別の手仕訳だが、歩行数を少なくするデザインであった。フランスはアメリカに次いでIEの歴史が古いので、レイアウト、作業システムにその片鱗が随所に見られる。

ニッセン/ラ・ルドゥート ホームページ

以上



(C)2009 Jun Suzuki & Sakata Warehouse, Inc.


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