1. HOME
  2. ロジスティクス ・レビュー
  3. 物流関連
  4. 物流システム
  5. 第148号「流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)」ってなんですか?==いよいよ普及段階に入った流通BMSを簡単に解説します==(2008年5月20日発行)

ロジスティクス ・レビュー

ロジスティクスと経営のための情報源 /Webマガジン

物流システム

第148号「流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)」ってなんですか?==いよいよ普及段階に入った流通BMSを簡単に解説します==(2008年5月20日発行)

執筆者 藤野 裕司
株式会社データ・アプリケーション
ACMS統括本部  上級コンサルタント
    執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 1955年生まれ
    • 1979年 同志社大学卒業
      情報システム企業入社
    • 2005年 現職
    • 1980年代初頭より企業間データ交換に携わり、1991年より日本のEDI標準開発等を行う。
    • 現在、流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS:流通次世代EDI)や通信プロトコル(ebMS、AS2、JX手順)などの普及に協力。
    • その他、コンピュータセンター運営、EDIの技術サポート経験をベースに、ユーザーの立場から考えるEDI/SCMを提言。
    • 企業や業界のEDIコンサルティング、論文執筆、講演などを通しEDIの普及に努めている。
    • EDI関連情報をブログ「EDI情報館」(http://www.ediblog.jp/)にて発信中。
    所属学会
    • 経営情報学会
    講演・論文・著書
    • 外部からの依頼による講演活動、110回。
    • その他、セミナーや小規模の説明会も実施。
    • 雑誌記事、論文等多数執筆。
    資格
    • 特種情報処理技術者

目次

はじめに

  今流通業界では、次世代EDI「流通BMS」がまさに普及段階に入ろうとしています。そこで、まだ流通BMSをご存じない方に、詳細ではなく「なんとなく概要がわかる」程度の知識を持っていただくために本レポートを作成しました。
  より詳しい資料は、(財)流通システム開発センターのサイト(http://www.dsri.jp/)から、「経済産業省流通システム標準化事業」>「事業について」をたどっていただくと、入手できます。また、雑誌「月刊流通ネットワーキング」(日工・テクノリサーチ社発行)の6月号(2008年5月25日発刊)・7月号(2008年6月25日発刊)でも特集があります。その他、藤野のブログ「EDI情報館(http://www.ediblog.jp/)」にもいろいろ関連情報をアップしておりますので、あわせてそちらもご参照ください。

1.流通BMSの誕生まで

  まずは、どのような経緯で流通BMSが生まれたかを簡単に振り返ってみましょう。

(1)次世代EDI検討のきっかけ

  流通業界での特徴的なEDIは、小売から卸・メーカに注文を出すEOS(*1)です。これは、1980年に制定されたJCA手順(*2)をベースにしたデータ交換で行われています。つまり、30年前に作られた、今となっては超旧式のEDIなのです。先進業界では、1990年頃よりこの従来型EDIの問題点解決のため、いろいろ対策が打たれてきました。流通業界でも、通信プロトコルでは1991年にJCA-H手順(*3)、メッセージでは1997年のJEDICOS(*4)や2002年のJEDICOS-XML(*5)といろいろ挑戦を続けています。しかし、いまひとつ決定打となるものはなく、今日もなお従来型EDIとしてJCA手順が主流となっているのです。
  では、この従来型EDIにどのような問題があるのでしょう。ざっと見ても、「通信速度が遅い」「漢字が使えない」「文字以外を送れない」「インターネットが利用できない」「使用するハードウェアがすでに製造中止になっている」「海外では受け入れられない」「バッチ転送方式であるためリアルタイムの要求を受けられない」「データフォーマットは、小売ごとに個別仕様で異なるため、卸・メーカは接続先ごとに変換プログラムの開発が必要」「WebEDIが普及するも画面運用が違ったり手操作が必要となったりしてコストがかさむ」とかなりの数になります。
  そこで、これらの解決のため、2003年より経済産業省の事業として流通業界次世代EDIの検討が始まりました。

(2)経済産業省事業での2ステップによる取り組み

  この事業は、2ステップで行われ、第1ステップの3年を「流通サプライチェーン全体最適化促進事業」、第2ステップの3年を「流通システム標準化事業」と定められました。内容は、商品マスターの同期化と次世代EDIの2つの流れで行われていますが、本稿では「次世代EDI」つまり「流通BMS」に絞ってご説明します。
①第1ステップ
  この3年間で、総合スーパーと食品スーパーにおける次世代EDIの標準化に対する基礎調査・研究を行い、その成果を踏まえた実証実験を実施、運用可能性が高いことを確認しました。
②第2ステップ
  第1ステップの成果をもとに実運用に移すことを目的としています。2006年度にはグローサリを、2007年度にはアパレルと生鮮を対象とした共同実証を行い、いずれも本番化と普及を進めています。そして最終年度となる2008年度には「新たなEDI標準への移行の促進」と「標準維持管理に向けた体制の確立」を行います。

図1 経済産業省事業の実施経緯

2.流通BMSとは

  では、この流通BMSとはどのようなものかを簡単にご説明しましょう。
  そもそも「BMS」(*6)とは、流通システムの国際標準化団体であるGS1(*7)が策定した「ビジネスメッセージ標準」で、流通BMSはそれをベースに日本の商慣行を取り入れて開発されました。

(1)「EDIメッセージ」と「通信インフラ」で構成

  流通BMSは、7業務10メッセージからなる「EDIメッセージ」と通信基盤・通信プロトコルが規定された「通信インフラ」で構成されています。

図2 流通BMSの構成

①EDIメッセージ
  EDIメッセージは、どのような取引にも共通のメッセージとして使える「メッセージ種別」「メッセージ構造」「データ項目とその意味」「データ属性」を標準化したものです。取引先コードや商品コードは、国際標準である「GLN(共通企業識別コード)(*8)」「GTIN(共通商品識別コード)(*9)」を使用。そして、データの構造は柔軟性の高いXMLとしました。
  基本となる業務はグローサリで、「発注」「出荷」「受領」「返品」「請求」「支払」の6種類。ただし、「出荷」については「出荷(梱包紐付けあり)」「出荷(梱包紐付けなし)」「出荷(伝票)」の3メッセージあり、あわせて8メッセージとなります。そこに、「発注」の補助データとして「集計表作成」とアパレルの「値札作成」業務が加わり、合計で7業務10メッセージとなります。

図3 7業務10メッセージ

②通信インフラ
  通信基盤は、インターネットが前提で、これにより高速・安価で世界中を統一された規格で接続できます。また、TCP/IPは、企業内のLANとして最も多く利用されている通信方式です。
  通信プロトコルは、国際標準のebXML MS(*10)とAS2(*11)、日本標準のJX手順(*12)という3方式。ebXML MSとAS2は、ともに国際標準のEDI通信プロトコルで、サーバ間通信に利用されます。一般に大手企業や大規模システムを持つ企業での利用を前提としており、送信データができると相手側に送りつけるPush型通信方式です。一方JX手順は、サーバ運用が困難な小規模の企業やデータ量の少ない取引で利用される日本独自の通信プロトコルで、クライアント側からの起動によりセンターのサーバにデータを取りに行くPull型通信方式です。

(2)「標準化」と「インターネット活用」による大きなメリット

  流通BMS導入により多くの課題が改善され、様々なメリットを受けることができます。大きく分けると「標準化」と「インターネットの活用」になるでしょうか。

①標準化によるメリット
  これまでは業務が標準化されていなかったため、卸・メーカは小売ごとに個別対応が必要でした。このプログラム開発負荷が、流通BMSの導入により大幅に軽減できると考えられます。共同実証の結果、1/50以下に削減が可能という評価が出されました。
  伝票レスなどのペーパレス対応では、従来なら企業個別に税務署の確認を受ける必要があったところ、標準化により国税庁から「帳票の保存は不要」の旨の確認を取ることができました。また、流通BMSは国際標準のBMSをベースに策定されています。そのため、将来的にはグローバルな取引にも展開できる可能性が出てきたのです。もちろん、これには国際標準に日本仕様の追加申請(チェンジリクエスト)を続けていかなくてはなりません。

②インターネット活用によるメリット
  通信にインターネットが使えることで、数多くのメリットが受けられるようになりました。まず、回線が高速・安価になったこと。全体の処理時間は、データがXML化されることでデータ量は12倍から16倍に増大しますが、回線速度が速くなることにより約1/20~1/25に短縮されるという実証結果が出ています。次に、ハードやソフトが入手しやすくなったこと。製品は多数揃っており、製造中止に悩むことはありません。通信プロトコルも各企業の事情に応じて選ぶことができますし、JCA手順と違いあらゆる種類のデータも扱えます。
  特に処理の高速化は、現場レベルの業務効率化に大きく貢献しています。「出荷精度が向上した」「深夜作業の軽減により人手が確保しやすくなった」など、導入済みの企業から歓迎の声が多数聞かれるようになりました。

3.実際の導入にあたって

  では、実際に導入するにはどのように進めていけばよいのでしょう。
  まず、流通BMSを理解するところから始めてください。その上で、運用の規模を想定します。それによりサーバモデルかクライアントモデルかが決まります。小売もしくは大手の卸やメーカの場合は、基本的にサーバモデルでの運用になります。小規模の卸・メーカの場合は、クライアントモデルの運用と考えてください。その中間規模の企業は、次に示すデータ量や通信プロトコルの特性に応じて判断するとよいでしょう。そして、導入するとしたなら、自社に導入するか、それともASP(*13)を利用してアウトソ-シングするかを決めます。以下、その流れで順にご説明します。

(1)サーバモデルかクライアントモデルか

  運用の規模と形態により分かれます。データサイズが1通信10MBを超えるような場合は、サーバモデルをお勧めします。これはPush型通信になりますので、通信の集中を避けることができ、通信と業務の平準化が可能となります。通信プロトコルはebXML MSもしくはAS2です。また接続先にクライアントモデルを使う企業がある場合、JX手順サーバプロトコルも用意する必要があります。運用は24時間常時稼動となります。
  一方、小規模の卸やメーカで、データ量が少なく、通信を含めたEDI運用を自社のスケジュールで行いたい場合は、クライアントモデルを使います。これは、Pull型通信になりますので、EDIを行いたいときのみクライアントシステムを立ち上げ、運用を行います。クライアントモデルの場合には、通信を行うEDIシステムだけでなく、関係するアプリケーションも備わった業務パッケージも販売されており、自社の運用に応じたシステムを選択し、導入してください。

図4 サーバモデルとクライアントモデル

(2)自社導入かASP利用か

  サーバモデルの場合、運用が複雑になりますので、自社導入かASP利用かを以下の判断により選択します。
  ある程度システム部に要員を抱え、独自にEDIやインターネットの運用ができる場合、もしくは自社にノウハウを蓄積したい場合は、自社導入をお勧めします。一方、要員が少なかったり本業以外をアウトソーシングしたい場合などは、外部のASPを利用します。
  ASPの形態には2種類あり、自社専用のシステムを構築し完全に独立した運用を委託する場合(ハウジング)と、汎用の流通BMSサービスへの参加企業として利用する場合(ホスティング)とがあります。

図5 自社導入

図6 ASP利用-自社専用ASPサービス

図7 ASP利用-汎用ASPサービス

(3)システム構成の規模別パターン

①高セキュリティ負荷分散型構成
  システム構成は、運用の規模に応じて考える必要があります。特にインターネットによる通信になりますので、セキュリティに注意が必要です。大規模システムの場合は、通信サーバをインターネットのDMZ(非武装地帯)(*14)に置き、社内へのアクセスから隔離する必要があります。また、既存のEDIをすぐに廃止することはできません、移行が完了するまで従来型EDIと流通BMSの並行運用が必要です。そのときには、別システムで管理するのではなく、統合管理ができるようにシステムを構成しなくてはなりません。ここも注意が必要です。
  また、最初の接続先は少なくても、従来型EDIからどんどん移行が進んだり、新しい接続先が急に増えたりすることがあります。そうなることを前提に、拡張しやすい環境を整えておくことも重要です。

図8 高セキュリティ負荷分散型構成

②ミドルサーバシステムでの構成
  中規模でのサーバ運用の場合、社内にEDIサーバを置くだけの形態が考えられます。このようなときでも、外部からのアタックを社内に受けないようにしなくてはなりません。そのためにはリバースプロキシというシステムを導入する必要があります。これはかなり技術的な要件になりますので、別途セキュリティ専門のご担当者にご相談ください。

図9 ミドルサーバシステムでの構成

③PCシステムでの構成
  最も小さな構成では、パソコンのみで利用するクライアントモデルがあります。これは、家庭でインターネットを利用するパターンと同等と考えて差し支えありません。ただし、ウイルス対策やファイアウォールは準備してください。ウイルス対策はプロバイダのサービスやPC用ソフトを利用して行い、ファイアウォールはPC用ソフトを利用して行います。

図10 PCシステムでの構成

4.現状の課題とこれから

  2008年度は、流通システム化事業の最終年度。今年はもっとも重要な総仕上げの年です。特に注目したいのはどういった形で協議会[流通システム標準普及推進協議会(仮称)]が立ち上がるかということです。この協議会で標準の維持管理や普及・広報を行います。現在準備が進められており、今期後半に「設立準備会」が立ち上がり、2009年4月に正式発足の予定です。事務局が流通システム開発センター内に置かれ、ユーザ主体で運営される予定です。メッセージのバージョン管理や証明書の運用などは、普及の速度にも関わる重要な課題で、これらをユーザ主体で管理・検討を進めるというところがミソだと思います。つまり、「自分達のことは自分達でしっかり面倒見なくてはいけない」という強い当事者意識とスピード感がポイントじゃないでしょうか。
  共同実証も、2007年度で残された生鮮のうち水産物と青果物、2008年度予定の百貨店・チェーンドラッグストアなど、実施に向けた準備が進められています。
  では、ここに含まれなかった流通業界、例えばホームセンターや家電製品量販店などはどうなるのでしょう。一部研究は進められていますが、具体的な方向はまだ見えていません。これら小売と取引のある卸やメーカは、既に始まっているスーパー業界にも納入しています。一方は流通BMS、一方は従来型EDIというのではやはり運用コストがかさみます。ここは流通業界全体が流通BMSに統一されることを願いたいものです。
  さて、ここまでは流通業界のお話をしてきました。しかし、EDIを行っているのは流通業界だけではありません。製造業界でも広く普及しています。しかし、こちらは従来型のまま動く気配はありません。正直、全銀TCP/IPを使った従来型EDIで何の問題も生じていないというのが実情じゃないでしょうか。
  実際、2003年にECALGA(*15)を発表した電子機器業界も、一向に普及が進んでいません。たしかに、この業界はCII標準のJEITA-EDI(*16)が広く普及しているので、そんなに問題は感じていないのでしょう。しかし、それ以外の業界となると、標準メッセージのないところもあります。つまり各社各様のメッセージを使ったEDIなのです。
  もちろん、製造業界の場合、加工指図のように毎回異なる情報を流す必要があったり、家電・住宅設備メーカのように複数の業界と取引があったりと、なかなか標準化が難しい業界もあります。しかし、XMLやインターネットを使ったEDIでなんらかの現状の問題が解決できる部分もあります。例えば、メッセージは業界ごとに事情は異なりますが、通信プロトコルのebXML MS、AS2、JX手順などは、すべての業界で利用可能です。このあたりの標準化だけでも進めていくという方法もあります。
  今流通業界では、すごいスピードで流通BMSが広がり始めました。これは他業界においてもひとつのチャンスだと思います。これをきっかけに、日本の全業界において次世代EDIの検討が進めば日本の経済はもっともっと活性化する、と考えても間違いないのではないでしょうか。

おわりに

  流通BMSは、2008年3月の時点で150社以上が導入を進めています(流開センターニュース2008年3月号および関係者談)。またまもなく新たな小売が導入を発表したり、全国で説明会が開かれたりするという話しも漏れ聞こえてきます。導入を終えられた企業さんも高い評価をなさっています。
  この順調な滑り出しがこのまま加速し、全国・全産業に発展していくことを願ってやみません。

以上

【用語解説】

(*1)EOS:Electronic Ordering System電子受発注

企業間のオンライン受発注システム。
スーパーなどの小売店の端末から、チェーンストア本部や卸売店などへEDIで発注を行なうことにより、発注側・受注側双方にとって効率的で確実、スピーディな受発注業務を行うことができる。EOSの導入により、受発注のペーパレス化やリードタイムの短縮、多品種少量発注への対応などを低コストで実現することができる。

(*2)JCA手順

取引先データ交換標準通信制御手順。
通信プロトコルの1つ。1980年に日本チェーンストア協会(JCA)が開発したJCA手順を、1982年に通商産業省(現:経済産業省)が流通業の標準通信手順(J手順)として制定したもの。スーパーやコンビニエンスストア、量販店などの小売業や卸売業、食料品や日用雑貨メーカなどの流通業界において、標準的な通信手順として広く利用されている。

(*3)JCA-H手順

1991年に日本チェーンストア協会(JCA)が開発し、1992年に通商産業省(現:経済産業省)により流通業界の新たな標準通信手順(H手順)として制定された。通信回線はISDN回線(64Kbps)に対応し高速伝送の実現に加え、漢字や画像データの伝送なども可能となった。 データ形式はJCA手順を踏襲している。

(*4)JEDICOS:Japan EDI for Commerce systems

1994年度から96年度にかけて(財)流通システム開発センターが実施した、通商産業省(現経済産業省)の委託事業「流通業界における電子化取引標準化調査研究」の研究成果として生まれ、1997年に制定された。
「JEDICOSメッセージ」は、国際EDI標準であるUN/EDIFACTに基づいて開発された流通業向けサブセットであるEANCOMに準拠し、特に日本の商習慣や税法などに合致するようローカライズされ、開発されている。

(*5)JEDICOS-XML

JEDICOSメッセージをベースにXML化された国産XMLフォーマット。2002年から3ヵ年の期間で流通サプライチェーン全体最適化促進事業として検討された。

(*6)BMS:Business Message Standards

GS1で定めている標準策定プロセスが「GSMP」(グローバル・スタンダーズ・マネジメント・プロセス)。このGSMPで定められたEDIメッセージの国際標準が「BMS」(ビジネス・メッセージ・スタンダーズ)である。

(*7)GS1

流通システムの国際標準化団体。欧州のEANと米国のUCCが統合してできた組織で、世界のほとんどの国・地域はその傘下にある。日本はGS1 Japanとなり、(財)流通システム開発センターが窓口となっている。GS1の”GS”は特定用語の略称ではなく、Global Standard、Global System、Global Synchronizationなどのさまざまな意味が込められている。

(*8)GLN:Global Location Number

EDIなどに利用できる国際標準の企業・事業所コードのこと。相互に企業や事業所等を唯一に識別できる。1995年に国際EAN協会(現GS1)が制定した。「GLN企業コード(国コード2桁を含む)」+「ロケーションコード」+「チェックディジット」の13桁の体系。JANコードで商品を表わすアイテムコード部分で企業の事業所等を表わす。

(*9)GTIN:Global Trade Item Number

EDIなどで商品を識別するための、現在使われている各種の国際標準の商品識別コードを包括した総称。
14桁で表現する国際標準の商品識別コード。GS1が2005年から普及促進を開始した。
日本では2007年3月から導入が進められている。JANバーシンボル表示の13桁を変更する必要はない。

(*10)ebXML MS

ebXML Message Services。ebXMLにおける通信仕様。サーバ用プロトコルで、送信データができる都度相手側に送りつけるプッシュ型。受信は、相手起動によるデータを待ち受け状態で常駐待機する。
通常の標準メッセージ(文字情報)のほか、様々なコンテンツ(Word/Excel/PowerPoint、PDF、CAD、画像、音声、動画など)を送ることができる。データは、本文の文書以外に添付ファイルを付けて送ることもできるが、流通BMSでは、本文のみに制限している。トランザクション単位の処理によるEDIメッセージングも可能。

(*11)AS2:Electronic Data Interchange-Internet Integration Applicability Standard 2

サーバ用プロトコルで、送信データができる都度相手側に送りつけるプッシュ型。受信は、相手起動によるデータを待ち受け状態で常駐待機する。
米国を中心に世界的に利用が拡大しつつあるインターネットEDIの通信プロトコル。通常の標準メッセージ(文字情報)のほか、様々なコンテンツ(Word/Excel/PowerPoint、PDF、CAD、画像、音声、動画など)を送ることができる。

(*12)JX手順

EDIサーバの運用が困難な中小規模の企業向けEDI通信プロトコル。データ発生時にプッシュ型で送信するサーバ方式に対して、必要な時に任意のタイミングで起動しセンターサーバとデータをやり取りすることができるプル型クライアント方式。ebXML MSやAS2など国際標準のサーバ方式では、EOSなどで行っているプル型処理を実現できないため、日本独自に開発したSOAP-RPCベースの比較的シンプルな通信手順。

(*13)ASP:Application Service Provider

ビジネス用アプリケーションソフトや業務システムを、インターネットを通じてユーザにレンタルする事業者のこと。ユーザはネットワーク経由でASP事業者に接続し、システムを利用する。これにより、ユーザ側でアプリケーションソフトや業務システムをインストールする必要がないので、インストールや管理アップグレードにかかる費用・手間を節減し、企業の情報システム部門の負荷を軽減できる。

(*14)DMZ:DeMilitarized Zone 非武装地帯

インターネットなどの信頼できないネットワークと、社内ネットワークなどの信頼できるネットワークとの中間に置かれる、ファイアウォールに囲まれたセグメントのこと。
外部に公開するサーバをここに置けば、ファイアウォールによって外部からの不正なアクセスを排除できる。また、万が一公開サーバが乗っ取られた場合でも、内部ネットワークまで被害が及ぶことはない。

(*15)ECALGA:Electronic Commerce Alliance for Global business
Activity

2003年に(社)電子情報技術産業協会(JEITA)ECセンターが推進団体となり策定した電子機器・部品業界のEDI標準規格。EIAJ-EDI標準の後継標準として、国内外企業間の全業務プロセスの効率化、産業競争力強化を目的として、グローバル標準として注目されているXML/EDIの標準仕様「ebXML」を採用して新たに策定した。

(*16)JEITA-EDI(EIAJ-EDIともいう)

(社)電子情報技術産業協会(JEITA)が定めた契約のための各種注文要件を満たす情報に関する標準。日本国内の電機・電子機器業界におけるEDIは、発注企業が独自方式で行う受発注業務のオンライン化として始まった経緯があり、その後、より多くの企業間でEDI連携を実現するため、JEITAの前身である旧 日本電子機械工業会(EIAJ)が1989年に標準規格「EIAJ-EDI」を策定し、約1万2000社がこの規格を利用するための企業コード登録を行っている。



(C)2008 Hiroshi Fujino & Sakata Warehouse, Inc.

関連記事

サカタウエアハウスの業界別ソリューション、フルフィルメント・サービス 他

流通・マーケティング・物流分野の研究レポート 「ロジスティクス・レビュー」無料配信中!
申し込み
流通・マーケティング・物流分野の研究レポート 「ロジスティクス・レビュー」無料配信中!
申し込み