ロジスティクス・レビュー

第132号最新Web対応WMSによりトレーサビリティを実現!(2007年9月18日発行)

執筆者 吉井 宏治
サカタインフォ株式会社 シニアマネジャー
    執筆者略歴 ▼

  • 略歴
    • 1989年 サカタ産業株式会社入社、工場内物流管理業務を担当。
    • 1990年 サカタウエアハウス株式会社(大阪本部)に異動。情報サービス部門に配属。
    • 1991年 鐘紡(現・クラシエ)株式会社 情報統括室コンピュータ部に1年間出向。
    • 1995年 サカタウエアハウス株式会社(門真営業所)に異動。アパレル物流管理業務を担当。
    • 1998年 株式会社サカタロジックスに異動。
      物流改善,物流情報システム構築,物流ABC導入,物流アウトソーシング等の提案営業およびコンサルティングを担当。
    • 2005年 サカタインフォ株式会社を兼務。
      主に業界別WMS/TMS等の物流情報システムの提案構築、および物流改善コンサルティングを担当。
      現在に至る。
    主な資格
    • 物流技術管理士,第2種情報処理技術者,倉庫管理主任者,品質審査員補(ISO9001S)

*サカタグループ出展「ビジネスシヨウTOKYO2007」のプレゼンテーションセミナー講演内容をもとに編集しご案内しています。

目次

  本日の講演の内容ですが、まず私共のグループの簡単なご紹介と、私共が開発し発売するWeb対応WMSの特徴、その後に多頻度小口物流への適応事例あるいはトレーサビリティの業界別への適応事例について紹介したいと思います。

  まず私共の会社のご紹介をさせていただきたいと思います。
  私共の会社は物流業、いわゆる顧客から商品をお預かりしてその保管・入出庫を管理、運営することをグループ内の主たる事業として実施しています。
  その中で特に力を入れているのが、化粧品/理美容業界、電子部品/機器業界、一般医薬品業界の多頻度小口物流を得意としています。
  物流業務の実際の運営の中で自社開発したWMS(倉庫管理システム)を今回外販していくことになり、本展示会に出展しています。
  私共の特徴・強みと致しては、実際このような物流現場を運営していますので、物流に対する顧客への提案能力や業界毎の物流特性の理解度ということに自信を持っています。単にWMSのみを提案するだけではなく、顧客の物流を調査してそれに対してどのようにシステムを導入していけば物流が効率化できるのか、ということを提案させていただいています。
  私は入社して20年余りになりますが、当初システムの構築やプログラミングを3年程経験し、その後実際の物流管理業務を3年程、それから各企業の物流改善提案・コンルティングを10数年。そして東京に7年程前に転勤になり、そこからシステムの提案等を中心に営業活動を実施しています。
  こちらは、企業のWMS導入による物流改善フローの例です。(図1参照)物流の全体像をフロー化しています。私共のシステム提案方法は、まず現状の物流業務を調査し、それに対して物流の改善を進める上でどのようにWMSの導入をしたら良いかをご提案しています。

図1.WMS導入による物流改善フロー例(イメージ)

Ⅰ.弊社WMSの主な機能/特徴

1.弊社WMSの特徴

  それでは、私共のWMSの主な機能/特徴についてご紹介したいと思います。
  まず特徴ですが、最初に申し上げたような業種別のメニューをセミパッケージ化しており、特に「電気/電子部品業界」、「一般医療品/医療機器業界」、「化粧品業界」向けに、必要な機能を取り込みパッケージ化しています。
  次に、「トレーサビリティ管理」に対応しており、商品のロットコードの追跡管理や、輸配送管理システムと連動して、運送便別の配達完了までの情報とロットコードをリンクさせ、どの運送便のどの商品ロットがいつ着荷したかということまで管理できるようになっています。また、荷主企業あるいは顧客の伝票No、発注Noとリンクし、これらの番号からも検索できるような仕組みをとっています。
  トレーサビリティに関連して、物流センター内の進捗を追跡するステータス管理があります。例えば、実際商品が本当に物流センターに入庫したのか、あるいは確実に当日出庫したのかということが、営業部門の方からは分かりにくいという意見がよく寄せられます。このような課題に対して私共のWMSでは、リアルタイムにモノの動きと情報の動きがリンクしていますので、確実に当日商品が出荷されたということをシステム上で管理し、かつその情報をWebを通してリアルタイムで把握可能な仕組みになっています。
  次に出荷システムの基本機能では、WMSとバーコード検品システム等の様々な出荷支援システムとリンクすることにより、よりきめ細かい管理に対応しています。また梱包時の容積計算や複数の出荷パターンの組み合わせが1つのシステムで可能な仕組みとなっています。
  最後に、管理レベルに対応した在庫管理機能があります。個別の商品あるいは特定のメーカーの商品については特に物流管理レベルを上げたいといったこと、例えばロットコードを追跡したいといった切り分けが必要な場合があります。これに対して、商品別あるいは仕入れ先別に管理レベルをマスターに登録管理することにより、個別の管理が可能となっています。ケース単位・バラ単位・小箱単位等の保管ロット、あるいは同一商品の出荷単位別得意先別在庫引き当て管理にも対応しています。

2.Web対応

  Web対応については、Microsoft社の最新のドットNETという技術を採用しています。
  これにより、基本的には顧客のパソコンがイントラネットあるいはWeb端末の機能を持っていれば、専用のソフトウエアをインストールすることなくWebブラウザを通してWMSのメニューを利用できるようになっています。

図2.Web対応WMSの概要

  基本的な使用法は、Webサーバー上のアドレスにアクセスし、それに対して初回のみ必要な機能をダウンロードして初期設定(インストール)を行います。2回目以降は、メニューが表示されますので、ブラウザにアクセスするイメージで利用可能です。当然ですが、外部からアクセスする場合には、パスワード・SSL等のセキュリティ管理に対応(オプション)しています。
  Web経由のメニューとしては、受注入力をWeb経由で複数の営業所から入力したり、在庫照会をしたり、入出庫の実績をリアルタイムで見たり、輸配送の状況等も参照できるような仕組みになっています。

3.モジュール単位での導入

  次にモジュール単位での導入機能というものがあります。
  導入する企業の要望として、既に基幹システムによる在庫管理システムを構築していても、物流その他の実在庫管理機能が弱いという場合があります。そういった場合に、私共のWMSでは必要なモジュールだけを選択して自社の基幹システムと連動し導入することが可能です。
  こちらにモジュールの一覧を掲載していますが、一般的な履歴管理や在庫管理機能とあわせて、品切れ管理や、先日付分のバッチ単位のコントロール、運送会社単位のとりまとめ、運送会社の選定等について、WMSと輸配送モジュールを連携させて、1システムで管理することが可能です。

図3.WMS・TMSモジュール一覧

4.モジュール単位の主な機能

  主な機能について紹介します。「品切れ時の該当顧客データ出力」機能では、バックオーダーを抱えている商品があれば、該当顧客別商品明細リストを事前に出力し、入荷したらすぐに出荷できるような仕組みをとることが可能です。
  次に「先日付分保留、バッチコントロール」機能では、先日付オーダーは一旦引当在庫は落としますが、実際の出荷については納品リードタイムを考慮し、例えば2日前に出荷作業ができるようにバッチ処理の中に組み入れるといった、納品リードタイムと組み合わせた出荷処理が可能です。
  「運送会社の変更/保留/まとめ変更」機能では、例えば宅配便で1個口を複数で出荷するよりも数個口を1件としてまとめて出荷する方が運賃が低くなることがあり、同じ納品先に同じ日付で出荷する場合にはまとめて、一番運賃が安い運送会社に振り替えるという機能があります。この機能は、自動で振り替えるものと、管理者が一定以上の出荷ロットの部分だけを確認し、振り替えるといった手動部分のものと、二通り設定することが可能です。
  「出荷完了までの作業ステータス管理」機能では、物流センター内の作業状況に応じて、今商品が入庫したのか、あるいは入荷検品中なのか、ピッキング作業中なのかといったステ-タスを追跡、確認できます。
  最後に「リードタイム出荷判定/運送会社振り分け」機能では、納品先の配達指定日がある場合には、その指定日に合わせて一番最短のリードタイムの運送会社に振り分けることが可能です。また顧客の要望により、納品指定運送会社をマスターに登録し管理するこが可能です。

5.システム概要

  こちらがシステムの概要図で、基本モジュールがあり、入荷・在庫・出荷の各モジュールや輸配送モジュールを組み合わせて、顧客の基幹システムとデータの連携をとりながら、倉庫管理を行っていく仕組みです。業界別に必要な機能をモジュール化し、それを組み合わせることによって、カスタマイズによるシステムの追加開発をできるだけ少なくして導入することができます。
  カスタマイズが減ることにより、できるだけ短期間で導入したり、カスタマイズ費を抑えることが可能となります。

図4.WMS・TMSシステム概要

6.WMS導入スケジュール例

  WMS導入スケジュールですが、導入規模にもよりますがやはり要件定義に1ヶ月、設計/カスタマイズ/テストということで、ベースとしては一般的に6ヶ月程必要となります。ただし要件定義をできるだけ集中し短期間で行うとか、カスタマイズ量や帳票類が複雑ではないといった要件によって、短縮することが可能です。

Ⅱ.多頻度小口・多品種少量・高精度物流の実現に向けたシステム-化粧品業界のWMS適応事例-

1.化粧品業界の課題

  それでは次に化粧品業界向けWMSの適応事例について紹介したいと思います。
  まず化粧品業界の物流の課題例として次の2点があります。
  化粧品業界の特徴としては、シーズン商品があり、春夏物・秋冬物という形で、季節毎に新製品が大量に入荷、出荷されます。その度に新製品用のロケーションを変更、設定するという管理業務と実際の商品の移動が必要になります。
  もう1つは、たとえば、口紅1本からファンデーション1個までのバラ出荷対応が必要となり、これらの梱包サイズに合わせた大きさの梱包箱を多数準備する必要があります。梱包箱の選定はベテラン社員の経験に頼っているところが多く、箱の選定を間違えると商品を詰め替え直す必要があります。

2.化粧品業界の課題に対する解決策

  このような課題に対して、私共のWMSでは大量の一斉出荷に対応したロケーション管理、ロケーションの一括振り替えや登録を行う機能を持っています。
  これらの作業は日々の出荷作業の中で並行して実行していく必要があり、現場の運用としては新製品用の空きロケーションを大量に確保し、WMSでは、確保したロケーションへの新製品の割付をある程度自動化して登録することが可能です。
  次に多頻度少量出荷については、WMSに梱包容積計算機能があり、例えばダンボールケースが6種類あると、どの箱に梱包したら良いかをシステム上で事前に計算して、ピッキングリストに箱のサイズを表示したり、あるいはラベルに個口を先に表示して誰でもスムーズに適切な箱を選択し梱包できる仕組みを構築することが可能です。

3.化粧品業界の改善フロー例

  WMS導入による運用フロー(概要)を図式化したものが、こちらの図です。

図5.化粧品メーカーへのWMS適応例

4.化粧品業界の課題に対する導入効果

  導入効果としては、一時期に集中する新製品出荷時の作業負荷を分散したり、熟練した担当者でなくても作業の平準化や作業時間の短縮が可能です。あるいは、WMSのWeb機能を利用して、在庫実績や出荷履歴を確認して、営業活動の支援や顧客サービスの向上に結びつけることが可能です。
  具体的なメニューについては、入荷予定データによる検品進捗状況の画面や、運送会社別の出荷検品作業の状況の確認画面があり、運送便毎・ロケーション毎の出荷処理の状況、あるいは検品の進捗状況が確認できるようになっています。

Ⅲ.トレーサビリティ管理実現に向けたシステム1-電子部品・機器業界のWMS適応事例-

1.電子部品・機器業界の課題

  次に、電子部品・機器業界への適応事例を紹介します。
  電子部品・機器業界の課題について、3点程挙げます。
  まず、部品・製品・仕掛品・検査待ち品・出荷止め品等の工程別の複雑な在庫管理があります。
  2番目は、出荷の際に顧客の指定する注文番号に合わせて詰め合わせをしてほしいという要望があります。特に大口の注文がある場合に必要となります。
  3番目には、出荷作業の時に、一部の商品ではロット番号管理・シリアルNo管理が必要とされますが、更に顧客毎のBTO(BUILD TO ORDER)という顧客の個別仕様の商品や特定のセット商品というものがあり、それらの管理も必要となります。

2.電子部品・機器業界の課題に対する解決策

  これらの課題に対する私共のWMSによる改善のポイント・解決策としては、まずこういった部品・製品・仕掛品等の複雑な在庫管理については、ロケーション単位で在庫区分を設定して、同じ商品であっても部品は部品のロケーション・仕掛品は仕掛品のロケーションを管理し、出荷止めとか検査待ちの商品の判別、管理を行います。
  2番目に、特定の顧客の要望する注文番号毎の詰め合わせ梱包については、通常の顧客向けの納品とは別管理で顧客コード単位毎に管理して、特定の顧客にのみ注文番号単位で出荷梱包明細を出力する管理が可能です。
  最後に、ロット番号、シリアルNo単位の個品管理については、セット品やBTO商品を製造、加工する際に、それぞれの個品単位での管理とリンクしセット品やBTO商品の代表コードに対してどの個品のロット番号、シリアルNoを使用したのかを追跡できるような仕組みをとっています。

3.電子部品・機器業界の改善フロー

  WMS導入による運用フロー(概要)を図式化したものが、こちらの図です。

図6.電子部品・機器メーカーへのWMS適応例

4.電子部品・機器業界の課題に対する導入効果

  導入効果としては、在庫管理が複雑なパーツ(個品)に格納ロケーション単位で管理区分を設定し、システムによる管理が可能となり、また、注文番号毎の詰め合わせを顧客単位で管理し実施可能になります。システム管理上は、シリアルNoやロット番号管理をすべての商品に対して実施することが可能となります。
  また社内にとどまらず、顧客に対してもステータス(作業状況)や出荷履歴情報をWeb経由で開示することができます。

Ⅳ.トレーサビリティ管理実現に向けたシステム2-一般医薬品業界のWMS適応事例-

1.一般用医薬品業界の課題

  最後の3番目の事例として、一般医薬品業界向けのWMS適応事例について紹介したいと思います。
  一般医薬品とは、いわゆる医科向けの薬品ではなく、ドラックストア等で売られているような処方箋がなくても買えるような胃薬や風邪薬を対象としており、これらについても、一部改正薬事法に基づいて製造ロット管理、使用期限管理等が必要になってくる場合があります。
  このような管理を実施する上での課題としては、商品アイテム数が多いとか、商品にロット情報が明記されていない、あるいは明記されていても読み取りにくいということがあります。また、納品単位・発注単位が商品により異なり、商品管理が複雑化しているという課題が一部ではあります。

2.一般用医薬品業界の課題に対する解決策

  このような課題に対して、私共のシステムでは、例えば商品ロット、使用期限管理については、入庫出庫の際にEAN-128を読み込み、ロットコード・使用期限情報を入荷伝票No、出荷伝票Noのバーコードとリンクし管理することが可能です。
  商品マスターには基本となる商品データの他に、使用期限・製造年月日、および取扱い注意事項のコメント等が登録できます。また、商品マスター・得意先マスターと紐づけた出荷単位管理が可能です。
  なおEAN-128については、標準化の中で2006年よりGS1-128に変更されているそうですが、バーコード自体には大きな変更はないと思われます。

3.一般用医薬品業界の改善フロー

  具体的には、次の図のようなフローにより管理しています。
  得意先別に商品マスターの管理レベルを設定して、例えばこの納品先には中箱単位での納品が必要です、別の納品先には袋単位での納品が必要ですというように同じ商品でも納品先単位に梱包単位を管理することが可能になっています。
  このような機能・モジュールを組み合わせて、物流業務を管理します。

図7.一般用医薬品メーカーへのWMS適応例

4.一般用医薬品業界の課題に対する導入効果

  一般用医薬品業界の課題に対する導入効果としては、改正薬事法に準拠したロットコード、使用期限他多くの付加情報の正確な管理を行うことができます。
  あるいは、得意先別商品別出荷単位管理のシステム化により、顧客ニーズの多様化に迅速に対応ができます。
  最後に、薬事法に準拠した管理情報を社内の既存PCからWeb経由で参照することができるので、関連部署間による薬事法に基づくロットの追跡や情報の共有化が可能になります。

まとめ

  最後に私共のWMSに関する機能のまとめとしてお話しします。
  まず第1番目には、業種別のメニューをセミパッケージ化し、選択可能とすることによりまして、WMS導入の際のカスタマイズ開発をを低減することが可能となります。
  2番目には、WEB対応機能を用いてトレーサビリティ管理の強化を可能としています。WEBにアクセスできる、あるいは社内のイントラネットにアクセスできる端末であれば、どこからでも検索、およびトレーザビリティに必要な情報の登録、更新が可能となっています。
  3番目には、作業工程のステータス管理をリアルタイムで行うことで、リードタイム短縮を可能にします。リアルタイムで商品がどの作業状態にあるかということを管理することにより、エンドユーザーへの緊急要請に臨機応変に対応したり、あるいは受注の段階である程度納品リードタイムを予測して納品可能日をお伝えすることが可能です。
  4番目には、出荷システムの基本機能を充実することで短納期化と低コスト化を実現しています。これらは業界別の物流特性にあわせた機能をセミパッケージ化しており、できるだけカスタマイズによるシステム追加を減らして導入できる仕組みになっています。
  最後に、業界または顧客によって異なる管理レベルに対応した在庫管理機能を実現しています。
  これらの機能を装備したWeb対応WMSを、今回の展示会において発表し販売するにあたり、私共では、グループ内の90余年にわたる実際の物流業務運営により蓄積した物流ノウハウを基に、顧客に対して倉庫管理システムおよびシステム導入による物流改善を提供していきたいと考えています。

以上



(C)2007 Kouji Yoshii & Sakata Warehouse, Inc.


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