ロジスティクス・レビュー

第122号カサイ経営方式物流ABC(タイムスタディ簡易型)のご紹介(2007年4月17日発行)

執筆者 野田 洋史
HI研究所 代表 -元カサイ経営取締役-
城西大学経営学部 非常勤講師
    執筆者略歴 ▼

  • 略歴
    • 1966年旭化成㈱に入社。繊維工場、情報システム部門、物流部門で生産管理、情報システム開発、物流システム開発などを担当。
    • 2000年に物流コンサルタント会社㈱カサイ経営に入社。物流コンサルタントとして活動。
    • 2006年7月より現職。

目次

 
  長年物流コンサルタントとして、ロジスティクス改革に心血を注いだ河西健次先生(カサイ経営代表取締役)がなくなられて1年が過ぎようとしている。カサイ経営ではコンサル活動を通じて独自の改善手法を開発してきたが、今後できるだけ多くの方々にそのノウハウをご利用いただきたいと考えている。ここでご紹介するカサイ経営方式物流ABCは、物流センター作業などでのアクティビティの標準時間を設定する際に、できるだけ時間とコストをかけないで実践できるよう開発した簡易型のタイムスタディ作業分析法である。

1.手順

ABCをつかむ目的の明確化
対象業務、アクティビティの確定
アクティビティごとの詳細業務の洗い出し
物量データ把握方法検討、データ調査
作業時間の測定
標準時間、作業工数の算出
分析結果の評価

2.手順の詳細

①ABCをつかむ目的の明確化

目的によって分析調査対象、アクティビティの分類、分析の精度、分析方法、そのための分析時間のかけ方が変わってくる。現状把握か、改善目的かなどによって違ってくる。

(例) 物流サービス条件別コスト把握,顧客別・商品別の物流コスト把握取引1件ごとの物流コスト把握,センター作業改善によるコスト削減など

②対象業務、アクティビティの確定

物流センター業務の中で調査分析する対象業務を確定する。特に、現場作業と管理事務作業は性格が違うため分析方法も異なる。対象業務が確定した後、アクティビティを確定する。このアクティビティを確定する場合には、定常的に行う活動(作業)であること、その活動のコストをつかむ必要があるという2つの条件を満たすものを選ぶ。業務全体を把握し、漏れがないようにするために全体を俯瞰できるアクティビティ分類表(表1)を作成しておくとよい。次にアクティビティごとの処理量(コストドライバー)を決める。

(表1) アクティビティ分類表(例)

③アクティビティごとの詳細業務の洗い出し

アクティビティごとに、オペレーション(作業時間の測定単位)に分ける。タイムスタディ法による作業測定の分類(ワークユニット)は、アクティビティ、プロセス、オペレーション、エレメント、モーションの5つのレベルがあるが、簡易型ではアクティビティとオペレーションの2つのレベルとした。
オペレーションに分ける場合、個々の作業内容の相互関連が明確になるように作業フローチャート(図1)を作成する。フローチャートをもとにアクティビティ一覧表(表2)を作成する。測定に入る前にアクティビティ、オペレーションをしっかり固めておくことが、その後の作業のためにはきわめて大切である。

④物量データ把握方法検討、データ調査

アクティビティごとに処理される物流量の把握の方法を決める。物流量は平均的、およびピーク時の月間処理量をつかむ。情報システムでつかむことができなければ、伝票から集計したり、推定値を使う。<

図1 入荷・入庫作業のフローチャート(例)
表2 アクティビティ一覧表(例)

⑤作業時間の測定

ビデオ撮影による作業時間の測定を行う。作業の内容によっては、ストップウオッチによる測定、作業者による申告(作業記録シート)などを併用する。
<測定の方法、注意点>

作業の開始、終了時点を明確にしておく(オペレーションの内容)。
測定時間と同時に、処理量をつかむ(伝票のコピーなど)。
運搬作業など移動する場合は、移動距離を測定する(レイアウト図)。
測定対象の作業者は、できるだけ標準的な作業スピードの人を選ぶ。
標準的な人を選ぶことによってレーティング(補正値)を行わない。
測定時刻や対象者の選定など、現場管理者の協力を得る。
測定回数は、現状把握であれば5回、バラツキが大きい作業は10回程度とする。

⑥標準時間、作業工数の算出

正味時間の算出:
ビデオ撮影による作業測定結果を記録・分析表(エクセル表)に記入し、1処理量当りの「正味時間」を計算する。
標準時間の算出:
標準時間=正味時間+余裕時間(15%)=正味時間×1.15
作業工数の算出:
月間時間値(処理時間)=標準時間×月間処理量
作業工数(人)=月間時間値÷一人当たりの平均就業時間

⑦分析結果の評価

現人員との比較をして現状作業の生産性を評価する。
アクティビティごとの作業単価を算出する。

  以上紙面の都合上、概略を述べるだけであったが、少しでも読者の方々の参考になれば幸いである。

  

以上


(C)2007 Yoshinori Hirai & Sakata Logics, Inc.


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