ロジスティクス・レビュー

第111号間近に迫った国際標準商品コード“GTIN”の導入と物流への影響―小売業、卸売業の入荷検品は大丈夫?―(2006年11月9日発行)

執筆者 斎藤 静一
財団法人流通システム開発センター 流通コードサービス部長
    執筆者略歴 ▼

  • 略歴
    • 1977年(財)流通システム開発センター入所、主任研究員を経て、現在、同センター流通コードサービス部長。
    • これまで、一貫して流通情報システム化の研究、普及を担当。JANコードやITFなどの流通基盤の標準化を推進してきた一方、小売業や卸売業のPOSシステムや企業間データ交換などの流通情報システム化の研究も取り組んできた。現在は、国際標準の商品コードであるGTIN、同じく国際標準のロケーションコードであるGLN、インターネットによる企業情報検索サービスであるGEPIRなどのグローバル標準のインフラに関する研究や普及を担当し、また、消費財の商品データベースであるJICFS/IFDBやPOSデータのデータベースサービスであるRDSなどの運用に関する責任者。
    • 中小企業診断士、日本物流学会会員。共著「進化するPOSシステム」(日本経済新聞社)、「POSデータ経営」(日刊工業新聞社)などの他、流通情報システムに関する論文多数。

目次

1.GTINとは?

  Global Trade Item Number(GTIN)は企業間の取引に利用する商品コードをグローバル標準として14桁に統一することである。来年2007年3月からわが国では食品をはじめ、化粧品、日用雑貨、医薬品業界等で利用されている物流用商品コード(一般的には“ITFコード”と呼ばれているが、本稿では“集合包装用商品コード”)のうち、一部の商品では番号が変ってくる。関係するメーカーはもちろんのこと、その商品を販売する卸売業や小売業、さらには物流業などにおいても物流業務に影響が出てくることが予想される。
  現在、わが国では食品や化粧品、日用雑貨などの商品にはJANコードが広く普及している。また、物流のコードとしては集合包装用商品コードが付番されている。JANコードは国際的にはEANコードと呼ばれているが、この規格を推進している国際流通標準化機関のGS1では、企業間取引において商品を表すコードはGTINを定着させるPRを展開している。当センターではこのGS1の方針に従い、わが国にGTINを導入していくために全力を注いでいる。
  GTINが考えられた原因は世界的に普及しているJAN(EAN)コードと米国の共通商品コードであるUPCの桁数の違いにある。商品コードの桁数としては、JANコードが13桁、UPCが12桁を標準とし、口紅のような小物商品は8桁、さらには集合包装用商品コードが14桁であり、現在、4種類の桁数が存在している。GTINは異なる桁数の商品コードを全て商品ファーマット上、14桁に揃えて表示し、企業間で利用しようとすることである。

  ただし、GTINはフォーマット上の話であり、現在のJANシンボルの桁数を変更することではない。JANシンボルやUPCシンボルは今日、広く普及しているが、POSや物流への配慮からか、バーコードとしてのJANシンボルはこれからも13桁で現状のまま変ることはない。

2.GTINはどこで使うの?

  GTINはEDIに利用される。現在、経済産業省の事業として、インターネットをベースとした次世代EDIの実用化が進められているが、ここで利用する商品コードはGTIN。また、同じく経済産業省のもと、進められている商品情報の効率的な連絡システムにおいても商品コードはGTINを利用する。さらには、電子タグを利用し、物流センターで荷受する場合にも、タグに書き込む商品情報はGTIN。これ以外にも、医療用医薬品や医療材料などでは、有効期限や製造ロット番号なども併せて表示できるバーコード(GS1-128)が利用されたり、省スペースのバーコードとして2010年、GS1で実用化されるRSSがあるが、この場合の商品コードはGTINとなっている。
  このように、GTINは受発注や納品といった企業間のデータ交換をはじめ、商品情報の連絡や検索、電子タグ、GS1-128、RSSなどはいずれも商品コードとしては14桁のGTINを利用する。

3.GTINを導入していく上での課題は?

  GTINはグローバル標準であるため、わが国でも積極的に受け入れていく必要がある。ただし、わが国で導入していく場合には①から③の問題を解決する必要がある。また、これらのタイムスケジュールは図表2の通りとなっている。

図表2 GTIN導入に関する対応スケジュール


①集合包装用商品コードは14桁に切り替えを

  現在、食品や日用雑貨、化粧品などの段ボール箱には16桁の集合包装用商品コードが付番されているが、GTIN化は14桁に商品コードを揃える必要があるため、メーカーでは集合包装用商品コードを14桁に切り替える必要がある。該当するメーカーは新商品や包装資材がなくなるようなタイミングで14桁に切り替えることをお願いしたい。


②“不一致型”GTINが登場する

  現在、単品のJANコードと集合包装用商品コードとの関係では、“一致型”といって、単品のJANコードで利用している商品アイテムコードを集合包装用商品コードでも同じ商品アイテムコードを利用している。前項で集合包装用商品コードを14桁に切り替える必要から荷姿や入り数の違いなどを識別することが出来なくなってしまう企業が発生する。集合包装用商品コードが16桁の場合は先頭のパッケージインジケータ(PI)が2桁利用できていたが、14桁ではPIが1桁になる。そのため、9種類以上の荷姿や入り数を持つ商品の場合、14桁では表示しきれなくなってしまう。そこで、不一致型という単品と集合包装用商品コードとは全く異なる商品アイテムコードで対応することになる。よって、GTIN化を図ると不一致型の集合包装用商品コードが登場することになる。

図表3 GTINの付番ルール(不一致型)
―消費者購入単位と集合包装の付番例―


③国際標準の付番基準を遵守する

  現在、商品には容量が異なる場合、香りや色が異なる場合、材料が異なる場合、販売単位が異なる場合などでは商品アイテムコードを分けることになっている。しかし、一部の商品ではこの国際ルールと異なる付番も見受けられる。具体的には、増量のキャンペーン商品の場合、国際ルールでは通常商品とキャンペーン商品では異なるGTINを設定することになっている。しかし、わが国では一部、同一のGTINになっているものがある。このような場合は、国際ルールに準じた同一のコードで付番をするように変更する必要がある。

4.入庫検品は大丈夫?

  現在、ITFシンボルを入荷の時点で読み取り、入荷検品を行っている小売業や卸売業が多数、見受けられる。この入荷検品システムを導入している企業のうち、すでに商品マスターにJANコードと集合包装用商品コードの両方を保有している企業が問題は生じない。しかし、商品マスターにJANコードしか持っていない企業は仕入検品システムに問題が生じる場合がある。それは前述の不一致型GTINが登場することによって、発注に利用する商品コードと検品のときに利用する商品コードを突合できなくなってしまう。
  この場合には下図のようにJANコードと集合包装用商品コードの紐付けをしたり、JANコードと集合包装用商品コードの両方をマスターに持つなどの対応が必要になってくる。GTINは商品を識別する場合のグローバル標準と取り決められている以上、わが国でも荷主や物流会社にとっても、今後の物流システムはGTINを意識した上でシステム化に取り組むべきと考える。

図表4 入荷検品システムの対応例
先頭のインジケータを読み飛ばし、JANコードの部分のみを認識している
場合、JANコードと不一致型コードの紐付けテーブルを作成して対応

以上



(C)2006 Seiichi Saito & Sakata Warehouse, Inc.


このページのトップへ戻る